俺の個性はサイキョー   作:鈴木颯手

3 / 3
実は今さらですがファイナルシーズンを視聴しました。漫画版も良かったですがアニメ版も良いですね。


第三話

 入学初日の個性把握テストを終えて漸く普通の高校生活が始まったがあまりにも普通だった。まぁ、ヒーロー科と言えど普通の教科もある。というか午前中は英語や数学などの一般科目だ。あまりにも普通過ぎてみんなの顔が引きつってる。もっと凄まじい授業を想像していたのだろう。

 昼は学食でプロヒーローの飯が食べられる。これがめちゃくちゃ美味しいのなんの。姉が作ってくれる料理も美味いがやっぱプロは違うと思わせられる。ちなみに最終的に白米に落ち着くよね! と言われたが俺はうどんが好きなのでうどんが良いですと言ったらそれもまた人の好み! と肯定されてしまった。良い人だ。ちなみに徹は日替わりランチを食べていた。

 

 そして、午後からがヒーロー科の授業の本番だ。そう、ヒーロー関連の授業があるのだ。

 

「わ~た~し~が~! 普通にドアから来た!」

 

 そして教師は何とオールマイトだ。教室が一瞬でざわつき始める。俺も初めて見たが成程、強いな。多分だけど俺が今襲い掛かったとしてもオールマイトは何ら焦りも見せずに即座に鎮圧するだろうと思わせる迫力を持っていた。

 こりゃ父さんが執心するのも分かるが気する。これだけの実力を見せられては自分では越えられないと挫折してしまうだろう。それに巻き込まれた焦凍はたまったもんじゃないと思っていそうだがな。

 

「では諸君! 早速だが入学前に申請したコスチュームを着てグラウンドβに集まるように!」

 

 そう、ヒーローはコスチュームを着て活動する。コスチュームは個性に合わせて自分の好みを入れたものだ。俺も趣味全快の服装にしている。

 とはいっても俺は趣向を凝らした感じではない。見た目は軍服のような感じだ。父さんのような全身タイツはちょっとダサくて嫌だったからな。

 

「業火君!? めっちゃかっこいいよ!」

「……透? まさかとは思うけどコスチュームって……」

「うん! この靴と手袋だよ!」

「何考えてんの?」

 

 コスチュームに着替えてグラウンドβに向かったのだがまさか過ぎる透のコスチュームに俺は何も言えなかった。おかしくない? 透、ほぼ全裸やん。ちょっと刺激が強いからやてほしいんだけど……。

 

「……? 業火君? 顔が赤いけど大丈夫?」

「え? 無自覚? 俺が可笑しいの?」

 

 助けを乞うように周りを見れば女子を中心に首を振られる。どうやら俺はまとものようだが男子諸君は気まずそうに顔をそらしている。ブドウ頭だけガン見しているのが気に食わないが。

 

「中々似合っているじゃないか、有精卵諸君! では早速訓練に入っていくぞ!」

 

 オールマイトの説明によれば2対2でヒーローとヴィランに分かれるらしい。ヴィランは屋内の何処かに設置した核ミサイルを守り切るかヒーローを戦闘不能にすれば勝利。ヒーローは逆にヴィランを捕まえるか核ミサイルに触れれば勝利との事。中々ぶっ飛んだ設定をしている。

 

「コンビはくじで決めるぞ!」

「くじ!? 適当何ですか!?」

「ぷ、プロって他事務所とのチームアップもあるからそれを意識してじゃないかな?」

「成程……! 先を見据えた判断か!」

 

 何やら騒いでいる奴等がいた。確か足にエンジンが付いた早い奴とボール投げで指がイカれていたやつだ。自分の個性も制御できないでよくヒーローを目指してるなというのが第一印象だったな。

 そんなわけでくじを引いたのが……。

 

「よろしくね業火君!」

「ああ。よろしく」

 

 まさかの透が相棒だった。個人的にはありがたい。やはり仲が良い相手と組んだ方がやりやすいからな。

 そして早速始まるのだが最初は爆豪勝己とエンジンの人対個性制御が出来ていないナード君と無重力の個性を持つ女生徒だった。何やらナード君と爆豪勝己は因縁があるようだが一体どんな戦いになるのか。俺たちはモニタールームで視聴する事になった。

 

「業火君はどっちかが勝つと思う?」

「ヴィランチームだろうな。爆豪勝己は見た感じ連携とかする気が無さそうだがヒーローチームがそれよりも酷いからな」

「そうなの?」

「先ず攻め手に欠ける。ヒーローチームは使うと体が壊れる超パワーと触れた物を浮かす無重力。だがヴィラン側は爆豪勝己の爆破にエンジンの個性を持つ優等生だ。速度を生かしずらいがそれもヒーローチーム相手ならば問題は無いからな」

 

 なのでヒーローチームが勝つためには奇策を用いるしかない。問題はそれをさせてくれるかだが……。

 

「あ、爆豪君が攻めてきた」

「ま、大人しく待っている性格でもなさそうだしな」

 

 窓から入って来たヒーローチームに爆豪勝己が奇襲を仕掛けてきた。爆破をお見舞いするもナード君が間一髪で女生徒と共に避けたがそこから仕掛けてくる爆豪勝己をなんと投げ飛ばしたのだ。

 

「うそ!? 何あの動き!」

「……慣れてるな」

 

 あれは普段から見ていないと出来ない動きだ。二人は何かしらの特訓でもしていたのか? いやそんな風には見えない。どう見ても仲が良い雰囲気ではない。……いじめ、か? ナード君はいじめられていて爆豪勝己の動きを知っていたから出来た、という事か?

 

「すごいね業火君!」

「……ああ、こりゃ、あり得るかもな」

 

 決して勝つ事はないだろうと思っていたヒーローチームの勝利が。

 

 

 

 

 

 そして、そこからは驚きの連続だった。爆豪勝己を翻弄するナード君だがそれを切り札らしき攻撃で帳消しにしてしまった。ま、あまりの威力に次弾の使用は認められなかったがな。

 だがこれでナード君を捕捉した。もう一方の女生徒とエンジン君も動きはないためこの二人の決着で動く事になるだろう。

 そう思っていたら爆豪勝己の猛攻が始まった。確実に私怨が入っていそうなラッシュを決めていくがそれがそれが戦闘の才能の塊のような戦い方だった。恐らく本人は意識していないだろうが個性や身体能力を十全に生かして戦っており、特に途中は最初に投げられた仕返しのつもりか明らかに投げられた時よりも威力が高い投げを披露した。

 だが、そこからナード君は自分の右腕を犠牲にビルをぶち抜くという荒業を使い上の階で戦っていた相方を助けていた。女生徒は瓦礫をエンジン君に向かって打ち出し、防御した瞬間に飛び越えて核ミサイルを確保している。

 結果的にヒーローチームは奇策で勝利を掴んだわけだがなんともお粗末な結果に終わった。

 

「今回の試合のMVPは飯田少年だな。誰か、その理由が分かる人はいるかな」

「あ、それなら俺分かります」

 

 試合が終わり、重症だったナード君以外の三人がモニタールームに戻ってきたがその顔は暗い。爆豪勝己は何故か茫然自失だしエンジン君、飯田君は負けたことでしょげている。女生徒は気持ち悪そうに顔を俯かせている。

 

「では轟少年兄! どうぞ!」

「……飯田君が一番まともな行動をとっていたからですね。まぁ、これに関しては良くも悪くもといった感じで可もなく不可もなくですので何かしら良い動きをしたわけではないです。そんな飯田君がMVPと言える程に他三人が酷かったです。特に爆豪勝己とあの……名前知らないけど緑タイツの人はまぁ授業だとは思えない動きでしたね。爆豪勝己は私怨で動いているのが丸わかりだし緑タイツについては最初は良かったけどあんな重傷を負ってしまっている。特に最後。あれ核ミサイルに当たっていたら大爆発してたんじゃないですかね? ヒーローとしてはあり得ない行動ですよ。そういう意味ではそこの女生徒も酷いですよ。最後、アレ核ミサイルにあたっていたらどうするつもりだったのか。これが訓練でよかったねと言いたいですね」

「私からも良いでしょうか?」

「や、八百万少女。どうぞ……」

「捕捉になりますがヒーローチームはこれが訓練だという甘えや慢心が見え隠れしていました。轟さんが申された通り、あれが本物の核ミサイルであれば絶対に取れない行動をとっていました。ヒーローとしてはやってはいけない行動だったでしょう。つまり、自らの役割を理解し、常に最善の行動をとっていた飯田さんこそがMVPで間違いないでしょう」

「……そ、ソウダネ」

 

 俺と八百万さんにいっぱい言われたせいかオールマイトの顔が引きつっている。一方で負けた事でショックを受けていた飯田君はパァと顔を明るくしている。自尊心が回復したのだろう。

 

「で、では次に行ってみようか!」

 

 オールマイトは気を取り直して次に行ったわけだが……。

 

「俺か……」

「……」

 

 何と俺と焦凍のチームが試合する事になったのだ。俺がヴィラン側で焦凍がヒーロー側だ。爆豪勝己とナード君も何やら因縁があったしオールマイトが何かしら仕組んでいるのではないかと疑うレベルだ。

 

「頑張ろうね! 業火君!」

「おう。んじゃ早速だけど」

 

 焦凍の相方は確か、腕を増やせる奴だったな。それで握力測定の時にとてつもない記録を出していたはずだ。それ以上の事は分からないが焦凍についてはよく知っている。だから透には知る限りの情報を渡しておく。

 

「焦凍の個性は半冷半熱。氷と炎を操る個性だがまぁ炎を使う事はない。諸事情合ってな。つまり警戒するべきは氷だけだ」

 

 焦凍は未だに炎を使う事を忌避している。裏をかいて炎を使う事はまずないだろう。それは本人のコスチュームを見れば一目瞭然だ。炎を使う左側を氷で覆っている。まるで封印するようにな。

 

「だから透は足が凍結しないように気を付けてくれ。俺が近くに居れば溶かせるが遠くに居ればそれも出来ないからな」

「了解だよ!」

 

 透の最大の特徴は奇襲がしやすい事。陰で潜んで隙を見て確保。その作戦で行く事になった。確か、障子だったかはともかく焦凍は俺じゃないと厳しいだろうからな。

 

「さて、焦凍はどうするか」

 

 試合が始まったがいきなり地面が凍った。どうやら最初からこちらの動きを阻害する方向で決めたらしい。まぁ、俺には効かないがな。

 

「透。大丈夫か?」

「寒いーーー!!!」

 

 部屋の外で隠れている透の悲鳴が聞こえてくる。そりゃ全裸だもんな。寒くて当然か。後でコート貸してあげるから少し我慢してね。

 俺は自分の脚についた氷を炎で溶かして焦凍が来るのを待つ。暫くすると焦凍が部屋に入ってくる。その瞳にはやはり憎悪しか浮かんでいない。

 

「意外だな。俺には効かないって分かっているのに最初から使うなんてな」

「……」

「だんまりか? ま、別に俺も話したい事なんてないから別に良いけど、な!!」

 

 俺は足裏から炎を噴き出し一気に加速して焦凍に接近する。それを焦凍は足から生み出した氷で即席の盾を作り防ごうとするが無駄だ。俺は腕からも炎を射出し、その軌道を大幅に変えて盾の裏に回り込む。丁度爆豪勝己がやった動きに似ている。

 

「!」

 

 焦凍はこれは呼んでいなかったのか驚きで振り向くが遅い。加速した勢いのままに蹴りを放てば防御が間に合わずに深々と腹に直撃した。氷で覆われた左側を蹴ったためにめきめきと氷が割れる音が響くがそのせいでダメージは思ったように入れる事は出来なかった。

 

「ぐっ!」

「ほら、どうした? 終わりか?」

 

 痛みでもだえている焦凍を俺は煽る。本気を出せば瞬で終わらせられるがこんな授業で本気を出す必要も無い。ましてや相手が焦凍ならばな。

 

「母さんの力だけでヒーローになるんだろう? その程度でなれると思っているのか?」

「っ! だまれぇぇ!!!」

 

 焦凍が大出力の氷を生み出してくる。壁や天井を破壊する程のそれを俺は炎を生み出す事で相殺する。氷は質量を持っていて不利かもしれないが俺の火力の前では意味をなさない。

 ほら、触れた瞬間から溶けていくぞ。お前は両方使える分炎に特化した俺には勝てないんだから頭を使わないとな。

 

「くっ!」

「させないよ」

 

 焦凍は核ミサイルの確保に動こうとしたがそれを上着を脱いで焦凍に接近する事で防ぐ。俺が触れた事でこちらの腕を凍らそうとするも俺の炎によって失敗し、掴まれている所が焼け始める。

 

「っ!!!」

「いったん仕切り直しだな!」

 

 俺はそのまま焦凍と共に窓から飛び降りる。眼下には障子がいた。どうやら氷を避けて外にいたらしい。これは丁度いいな。

 

「透! 障子も見つけた! 外にいるからお前は核ミサイルを守ってくれ!」

『わわわわわわかったたたたたたよよよよよ』

「……それと、コートを置いてきたからそれを着ると良い。寒いだろうしな」

『ありがととととととと』

 

 通信機越しから寒そうな透の声が聞こえてくる。コートを置いてきて正解だったな。

 さて、何とか着地した俺たちだが障子も合わさった事で2対1になった。

 

「轟、大丈夫か?」

「ああ、問題ない。それと、こいつは俺が抑えるからお前は核の確保をしてくれ」

「分かった」

 

 どうやら焦凍が俺を抑えるようだがそんなことはさせない。俺はビルを背に立つと炎の壁を生み出して俺より後ろには行けないようにする。

 

「っ!」

「二人同時に相手してやるよ。ま、焦凍は余計に戦いづらいだろうけどな」

 

 焦凍の強みは複数を巻き込める氷だ。だがそれは同時に連携などの細かい動きには弱いという事だ。それを克服できればいいが焦凍はワンマンプレーが目立つし相手を頼らない傾向にある。

 

「さぁ、第二ラウンドの開始だ」

 

 そう言うと同時に、俺は二人へと突っ込んだ。

 




因みにオリ主は入学して間もないためにクラスメイトの名前をそこまで把握できていません。なので緑谷出久をナード君と呼んだりしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

氷叢家の種馬(ガチ)(作者:のりしー)(原作:僕のヒーローアカデミア)

氷叢零至(ひむられいじ)▼落ち目の氷叢一族に産まれてしまった鬼子。▼現役No.2ヒーローであるエンデヴァーの炎系個性に対抗しうる程の才を持ち産まれ……故にその個性は『コキュートス』と名付けられた。周囲の希望の願いと共に。▼ ▼しかし……▼幼き頃は神童で、育てば秀才……成人後はただのクズ。▼『あの』雄英高校に華麗なる推薦合格ゴールをブチかました後、この男は才を…


総合評価:393/評価:7.5/連載:3話/更新日時:2026年06月18日(木) 18:11 小説情報

キングカズマinヒロアカ(作者:うさぎ)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 キングカズマがヒロアカの世界で、世界一位のヒーローになる為のお話です。▼主人公はミルコの遠い親戚とします。▼万助とミルコの設定だけオリジナルで後は原作通りに作ります▼誤字脱字を直したら字表現をよくする為にAIを使用しています。▼


総合評価:781/評価:7.67/連載:13話/更新日時:2026年06月12日(金) 07:42 小説情報

術式【適応】(作者:雨曝し)(原作:呪術廻戦)

▼ 禪院家に魔虚羅と同じ術式持ちが生まれる話。▼タグは随時追加


総合評価:1146/評価:7.06/連載:7話/更新日時:2026年04月09日(木) 13:14 小説情報

ヒロアカ世界に転生した者が千手を背負い過ごしていく。(作者:名も無き住人)(原作:僕のヒーローアカデミア)

葉隠透と波動ねじれの幼馴染のオリ主が千手の個性を持ち転生したヒーローアカデミアの世界を気ままに過ごしていく。


総合評価:272/評価:4.45/連載:34話/更新日時:2026年06月20日(土) 06:00 小説情報

鉄屑ヴィラン(作者:鉄子の部屋)(原作:僕のヒーローアカデミア)

▼ 鉄屑ヴィランを原作にぶち込んでみた


総合評価:522/評価:7.71/連載:7話/更新日時:2026年05月15日(金) 12:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>