転生ナルト物語   作:ドロイデン

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理不尽 Ⅳ

 いのいちさんに連れられ、久しぶりに三代目のじいちゃんの部屋に来たオレが見たのは、じいちゃんの土下座姿だった。

 

「さ、三代目様!?」

「ちょ、じいちゃん何してるんだってばよ」

 

 衝撃的すぎる光景にオレも、一緒に来たいのも驚いているが、じいちゃんは頭を下げたまま告げた。

 

「ナルト、今回の件は儂がちゃんと確認しなかったことが原因で起きたこと。保護者として、これ以上の失態はない。謝らせてくれ」

「あやまるって、でも、じいちゃんは何にも悪くないんだろ?だったら」

「いや、ナルトに対して里の皆が懐疑的に見ていたことは知っていた。それを放置したがゆえに今回の一件が起こったのだ、原因の元凶は儂にもある」

 

 いつもは厳格で、オレに対して凄い厳しくするじいちゃんが、ここまで恥も何もなしに土下座する。それだけで、今回の事をじいちゃんが思い詰めているというのがすごくわかった。

 

「じいちゃん……頭を上げてくれってばよ」

「ナルト……」

「そりゃ、この二週間、すんげぇひもじくて、辛くて、少しだけじいちゃんを恨んだりしたけど、でもじいちゃんが何の理由もなくこんなことはしないっても思ってたんだってばよ。だから、いのいちさんから話を聞いて、少しだけ安心もしたんだってばよ」

 

 じいちゃんは、オレの事を見捨ててなんかいなかったと、そう思えることができたから。

 

「ナルト……本当に、本当にすまなかった」

「もう良いってじいちゃん。それより、そんなにすまないって思うんなら、父ちゃんの……四代目火影の術を見せてほしいんだってばよ」

「……分かった。許可しよう。ただし、ミナトの術は半分近くが禁術、おまえは実子だから見ることに制限はないが、その術を学ぶ際は儂か、いのいちやそこにいるシカクといった大人達の確認のもと行うこと。決して、一人だけで練習をしないことを守ること。よいな」

「おう!!」

 

 オレの返事に三代目のじいちゃんはようやく体勢を元に戻していつもの笑顔を見せてくれた。

 

「ところでじいちゃん、じいちゃんから見て四代目って、父ちゃんってどんな人だったんだってばよ」

「ん?なんじゃ、いのいちから聞かなかったのか?」

「だって……最初に聞くのはじいちゃんからがよかったし……」

 

 オレの本心の言葉に、じいちゃんの表情が少しだけ泣きそうになっていた。

 

「そうか……だが儂が知ってるミナトのことなど、あまり多くないぞ」

「それでも良いってばよ」

「ふむ……そうじゃな……控えめに言って四代目……おまえの父ミナトは木の葉の里始まって以来の天才じゃった」

 

 三代目のじいちゃんは懐かしむように語った。

 

「ナルトが知ってるかは分からんが、儂は初代様、二代目様の事も直接話したり、彼らから学んだりしてきた。そんな儂からして先代、先々代の影のお二方と比べても遜色ない、才能だけなら儂以上の若者だった」

「そんなにすごかったってばよ?」

「そうじゃの。特にミナトを『黄色い閃光』と呼ばしめた『避雷針の術』は、木の葉で二代目様とミナトの二人しかマトモに使えないうえに、戦争での味方の支援や敵への被害をひっくるめて、かの伝説の三忍を追い越すように四代目へと就任した」

 

 それでいて体術などの技術も優れていた、と三代目のじいちゃんは言ったが、

 

「ただ致命的というかなんというか、新術を開発するのは良いんじゃが、その名称がな……ダサいというか、長いというか、そこだけはミナトの師であった自来也や妻のクシナから酷評されておったわ」

「そういえばやたら長々とした忍術名をつけてましたね」

「四代目補佐もやってたオレもその場面は見てたが、それを毎回毎回言うのは……ちょっとな」

 

 その場にいたじいちゃん、いのいちさん、そしてシカクさんの三人がそろって微妙な表情でそう締めくくった。

 

「ナルト……」

「うん、いのの言いたいことは分かるってばよ」

 

 流石に原作を読んで知ってるとはいえ、あそこまで長々とした忍術名はもはや厨二病の類いだ。絶対に断る。

 

「てことは、その父ちゃんの資料にある術名って」

「大概、ミナトの師の自来也かクシナが命名しておるから、そこは安心してもよい」

「そう、ってばよ」

 

 とんでもなく安堵したオレは早速父ちゃんの術の場所に案内して貰おうとしたのだが、

 

「済まぬが儂はこれからとある者と会う用事があっての、シカクなら場所を知ってる故、案内させよう」

「そういうわけだ、ナルト、ついてきな」

 

 少し残念に思いつつも部屋に残るじいちゃんに挨拶して父ちゃんの術の場所に向かった。

 

 

 

 ナルト達が出ていったことを確認した儂は、すぐさま里の裏側……暗部である『根』の本拠地へとやってきていた。

 

「いるのであろう、ダンゾウ」

 

 儂が大声で呼び出すと、どこからともなく影の中から長年の友であり好敵手である、志村ダンゾウが姿を現した。

 

「珍しいなヒルゼン、貴様からこちらに来る等とは」

「惚けるなダンゾウ、お前なら儂がここに来ることは予想しておっただろうに」

 

 ギロリと視線を向けるが、ダンゾウの表情も態度もなにも変わらない。

 

「それで、いったい何のようだヒルゼン。こちらも大概、暇ではないのだが」

「今回のナルトの一件、お主ら『根』が関係しているのか、そこをハッキリさせたくての」

「ナルトの?何の事だ」

 

 惚けるダンゾウに儂は今回の一件の全てを話すと、ダンゾウの表情が少しだけ変わる。

 

「ダンゾウ、お主が九尾の一件で里の負の感情をナルトへと向けるように差し向けていたことは知っている。里の為にと、そこを見ぬふりしてきたのは儂自身だから、そこに何かを言うつもりは一切ない。が、今回の件は儂だけでなく四代目への背信も同義、もしお主らが関わっていようものなら……」

「ふざけるなよヒルゼン。たしかに、九尾の一件については認めよう。そうでもしなければ里の分裂もあり得た。故に行った。そこは否定せんが、うずまきナルトの口座を弄るなど、そんなすぐにバレるような拙いことをするつもりなど毛頭ないわ」

 

 ハッキリと断言したダンゾウの表情には分かりやすく憤怒が見て取れた。

 

「その言葉、真に信じて良いのだな?」

「無論だ。むしろ下手に疑われるくらいならば、人員を貸し出して調べることに協力しても構わん」

 

 まさかの言葉に儂の目が細くなる。

 

「ほう?どういう気まぐれじゃ?」

「気まぐれもなにもあるまい。我ら『根』の名誉にも関わるというだけの事よ」

「……そういうことにしておこう。だがもし、少しでもそちらの関与が分かった際は、儂は内紛を起こしてでもお主ら根を解体させる」

 

 儂の口から出た言葉に、ダンゾウの表情も真剣なものに変わった。

 

「……いつ以来だ、貴様がそのように感情的に事を進めるのは」

「ふん、隠居同然の三代目として、積極的に行動するのを控えていただけよ」

 

 それだけ言って儂は踵を返す、ダンゾウの不敵な笑い声が聞こえたような気がした。

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