俺の個性はサイキョー   作:鈴木颯手

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前話で紹介したオリ主君のイラストの改訂版を出しました。と言ってもコスチュームにマスクと帽子を付けただけですが。友達に見せたら「ヒーローならマスクあったほうが良いんじゃないか?」と言われたのでマスクを着けて見ました。


第十九話

 という訳でやってきました保須市。東京都内の都市という事もあって中々に栄えているように見える。来るのは初めてだし迷わないと良いが……。

 そう思っていたのだが……、なんかついた時にはあちこちで騒ぎが起こっていた。どうやらヴィランが大暴れをしているようだ。一応保須市にもヒーローは要るはずなんだけどなぁ。所詮は知名度が低いヒーロー。期待するだけ無駄か。

 

「二人ともついてこい! ヒーローというものを見せてやる!」

 

 父さんは事件という事で張り切っている。焦凍がいる、というせいもあるのだろう。というか十中八九それが理由だな。

 ……っと、緑谷からメール? 位置情報? これは……保須市じゃん。え、何? 緑谷保須市にいんの? 場所は何処だ?

 

「位置情報?」

「ショート!! スマホなど見ずに俺を……!」

「これは!!」

 

 焦凍も同様のメールを受け取ったようでハッとした顔で走り出した。恐らく緑谷が送った位置情報の場所に向かうのだろう。

 

「父さん。クラスメイトからメールが来たんだよ。保須市の裏路地ね。多分だけど何かあったんじゃないかな?」

「何? だが……」

「焦凍に俺もついていくからそっちの事件が片付いたら応援寄こしてよ。何かあったらすぐに逃げるからさ」

 

 正直緑谷はどうなろうとどうでもいいが焦凍が死ぬのは父さんも嫌だろう。長男が死んで最高傑作と言っていた焦凍まで死んだらもう一人と言い出しかねないからな。そうならないように焦凍は守るつもりだ。

 

「んじゃ、そう言う事で。位置情報は父さんのスマホに送っておいたからよろしくね」

「ま、待て……!」

 

 父さんの話を聞かずに俺は焦凍の後を追って位置情報の場所に向かう。するとあら不思議、今をときめくヒーロー殺しがいるではありませんか。

 

「緑谷……。こういうのはもっと詳しく書くべきだ。遅くなっちまっただろ……!」

「轟君……!」

 

 ヒーロー殺しの奥には緑谷が寝そべっている。何してんだアイツ? それに手前の方には飯田君と……知らないヒーロー? が同じように寝そべっている。ふざけてんのか?

 

「緑谷……。ヒーロー殺しを前に余裕だな。少しは強くなったという慢心からかな?」

「業火君! 気を付けて! そいつ、血を舐めて動きを止められる個性を持っている……!」

「あ、そう言う事ね」

「こんな状況で望んで寝そべっているわけねーだろ!」

 

 焦凍が俺に悪態をつきながら氷結を発動してヒーロー殺しを退けると同時に緑谷と飯田君とその他一名を回収した。

 それにしても血を舐めて動きを止める個性か。気持ち悪い個性を持っていやがるな。変態かな?

 

「ハァ……今日は次から次へと邪魔が入る……!」

「血を吸う個性。それで刃物か。だが俺なら近づかずに……!?」

 

 焦凍が目を離した一瞬で刃物を投擲して一気に近づくヒーロー殺し。動きに無駄がない。雑魚を殺して粋がっているだけの小物かと思ったけど存外手ごわそうな奴だな。

 

「良い友人を持ったな、インゲニウム!!」

「焦凍! よそ見してんな!」

「ぬ!」

 

 かばうように炎を放つが普通に躱された。個性にかまけた馬鹿ではなく身体能力も極めた厄介なヴィランだな。面倒だ。

 

「……それに比べてお前はなんだ?」

「ヒーローの卵だよ」

「ハァ……そこのインゲニウム以上の贋物が……!」

 

 ヒーロー殺しが俺を睨みつけてくる。うは、焦凍のなんちゃって殺意よりも濃縮された殺意を感じる目。思想犯かよ。

 

「焦凍。そいつら任せた」

「……一人でやる気かよ」

「まぁな。あれくらいなら一人でやった方が良い」

 

 俺は手に炎を集めるとそれを剣の形に変える。炎龍のかぎ爪同様炎を武器に変える俺の技の一つ。

 

「炎剣レーヴァテイン」

 

 さて、一つ手合わせ願おうか。

 

 

 

 

 

『焦凍は本当にそれで父さんに反抗できると思っているのか?』

 

 そんな風に言われたのは何時だったか。中学生か小学生か。覚えてないが記憶の中のあいつはこちらをバカにする目で見てくる。

 

『俺の個性は父さんの個性とまんま同じ、だと思っていたけど最近違うって分かってさ。俺の炎、質量を持っているんだわ。多分母さんの氷結の個性が合わさった原因だろうな』

 

 そう言ってあいつは炎を出してそれをナイフの形に変えた。妙に装飾が施されたそれを手元でくるくると遊んでいる。

 

『父さんもバカだよなぁ。最高傑作とか言いながら自分で努力する事を諦めちゃったんだから。俺みたいに個性を徹底的に研究しないとさ』

 

 あいつはそう言って笑っているけどそんなことは普通は出来ないと分かっている。クソ親父との訓練でそれを身に染みて分かっている。だから、俺はこいつを化け物と呼んだ。イメージ通りに全てを思い通りにできてしまうこいつを……。

 

 

 

「死ね! 贋物が!」

「そりゃ無理な相談だな」

 

 そして、今俺はその評価が正しかったと改めて認識していた。ヒーロー殺しステインと対峙するあいつは剣を生成してから近接戦闘を繰り返している。緑谷からもたらされた情報等知らないと言わんばかりに。それでいてあいつは一切の傷を負わない。全てを剣でいなし、躱してあろうことか反撃までしている。

 

「ぬぅ……!!!」

「所詮は雑魚狩り専門のヴィラン。強いけどまだまだだよ!」

 

 ヒーロー殺しステイン、少し戦っただけで分かる異常な程の強さ。個性に頼らない高い身体能力を有しているがそれをあいつは軽く凌駕する。あいつは剣を生成してから一切炎の個性を使っていない。剣術だけでステインと渡り合っている。

 

「すごい……! あのヒーロー殺しと……!」

「緑谷!? もう動けるのか?」

「うん。なんか普通に動けるようになった。多分、時間制限があるんだと思う」

 

 あいつの戦いを見守っていたら緑谷が隣に来ていた。どうやら個性の効果が切れたらしい。奴の個性の効果は短いのか。

 

「チィ……!! 時間切れか」

「なんだ。個性も雑魚か」

「考えられるのは3パターン。人数が多くなる程硬化時間が短くなるパターンか、血の摂取量で時間が代わるパターン。そして、血液型で異なるパターン」

「ハァ……血液型。正解だ……」

 

 血液型で制限時間が代わるのか。不確定な要素が多い個性だな。

 

「良いのか? そんな簡単に喋って」

「問題ない。ここで始末すればいいだけの話だァ!」

 

 ステインが壁を伝ってあいつを飛び越えてこちらに……! あくまで狙いはヒーローと飯田か! 執念深いやろうだ!

 

「だから、それをさせないっての」

「ごっ!!」

 

 俺が氷結を放とうとした時、アイツが既に動いていた。剣の腹をステインの腹部にめり込ませる。骨が折れる音と共にあいつは空高くに舞い上がった。

 

「んじゃ行っとこうか。人間ホームラン!!」

 

 そして落ちてきたステインをあいつは剣で思いっきり殴りつけた。それはまさにあいつの言った通り人間ホームラン……ホームランなのか? よくわからねぇが頭に一撃を喰らった事でそれ以上動く事は無かった。

 ステイン。ヒーロー殺しと呼ばれたこいつもあいつには敵わないのか……。俺は剣を肩に担ぎ、飄々としているあいつを見る。

 

「……」

「ん? 焦凍、どうかしたか?」

 

 不思議にそうにこちらに顔を向けてくるあいつに俺はいつも通り何も返さない。

 

 

 

 返事をすれば最後、たまに見える化け物のような姿のあいつに食い殺される気がするから。

 




炎剣レーヴァテイン
炎を剣の形にしただけの技。刃部分は切れないようになっている為剣の形をした鈍器。ただし本人の意思次第で切れるようになる。ちなみに炎で出来ている為に触れれば火傷をする。
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