遊戯王GX イレギュラー・シンクロン   作:埜中 歌音

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なんだがもうちょっと続けられる気がしたので書き直しました。というか書き加えました。


星屑は英雄の頭上に輝く

「俺のターン、ドロー!」

 

とはいえ、

十代のデッキ、《融合E・HERO(エレメンタルヒーロー)》は手札を著しく消費する。相手のセットカードは4枚、十代の手札と場のカードだけでは突破は難しい。

場にしろ手札にしろ墓地にしろ、カードを溜めることが必要だ。

 

「スタンバイ、メイン! 《召喚僧サモンプリースト》を召喚!」

 

十代が召喚したのは、デッキからモンスターを呼び出すことができる強力なカードだ。

 

「《サモンプリースト》はーー」

 

そこに、(あきら)の声が滑り込む。

 

(トラップ)発動、《ブレイクスルー・スキル》。《サモンプリースト》の効果を無効にする。以上」

 

「くっ………」

 

能力を奪われてしまっては、800という低い攻撃力をさらけ出す弱小モンスターに過ぎない。

すると、その様子を見ていた翔が動いた。

 

(トラップ)発動、《リビングデッドの呼び声》! 僕は墓地の《E・HEROエアーマン》を特殊召喚する!」

 

再び、フィールドに《エアーマン》が降り立った。

 

「アニキ!」

 

「サンキュー、翔! 《エアーマン》の効果で俺はデッキから《フェザーマン》を手札に加えるぜ!」

 

親指を立てる十代。翔が照れ臭そうに少し笑った。

そこに、玲が割って入る。

 

「根本的な解決になってはいない。隣にモンスターが増えたところで、《サモンプリースト》は脆弱な攻撃力を隠すことはできない」

 

対して、十代は鋭い眼光で玲を睨んだ。

口元には、自信の笑みがある。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……レベル4のモンスターが2体……来るよ、遊奈」

 

「さ、笹嶋さん?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いくぜ! 俺はレベル4、《E・HERO(エレメンタルヒーロー)エアーマン》と《召喚僧サモンプリースト》でオーバーレイ!」

 

2体のモンスターの足下に、銀河を思わせる光の渦が湧き出した。

 

「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

光の渦に、2体が飲み込まれてゆく。

観戦者の誰もがーーさらに、対する成功と玲も、言葉を失っていた。

現時点で、この召喚法を操る決闘者(デュエリスト)はただ一人。

笹嶋遊海だけではなかったか?

 

「エクシーズ召喚!」

 

光の渦から、炎に包まれた鎖が飛び出す。

 

「ランク4、《ラヴァルバル・チェイン》!」

 

『うおおおおおおおおおお!!』

『遊城十代が、エクシーズしやがった!』

『なんで!? なんで持ってるの!?』

 

湧き上がる歓声を他所に、十代はプレイングを進めてゆく。

 

「《ラヴァルバル・チェイン》の効果を発動! オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、デッキから好きなカードを1枚、墓地へ送るぜ! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー)シャドー・ミスト》を墓地に!」

 

墓地でこそ、真価を発揮するモンスター。

それは、十代のデッキにも存在する。

 

「《シャドー・ミスト》は墓地へ送られた場合、デッキからヒーローを手札に加えることができるんだ! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー)エッジマン》を手札に加える!」

 

むしろ手札が増えていた。ほとんどが公開情報とはいえ、5枚もの手札というのは脅威に他ならない。

十代が手札のカードに手をかけた。それを見た成功と玲は顔を強張らせる。

 

「まだまだいくぜ、魔法カード《融合》発動!手札の《スパークマン》と《エッジマン》を融合! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー)プラズマヴァイスマン》を融合召喚!」

 

スパークを迸らせて、《プラズマヴァイスマン》の巨体が金の装甲を揺らす。彼はその人差し指をピンと立て、《ワイトキング》を指差した。

 

「《プラズマヴァイスマン》の効果を発動。手札を1枚捨てて、攻撃表示のモンスターを破壊するぜ! 対象は《ワイトキング》だ!」

 

「リバースカード、オープン! (トラップ)発動、《スキル・プリズナー》! このターン、《ワイトキング》を対象として発動されるモンスター効果は全て無効になる!」

 

再び、リバースカードの宣言。今度は成功のものだ。

 

「……くっ、バトルだ!《プラズマヴァイスマン》で《ライトロード・ビースト ウォルフ》を攻撃!

 

《ワイトキング》への攻撃は、惜しくも届かず。しかし《プラズマヴァイスマン》の拳が振り抜かれ、《ウォルフ》を粉々に打ち砕く。

 

 

成功&玲LP7200→6600

 

 

とはいえ、《ワイトキング》はフィールドから離れていない。攻撃力7000の脅威は、未だに十代と翔の前に立ちはだかっている。

 

「くっ、メインフェイズ2に、手札から《マジック・プランター》を発動。フィールドの《リビングデッド》を墓地に送って2枚ドロー、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

十代&翔 LP8000 手札1:3

E・HEROプラズマヴァイスマン Atk2600

ラヴァルバル・チェイン Def1000

セットカード2

 

成功&玲 LP6600 手札2:3

ワイトキング Atk7000

セットカード2

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ライフアドと盤面(ボード)アドは遊城と丸藤にあるけど、ハンドアドは相手が上、しかも相手には大量の墓地アド…………少なくとも《スキル・プリズナー》がもう一撃飛んでくるのは確定なんだよなあ……」

 

「アドアドうるさいのを除けば東雲の言うとおりね。空城クンと玲のタッグは、ターンを重ねれば重ねるほど厄介になっていく……序盤の一点突破で切り崩せないなら負け色強いわよー」

 

「翔…………十代………」

 

「……大丈夫だ、三沢。あいつらならやってくれるさ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「僕のターン、ドロー!」

 

勢いよくカードを引き抜いた成功は、くいっと首をひねった。

 

「んん、まだかあ……スタンメイン、バトルフェイズ! 《ワイトキング》で《プラズマヴァイスマン》を攻撃!」

 

「……く、罠発動、《ヒーローバリア》! 自分フィールドに《E・HERO》がいるとき、1度だけ相手の攻撃を無効にする!」

 

半透明の障壁が《ワイトキング》の眼前に立ちふさがる。

 

「させない。カウンター罠、《魔宮の賄賂》。相手の魔法、罠カードの発動を無効にする。以上」

 

十代の声に重なる玲の声。悪代官ふうの男が、半透明の障壁に小判を投げつける。

半透明の障壁にヒビが入り、《ワイトキング》の拳が《プラズマヴァイスマン》へ向けて振り抜かれた。

《プラズマヴァイスマン》と《ワイトキング》の攻撃力の差は4400。十代たちのライフポイントは、一撃で半分以上も削られてしまう計算になる。

 

「リバースカード、オープン!」

 

新たに割り込む、翔の声。同時にもう一つの障壁が小判を弾き、跳ね返った小判が悪代官ふうの男を直撃した。男は目を回して倒れる。

《プラズマヴァイスマン》の前に立ちはだかる半透明の障壁(ヒーローバリア)は何事もなかったかのように役目を果たしていた。《ワイトキング》の拳に撃ち抜かれることはなく。

十代たちのライフポイントも、微減すらしていない。

翔の手元には、表になったもう1枚のリバースカードが。

 

「《カウンター・カウンター》! カウンター罠の発動を無効にし、破壊する!」

 

《魔宮の賄賂》の妨害が消え、《ヒーローバリア》の効果は問題なく適用される。成功のフィールドに《ワイトキング》以外のモンスターはおらず、このターンは凌いだということだ。

 

「くぅ、防がれたかあ……困ったな。メインフェイズ2に入るよ。モンスターを1体伏せて、ターンを終了」

 

苦笑いで頭を掻く成功。盤面は大きく動かず、翔に2ターン目が回る。

 

十代&翔 LP8000 手札1:3

E・HEROプラズマヴァイスマン Atk2600

ラヴァルバル・チェイン Def1000(ORU1)

 

成功&玲 LP6600 手札2:3

ワイトキング Atk7000

セットモンスター1

セットカード1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…………亮クン、」

 

「……ああ、ツァン。言いたいことはわかる。雪乃も、気づいているだろう」

 

「……珍しいわね、空条先輩が手札事故だなんて……未だに、『彼』も手札にないみたいだし……」

 

「今はまだ『彼』や『アレ』のタイミングじゃないけど、手札2枚の成功クンが動かなかったっていうのは……信じられない」

 

「……単に成功の運が悪かったのか、あるいは……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「僕のターン、ドロー」

 

翔はフィールドをざっと見渡した。

自分の手札だけでは、《ワイトキング》を破壊することはできない。《プラズマヴァイスマン》の効果は使えるものの、相手の墓地には少なくとも1枚の《スキル・プリズナー》が眠っている。

 

(墓地から発動する罠カードの恐ろしさは、遊奈くんとのデュエルで経験してる……! )

 

「僕は《ラヴァルバル・チェイン》の効果を発動する! デッキから、好きなカードを墓地に送るよ!」

 

彼が選んだのは《超電磁タートル》だった。こちらも墓地から除外することで、相手のバトルフェイズを終了する強力なカードだ。

 

「バトルフェイズ! 《プラズマヴァイスマン》で伏せモンスターを攻撃!」

 

《プラズマヴァイスマン》が拳を振り上げ、裏側表示のモンスターを殴りつける。

 

「セットモンスターは《ライトロード・ハンター ライコウ》だよ! リバース効果発動、《プラズマヴァイスマン》を破壊し、その後に自分はデッキの上からカードを3枚墓地へ送る!」

 

金色の拳が白い猟犬を打ち砕くが、猟犬も負けじと拳を噛み砕く。この戦闘は相打ちに終わった。

 

「……メインフェイズ2、モンスターを1体と、カードを2枚伏せてターンを終了する!」

 

膠着状態は未だ続いている。4人のプレイヤーはお互いに探り探り、突破口を見つけようとしていた。

 

 

十代&翔 LP8000 手札1:1

ラヴァルバル・チェイン Def1000(ORU0)

セットモンスター1

セットカード2

 

成功&玲 LP6600 手札2:3

ワイトキング Atk7000

セットカード1

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……また墓地が増えたわね……攻撃を止める《超電磁タートル》や《ネクロ・ガードナー》、効果を無効にする《スキル・プリズナー》と《ブレイクスルー・スキル》、こっちのカードを破壊する《ペロペロケルベロス》……考え出すとキリがないわ……」

 

「明日香、ちょっと心配しすぎじゃない? もっとワクワクしながら観なきゃ損だよ!」

 

「…………しかし、このデュエルには十代と翔の退学が賭かっている……今の盤面を見る限り、十代たちの不利は覆ってはいないから、楽しもうにも楽しめないな……」

 

「だ、大地まで……」

 

「……………俺は、観てて楽しいけどな」

 

「…………東雲くん……」

 

「負けが確定したわけじゃない。遊城たちのライフだって、次の遊城のターンまでは無くならないはずだ。遊城なら、必ずやってくれるさ。それに丸藤も、けっこういい仕事してる。大丈夫だよ、あいつらは」

 

「遊奈の言うとおりだよ! 絶対逆転してくれる! 翔も、十代も、土壇場で強いデュエリストなんだから!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私のターン、ドロー」

 

透明感のある声がターンの開始を告げ、玲の手札は4枚に増える。

その目が、キッと鋭くなった。

 

「墓地の《ワイトプリンス》の効果を発動」

 

地面が、盛り上がった。

 

「自身と、墓地の《ワイト》2体を除外することで、デッキから《ワイトキング》を特殊召喚する。《ワイト夫人》は墓地では《ワイト》扱い、よって通常モンスターの《ワイト》と《ワイト夫人》を除外する」

 

玲の傍に積まれた骸骨の数が7つから4つに減る。《ワイトキング》の攻撃力も4000に下がったが、地底からもう1体の《ワイトキング》が這い出してきた。

 

「攻撃力4000のモンスターが、2体…………」

 

その力に気圧されてか、翔の口から言葉が漏れた。

 

「さらに、《終末の騎士》を通常召喚」

 

闇の中から、黒鉄の鎧をまとう戦士が出現した。彼は手に持っている骸骨を玲の傍に積み上げる。

 

「《終末の騎士》は召喚に成功したとき、デッキから闇属性モンスターを墓地に送る。通常モンスターの《ワイト》を墓地へ。以上」

 

これで《ワイトキング》の攻撃力は5000。

 

「バトルフェイズ」

 

玲はその細い指で、《ラヴァルバル・チェイン》を差した。

 

「《終末の騎士》、《ラヴァルバル・チェイン》に攻撃」

 

炎の海竜は《終末の騎士》の刃に倒れる。

 

「続けて《ワイトキング》、伏せモンスターに攻撃」

 

《ワイトキング》の手が裏側表示のカードを掴み、強引に表にする。

 

『ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!』

 

「《メタモルポッド》の効果発動! お互いのプレイヤーは手札を全て捨て、デッキからカードを5枚ドローする!」

 

翔が伏せていたモンスターは《メタモルポッド》だった。気味の悪い笑い声とともに4人全員の手札が宙を舞い、墓地へ吸い込まれる。

 

「……………………………………………」

 

玲の目が、さらに鋭さを増した。

 

「…………………《ワイトキング》、プレイヤーにダイレクトアタック」

 

玲の指が示す場所に従って、《ワイトキング》はその拳をふりかぶる。十代と翔を守るモンスターはもう存在しない。

 

「うわあああああああああああ!!7

 

「ぐううううううう、っ!!!」

 

 

十代&翔LP8000→3000

 

 

5000。環境の高速化や攻撃力のインフレーションの影響があるとはいえ、5000という数値は十分、大ダメージだと言えるだろう。

ライフポイントまで逆転されてしまった。だが、十代と翔の目にはまだ闘志が燃えている。

玲は彼らを一瞥すると、自分の手札に手をかけた。

 

「………以上。メインフェイズ2、カードを2枚セット、ターンを終了」

 

ターンは二巡し、十代の3ターン目が始まる。

そして未だ、十代、翔タッグの不利は変わらない。

しかし、十代の手札は5枚。

動きがあるとすれば、次のターンだ。

 

十代&翔 LP3000 手札5:5

セットカード2

 

成功&玲 LP6600 手札5:3

ワイトキング Atk5000

ワイトキング Atk5000

終末の騎士 Atk1400

セットカード3

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「とりあえず《メタモルポット》の効果が普通に通ってよかったぜ……」

 

「遊奈好きだもんね、《メタモルポット》」

 

「だが《メタモルポット》は諸刃の剣だ……自分が5枚の手札を得る代わりに、相手にも5枚の手札を与えてしまう」

 

「わかってるよ、三沢。俺が《メタモルポット》を裏返して、そのドローカードで君や笹嶋さんに負けたことが何回あったか……」

 

「今回は、そうならないといいが……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三度巡る、十代のターン。

 

「オレの、ターン!」

 

自分の手には、(パートナー)がくれた5枚の手札がある。その手札が、十代の背中を押していた。

 

「ドロー!」

 

新たなカードを含めて6枚になった手札と、自分フィールドのセットカードを見る。

油断できないのは、相手フィールドのセットカード。3枚ものカードが存在する以上、展開を妨害するカードがないほうがおかしいと見るか。

どうあれ、最初の動きは決まっていた。

十代は手札の1枚を、勢いよく引き抜いた。

 

「メインフェイズ! 魔法(マジック)カード発動、《ブラック・ホール》! フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

「「!!!」」

 

このカード1枚のみで、フィールドの全てのモンスターゾーンを無に帰すパワーカード。《終末の騎士》と2体の《ワイトキング》はなす術なくブラックホールに飲み込まれていった。

 

「よしっ! 続いて手札から、《レスキューラビット》を召喚! このモンスターは自身を除外して、デッキから同名の通常モンスター2体を特殊召喚できるんだ! 現れろ、《E・HEROクレイマン》!」

 

レベル4のモンスターが、再び2体並んだ。

 

「いくぜ、《クレイマン》! 俺は《クレイマン》2体でオーバーレイ!」

 

渦巻く銀河が噴出し、2体の《クレイマン》を吸い込んでゆく。

 

「2体の戦士族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!《H-C(ヒロイック・チャンピオン)エクスカリバー》!」

 

勇壮な剣士が、手に持つ巨大な剣を振った。

 

「また、エクシーズ召喚を……」

 

成功の顔が少しだけ曇る。

彼にとっては未知数の召喚方法だ。召喚されるモンスターの効果も、知らないものが多い。

 

「《エクスカリバー》の効果発動! オーバーレイ・ユニットを2つ使い、次の相手ターンが終わるまで攻撃力を倍にする!」

 

《エクスカリバー》の持つ剣が、光に包まれて大きさを増した。

その攻撃力は、4000。

 

「まだ終わらないぜ! 魔法カード、《ミラクル・フュージョン》発動! フィールド、墓地から素材を除外して、《E・HERO》を融合召喚する! 俺は墓地の《マッドボールマン》《クレイマン》、《スパークマン》、3体のHEROを除外して融合!」

 

「3体のHEROで融合だって!? そんな召喚条件のモンスターなんて……」

 

目を丸くする成功をよそに、十代のフィールドに1体のヒーローが降り立った。

 

「来てくれ! 《E・HERO Core(コア)》!」

 

白地に赤の模様を走らせるスーツの、筋骨隆々のヒーローだった。《Core》は人差し指をピンと立て、成功と玲へ向けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「《エクスカリバー》と《Core》の攻撃力の合計は6700、この攻撃が通れば十代たちの勝ちだわ!」

 

「明日香!」

 

「明日香くん、それを言うと……!!」

 

「あーあ、天上院さんやっちゃったー…………」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「バトルいくぜ、まずは《Core》だ! プレイヤーにダイレクトアタック! 」

 

クラウチングスタートの姿勢から、弾かれたように《Core》がスタートを切る。

 

「『レッドヒート・チャージ!!』」

 

「速攻魔法、《収縮》」

 

玲の発動宣言が、《Core》のペースを乱す。

次の瞬間、《Core》の大きさが半分ほどになった。

 

「このターン、相手モンスターの攻撃力を半分にする」

 

成功&玲LP6600→5250

 

《Core》の攻撃は惜しくも受け流された。

だが、十代のフィールドにはまだ《エクスカリバー》が残っている。

 

「いけっ、《エクスカリバー》! 『一刀両断・必殺真剣』!!」

 

「墓地の《ネクロ・ガードナー》を除外して効果発動!」

 

今度は成功の発動宣言。振り下ろされた光の刃は、陽炎のようにゆらめく戦士によって防がれてしまった。

 

「相手の攻撃を、1度だけ無効にする!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やっぱり本当なんだあ、『説明は負けフラグの法則』……」

 

「常識だと思ってたんだけどなあ……」

 

「遊海!? 東雲くん!? 私なの!? 私が悪いの!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やっぱ、簡単に勝たせちゃくれないか……」

 

メインフェイズ2、と告げながら、十代は笑った。

 

「もうちょっと、減らせると思ったんだけどな」

 

「僕たちだって負ける気はないんだ。2700も4000も、通すわけにはいかないよ」

 

「くぅー! やっぱり強いな、成功! ……あ、さん!」

 

取って付けたような敬称に、成功は苦笑いする。

 

「……呼び捨てでいいよ。……ただ、玲のことを呼ぶときは苗字で呼んであげて」

 

「わかったぜ! とにかく俺達も、負けるわけにはいかないんだ。永続魔法、《悪夢の蜃気楼》を発動! カードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

攻め手は揃えたが、防がれてしまった。

次にターンが回るのは、成功だ。

十代はーーそしておそらく翔も、成功の力を感じ取っただろう。

 

ーー『七星の守人(セブン・アークス)』第三席、『聖光王(ライトロード)』空城成功。

その真髄が、目を覚ます。

 

 

十代&翔 LP3000 手札0:5

H-C エクスカリバー Atk4000(ORU0)

E・HERO Core Atk2700

セットカード4

悪夢の蜃気楼(永続魔法)

 

成功&玲 LP5250 手札5:3

セットカード2

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「へえ。あの赤いの二人、盤面持ち直したじゃん」

 

「……お姉様、もしかして挑戦者側を応援してる?」

 

「おっ、応援なんてしてないわよ! ただ単純に、退学は行きすぎた処罰だと思ってるだけ! ニヤニヤすんな、気持ち悪い!……ところで亮クン、貴方はやっぱり、弟クンを応援してるの?」

 

「…………俺はどちらも応援していない。ただ、全員の健闘を祈っているだけだ。……それに、翔達はまだ安心していい状況じゃない。成功の《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》の召喚条件は整っている。そして……」

 

「赤いの二人の残りライフは、3000。仮に《裁きの龍》の召喚と効果を止められなければ……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「僕のターン……ドロー!」

 

ただカードをドローしただけ。にもかかわらず、十代と翔は成功に気圧されていた。

何かが、来る。根拠こそないものの、十代は確かにそれを感じ取っていた。

 

「スタンバイに十代くん、君は《悪夢の蜃気楼》の効果で4枚ドローだよね」

 

「ああ、俺は4枚引くぜ」

 

「さあて………メイン! まずは玲が伏せてくれた魔法カード、《増援》を発動! デッキから《ライトロード・アサシン ライデン》を手札に加える! もう1つ、手札から永続魔法、《ライトロードの神域》を発動!」

 

フィールドの様子が光の降り注ぐ神殿へと様変わりしていった。

 

「魔法カード、《光の援軍》! デッキの上からカードを3枚墓地へ送り、デッキから《ライトロード》モンスターを手札に加える! 僕が選んだのは、《ライトロード・サモナー ルミナス》! 自分のデッキからカードが墓地に送られたことで、《ライトロードの神域》にシャインカウンターが1つ乗る! さらに《ライトロード・ビースト ウォルフ》が墓地へ送られたとき、このカードは特殊召喚できる! そして!」

 

成功の背後に、少女の姿が浮かび上がる。

 

「《光の援軍》のコストで墓地に送られた《ライトロード・メイデン ミネルバ》の効果! デッキからさらに1枚、カードを墓地に送る!」

 

否、少女の姿だけではない。

成功は呼び出そうとしている。正義の光を司る戦士達の、その頂点に立つ白き龍を。

 

 

「リバーカード、オープン! 罠カード、《ライトロードの裁き》! フィールドで発動したこのカードは、デッキの一番上に戻る!ーーー《ミネルバ》の効果発動!デッキトップは、《ライトロードの裁き》だッ!《ライトロードの裁き》が《ライトロード》モンスターの効果でデッキから墓地に送られた場合、デッキから《裁きの龍》を手札に加えるッッッ!!! さらに自分のデッキからカードが墓地へ送られたことで《ライトロードの神域》にシャインカウンターがさらに乗り、そしてーーー僕の墓地には《ライラ》、《ウォルフ》、《ライコウ》、《ケルビム》《グラゴニス》、《メイデン》、計6種の《ライトロード》が存在する! 」

 

ついに手札に加わった、成功の切り札。

フィールドへと降り立つ布陣は、すでに整っていた。

 

「墓地の《ライトロード》が4種以上のとき、このカードは手札から特殊召喚できる! 弱き者の涙が落ちるとき、時空を超える裁きの光が目を覚ます! 降誕せよ、そして我らを勝利へと導けーーーー」

 

天地を震わす咆哮は、単なる機械の遊び心か。

それとも、その龍に秘められた力の具現か。

 

「ーーー《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》!!!」

 

龍はその巨体を揺らし、純白の羽毛から光を放つ。

 

「《裁きの龍》の効果! 1000ライフポイントを払い、このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する! さらに自分フィールドの《ライトロード》は、《ライトロードの神域》のシャインカウンターを2つ取り除くことで破壊から守られる!」

 

龍の放つ光が、破壊の光がフィールド全域を覆い尽くしてゆく。

その場の誰もが、あまりの眩さに目を覆った。

十代たちの敗北を、確信しながら。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「っく………ブチかましてやれ、遊城!」

 

「……どうしたの? 遊奈」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「光差す道となれ!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これで、君のフィールドのモンスターは全滅。セットカードも…………!!?」

 

成功は目を見開いた。

十代たちのフィールドには、依然として2体の戦士が立っている。

そして、自分のフィールドの白い龍。

それだけが、破壊の光を浴びて焼け焦げていた。

何が起きたか、わからない。というように、観戦者は声を失っている。

 

「なぜ…………《裁きの龍》は、自身の効果では破壊されないはず……」

 

今まで無表情を貫いていた玲も、その声を少し震わせて呟く。

《裁きの龍》は焼け焦げたその身を倒した。その体が粉々に砕け散り、成功の墓地へと吸い込まれてゆく。

そして、《裁きの龍》と入れ替わるように、十代のフィールドに降り立つモンスターがいた。

白銀の光を身に纏い、星屑を降らせるドラゴン。

そのドラゴンへ向けて、十代は拳を突き出した。

 

 

 

「助かったぜ、ありがとな!」

 

そのモンスターの名は、

 

「《スターダスト・ドラゴン》!!」




お久しぶりです、埜中です。
今回も一か月ほど空いてしましましたね……デュエルの進行を迷ったり、十代、翔組が成功、玲組を突破する手段を考えたり、そもそも創作意欲が湧かなかったり……結局一か月ももらって書いたのが5000字程度っていうのは本当に申し訳ないとか言いながら加筆修正した結果、文字数が倍近くになりました。3時間で5000書けるならもっと早く書けよ………
……属性HEROとマスクHEROが、今とてつもなく欲しいです。アニメHEROの融合体って微妙な奴らしかいないんですよねえ……
他の方々の作品を読んでたりすると、デュエルを面白く書ける人ってすごいと思います。私が書くと毎回単調になったり、面白みのないデュエルになったり、一方的に叩きのめすだけになってしまったり……努力はしているつもりなんですが、まだまだ足りないんでしょうねww
制裁デュエルがいつ終わるのかは私にも見当が付いてないっていうのが懸案事項です。裁きの龍、出てきてすぐ死んでますし……(笑)……とにかくあと二巡はさせたいと思います。問題は本当に、十代と翔が勝てるのかっていう……今の予定だと、現時点で成功、玲組の墓地にはネクガ、スキプリ、ブレスルが1枚ずつっていう構図になってるんですよ。そんで、伏せが4枚。成功は手札も5枚。自分がやらかしたことなんですが、ライロの手札5枚ってキツくないですか?←
まあ、なるようにならせたいと思います(おい)。
では、最後になりましたが、こんな駄文を読んでくださった皆様に感謝しつつ、筆を置きたいと思います。皆様にささやかな幸せがありますように。

2015年11月某日 埜中 歌音

質問、アドバイス、デュエルミス等あれば是非是非コメントへお願いします。キャラやデッキのリクエストも受け付けております。
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