Resident Rebuilding Kivotos   作:柊 シズク

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Resident起業する

 

1時間ほど歩くとアビドス高校が見えてきた。

 

「ここがアビドス高校…なんというか思っていたよりもひどいな。校舎は傷だらけで、あちこち整備が行き届いていないのが一目で分かるほどだったとは。」

 

(中に入って、良さそうな空き教室を探すか。)

 

校内を調べていると一つ目についた教室を見つけた。

 

(事務室か、部屋の大きさも悪くない。ここにするとしよう、そうと決まれば部屋を片付けるか。)

 

ひどく埃っぽい部屋を掃除した後、C.A.M.Pを使ってワークショップをクラフトした。

 

(これがあれば今後の整備は簡単に終えれるはずだ。さて、外壁と窓の修理を済ませた後、ここにベットなども置くか。)

 

そうして外壁と窓の補修が終わった頃にユメたちが戻ってきた。

 

「「これは一体どうやったんですかジョンさん!!」」

 

ハモリながらユメとホシノは驚きながらジョンに聞いた。

 

「それは借りた事務室に作ったやつのおかげだな。折角だし見にくるか?」

 

「「もちろんです!」」

 

2人と一緒に事務室に向かいワークショップについて説明した。

 

「なるほど、これならアビドスの借金もどうにかなるかもしれないですねユメ先輩!」

 

「そうだね〜ホシノちゃ〜ん。」

 

「いや待て借金だと、どれくらいの額だ?」

 

おおよそ学生から聞くことがないであろう言葉に対してジョンは思わず尋ねた。

 

 

「確か9億円ぐらいだっけホシノちゃん?」

 

「9億6千万円ですユメ先輩。」

 

「なんだって…何故そこまで借金が?」

 

「突然の砂漠化が原因で、それに対しての補償をしているうちにここまで額が増えたんですよ。」

 

力なくホシノが告げた。

 

「返済はどうしているんだ?」

 

「バイトをして利息だけでも返済している状況です。」

 

あまりにも理不尽と呼べるほどの状況にジョンは眉をひそめてしまった。

 

「アビドスには利用できる一次資源は何かあるのか。」

 

「ありません。せいぜいそこらじゅうにある砂ぐらいですね。」

 

その言葉にジョンは一つのことを思いつく。

 

(砂があればガラスが…いやそれには高温の炉があれば…例えば電気炉か?電気は核融合炉で供給すれば良い、それに余剰電力は学校と売電に使える。よしこれならいける!)

 

「2人共よく聞いて欲しい、ガラスを作れば借金を返済出来るはずだ。」

 

「ガ…ガラス〜?一体そんなのどうやって作るんですか〜?」

 

ユメは突然の発言に少し困惑しているようだ。

 

「砂からガラスは確かに作れますが、そんな設備一体どうやって調達するつもりですか。」

 

ホシノもまた突然の提案に困惑しているようだ。

 

「こいつを使えばそんなもの作るのは朝飯前さ。」

 

ワークショップを指差しながらジョンは言った。

 

「確かにそれならいけそうですね。ユメ先輩はどう思いますか?」

 

「私もそれに賛成だよ〜ホシノちゃん。」

 

「だが工場を作るにはある程度土地が必要だ。どこか良い所はないか?」

 

「ちょっと待っててくださいね、今土地の権利書と地図を持ってきます。」

 

ホシノが部屋を出て探しに行こうとした時

 

「権利書なら私が探してくるよ。」

 

ユメが少し気まずそうに言いながら出て行き

 

「それなら私は地図を持ってきますね。」

 

ホシノはユメの表情の変化に気づかずに出て行った。

 

一人事務室に残ったジョンはガラス工場の設計とMr.Handyの制作に取り掛かった。

 

ほどなくしてユメたちは戻ってきた。

 

「私、ホシノちゃんに謝らなきゃならないことがあるの。」

 

そう言いながらユメは契約書を机に広げた。

 

契約書の束に書いていることを要約すると、アビドス自治区の土地を借金の返済に充てるためにカイザーコンストラクションに売却するということだった。

 

「私の前の代から生徒会は借金の返済のために土地を売却していたの。」

 

ユメは淡々とそう告げたのに対してホシノは

 

「どうして私には教えてくれなかったんですか。」

 

少し怒りをはらんだ声で言った。

 

「だってホシノちゃんにこんなことこれ以上背負わせたく…

 

「だってじゃないです!私だってアビドス生徒会の副会長ですから、一緒にアビドスを背負わせてください!」

 

ホシノは怒りが収まらないようだったが

 

「二人共少し落ち着いてこれを見て欲しい。」

 

ジョンが仲裁も兼ねて二人に声を掛けた。

 

「「なんです(か)。」」

 

ジョンが契約書の本文に指を指している所にはこう書いていた。

 

[アビドスはカイザーコンストラクションに売却した土地を再度購入する権利を持つ。この請求をカイザーコンストラクションは反故してはならない。]

 

[カイザーコンストラクションは当土地を他者に売却、譲渡、それら一切の行為をしてはならないものとする。]

 

「どうやらアビドス生徒会は最後の悪足掻きを契約書に入れていたようだな。」

 

「つまりアビドス高校が借金を完済し、十分な資金を確保したならば土地を買い戻せるという認識で良いんですよね。」

 

ホシノが希望を持った声で聞いた。

 

「その通りだ、しかも今ある土地だけでも工場は建設出来る、よって…

 

その言葉にユメが飛びついた。

 

「それで借金を返済出来るし、土地も取り戻せる、そうですよね!」

 

「ああ、だからこそ俺たちはすぐに行動しなければならない、具体的に言えば、一つ俺にアビドス高校の事務員の肩書きを与えて欲しい。

二つガラス工場をまとめる企業の設立許可と本社をアビドス高校事務室にさせて欲しい。

三つアビドスの残った土地の一部を工場用に使用させて欲しい。

それと企業の経営方針だ、質問があるなら聞かせて欲しい、」

 

ユメは企画書を一通り見てこう言った。

 

「質問で〜す。なんでアビドスが借金が有る限り利益の100%をアビドスの資産とするんですか?」

 

「俺はこの企業をアビドス復興のための物とするつもりだ、それとこいつはアビドスの勅許会社として起業させるつまるところ、アビドスの公営事業を担うといったところだな。」

 

ホシノもすかさず尋ねた。

 

「これってジョンさんに一文の得すら無いようなものじゃないですか。なんでほとんど見ず知らずの私たちにこんなことを?」

 

そうこの企画書に書いてあることは実質この滅びかけているアビドスにジョンを縛り付けるような物だったからだ。

 

「まあ、ここに来るまで、俺は俺の母国の再建を夢見て手を尽くしてきた。ここでも同じことをしたい、それじゃ理由にならないか?」

 

「分かりました…ひとまずそういうことにしておきます。」

 

「他に質問はないか?そういうことならこれで後はそっちの判断に任せる。」

 

「私はジョンさんの考えに賛成かな〜、私たちじゃこの借金はどうしようもないし、それにこのままで居ても何も解決しないしね〜。」

 

「私も賛成です、私たちにはもう方法も限られてますし、それらは議論せずとも却下する物ですしね。」

 

「分かった、最後に確認する、本当に良いんだな。」

 

「「もちろんです(よ〜)。」」

 

そうしてジョンはアビドス生徒会の認可によって[「W.V.A.C」West Varginia Abydos Conglomerate]を設立し、アビドス生徒会の決定により事務員としてジョンは採用された。

 

「二人には早速学内のインフラをこいつを使って整えて欲しい。」

 

ジョンはMr.Handyを指差した。

 

「こいつを使えばワークショップの機能を中継して誰でも使えるようにしてくれるんだ。それと発電機と浄水ポンプの建築予定地を示してある設計書も渡しておく。」

 

「もしかして、発電機と浄水ポンプの用途はインフラの自給が目的ですか?」

 

ホシノが尋ねた。

 

「それと工場にも使うし、何より余剰電力は売電すれば良い。」

 

「それで何を発電機の燃料にするんですか?」

 

続いてユメも尋ねた。

 

「核融合だ。」

 

当然とばかりに言うジョンに対してホシノは

 

「核融合!?」

 

かなり驚いた様子だ。

 

「それでホシノちゃん、核融合発電ってどう凄いのかな?」

 

「核融合発電はですね、原子力発電よりも安全で同等の発電量を持っていて今のキヴォトスでは実現出来ていない発電法なんです!ちなみにジョンさんはどうやって行うつもりなんですか?」

 

「フュージョンコア、こいつ一つで大体原発の100分の1は発電できるこいつを使うんだ。」

 

「そのサイズのそれで?はぁ…改めて聞いてもジョンさんの世界の技術レベルには驚かされてばかりですね。分かりました、それでそこのロボットはどうやって動かすんですか?」

 

「アダムス出番だ。」

 

そうジョンが言うとアダムスと呼ばれたMr.Handyは

 

『皆様初めまして、私の名前はMr.Handyのアダムスです。貴方様方の建設の手伝いを一任させて頂きます。」

 

そう答えた。

 

「何これ〜凄いよホシノちゃん!もしかしてジョンさんこの子ってAIが搭載されているんですか?」

 

 

「ああ、そう言って良いほどの自己思考プログラムが搭載されているな。」

 

「じゃあアダムスを連れて行けば良いんですよね。」

 

ホシノは驚き疲れたように尋ねた。

 

「頼んだ二人共、俺はその間カイザーの情報と売電先を探しておくよ。」

 

「「任せてください(〜)。」

 

そうして二人はアダムスを連れて事務室を出て行った。

 

「さて、俺もこのパソコンを使って情報収集するか。」

 

その後建設の終わった二人にとりあえず今日にすべき事は終わったと伝えた後もジョンは情報収集を続け、ひと段落をついた時には時計は9時を指していた。

 

「情報をまとめながら飯でも食うか。」

 

バラモンジャーキーを食べた後、紙とペンを取り出し情報を書き出していった。

 

(カイザーはユメから聞いていた通りの評判の悪さととんでもない業績だったな。

借金を返済をした後に土地を金で大人しく返してくれるかは明確ではないがこんな何も無い土地を奴らは執着するんだ?

なんの利益にもならないことは日の目を見るよりも明らかだと言うのに、まあ今は優先すべきことではないな。

売電の方はセイント・ネフティスが有力候補だな、何より今でこそアビドスから一時撤退しているが土着の企業だ。

かつての砂漠化に対して大規模な復興支援をしていたことからも、こちらのアビドス復興計画には興味を示すだろう。

彼らの鉄道部門と言えるハイランダー鉄道学校は年間にキヴォトストップクラスの電気を使っていることからも売電先には適任だろうな。)

 

内容を紙に書き記しシャワーを浴びた後彼は一人ベッドの上で仰向けになりながら決心をして呟いた。

 

「前途多難だが俺は決してアビドスを見捨てない、どんな困難が待ち受けようとも。」

 

まもなく彼は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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