俺の個性はサイキョー   作:鈴木颯手

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地獄の轟さん家からスタートです


第八話

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 今、我が家の食卓はこれ以上ない程冷え込んでいる。おかしいなぁ? ここはエンデヴァーの家であり、燃え盛るようなイメージとは違い何でこんなに冷え込んでいるのか。

 ま、理由は明白だな。父さんがいるからだ。大学に行って寮生活をして家にはいない次男を除けば今轟家が全員集合しているのだ。……ああ、母さんは精神病院にぶち込まれていたか。

 

「……焦凍、業火」

「……」

「何? 父さん」

 

 珍しく父さんが話しかけてきた。いや、家にいる方が珍しいから仕方ないけど話した瞬間温度が更に下がった気がするぞ。食卓とか物理的に凍り付きそうだ。ほら、姉さんがどうすれば良いのか分からずにおろおろしちゃってるじゃん。かわいそうに。

 

「もうすぐ雄英体育祭が始まる。……業火もだが焦凍、負ける事は許さん。必ず勝て」

「……言われるまでもねぇ」

「ま、ほどほどに頑張るよ」

 

 そんなことを言ったらぎろり、と睨まれてしまった。別にいいじゃん。多少手を抜いたってさ。本気でやったら死人が出ちゃうよ?

 

「……業火。お前も俺の息子として恥ずべき行動はするな。本気で戦い、焦凍を引き立てる存在となれ」

「お父さん! そんなこと……!」

「良いよ。姉さん。別に気にしてないから」

 

 父さんは俺に対してそこまで期待をしていない。何故ならば父さんが成しえなかったのにコピーとも言うべき俺に期待しても無駄だと思っているからだ。だから父さんは俺に対して焦凍の踏み台としての道を望んでいる。普通だったら残酷だと思うのだろうけど俺は気にしない。何故なら最初からそんなことをする気はないからだ。

 

「そのためにお前には様々な訓練を施してきた。その成果を、雄英体育祭で見せるんだ」

「はいはい。ん! 姉さんこのきんぴら美味しいよ。また腕上げたんじゃない?」

 

 確かに父さんにはそこは感謝している。焦凍とはマンツーマンで指導していたが俺は自分のサイドキックに任せっきりだったがおかげで様々な個性を見て、様々な対人戦闘訓練を行う事が出来たからな。ずっと同じ相手と戦ってもそいつとの戦い方が最適化されるだけで他者との戦いで後れを取る事だってあるからな。

 それに、父さんは勘違いしているようだけど俺は別に父さんと同じ個性ではない。もしかしたら同じ個性かもしれないが()()()()()()()()()()と言えるように仕上がっている。

 

「業火……! 話を聞いているのか!!」

「聞いてるよ。ま、引き立て役になれるかは焦凍次第だよ。引き立て対象が残念だと引き立てようがないからね」

「っ!!」

 

 おおう、焦凍が凄い睨んでくる。そんなににらむなら反抗期のように左手は使わねぇ! なんて下らない事言わないと良いのに。氷だけでこれに勝てると思っているあたり浅はかだよなぁ。

 

「大丈夫だとは思うけどね。ほら、焦凍だって氷の使い方は上手になったし後はそれと炎をどう上手く併用するかでしょ。焦凍なら出来るんじゃない?」

「……左手は使わねぇよ」

「焦凍ォ!! まだそんなことを言っているのか!」

 

 あ、父さんがブチ切れた。何時もの事だな。うん。やっぱり姉さんの料理は普通に美味い。雄英の学食とは違った家庭の味で俺はこっちの方が好きだな。

 暫く言い争い、というか父さんが一方的に切れていたがやがて冷静になったのか大人しくなり、その隙をついて焦凍は部屋に戻っていった。おいおい、食器くらい片付ければいいのに。

 

「ご馳走様。姉さん、片づけは俺がやっておくよ」

「あ、ありがとうね……」

 

 ……姉さんもバカだよなぁ。そんな顔をするくらいなら次男と同じように家を出ればいいのに。何時までも家族に対して無駄な希望を持ってしまって哀れだ。我が家にそんな希望を抱くのはただただバカでしょ。

 

 

 

 

 

 地獄のような空気の夕飯から一夜明け、復帰した相澤先生によって雄英体育祭が近づいているとホームルームで言われた。クラスメイト達ははしゃいでいるがそれも仕方ないだろうな。テレビで大々的に中継されるから日本中から注目されるし、それによってこの先で行われるインターン先が決定するからな。

 俺は多分だけど父さんの事務所になるだろうけど他は違うからな。皆目立っていい事務所にスカウトされたいって考えてもおかしくはない。

 

「ねぇねぇ! 業火君! 楽しみだね!」

「そうだな。ま、その分デメリットもあるらしいけどな」

「デメリット?」

「個性を晒す事になる」

 

 サイドキックの人たちの話を聞いた限りだとヒーローの仮免試験では基本的に雄英高校が狙われるらしい。強豪校且つ雄英体育祭が放送されるから対策がしやすいからってな。なので恒例行事として雄英狩りと呼ばれる袋叩きが行われるらしい。

 

「そっか……。テレビに映るって事はそう言う事も考えないといけないんだね」

「とはいえ仮免試験は基本的に2年生からやるのが普通だからな。1年の時点では注目してもらうメリットの方がでかいだろうさ。ま、あの襲撃事件の後で中止にならなかったのが驚きだけどな」

 

 ヴィランの襲撃もあったというのによくやるよなほんと。警備を増やしたところで襲撃する時はするだろうしな。

 

「うぅ……。でも緊張してきちゃった……! プロにいっぱい見てもらえるように頑張らないと!」

「あー、透は透明化のせいで目立ちづらいもんな」

 

 だけどその個性の最大の長所って隠密行動がしやすい事だよな? 目立ってもいいのか? 本人が良いなら良いけど最悪父さんに頼んでみるか? 透明化というやれることがはっきりした個性だし断るとは思えないけど。

 でもそう言うコネが嫌っていう奴もいるしなぁ。一応聞いて見るか。

 

「透が良いなら父さんに紹介してみようか?」

「父さん……? え、エンデヴァーに!?」

「別にそのくらいなんともないしな。透明化っていう明確に何が出来るかが分かっている個性だし父さんなら断るとは思えないけど」

 

 あの人家族に対しての扱いは最悪でもヒーローとしてなら優秀だからな。でなけりゃあんだけの数のサイドキックに慕われていないさ。親としてはクズだがな。

 

「……うーん、ありがとう。だけどやめとくよ」

「良いのか? コネだろうと使えるもんは使える時に使っていた方が良いと思うけど」

「コネだから、ってわけじゃないよ。ただ、どうせなら自分の力で勝ち取りたいなって思ってさ。そっちの方がかっこいいじゃん」

「……そっか」

 

 やっぱり心の底から努力する奴って透みたいな事を言うんだろうな。ちょっとうらやましいな。嫌だったわけじゃないけど半分以上の理由が父さんから強制された俺に比べればその熱量は違うよな。

 

「……よーし! なら体育祭じゃ俺が透を目立たせてやるよ!」

「えっ!? い、いいよ! 大丈夫だよ?」

「安心しろって。これ以上なく注目してもらえるようにするからさ」

 

 どうせ今の1年に俺の脅威になりそうな奴はいないからな。それどころか教師にもどれだけいるだろうか……。

 だから多少透を助けるためにお遊びをしたところで問題は無い……はずだ。ダメならダメで悪名にはなるだろうしな。……透には泣かれるかもしれないが。

 




実はオリ主の体育祭の動きは決まっていたのですが執筆中に葉隠さんを(悪)目立ちさせる事を思いついたのでそっちのルートで考えていきます。

それと実は轟業火君って原作がまだそこまでいっていない時に考えたヴィランキャラがベースになっていたりします。個性は溶岩で使えば肉体が溶けるというデメリットを持っていてAFOに超再生もらって自称しながら戦うスタイルでしたがまんま荼毘だったので没になった経緯があります。癖が溶岩が出た手のひらで顔面を触って痛みを感じながら再生する事で生きている事を自覚し、エンデヴァーへの復讐心を増幅させるというヤバい奴でした。
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