「いやぁ、大変だったね」
「ほんとだねぇ」
俺と透は雄英高校付近のカフェでくつろいでいた。今日はヴィランの襲撃もあって大変な一日だったから休みたいが透に誘われてカフェで寛ぐ事にしたのだ。まさか入学して数日でこんなに色々なイベントが発生するなんて思わなかった。呪われているんじゃないかってさえ感じる程だ。
……この超常社会においてそう言う個性の奴とかいそうだから冗談を気軽に言う事も出来ない。それで事実になっても困るしな。
「結局レスキュー訓練どころじゃなかったし。私、少しだけ期待してたのに~」
「透の場合、レスキュー訓練ではあまり活躍が難しいと思うけどな」
どう考えても隠密や潜入任務向きな個性だからな。そう考えるとヒーローというよりも工作員向きか? 透にそんなことはさせられないから無意味な考察だとは思うがな。
「レスキュー訓練は後日改めてやるらしい。緑谷の怪我が治り次第っていう話だし数日以内だろうな」
「数日以内ねぇ。……そう言えば業火君って襲撃時は何処にいたの?」
「俺か? 俺は火災ゾーンだ。運よくヴィランは誰もいなかったからさっさと出て相澤先生の元に向かったけどな。透は?」
「災害ゾーン。焦凍君と一緒に飛ばされたんだ。危うく凍りそうになったけどね」
「あらら。そりゃ災難だね」
焦凍の個性だと仕方なく、っていうよりは透の個性のせいだな。透明化だし、コスチュームはぜ、全裸だしな……。コスチュームが全裸って改めて考えるとどうなってんだ?
「……なぁ、透は恥ずかしくないのか?」
「? 何が?」
「いや、だってコスチュームってアレ全裸だろ? いくら見えないからって恥ずかしくはないのか?」
「うーん。そんな事考えたことないかな~。どうせ透明化で見えないからね!」
聞けば両親共々透明化一家らしいがそのせいで全裸でも恥ずかしくないと思うようになったのか? その辺きちんと教育しないと駄目でしょうに……。
「出来るかは分からないけどコスチュームの開発会社に頼んでみたらどうだ? 確か毛髪とかから繊維を作って個性の効果を受けないコスチュームとかあるらしいし」
「へ~、そうなんだ~。業火君がそこまで言うなら考えてみようかな」
「その方が良いと思うよ。冬とか寒いだろうし」
「確かに。対人戦闘訓練も寒かったしね」
これで透を全裸じゃなくする事は出来そうだ。後はコスチュームの開発企業に任せるしかないな。……無理だったら会社ごと燃やしてやろうかな?
……最近、私には気になる人がいる。それは恋愛的な気になる、という訳ではないと思うけど雄英高校に通うようになって初めて出来た異性のお友達。
轟業火君って言って双子のイケメン兄弟のお兄さんの方で凄い細マッチョな人。焦凍君がさわやかイケメンなら業火君は漢らしいイケメンって感じの人。なんだかんだでよく一緒にご飯を食べたり話したりしている。今日何てカフェで一緒に寛いだりしたよ。
……うん、恋愛的に気になってなんていないって嘘。本当は凄く気になっている。最初はイケメンだからだったけど最近だとちょっと違うと思う。業火君は凄く優しくしてくれる。多分クラスの女子の中で一番私に対して優しいと思う。だって業火君未だにクラスメイト半分くらいしか覚えてないんだもん。女子だと八百万さんくらいだと思う。他で名前を呼んでいる所を見たことがないもん。
マスコミが正門に殺到していた時なんて手を握って一緒に入ってくれたし、マスコミが敷地内に侵入した時も抱きよせて不安にならないように傍にいてくれたし……。対人戦闘訓練だとさむがってた私の為にコートを残してくれた。……その、すごくいい匂いがしてドキドキしっぱなしだった。
でも、そのせいなのかな。よく見るようになって業火君は何かを隠しているんじゃないかって思うようになったのは。普段の業火君、素とは思えないなんか作りこまれたというか猫を被っているというか演技しているような雰囲気をなんとなくだけど感じるんだよねぇ。
それに焦凍君の事を気にかけているように見えて時々すごく冷めた視線を向けている事があるからただただ弟思い、ってわけでもなさそう。焦凍君も凄い目つきで業火君を睨んでいる事があるしきっと私じゃ想像もつかない何かがあったんだと思う。
そして、それを業火君が話してくれる事はないんだろうなぁって気もしてる。確証はないけどきっと私がどれだけ踏み込んでも業火君から離れていく気がする。今以上に近づくと業火君はむしろ離れていく。
こんなに人を好きになった経験何て私にはないしどうすればいいのかも分からないけど業火君がそれでいいなら私はこのままこの距離でも良いかなって……。難しいかもしれないけど、いつの日か……。
次回からは雄英体育祭に入ります。そこでオリ主の本性なり性格の一端でも出せればなぁと考えていたり……