そこのお前ぇ!本当のハズレスキルってもんを見せてやるZE☆   作:運カス探索者

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なろうで流行ってる(個人的主観マシマシ)なハズレスキルってハズレじゃないよねぇ…と思い

じゃあ本当に救えないスキルを主人公に持たせて苦しませよう!と考えたら、出来ました。

続くかは反応次第です。




本当のハズレスキルは救われる性能をしていない

 

『皆さん、どんなスキルでも使い道はあるんです!オレのようにハズレって呼ばれたスキルでも、こうしてここまで来れたんです!

だからどうか、探索者の夢を諦めないでください!』

 

昨今では、ハズレスキルが実は最強でした!みたいなのがちょくちょく流行っている(個人主観)

こうして渋谷のど真ん中に映るクソデカいディスプレイには、最近になって一気に頭角を表した『地図マッピング』のスキルを持った青年がそんな事を言う。

 

「いや、つーか、地図を作れる時点でハズレじゃねぇだろ」

 

この青年1人居れば少なくともダンジョンでのマッピング作業がなくなり、その分チームに余裕が出来る。やるべき事が一つ減るだけでも、チームで動くダンジョン探索においては重要だ。それをただのハズレスキル?冗談だろと、思う。

 

あの青年は噂ではダンジョンに着いた瞬間から地図が開放されて次の階層へ続く階段が何処にあるのか、敵の位置やアイテムや宝箱、罠の配置、壁に埋まった隠しアイテムの把握さえ出来てしまう。

 

そんな存在、チートだ。安全に敵とエンカウントせずに、しかも罠も踏む事なくアイテム回収して次の階層へ楽々行けてしまうし、戻る時も心配がない

 

最近の探索者は派手さを求めて剣士や魔法使いなどと言った戦闘系のスキルを重視するが、裏方になるスキルも大切だ。

 

しかし、そんな数多あるスキルの中で最もハズレなスキルが存在する。

 

「っとぉ…」

 

人混みの中で誰かにぶつかり、財布がポケットから落ちる。

 

拾おうと手を伸ばすも、財布を掴もうとした手は惜しくも掴めずに、逆に手で弾かれた財布はくるくると回りながら、網目の側溝の中へと無情にも落ちていく

 

ポチャン、とそんな音と共に、財布は水底へと沈んで行った。

 

「…あーくそっ、コンビニで飯買えねぇ…」

 

これがただの不幸ならどれ程良かったか

 

これはスキルによる不幸だ。

 

スキル【不幸体質】、これは不幸が自分に降りかかるというメリットも何もないスキル。

 

しかも厄介な事に財布を落とす、角に小指をぶつける、泥はねで服が汚れる…こんな小さな不幸を回避する事で防いでいると、その降りかかる不幸は雪だるま式に膨らんで行き、最終的に個人で手が付けられない程の不幸を呼び込む事になる。

 

何もメリットがなく、寧ろ不幸が周りを巻き込む様になる為、余計悪質だ。

 

世の探索者は地図の作成、鍵開けを始めとする裏方スキルをハズレなどというが、こっちからすれば当たりも当たり、大当たりのスキルだ。

 

「はぁー…財布落としてるし、依頼受けて取り返すかぁ…」

 

頭をガリガリとかきながら、踵を返して歩き出す。

 

目指すのは探索者ギルド、依頼を受けなければ飯が食えず、家賃も光熱費も何もかもが払えない。

 

道中にカツアゲされそうになったり、不良に因縁付けられてボッコボコにされるなんていつもの事があったが、何とかマシな状態で探索者ギルドに着いた。

 

扉を開けば、談笑をしたり、依頼掲示板を見ていた同行の探索者がこっちを見た瞬間、一斉に目を逸らした。

 

先程までの賑やかさは何処へやら、誰も喋らず、前に進む度に全員が距離を取る。

 

依頼受付に足を向ければ、受付嬢達は一斉に距離を取り、オレ専用の受付用トングを持つと苦しそうな笑顔で対応する。

 

「こ、こんにちは、今日もい、依頼でしょうか?」

 

「いつものは残ってるか?」

 

「は、はいぃ…いつものですねぇ〜少々お待ちを〜…」

 

ひくひくと口角を痙攣させながら、オレの担当受付嬢(イケニエ)は数枚の紙をトングで挟むとこちらへ寄越した。

 

「Fランクダンジョンでのゴブリン討伐と薬草採取依頼です、いつも通り、深夜でお願い致します〜」

 

「了解了解、署名書きました」

 

そう言えば目にも止まらぬ速さで依頼書は目の前から消え、厳重そうな鉄の箱の中へと収められる。

 

「はい!受付は完了致しました!ではご退出下さい!!!」

 

目に涙を滲ませ、ブルブルと小刻みに震える担当受付を見て、オレは小さく頷いて早足に探索者ギルドから出ていく

 

探索者ギルドを出て行けば、元の騒がしさを取り戻した。

 

そう、このスキルのせいでパーティは組めず、探索者ギルドや探索者からも腫れ物扱い。

 

一時期はオレを殺すなんて案が出てたらしいが、殺したら関係者全員が不幸に見舞われるのでは?との事で却下された。

 

なんで知ってるかって?依頼を受けに来たオレの目の前でギルドのお偉いさんが真剣な顔でそんな話し合いをしてたからだ。

 

そして、探索者ギルドとオレに特殊な協定が組まれた。

 

1つ、他の探索者と遭遇しない様に、活動時間は深夜帯に限定。

2つ、受けられる依頼はF〜Cランクまでが最大

3つ、他の探索者とパーティを組む事の禁止

4つ、もしダンジョン内で他の探索者と遭遇した場合可能な限り距離を取る事を義務とする事

5つ、ダンジョン内での怪我等は探索者保険適応外とする事、それに代わりダンジョン以外での怪我などによる損害は基本的にギルドが補填する。

6つ、可能な限り小さな不幸は防がずに受ける事

7つ、これらを条件とし、死亡した場合は家族への多額の賠償金の支払いを約束する。

 

以上だ。人としての扱いなんて微塵もされていないが、他の探索者達を守る為なので、仕方がない。

 

そして、深夜までやる事がないオレは、探索者ギルドが用意したオレ専用の宿舎へと戻る。

 

ボロッボロで築年数50年の平屋の木造建築、辛うじて電気と水道は通っている。

ここがオレの家であり、死ぬまで住む事になる終の住処。

玄関を開け靴を脱ぎ、ギシギシ鳴る床を慎重に進み、壊れかけのベッドに腰掛ける。

 

「はー…深夜まで暇だ。飯でも食って…」

 

古臭くて小さい、旅館にでもありそうな冷蔵庫を開ける、中身はカラだ。

 

「…そうだ、何もないから買いに行ったんだった。はぁぁ…」

 

オレは空腹なまま、ベッドで横になり…

バキン、と音を立てて壊れたベッドで、空腹を紛らわせる為にも寝る事にした。

 

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