ジャンプクエスト   作:コマンダーコダック

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呪術師と盗賊団

プンの英霊探知を頼りに進んでいくと、一行は乾燥した砂漠地帯を抜け、緑豊かな森へと足を踏み入れた。

 

「ここに英霊がいるのか?」

「……あっ! ジャン、あそこなのだ!」

 

プンが指差した先から、一人の少年が巨大な魔物に追われながらこちらへ向かって走ってくるのが見えた。ピンクがかった特徴的なツンツン頭だ。

 

「助けるぞ!」

僕は即座にオリジンソードを抜き放ち、前へ飛び出した。フィーネさんとの特訓を思い出し、剣に『地』の魔力を一点集中させる。剣が岩のように硬く、重い質量を持ったように変化する。

 

「オリジン流剣術・地の型――『地砕斬(ちさいざん)』!!」

 

大地を叩き割るような力強い斬り下ろし。

僕の剣は魔物の強固な防御ごと、その巨体を真っ二つに叩き割った。

 

「ふう、これで大丈夫です」

「おおっ! すっげえ! 助かったよ、ありがとな!」

少年は目を輝かせて僕の剣さばきを讃えた。

 

「本当に彼が英霊なのか?」と剣心が問うと、少年はキョトンとした。

「英霊?」

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。僕はジャン・サンダルフォン。こっちはルリカ、フィーネさん、そしてプンです」

「俺は虎杖悠仁(いたどりゆうじ)だ! よろしくな!」

 

僕は悠仁に、ゴンたちの時と同じように「ここが異界であること」「悠仁は英雄の記録から具現化された存在であること」を包み隠さず話した。

 

「なるほどなー」

「……えっ。話しても全然驚かないんですね」

「肝が据わったヤツかもしれないのだ」とプンが感心する。

 

「つまり、こっちの世界の俺は、具現化されたゲームのキャラクターみたいなもんなんだな! あってる?」

「合ってるような、少し違うような……」

キルアが苦笑いしながら頭を掻く。

 

「ま、とりあえずこの世界にいるとしても、自分がやりたいことを見つければいいんじゃない?」とゴンが無邪気に言うと、悠仁はポンと手を打った。

「そうだな! 難しく考えてもしょうがねえし!」

 

「それに、もう一つ英霊反応が近くにあるんだ」と僕が告げる。

「へえ、それってどんなヤツなんだ?」

「プンは魔力を探知できるだけで、誰がいるかまでは分からないんだ」

「面白そうじゃん。なら、俺もついて行くぜ!」

 

こうして悠仁を仲間に加え、さらに森の奥へと進むと、開けた場所にレンガ造りの街並みが見えてきた。

「ここはチュマ共和国なのだ」とプンが教えてくれる。

 

ふと、街の入り口付近に、黒い目隠しをしたひょろりと背の高い銀髪の男が立っているのが見えた。

「もしかして、あの人……」

「知ってるのだ!」

 

悠仁が顔をパッと明るくした。

「五条先生!! 俺の先生だ!」

 

悠仁が駆け寄ると、銀髪の男はにこやかに手を振った。

「やあ、悠仁じゃないか」

「先生! ここで何やってんだよ?」

「僕ね、ここの人たちに頼まれて、悪さをしてる盗賊団を捕まえてほしいって言われてね」

「そうなんだ。でも先生なら、あんなのあっさり捕まえられんじゃないの?」

 

「それより、彼らは?」

「はい、僕はジャン・サンダルフォンです。探り探りの旅ですが、よろしくお願いします」

僕が挨拶をすると、五条は「よろしくね」と微笑み、僕たちを盗賊団のアジトへ案内し始めた。

 

その道中だった。

「おっと」

不意に、五条が悠仁に向けて拳を振りかぶった。冗談のような動作に見えたが、その拳には異常なまでの呪力エネルギーが黒く圧縮されていた。

 

空間が歪み、黒い火花が散る。――『黒閃(こくせん)』。

 

「っ!」

悠仁は咄嗟に反応し、自らも黒い火花を纏った拳を打ち返した。

ドゴォォォォン!!

二つの黒閃が激突し、凄まじい衝撃波が周囲の木々を薙ぎ倒す。

 

「……お前、五条先生じゃねえな」

悠仁の鋭い視線が、男を射抜いた。

「先生は、お前なんかよりずっと、ずっと強えよ」

 

その言葉をトリガーにしたかのように、五条の姿がドロドロと溶け崩れ、おぞましい異形のモンスターへと姿を変えた。

「あれは『業魔(ごうま)』なのだ!」

 

業魔が咆哮を上げ、僕たちに襲いかかろうとした、その瞬間。

 

「――領域展開」

 

唐突に、世界から音が消え去った。

「『無量空処(むりょうくうしょ)』」

 

気づけば、僕たちは宇宙のような、果てのない情報の渦の中に立っていた。頭の中に無限の情報が流れ込み、指先ひとつ動かすことすらできない。

 

「僕になりすますには、相当の強さが必要だよ。……と言っても、僕、最強だから絶対になれないんだけどね」

 

静寂の中、もう一人の――本物の『五条悟』がふらりと姿を現した。彼が指を軽く弾いただけで、業魔はなす術もなく一瞬で消滅した。

 

空間が元に戻り、僕たちはハァハァと荒い息をついた。

「こ、この圧倒的な力……本物だ」

「やあ、悠仁」

「あなたが、本物の英霊の五条悟さんですね」

 

「うん。実はこの世界に来てから、『とっても親切な銀髪のお兄さんが人助けをしている』って噂を聞いてね。気になって調べてみたら、偽物が僕になりすまして同じ依頼を受けていたってわけ。まさかそこで悠仁に会えるなんてね」

「なりすまされてたのかよ……」

 

「まあ、おかげで盗賊団のアジトの場所は分かったから、サクッと行こうか」

 

オリジンソードの反応と五条の案内で盗賊団のアジトへ突入すると、そこにはやはり『エレメンタルコア』が隠されていた。

「あいつら、これを盗み出してたのか」

僕たちはあっという間に盗賊団を一網打尽にし、僕がオリジンソードでコアを破壊した。

 

パリンッ!

中から、木の実のような愛らしい姿の精霊が飛び出してくる。

「木の微精霊、『ウード』なのだ!」

ウードが光を振りまくと、周囲の枯れていた木々がみるみるうちに青々とした葉を取り戻していった。

 

「これで一件落着だね」

「先生も、偽物に名前を使われて散々だったな」と悠仁が笑う。

 

「いや、それがさ。あの偽物が色々お節介をやいてくれたおかげで、今この街、謎の『五条悟ブーム』が起きてるんだよね」

「五条悟ブーム?」

 

「そう。僕が歩くだけで、女の子たちが『お兄さーん!』って黄色い声を上げて寄ってくるんだ」

「……それ、自慢してねえ?」

「だから、あの街に居続けるのも面倒だし、でも僕は君達の手伝いはしないよ」

「どうして」

「僕はもっとこの世界の事知りたいんだ、キミ達には僕は必要ないだろうし」

「先生俺はジャン達と一緒に行くぜ!」

悠仁を仲間を加え、僕たちの旅はさらに賑やかなものになっていった。

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