『へーい! 刮目しろオーディエンス! 群がれマスメディア! 今年もお前らが大好きな高校生たちの青春暴れ馬! 雄英体育祭がハジマリエブリバディ、アーユーレディ!? 一年ステージ! 生徒の入場だァッ!
雄英体育祭ィッ! ヒーローの卵たちが我こそはとしのぎを削る年に一度の大バトルゥ! どうせあれだろ? こいつらだろう! 敵の襲撃を受けたにも関わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新生! 一年A組だろォッ!?』
プレゼントマイク、だったかな? うるさい教師の説明と共に俺たち1Aは会場へと入場する。雄英体育祭のメインは3年生のステージだが襲撃を受けたという事で今回は俺たちに対して視線が集まっていた。
ああ、あまりの人数に緑谷がバイブレーションのように震えてやがる。ウケる。あ、透もかくかくしてる。可愛いね。
「注目されてんなぁ」
「面白れェ」
一方でこれだけの人数をものともしない生徒もいる切島だ。何なら燃えてきた! ってさえ思っていそうな感じがする。そして爆豪勝己。彼はヴィランとさえ見間違えそうな獰猛な笑みを浮かべている。そんな風に様々な感情を抱く中他の科の説明もされながら開会式へと移る。
視界は18禁ヒーローのミッドナイト先生だ。確か体臭を嗅がせてノックダウンさせるというなんとも言えない戦闘スタイルの人だったはずだ。
「選手宣誓! 選手代表! 1-A轟業火!」
「俺か」
呼ばれたみたいだし壇上に向かう。後ろで何やら騒いでいるようだがあまり聞こえてこない。どうせしょうもない事だろう。
しかしまさか選手宣誓をする事になるとは。フーム困った。特に何も考えていなかったからな。無難にこなすのが吉か?
……そうだ!
「せんせー。うちの爆豪と焦凍が1位と2位を取るそうです」
瞬間、空気が固まった。そう感じる程に誰もが硬直した後に大絶叫が響き渡る。俺と名指しで呼ばれた爆豪と焦凍にも。いやだって爆豪勝己なら選手宣誓に選ばれていたら絶対言っていたと思うし焦凍は父さんが期待しているみたいだから気を利かせて行ってあげただけなのに。
「……」
「余計な事言ってんじゃねぇぞ!」
ありゃりゃ。焦凍の視線は益々険しくなって爆豪勝己からは何故かキレられてしまった。二人の為に行ってあげたのに残念だ。
気を取り直して、ミッドナイト先生によって予選の種目が発表された。内容は障害物競争であり、今いるスタジアムの外周を回って戻ってくるという事らしい。そして、何とコースを守ってさえいれば何をしても構わないという素晴らしい条件付きだ。
「さぁさぁ! 全員位置につきまくりなさい!」
ミッドナイト先生の後押しもあってぞろぞろと誰もがスタート地点に向かっていく。そんな中で俺は透に声をかける。
「透。最初の一歩だ。俺と一緒に最後尾に行こうぜ」
「え? 本当に何かやるの? ……大丈夫だよ? 私、自力で……」
「遠慮しなくていいからさ」
俺も人を抱えた状態でどこまで使えるかが分かっていないし実験には丁度良いからさ。透を連れて最後部にやってくる。ゲート事態狭いしスタートと同時に走れば詰まりそうに見えるな。
「よいしょっと」
「えっ!? 何してるの業火君!?」
俺が座れば透がびっくりしたようなを声を上げる。気持ちは分かるよ。あと少しでスタートするからな。ランプが点灯し、誰もがゲートに集中しているのに呑気に座りだしたらびっくりするか。ましてや透を目立たせてやると言った本人がそんな感じならばな。
「スタート!!!」
「う、ほら! 始まっちゃったよ? 早くしないとゴール出来なくなっちゃうよ?」
「大丈夫だ。俺を信じろって。あいつらがどれだけ頑張ろうとそれらを踏みにじる事は容易いんだからな」
俺は透を無理やり座らせるとモニターを見ながら1位を目指している有象無象を眺めた。
『さぁ! 始まったわけだが解説よろしくぅ! ミイラマン!』
『勝手に呼んだんだろ』
『早速だがミイラマン、序盤の見どころは?』
『……今だよ』
相澤先生の言う通り今だろうな。何しろゲートは人が一気に押し寄せたことでぎゅうぎゅう詰めになっている。さながらマスゴミ侵入時の混乱した学食のようだ。あの中に入っていっても飛び出す頃には……。
『凍った!?』
『轟弟だな。ゲートを出る直前に凍らせたんだ』
さすがに焦凍は理解していたか。一気に妨害をして前に出たわけだが大雑把すぎたな。大半の生徒は避ける事が出来てしまっている。特に1-Aのメンバーは全員な。
『……っておいおい! 二人まだ出発してない奴等がいるぞ!?』
『……轟兄と葉隠だな。何を考えているのやら』
『これはまさに独走の弟とビリッケツの兄って感じだな!』
「……ね、ねぇ? 本当に出発しないの?」
「まだ早いよ」
実況や観客たちの困惑する声が聞こえてくるが無視だ。……おっと、明らかに違う殺気を感じるがこれも無視だ。おおかた「引き立て役である以上棄権などゆるさん!」といったところか。
所詮は常に前進することしか考えられないおバカさんだ。一度立ち止まり、周りを見て、時には後退する。そうする事で学んだそれらと共に進む一歩はそれまで以上に大きいというのにな。
そうしていると先頭は最初の関門へと到達したらしい。つまり少なくともこれと同様の罠が二つか三つはあるって事だな。
「透。最終関門を突破した奴が出た時に出発だ」
「えっ!? それじゃ間に合わないよ!?」
「オイオイ。俺を誰だと思っているんだ? エンデヴァーの息子だぞ? そして、エンデヴァーはどうやってヴィラン退治をしていると思っているんだ?」
そう言われても未だピンと来ていなさそうな透の様子に俺は苦笑しつつにやりと笑みを浮かべた。
「安心しろ。約束通り透を輝かせてやるからさ」
「……不安しか感じないんだけど」
あーあー。無視無視。何も聞こえませーんよ。とにかく、今から少しずつ準備を進めていくか。舐めプだとは理解しているが透も巻き込んだ以上失敗は許されない。舐めプでありながら確実な力で勝利を勝ち取ってやるよ。
そう内心で思いながら俺は少しずつ全身から湯気を発し始めた。
『A組緑谷! 爆風で猛追!? いや、ぬいたぁっ!!??』
レースは佳境を迎えようとしていた。トップ争いをしていた轟焦凍と爆豪勝己。そして最後の障害物である地雷を利用して緑谷が爆風で一気にトップに躍り出たことで誰もがこの3人のうちの誰かが1位になると予想していた。いや、観客だけではない。生徒達も実況のプレゼントマイクでさえ既に他の生徒は見えていなかった。
故に、ただ一人だけ。それ以外の生徒もよく観察していた相澤先生だけがそれに気づく事が出来た。
『……』
『緑谷! 間髪入れずに後続妨害! 地雷原即クリア! イレイザーヘッド! お前のクラス凄いなぁっ!? どういう教育してんだ!?』
『俺は何もしてねぇよ。あいつらが勝手に火ィつけ合ってるだけだろ』
それに、
会場を熱風が襲った。
それは音よりも早くやってきて、感じるよりも先に熱が身体をすり抜けていく。数秒遅れて感じるのは火傷でもしそうな程の熱。観客席の人たちはそれだけで
「……え?」
気が抜けた声がする。誰の声だろうか? 緑谷はそう思った時にはゲート前の小さな入り口の壁に身体を叩きつけられていた。痛みは感じない。何が起きたのかさえ分からないのだ。
しかし、数秒経てばそれはやってきた。背中に走る激痛と全身を襲う
「……!?」
何が起きたのか分からなかった。考えようとするのに頭が一切働かない。ただ一つ、言えることだけは何かが発生してダメージを受けたことだけだ。ヴィランの襲撃だろうか? 必死に周囲を見回してそれに気づいた。
ゲートは黒く焦げ付いていた。それは強力な火にさらされた結果発生したものであり、直前まで存在しなかったものだ。
「……っ」
言葉さえ出てこない中痛みに慣れた体で必死にゴールに向かう。ここにいても状況は分からない。だから少しでも分かりそうな会場の中に。壁に手を突きながら一生懸命に歩き、ゴールへと至った。
「お、
「み、みみみ緑谷君!!!??? 大丈夫!? え、ちょっとだれかぁぁぁっ!!??」
緑谷は必死に前を向く。そこにいたのは
クラスメイトだ。緑谷は仲間がいたという安心感から笑みを浮かべると完全に意識を手放したのだった。
雄英体育祭予選。1位
なお、業火の炎を受けて生徒達の数名が火傷を負い、逃げ場のなかったゲート内にいたことで炎を諸に喰らう事となった緑谷は大きな火傷を負う事となり、予選は終了するのだった。
オリ主がやったのはエンデヴァーと同じく飛んだだけです。そのために多少溜めましたがオリ主にとっては必殺技にすらならない通常の動きです。葉隠さんは背中に背負って飛びました。本人曰く胸が柔らかくてドキドキしたそうです。ついで葉隠さんも密着してドキドキしたそうです。爆豪勝己に爆破してもらいましょう。
それと緑谷は怪我で敗退するように見えますがそんなことないです。どちらかというとダメージは背中の強打の方が大きく、背中を打った痛みを我慢して動いて安心した結果気絶しただけで火傷もそこまでひどくはないのでリカバリーガールの治癒で直ぐに完治できます。