そこのお前ぇ!本当のハズレスキルってもんを見せてやるZE☆ 作:運カス探索者
鋼鉄の摩天楼で救助した翌日、救助対象だった天童アカリが家に来た。
救助のお礼としてお菓子を貰い、半ば強引に家へと上がられ、内装にドン引きしているのを尻目に出したお茶を飲みながら彼女は話し始めた。
どうやらギルド長に直談判し、特別に二週間のみオレとパーティを組みたいとの事だった。
「そもそも、【不幸体質】のせいなのにも関わらず、ナガレさんへの扱いが酷過ぎます!」
「いや、まぁ…【不幸体質】はそういうもんだからなぁ…」
ちゃぶ台をぺちぺち叩きながら、アカリは続けて言う
「なら、真反対な私の【幸運体質】で相殺とか、無効化出来るんじゃないですか?」
「いや、でもな…それでそっちが不幸に巻き込まれたら困るだろ」
そう言えば、アカリは胸を張って答える。…うお、揺れた
「ふふん、それは問題なしです!私は生まれてからずーーっと、不幸な目に遭った事がありません!仮にナガレさんの不幸に巻き込まれたとしても軽微で済みますよ!」
「根拠は?」
「私の直感!!!」
「心配でしかない」
そもそも、【不幸体質】でパーティが組めないのは、味方への不幸が軽微とは言えあるからだ。
ちょっとした躓きや装備品の緩み…他にもあるが、戦闘がある以上、少しの不備が命を落とす結果に繋がる。
探索者である以上、死とは常に隣り合わせだ。幾ら強くてもリスクがあるなら組もうとする者は居ない。
「あ、そうです!パーティを組むのが不安なら、ナガレさんも配信やればいいんですよ!私が映像を撮るとかのアシスタントに入るとかで関われば問題ないですし、ほら、隠れファン?も居るってコメントありましたし!何よりナガレさん強いじゃないですか!
あ、もし1人が不安なら私とコラボしましょう!」
「アカリガチ恋勢とかオレのアンチに燃やされそう」
配信者はリア凸が怖い、そもそもチャレンジで遭遇する程度には出現場所把握されてるのに配信なんてしたら余計増えそうだ。
「むー、硬いですね!一発どーんとやってみる勇気ないんですか!?」
「全員がチャレンジャーだと思うなよ」
しかし、他に案がないのか、むむむむと悩んだアカリはちゃぶ台をぺちんと叩いて立ち上がると、オレの側に近寄った、いや来るなよ
急いで距離を取るものの、気にせずにズイズイとアカリは近寄って来る
「何より、今私がこうしてナガレさんにここまで近寄って話してて不幸が一回も起きていません!これが何よりの証拠になりませんか!?」
「…それはまぁ…一理あるか」
ここでグダグダと伸ばしても、所詮この関係は二週間しか続かない。
しかも二週間の間に不幸に遭えば、アカリも諦めて距離を取る様になるだろう。
「…分かった、二週間だけな」
「本当ですか!ありがとうこざぁっ!?」
ぱぁっ!と分かりやすく明るい顔になったアカリが近寄って来たが、遂に不幸が起きてしまった。
築50年の平屋だ。床は凸凹しているので当然躓きやすい。
アカリは凹凸に躓き、こちらへと倒れてくる
回避すれば問題ないが、それでは彼女が怪我をする。
体術スキルの中にある五感強化を発動させ、スローモーションで彼女をどう受け止めるかを考える
第一に胸に触れるのはアウトだ、セクハラで死ぬ(社会的に)
かと言って下から掬う様に持ち上げるのは本人に負担がかかる
風魔法で空気のクッションを作り、勢いを無くしてから受け止める方針で固めた(この間6秒)
無詠唱でウィンドウォール*1を自分の目の前で発動させ、まず飛んで来る勢いを殺す。
ウィンドウォールはしっかり発動し彼女の上半身を逸らす。
柔らかな胸が揺れる…クーパー帯へ負担をかけてしまう事に申し訳なく思う
そのまま、バランスが取れずに倒れそうになる彼女を…
縮退*2で背後に回り、受け止める。
これで不幸による被害は防がれた。
「ぷわぁっ…あれ?ナガレさんいつの間に背後に??」
「躓いたからな、後ろから受け止めただけだ」
「んん…?そうなんですね…?それじゃあナガレさん!まずはナガレさんの配信用のチャンネル作成をしましょう!」
「まて、パーティ組むんじゃないのか??」
その後、明るくグイグイ来るアカリに押し切られ、配信サイトに登録する事になった。
何やらムフー、と満足そうなアカリを、オレは生暖かい目で見つめた。