そこのお前ぇ!本当のハズレスキルってもんを見せてやるZE☆ 作:運カス探索者
「ゲフ」
一太刀を受けたにも関わらず、
「やっぱコイツめんどくせぇ…!」
ナガレは太刀を撫でる…それだけで太刀に炎が纏わりついた。
炎を纏った刀を、ナガレは
「ギィィィ!!!」
ジュクジュクという音と共に、腐臭に混ざって肉の焼ける匂いが漂う。
「…っ!」
離れようとしたナガレは、足元の小石に躓き、回避が遅れる。
そのまま、両腕がナガレへと叩きつけられた。
「いやぁっ!?」
アカリが思わず悲鳴を上げる。
当然だ、
回避も防御も出来ずに真正面から叩きつけられたなら、生存出来る可能性はない。
・やばいって!?
・アカリ様逃げてくれ!
・B級でも呆気なく死ぬのがイレギュラーなんだなぁ…コワッ
配信のコメント欄では、アカリを心配するコメントで溢れている。
「グギェッ!?」
しかし、
「おうどうだ、その左腕と左足はもう使えんぞ」
ナガレは生きていた。左腕はぐちゃぐちゃになり、左足はあらぬ方向へ曲がっている。
「…呪術《報復》…まぁ、オレの切り札の一つだな」
使い物にならない左半身のまま、バランスを崩しながらも、ナガレは立っている。
「よーく見とけ、幾らイレギュラーでも生物だ」
「ガァァァ!!!!」
ぐちゃぐちゃになった左腕に短刀を持たせ、曲がった足で
左足は引きちぎれ、地面に転がる
それと同時に、
「生きてる以上は、頭と胴体がお別れすりゃ、死ぬ」
無事な右足で壁を蹴り、飛び上がって
「そして、探索者になる時に教官から取るべきスキルとしてオススメされるモノがある」
ナガレの身体中に赤黒い稲妻が走る。潰れた左腕が僅かに動く
「《死中求活》!!!」
赤黒い稲妻が、
その直後、
赤黒い血飛沫を首から溢れさせ、
「…まぁ、絶大な強さだが…ピンチにならなきゃ使えない、そんなスキルだけどな」
引きちぎれた左足を回収しながら、ナガレは振り返る。
「無事か、アカリ」
「…ひゃ…ひゃい…」
その勝利を祝福する者はなく、ゾンビ達は
「…ゾンビどもを片付けて、戦利品として素材を剥ぐとするか…」
「いやいやいや…その前に怪我の治療ですよ!?そんな血を流しておいてなんでピンピンしてるんですか!?」
「体術スキルを極める為には、血流を上手く操作する為に綿密な筋肉の動かし方をマスターする必要がある。だからこうやって引きちぎれたとしても、筋肉に力を入れてある程度の出血は抑えられ…」
そう言っていると、ブチッ…とナガレの左腕が落ち、口から大量の鮮血が出る。
「……今日は無茶し過ぎたか」
「あぁ!もう!そっち行きますから!」
その後、ナガレはアカリからヒールで止血と治療を受け、右足右腕だけなままでゾンビ達を蹴散らし、一人で素材を剥ぎ取ろうとした為。
アカリがプンスコと怒りながら、素材の剥ぎ取りを手伝った。
そして、この配信が大バズりしたのがキッカケになり、
スキル
死中求活
自身がピンチに立たされている時に発動が可能なスキル。
ピンチを脱する為に思考の高速化、肉体にダメージが蓄積されるが、身体能力の向上が『ピンチを切り抜けるまで』持続される。
本来は逃走用のスキルであり、反転攻勢には向かないスキル。
肉体の欠損や生命活動が希薄になるなど、命を脅かされている程のピンチともなると…A級と肩を並べる程の身体能力を一時的に得る事が出来る。
ただし、その分の反動は大きく、切り抜けた後に誰かの助けが無ければ絶命する。
探索者からは不人気なスキルであり、窮地に立たされてやっと発動するスキルな上に、そんなピンチな状況でマトモな判断など難しいからだ。