俺の個性はサイキョー   作:鈴木颯手

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第二十四話

 順々に演習試験が行われていき、ついに業火と青山の出番となった。二人が相手するのはスペースヒーロー、13号。何でも塵にしてしまう個性【ブラックホール】を持つヒーローである。試験会場が13号が監修を務めた施設、USJであった。

 

『青山、轟業火ペア。演習試験開始』

「行くか」

「そうだね」

 

 結局二人はここまでで話し合いらしい話し合いをしてこなかった。そもそも青山は人の話を聞くタイプではなく、業火もまた試験に集中しきれていない為に話し合う余裕などなかったのだ。

 故に二人は開始の宣言と共に13号による奇襲を受ける事となった。

 

「ぐっ! これは……!?」

「やばいね!」

 

 青山は瓦礫に捕まり、業火は瓦礫の陰に隠れる事で何とか吸い込まれずにいるが二人はその場から動く事が出来なくなってしまった。

 

「青山君もそうですが業火君、君はもっと厄介な相手ですからね。先手必勝とさせていただきますよ!」

「ちっ! この距離じゃ炎も意味はないか……!」

 

 13号は業火を最も警戒しているようで青山が端に引っ掛かる程度にしつつ業火を中心にブラックホールで飲み込もうとしていた。これにより業火の炎は生み出すたびにブラックホールに吸い込まれて塵と化してしまう。もっと時間があれば話は変わったのかもしれないが13号が開始と共に奇襲を仕掛けたことで何かしらを仕込む時間を作る事が出来なかった。

 

「(とはいえ君ならこの程度何とでもなってしまうのでしょうけどね)」

 

 13号は一切個性の発動を緩める事なく次の出方をうかがいながら先日に決まった試験内容を決める会議を思い出していた。進行役は担任の相澤先生であり、彼がこれまでに見てきた生徒達の特性や相性を考えて次々とペアとその相手となる教師を考えていく。

 

——13号。悪いがお前には業火の相手をしてもらう

——業火君ですか? でも僕が相手するよりもセメントス先生の方が良いんじゃないですか?

——それは俺も考えたがあいつは空を飛ぶことが出来る。その点お前なら空に飛ぼうと炎を出そうと個性で塵に出来る。

——確かにそうですが……。

——それと、アイツもこの試験では本気を出すかもしれない。というか本気を引き出させろ

——え? 彼は一度も本気を出していないと思うのですか?

——当り前だろ? あいつは恐らく雄英体育祭でも手を抜いていた。一切本気を出していない

 

 それは驚きだと当時の13号は思っていた。雄英体育祭の活躍を見ていたが彼はその時の実力でさえ既にトップヒーロークラスの力を有しているように見えた。少なくとも学生では彼に敵う相手はいないだろうと思える程に。

 にも関わらず相澤先生は一切本気を出していないという。それが13号には信じられなかったのだ。

 

「(業火君の本気、見せてもらいますよ!)」

 

——あいつは、爆豪よりも不安定だ。例えるなら燻っている炎。いつ大火災に発展して周囲を焼き尽くすか分からない危うさを持っている。このままあいつを卒業させてしまえばいずれ何処かで破綻する。その先は誰にも止められないヴィランの誕生だ。そんな未来は引き起こしちゃいけない。

 

「(先輩はやっぱり教師としてよくやっていますよ)」

 

 普段の言動や態度からいい加減なイメージを持たれやすい彼だがその実生徒一人一人をよく見ていた。業火について、現状では彼を最も理解できているのは相澤先生だろう。故に13号は本気で殺すつもりでブラックホールを発動する。

 

「ほらほら! このままでは塵になってしまいますよ!」

「ひぃぃっ!!!」

 

 青山の悲鳴が響く中13号はゆっくりと近づいていく。業火が隠れている瓦礫は限界が近いのか少しずつ砕けて吸い込まれていく。砕け散るのも時間の問題だろう。

 そうなれば彼はブラックホールを避ける事が出来なくなる。そうなれば彼は本気を出すだろうと考えていたのだが……。

 

「ほらほら……ん?」

 

 13号は自らの個性の吸いこみ音に隠れて、何かが噴き出す様な音が聞こえた気がした。思わずそちらの方を見ればそこにはまるで常闇踏影の個性【ダークシャドウ】のようなモンスターが地面から飛び出していた。炎で出来た肉体に加えて右腕には捕獲用のハンドカフスが握られていた。

 

「なっ!?」

「地面の中は吸い込めないですよね。先生」

 

 彼は13号が少しずつ追い込む中で地面を削り、炎を操っていたのだ。完全に虚を突かれる形となった13号は慌てて指をそちらに向けて吸い込もうとするがそれよりも業火のモンスターが腕にハンドカフスを付ける方が速かった。

 

『青山、轟業火ペア。条件達成』

「お疲れさまでした。13号先生」

 

 達成条件の一つである教師にハンドカフスを付ける、をクリアしたことで見事二人は合格する事が出来た。尤も、青山は何もしていない為に彼が補習を回避できるかは怪しいものがあるが。

 

「いやぁ、まさか地面を掘れるなんて思いませんでしたよ」

「咄嗟にやっただけですよ。正直、奇襲を受けた時点で俺の手札はほぼ使い物にならなくなっていましたので」

 

 そうして、本気を出させるために奇襲を仕掛けたんですけどね、と13号は内心で思う。正直奇襲を仕掛ける事はあまり推奨されていない。それで決着がついてしまっては試験もへったくれもないからだ。しかし、13号は業火を追い込むことで彼の本気を見ようとしたのが見事に失敗してしまった。それが少しだけ悔しかったが終わってしまったものは仕方ないと二人の合格を認めたのだった。

 

 

 

 

 

 業火たちがクリアした後も試験は続き、最後のペアである緑谷と爆豪が条件達成し他事で演習試験の全行程は終了した。結果を見れば以下の通りとなった。

 

1戦目

蛙吹、常闇 対 エクトプラズム

結果:合格。蛙吹と常闇が抜群のチームワークを発揮して条件を達成した。

 

2戦目

尾白、飯田 対 パワーローダー

結果:合格。飯田が足となり、尾白を場外まで出す事で見事クリアした。

 

3戦目

八百万、轟焦凍 対 相澤先生

結果:合格。序盤こそ危うい面もあったが八百万が立てた作戦が見事にハマりクリアした。

 

4戦目

青山、轟業火 対 13号

結果:合格。13号の奇襲から始まるも業火が新技を披露した事で見事クリアした。

 

5戦目

切島、麗日 対 セメントス

結果:不合格。セメントスが次から次へと繰り出すセメントに苦戦する。切島が活路を開こうと突っ走ってしまい、分断された所を各個撃破された。

 

6戦目

上鳴、芦戸 対 根津校長

結果:不合格。根津校長に翻弄されてクリアならず。

 

7戦目

耳郎、口田 対 プレゼントマイク

結果:合格。虫でプレゼントマイクを発狂させた。

 

8戦目

障子、葉隠 対 スナイプ

結果:合格。発煙筒による空気の揺らぎを確認されるという雄英体育祭の飯田と同様の事をされるも障子が動き回る事で煙を揺らぎ続けたことで見事葉隠が奇襲に成功。クリアした。

 

9戦目

峰田、瀬呂 対 ミッドナイト

結果:合格。峰田が頑張った。

 

10戦目

緑谷、爆豪 対 オールマイト

結果:合格。内容は原作通り。

 

 10組中、2組が不合格。更に合格したペアも2人が何もできていないという結果で終了した。不合格組は林間合宿に行けないと嘆いていたが翌日相澤先生から林間合宿は全員行けると言われた事で不合格者達は歓喜の声を上げる事になるがその後の補習地獄が待っていると言われて絶望へと叩き落される事になるのだった。

 

期末試験筆記テスト順位

1位八百万百   合格

2位飯田天哉   合格

3位爆豪勝己   合格

4位轟業火    合格

5位緑谷出久   合格

6位轟焦凍    合格

7位蛙吹梅雨   合格

8位峰田実    合格

9位耳郎響香   合格

10位葉隠透   合格

11位尾白猿夫  合格

12位障子    合格

13位口田    合格

14位常闇踏影  合格

15位麗日お茶子 不合格

16位切島鋭児郎 不合格

17位瀬呂範太  不合格

18位芦戸三奈  不合格

19位上鳴電気  不合格

20位青山優雅  不合格

 




ダークシャドウ擬き
オリ主君が咄嗟に作り上げた新技。ダークシャドウのように体と繋がっているモンスター(見た目炎のダークシャドウ)を作りだして使役する。ダークシャドウのパチモンの為に独立した意思はない。ついでダークシャドウの弱点である光は克服するも耐久力はなく攻撃されると簡単に消える。更に業火が操らないと動かない等ほぼほぼ下位互換的な性能となっている。
多分二度と登場しない技
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