そこのお前ぇ!本当のハズレスキルってもんを見せてやるZE☆ 作:運カス探索者
探索者ギルドに戻った後、ギルドマスターが仁王立ちして待っていた。
探索者や職員は全員帰されたのか誰一人として居ない
居るのはギルドマスターだけだ
「…ナガレくん、配信の件、報告になかったけど?」
真っ赤な髪を三つ編みにして肩に流した30代の女性…
「黒龍の棲家の件はゴタゴタしてたんで…内々に処理できるならしておこうかと」
「…はぁ、まぁいいわ。少なくとも黒龍の子供に手を出そうなんて大馬鹿者はいない…というよりも、そんな事されたら冗談抜きで国が滅ぶしね」
「…や、やっぱり黒龍ってそんなにヤバい存在なんですか?」
ガタガタ震えるアカリに、幼女が補足するように答えた
「黒龍は竜種の頂点だぞ?お前達が苦戦してた赤龍とかあそこら辺、私でも倒せるから」
「…とまぁ、個人の戦闘能力で考えても上澄みなのが黒龍よ。だからこそ、私達は黒龍との条約を結んで封印…したんだけどね…」
はぁぁ…と溜息を吐いたギルドマスターは、ナガレを見つめて質問する
「それで?どうして黒龍の子供が封印を抜けて他のダンジョンの宝箱に現れるのかしら」
「本人曰く、宝箱は取得されなかったり、空になったらガチャガチャの空カプセルみたいに回収されるみたいなんですよね。そこから…本来ならランダムに、宝箱が振り分けられるらしいんですけど
…コイツはそれを、自分が会いたい人に限定して現れてるって感じらしいです」
「ん?心配しなくても暫くしたら帰るぞ?お母さんを心配させたくないからな!」
「良い子だねぇ〜…」
思わず触ろうとしたアカリの手をペチッと弾く
「お前は嫌いだ、ベタベタとツガイに触れようとしている」
「してないよ!?」
これからの事を考えてか額を手で抑えながら、ギルドマスターは幼女に質問する
「…まぁ、兎も角、君は時間が経てば帰るんだね?」
「そうだぞ、人間。お母さんから外を出るにしても3日経ったら帰って来なさいって言われてるからな」
「門限あるんだな…でもどうやって戻るんだ?」
「一緒だぞ、空の宝箱に入れば、お母さんの元に戻れるからな」
そう言うと、幼女はナガレの手を握る
「三日間だけだが、よろしく頼むぞ?私のツガイ」
「ツガイになった覚えはないし、お母さんから了承得てないんだが?」
「…まぁ、キミの扱いはこちらで処理しておく、それよりも…だ。ナガレ」
ギルドマスターは真っ直ぐこちらを見つめて問いかけた
「君の『不幸体質』は、少しは改善されたかな?」
「…まぁ、少なくとも負傷の頻度は減ってますね、致命傷も現状はない。でもそれだけです。起きるはずだった不幸が、膨らんで行っているだけかもしれない。
未だに分からない以上は、慎重に行動しますよ」
「…分かった、暫くの間だけだが、彼女とのパーティは継続で良い…彼女の活動のお陰で、探索者になろうとする人は、結構増えたからね」
「へー、私って結構貢献してたんですね!」
ふふん、とドヤるアカリを見ながら、ナガレは呟く
「…せめて、B級が後150人くらい増えて欲しいが」
「…無理だろうな、ウチの母数はE級が大多数だ。しかも残念な事に、全員が昇級する意欲がないと来た…私も頭が痛いんだけどね」
はぁ…と二人して溜息を吐く
「なら、私がB級になってみせます!そうしたら私を目指してB級になろうとする方々が増えるかも…」
「残念だけど現状の戦闘能力査定ではギリギリDだ、励みなさい」
「ひぐっ…頑張りますぅ…」
無慈悲な通達に、アカリは胸を抑えて頷いた
「…とりあえず、コイツとどう生活するかが、問題だな」
自分の手を握って満面の笑みな幼女を見ながら、ナガレは頭を悩ませた