寝物語集   作:冥 冥

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星見

 私は星を観るのが好きだ。心の底から大好きだ。

 

 ずっと昔、小さい頃に家族で行ったプラネタリウム。その時の記憶が今もずっと残っている程度には星を観るのが好きだ。一番鮮明で、たった一つだけの、何よりも大切な幼少期の思い出。

 

 星の名前はほとんど知らない。ベガとか、デネブとかそれくらい。プラネタリウムでは、偽物の星空に魅了されたせいで、何も聞こえていなかった。

 

 星座は自分の誕生星座くらいしか覚えてない。正直、調べる気も全くもって無い。過去の人が星をどう見て、どう感じていたかとか、毛ほども興味が無い。そんなことを調べている時間があれば、星を見ている。私はこの上なく、星を観るのが好きなのだ。

 

 毎夜毎夜、暗い夜空を眺めて溜息をつく程度には、星を観るのが好きだ。写真で見るような満天の星空を一度くらいは見てみたいものだ。南極とか、ウユニ塩湖とか。学も無ければ、度胸も金も無い、憶病な小娘が行けるような場所では無いな。世界は広いなぁ。叶うなら、全ての場所から、全ての星空を見続けていたい。人じゃ無理だな。

 

 私が住んでいるところは、都市とはとてもじゃないが、言い難い程度の発展具合だというのに、なかなかどうして夜空が暗い。それでも、私は星を観るのが好きだ。たとえ、真っ暗になったとしても、私は毎夜毎夜、星を観続けるだろう。

 

 毎夜毎夜、【人類が私以外の皆死んで、文明の炎が何もかも消えて無くなってくれないかなぁ】などと、荒唐無稽でアホらしい事を考えるほどには、星を観るのが好きだ。だってそしたら、夜空はもっと明るくなるだろうから。

 

 別に人間が嫌いなわけじゃない。人間の中には友愛を育んだ友達だっている。どちらかと言えば好きな方だ。ただ単に、夜闇を明るく照らす文明の炎が邪魔で、心の底から消えて欲しいと思っているだけだ。せっかくの星が隠れて見えなくなってしまう。

 

 私はきっと明日もそのまた明日もずっと先も、星を観るのが好きなのだろう。毎夜毎夜暗い夜空を眺めながら、文明の炎に対してずっと悪態をついていることだろう。文句を言うくらいしか、無力な私には出来ないから。文明崩壊だなんて、起こせる訳がない。だから神に祈るのだ。奇跡を求めるのだ。

 

 今日は少し夜風が冷たい。だから、早めに引き上げる事にする。

夜空は明日も見れるんだ。ならば、続きは明日見れば良い。明日は明るい夜空が見えると良いのだが.......叶わぬ願いなのだろうなぁ。

 

 おやすみなさい。いつの日か、明るい夜空が見られるといいなぁ。

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