そこのお前ぇ!本当のハズレスキルってもんを見せてやるZE☆   作:運カス探索者

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ヒロインぽいキャラの登場


規則は破る為にある訳じゃなくてお前を守る為にあるんだよ

 

おにぎりを食い終わり、暇なのもあって壊れたベッドを何とか修理出来ないかと四苦八苦していると、探索者ギルドから連絡が入った。

 

型落ちスマホに来たメールの内容はこうだ。

 

D級ダンジョン『鋼鉄の摩天楼』にて、異変の発生あり、取り残された探索者はソロが一名。スキル『幸運体質』のD級探索者、天童(てんどう)アカリ。

 

対象探索者は幸運を発生させやすくするスキル持ちだが戦闘経験が浅く、使用武器は杖のみ。

状況を配信をしている為、生存は確認済み、該当階層は15階。至急応援を求む。

 

「…こう言う時に真っ先にこっちに連絡来るの、何とかならんのか」

 

D級ダンジョン、鋼鉄の摩天楼はとある企業のビルがそのままダンジョン化したものだ。

 

階層は全部で20階層あり、それぞれの階層で出現するモンスターや得られるアイテムが異なる上に入る度に内装や出現モンスターが変化する為厄介なダンジョンだ。

 

基本的にはアンデッド…特にゾンビ系がよく出現する為、神官のスキル持ちや回復魔法が使える者には良い稼ぎ場になる。

 

基本的にはパーティ単位での挑戦が推奨されており、ソロで潜る者は殆ど居ない。ほぼ自殺行為だからだ。

 

そして、こう言った時の救助は真っ先にオレに振られる。

 

オレの住む街…東京には沢山の探索者が居るがその殆どがF〜E級であり、D級はほんの一握りしかいない上にこう言った救援要請を無視する。

 

そうなると、この街では数人しか居ないB級探索者に回ってくる訳だ。

 

しかし、B級探索者達は東京の外ダンジョンの探索に出ている為に、自動的に残っててフリーなB級のオレに割り振られる。

 

「行きますかぁ」

 

本来ならこういう重要な依頼が来た場合はスキル【不幸体質】が極力起こらないようにゲーセンで不幸を起こしまくるのがセオリーだが、人命がかかっている為、そんな猶予はない。

 

自宅から鋼鉄の摩天楼までは50分、走っても40分はかかる。

 

同時に型落ちスマホで該当の探索者を配信サイトで検索、配信を見れば

 

『ひぃぅっ!?こ、来ないでぇ!ファイアボール、ボール!!!』

 

社畜ゾンビに囲まれながらも、何とか倒しながら生存はしていた。

 

コメント欄にはギルドに通報した者も居たのだろう、心配するコメントと救助が来ない事に苛立つコメントが目立つ。

 

「仕方ない、行儀は良くないが!」

 

オレはパルクールの要領で屋根に登るとそのまま屋根伝いに走り始める。

 

驚きつつも嘴で突いてくるカラスや驚いて飛びかかってくるネコを回避せずに受けながら走る。

 

生傷は痛いが、救助中に救助者が死ぬよりはマシだ。

 

本来なら無許可の私有地の侵入は減点対象だが、救助の為に移動する際は黙認されている。

 

強引なショートカットもあってか、25分程度で鋼鉄の摩天楼に到着した。

 

「救助に行く前からボロボロだけどなぁ…!」

 

息を整えてから、鋼鉄の摩天楼に入る。

 

一階のエントランスはセーフティゾーンだ。ここではモンスターが出現せず、傷を癒す泉(ウォーターサーバーの見た目だが)もある。

 

見た目も使用方法もウォーターサーバーな傷を癒す泉の水を飲めば、生傷はじわじわと癒ていく。

これは外傷を治せるだけで、傷口から入る病原菌や失った血は戻らない。そんな万能な効果のモノではないのだ。

 

救助対象は15階に居るが、この鋼鉄の摩天楼は一気に15階まで登る手段がある。

非常階段だ。

 

元々ビルだったのもあり、非常階段は存在している。そしてこの非常階段は目的の階層まで進めるエスケープになっている。

 

所々サビが目立つ非常階段の扉を開けば、ビルやスーパーでよく見る非常階段が現れた。

 

匂いはゾンビ系のモンスターが多い為臭いが、我慢して駆け上る。

しかし、この非常階段も、目的の階層に到達して開けるまでその階層のどこと繋がっているか分からない。最悪開けたらボス部屋なんて事もある。

 

登る事15分、やっと目的階層の15階に着いた。

 

「くっそ、扉が硬ぇ!蹴破るか!」

 

回し蹴りで扉を蹴破れば幸運なことに(・・・・・・)に目の前で襲われかけている要救助者の目の前に出る事が出来た。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「うぅぅぅ…調子に乗ってこんな所来なきゃよかったよ〜!」

 

・でも今までも【幸運体質】に助けられてるし大丈夫じゃね?

・アカリちゃんならいける!

・いつになったら救助する探索者来るんだよ!アカリ様のピンチだぞ早く来いよ!!!

 

私はアカリ、スキルの【幸運体質】で運良く素早くD級まで上がれた探索者で、配信活動をしながら生計を立ててます。

 

今日は視聴者の為にも一つ大きな事を成そうと、パーティ探索が推奨されているD級ダンジョン『鋼鉄の摩天楼』をソロ攻略していました。

 

勿論無謀な挑戦にならない様にパーティ、ソロで攻略した配信者の動画をしっかり見て、対策をしたつもり……でした。

 

「でもだからって、徘徊ボスがこんな所に居るなんて聞いてないです〜!!」

 

『グァハッハッハッァ!!!』

 

鋼鉄の摩天楼を含む、階層が長いダンジョンには、ランダムな階層を徘徊している徘徊ボスというのが存在している。

 

鋼鉄の摩天楼に居る徘徊ボスは、『大喰らいのグラッドン』

B級探索者がソロで倒せる程度のモンスターだが、D級ならパーティによる討伐を推奨されている強力なモンスターで、固有スキルとして『捕食回復』という捕食した上で受けたダメージを回復しつつ、一時的にステータスを上昇させるスキルを持つ。

 

ヌメヌメした灰色の肌と何でも噛み砕けそうな大口に鋭い歯、でっぷりと腹の出た3メートルの巨体の魚人だ。

 

歩行スピードは遅く、鋼鉄の摩天楼に居るゾンビモンスターからも敵として認識されているのか攻撃されていますけど、その肌に傷さえ付けられず、逆に掴まれて捕食されています…

 

「うぅぅ…私のファイアーボールも毛ほども効いてなかったしぃ…下の階層に行くエレベーターも何処か分かんないしぃ…!」

 

ひたすら逃げ回ってますけど、それも時間稼ぎにしかなりません。

この鋼鉄のダンジョンは瓦礫や業務デスクの山が壁の代わりなのもあって、破壊して進む事もできます。

 

だからこそ、徘徊ボスは道順なんて気にせずに破壊しながら直進でこっちに来てる訳なんですけど……

 

そんな時に、私の持つスマホから探索者ギルドからの通知が届く

 

「…あっ!私の救助に来てくれる探索者さんが来てるって!」

 

・やったじゃん!

・これで助かる!

・しっかしどこの誰だ?あんまりにも弱い様なら二次被害に繋がるぞ

 

「あ、えっと…霊園…ナガレ?て名前の方ですね!」

 

・終わった

・詰みだ詰み

・アカリ様ソイツ犠牲にして逃げれば良いから

・よりによって不幸野郎(バッドガイ)かよォ!!!

・ワンチャンアカリちゃんの【幸運体質】で不幸野郎(バッドガイ)が一時的にただのナイスガイに変わる可能性が微レ存

・アカリ×ナガレってコトォ!?

・ガチ恋勢憤死案件で草

・いやでも不幸野郎(バッドガイ)はどんな時でも探索者を救助してくれるナイスガイなのは本当だからな?

・毎回血塗れになりながらも救ってくれるその姿は本当にナイスガイやで

 

どうやらコメントからすると救助経験が豊富で、必ず助けてくれる人…みたいですね

 

 

「うぅぅ… 不幸野郎(バッドガイ)さん早く来てぇ!」

 

幸運乙女(ラッキーガール)に呼ばれる不幸野郎(バッドガイ)

不幸野郎(バッドガイ)ー!早く来てくれぇぇ!

 

そんな私の悲痛な叫び声と共に、視界の端で非常口の扉が現れました。

 

「…へっ!?」

 

しかし現れた非常口は現れるとほぼ同時に吹き飛び、『大喰らい』の頭を撃ち抜きます。

 

巨体が倒れ、ズシィィン…と重い音が響きます。

 

「救助者発見、及び徘徊ボス、『大喰らい』を確認。救助者の安全確保を確認し、排除する」

 

ヨレヨレのTシャツに短パン、履き潰したサンダル姿と……強そうには全然見えません。

 

「…おい」

 

「ぴゃいっ!?」

 

「こっちは救助依頼を受けて最速で向かって来たからこの姿なだけだ。そこの視聴者ども、真似はすんなよ。死にたいなら別だが」

 

・うっす!不幸野郎(バッドガイ)ニキ!

・こんな姿でも東京の数少ないB級なんだよなぁ…

不幸野郎(バッドガイ)が来たと聞いてきました!

・うぉぉぉ!貴重な不幸野郎(バッドガイ)私服姿や!!

不幸野郎(バッドガイ)のぶっきらぼう注意喚起助かる

 

「んで、スキル以外に何か覚えてるものは?」

 

「あ、えっと…魔法のファイアーボールとライトニング、ヒール…だけです」

 

私が素直に伝えると不幸野郎(バッドガイ)さんは大きく溜息を吐いて私を睨み付けました、怖い!?

 

「あのなぁ?パーティ推奨のダンジョンで魔法のみのソロがこんな所に来るんじゃねぇ!最低限自衛の為にも体術スキルの中級まで取得してから来い!」

 

不幸野郎(バッドガイ)ブチギレで草

・まぁ言ってる事は正しいんだよなぁ…

・アカリ様になんて口聞いてんだ!クソ不幸野郎(バッドガイ)がぁ!

・誹謗中傷はやめるんや、地味に不幸野郎(バッドガイ)にはファンが多いんやで

・体術スキルだけで上澄みクラスの強さあるのバグなんだよなぁ…

・しかも体術スキル以外も色々取得してるからガチで戦えば負けるのは俺らと言う

 

「ひゃい、ごめんなさい…」

 

「分かればいい、後ろの非常口に早く行って一階まで降りろ、あの徘徊ボスは始末する」

 

チラリと確認すれば、『大喰らい』は既に起き上がってて、明らかにキレてる雰囲気で不幸野郎(バッドガイ)さんを睨みつけてました。

 

「あ、あの…ありがとうございました!」

 

「お礼は出てからでいいからさっさと行ってくれ、【不幸体質】で巻き込みたくない」

 

不幸野郎(バッドガイ)の優しさ助かる

・あれ、意外と可愛いかもしれん…

不幸野郎(バッドガイ)自体は悪質な切り抜きの印象操作とスキルの危険性があるだけで良いやつなんだよなぁ…

・しかも不幸野郎(バッドガイ)な癖に救助成功率100%と言うバグ

 

「わ、分かりました!その、お気を付けて!!」

 

私は急いで非常口に飛び込みました。

そのまま脇目も振らずに急いで階段を降ります。

上の方からズドォン!と激しい戦闘音が響いて、鋼鉄の摩天楼自体が揺れています。

 

ふらつきながらも、何とかセーフティゾーンの一階まで辿り着きました…

 

「…うそ、まだ揺れてる…」

 

時折り揺れによる影響か、パラパラとコンクリートの欠片が天井から落ちています。

 

「ひゃぁっ!?」

 

そして、凄く大きな地響きの様な揺れが起きた後、揺れはピッタリと止まりました。

 

「お、終わったんですか…ね…?」

 

・おいおい、死んだわ大喰らい

・まぁ不幸野郎(バッドガイ)とダンスしたなら死ぬでしょ…

・ほう、大喰らいをソロ討伐ですか、大したものですね

・実際問題として餌であるゾンビがが豊富な鋼鉄の摩天楼の大喰らいって普通の大喰らいを倒す時より難易度が上なんだよなぁ…

・実家の廃漁村より鋼鉄の摩天楼産の方が強いというバグよ

 

すると、非常口の方から…血まみれの不幸野郎(バッドガイ)さんが現れました。

 

拳は痛々しい程に血まみれで、骨まで見えています…肩や脇腹からは血が流れて…フラフラしてるのもあって危険です…

 

「あの、ヒールを…!!」

 

「要らん、お前はまっすぐ帰れ、んで反省しろ。勇気と無謀は違う。

というか…鋼鉄の摩天楼は、探索者ギルドは原則としてパーティ探索を推奨してるんだぞ。

 

最近はソロ攻略してみた!とかで配信する探索者が多いが、大喰らいとの遭遇、変異ゾンビや仲間を呼び寄せるタイプのゾンビも居るこの鋼鉄の摩天楼は、余程強くない限りソロ攻略は無理だ。

 

そもそもB級の中じゃ下の方のオレがこんなザマになる程度の危険性があるのはしっかり覚えとけ…じゃあな」

 

そう言って、不幸野郎(バッドガイ)さんはフラフラとウォーターサーバーに近寄ると水を一気飲みして出て行きました。

 

「……うそ、もう傷が塞がってる…」

 

・アレでB級の下の方って、B級魔境なんか?

・実際魔境だぞ、ただ不幸野郎(バッドガイ)は不幸が発動さえしなければ実力的にはA級に届くらしい

・ガチのバケモノで草

・そんなもん噂だろ、不幸野郎(バッドガイ)がA級クラスの実力なんて持ってる訳ねぇじゃん

・アカリちゃんが無事で良かった!

・サンキュー不幸野郎(バッドガイ)、街で見かけたら拝んどくわ

不幸野郎(バッドガイ)を拝んだらスーパーの半額セールの商品を取れました!

・↑ギリギリあり得そうなご利益で草

不幸野郎(バッドガイ)を拝んだら宝くじ当たりました!!

・↑大嘘で草

 

コメント欄では私が無事に帰って来たのを喜ぶ人が多く…同時に助けてくれた不幸野郎(バッドガイ)へのアンチコメントも目立ちました。

 

「… 不幸野郎(バッドガイ)…どういう人なんだろう…」

 

私は家に帰って、不幸野郎(バッドガイ)について調べてみる事にしました。

 

 

 

 

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