俺の個性はサイキョー   作:鈴木颯手

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第二十三話

「ここはこの数式を使えば簡単に解けるぞ」

「あ! ほんとだ!」

 

 期末試験を目前に控えた週末。轟業火と葉隠透の姿は雄英高校近くのファミレスにあった。爆豪勝己と切島鋭児郎は爆豪の家の近くのファミレスで勉強会をしているとの事でかち合う心配はなかった。そうなるように準備をしていた、というだけだが。

 

「次は英語だけど……」

「……」

 

 勉強会の開始から凡そ2時間。途中休憩がてら昼食をとったが葉隠は懇切丁寧に教えてくれる業火によって解ける問題が少しずつ増えつつあった。元々クラスの中では下から数えた方が速い順位だった事もあって期末試験には不安を感じていたものの、これならいけそうだと葉隠は確かな自信も確立し始めていた。

 

「んでこれに関しては……」

「……」

 

 その一方で、今日会った時から葉隠は業火について何処か違和感を感じていた。それはクラスメイト達なら決して気づく事はなかった、好きな異性相手だからこそ分かった程度の違和感。

 しかし、それが何を意味しているのかまでは葉隠でも分かる事は無かった。良い事なのか、それとも悪い事なのかさえも。普段とは少しだけ違うだけの違和感。

 

「(業火君、何かあったのかな?)」

 

 踏み込んで聞いて見たい気持ち、葉隠の中にはそれがあったが口に出る事はない。それは言ったら最後、この関係が終わってしまうような気がしたからだ。少なくとも、これまでのような関係には戻れない。そんな直感のような物を感じ、二の足を踏んでしまったのだ。

 

「……ん? 透、どうかしたか?」

「え? な、何でもないよ!? 大丈夫、何でもないから……」

「それならいいけど……」

 

 業火が何処か心配そうに尋ねてくるも慌てて誤魔化してしまう。葉隠は勉強に戻りながらちらりと彼を横目で見る。透明化の個性ゆえに気づかれる事はない。今だけはこの個性で良かったと心の底から感じていた。

 コスチュームを着ていても感じさせるエンデヴァーと瓜二つの外見。エンデヴァーのような逞しい体ではなく限界まで圧縮されたような細いとさえ感じる肉体。普段はそこに何処か他人をあざ笑うような笑みを浮かべている事が多い彼だが今だけは真剣な表情で葉隠に勉強を教えていた。

 自分の為にそんな表情をしてくれている事が葉隠にとってはすごくうれしく、自然と頬を赤くした。そして思う。今は、暫くはこのままでも良いと。関係が崩れるくらいならこの付かず離れずの関係を続けて行こうと葉隠は感じた違和感を頭の片隅に追いやって勉強へと意識を戻していった。

 

 この決意を葉隠は後に後悔する事になる。

 

 

 

 

 

「全員手を止めろ! 各列の一番後ろの奴、答案用紙を集めてもってこい」

 

 期末試験。3日間にわたる筆記試験も相澤先生のその言葉と共に終わりを迎えた。3日間に渡る試験を終えた事で誰もが安堵の息をつく中1-Aの中で最もテストの成績が悪い上鳴と芦戸が八百万へと駆け寄った。期末が始まる直前の週末、二人は他のクラスメイトと共に八百万の元で勉強を見てもらったのだ。

 

「ありがとー! ヤオモモ!」

「とりあえず全部埋めたぜ!」

 

 その成果ゆえか、取り合えず二人は未記入による確定失点だけは回避できたようだ。八百万も二人の糧になれた事で何処か嬉しそうにしていた。尤も、筆記試験は終わったばかりでこれから回答であり、且つ試験はまだ演習試験が残されていた。

 1-Aは全員がコスチュームに着替えると雄英の敷地内にある試験会場へと向かう事になった。そこには相澤先生を始めとする先生たちが勢ぞろいしていた。

 

「それじゃ、演習試験を始めていく。この試験でも勿論赤点はある。林間合宿行きたければ、みっともないへまはするなよ」

 

 担任の相澤先生がそう言うが誰もが居並ぶ先生方が気になってそちらに視線が言ってしまっていた。それも仕方ないだろう。彼らは当初演習試験はロボットを相手にするものだと聞いていたからだ。これはずっと行われている試験内容であり、比較的楽勝だと上鳴や芦戸等は気楽に構えていたのだ。

 しかし、そうであるのならばこの場にこれだけの先生は必要はない。一部の生徒達はこれだけ先生が並んでいる事で何処か嫌な予感を覚えていた。

 

「諸君らは事前に情報を調べて、薄々何をするかは検討が付いていると思うが……。今年からは違う」

「? 入試みたいなロボ無双じゃないんですか?」

「残念! 諸事情あって今回から試験を変更しちゃうのさ!」

 

 上鳴の疑問に答えるように相澤先生の捕縛布の中から出てきた根津校長が答えた。

 

「これからは対人戦闘を見据えたより実践に近い教えを重視するのさ! という訳で、諸君らは二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」

「「「「「っ!!??」」」」」

 

 その言葉に誰もが驚きの表情をした。まさか先生と戦う事になるとは思っていなかったからだ。ただ一人、業火だけは試験な表情で根津校長の言葉を聞いていた。

 

「なお、ペアの組とそれぞれの対戦する教師は既に決定済みだ。動きの傾向や成績、親密度……、諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していく」

 

 根津校長の言葉を引き継ぎ、相澤先生は次々とペアとそれと対戦する教師を話していく。

 それは以下の通りとなった。

 

1戦目

蛙吹、常闇 対 エクトプラズム

2戦目

尾白、飯田 対 パワーローダー

3戦目

八百万、轟焦凍 対 相澤先生

4戦目

青山、轟業火 対 13号

5戦目

切島、麗日 対 セメントス

6戦目

上鳴、芦戸 対 根津校長

7戦目

耳郎、口田 対 プレゼントマイク

8戦目

障子、葉隠 対 スナイプ

9戦目

峰田、瀬呂 対 ミッドナイト

10戦目

緑谷、爆豪 対 オールマイト

 

 

 この通りとなり、それぞれがペアを組んだ。

 

「よろしく」

「……? おう、よろしく」

 

 青山の言葉に業火は一瞬?マークを浮かべる。完全に認識していない人の反応だったがそれ以上互いに何かを言う事はなく先生の話を待つ。

 

「試験の制限時間は30分! 君たちの目的はこのハンドカフスを教師にかけるorどちらか一人でもステージから脱出することさ!」

 

 話を聞くだけなら比較的簡単そうな内容だがそれも相手が現役のプロヒーローも兼任している先生方というだけで難関さを底上げしていた。

 更に教師はハンデとして自身の半分の重量になる重りを装着して動きを鈍くさせる事で教師との戦闘も視野に入れさせようとしていた。一部はそんなもの意味が無い教師もいたりするがそれでもハンデには間違いなかった。

 

「試験は1組ずつ行うからそれ以外の組は試験を確認したり作戦会議をしたり好きにしろ。1戦目の組は直ぐに行う。準備をしろ」

「了解した」

「分かったわ」

 

 1戦目の常闇と蛙吹のペアは相澤先生の言葉に返事をすると会場へと向かっていく。それ以外のクラスメイトは作戦会議をする者や試験を見ようとする者等それぞれが行動していた。

 

「……」

「……」

 

 そして、青山と業火は互いに作戦会議をするわけでもなく思い思いに過ごしていた。何しろ青山は作戦会議などに耳を傾けるタイプでもなく、業火もまた()()()()()()()()()為に試験に身が入っておらず、ペアの相手を無視してしまっていた。

 これが葉隠相手であればそんなことは無かったのかもしれないが直前までクラスメイトとさえ分かっていなかった相手である事が拍車をかけていた。

 結果的に二人は特に話す事も無く自分たちの番を迎える事になるのだった。

 




そんなわけでオリ主君は青山とペアを組んで13号先生と戦います。最初は砂糖不在なので切島と一緒にセメントス先生にしようかと思いましたが近接短期決戦型のペアだったのでオリ主君とは違うかなと思い接近しないといけないとして麗日に組んでもらいました。
その結果セメントス先生に負ける事は確定していて補習行きになり、林間合宿で麗日と渡我被身子が会う事は無くなりましたがまぁ問題無いと思っています。
因みにアニメを見ながら原作の流れを確認しているのでアニメ基準で進んでいます。なので試験も一斉ではなく順番にスタートします。
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