「んあ……」
塞がっていた瞼が開く。長く眠っていたかのような、不思議な感覚。長年使っていない脳の部分を使用しようとして、止まる。
記憶を司る部位が機能していないような感覚を覚えてしまう。どうして、なんて訴えても帰ってくる訳がないのに。
〈解答。
帰ってきた……。
って……そんなに凄い情報だったの?
〈肯定。マスターが所持する
妖怪ウォッチ……知識だけならある。どんな内容だったかは覚えてないけど、色々な妖怪がいたよね。
今の私って何かの妖怪だったりするの?
〈肯定。人間のままでは耐えきれないと推測し、No.305の[
カルラ……Sランクの妖怪だった、気がする。確かに、Sランクの妖怪らしくエネルギーが溢れてくる。
でも、振り回されちゃいそう。エネルギーが大きすぎるがあまり動かすのが難しい…。
〈報告。マスターのスキル発動は
そっか、ありがと。
それじゃ、少し動こうかな。スキルを使った戦い方を覚える必要もあるし、危なそうな気配の子から生き延びなきゃならないし。
〈了解。
魔力感知への強度を強めたことで感じるのは大きいエネルギーを放つ巨大な黒い蛇。
まだまだ未熟だけど、Sランク妖怪である
技術なんて無いも等しいし、危ないかも。
「大きな蛇さん。御命頂戴しても良いかな?」
「シャァラ!」
「お返事は、私が決めるね」
蛇さんの尻尾攻撃を空を飛ぶ事で回避したと思ったら、追撃の頭突きが直撃する。
…っぅ、危ない!
うぅ、怖くて目もつぶっちゃったし……怖がらないようにしないと!
「次は、こっちの番」
赤の宝石が組み込まれている杖を蛇さんに向けてエネルギーを込める。
どんな火よりも熱く、赤い。地獄の炎と言うのに最も相応しい属性が放たれる。
「
唸り、蠢く煉獄が蛇さんに絡みつく。身を焦がし、骨を焦がし、その全てが私へと還元される。
あんまり良い匂いじゃないけど……嫌悪感はあんまり湧かない。
なんでだろ。
……?なんでがなんで?そこまで不思議に思う内容なのかな。
〈報告。
うーん……うん。お願い!
〈了解。ニョロロンコインで回します。……結果、No.288のからみぞんを獲得。からみぞんの
一つ、妖怪の気配が増えた。その妖怪を呼び出せそうな気がする。
これが並列妖怪、なのかな。まあまあのエネルギー…魔素?を消費するけど、固定なら扱いやすそう。
これからいっぱい魔物を倒すしね!
「幸いにも、いっぱいからね。悪いけど、私の犠牲になって」
天井に張り付いている蝙蝠さん。からみぞんで得た雷電操作を使って打ち落とした。
〈プリチーコインを獲得。……No.127のセミ丸を獲得。
ちょっと硬いトカゲさん。至近距離から煉獄操作で放ったら倒れてくれた。
〈フシギコインを獲得。……No.70のパッカーを獲得。
硬かったら粘ったりした糸を出してくる蜘蛛さん。燃やしたら勝てちゃった。
〈ブキミーコインを獲得。……No.478のドンヨリーヌを獲得。
うーん!いっぱいスキル取れちゃった!エネルギーも大分増えたし、ウハウハだねぇ〜!
ん?なにか高速でこっちに来てるような……スライム!?
ど、どどど、どうしよ!結界貼ってあるから大丈夫だよね!?ダメかな!?
〈解答。超結界で防げます〉
そっかぁ。よかったー!
というか、このスライムの子なんなの?めっちゃ飛んできたけど。
この世界のスライムってこんな高速移動するの?
〈否定。スライムが
水圧推進……私も今の高速移動で走ってみたい!
〈報告。水属性の妖術を扱う妖怪を引き当てられれば可能です〉
よし!頑張るよ!
……スライムさん可愛い。でもスライムって魔物だよね…?
うぅ……こんなに可愛いのに倒さなきゃいけないなんて。
〈否定。このスライムには自我があるユニークモンスターと推定します。
そうなんだ…!
うぅ、スライムさん!届け!
《スライムさん!スライムさん!聞こえてる?》
《!?なに、誰だアンタ!》
《えーっとね、私は
《大変申し訳ありませんでした!!自分目が見えておらず、闇雲にスキルを使ったら激突してしまいました!》
え、スライムさんって目が見えないの?
〈肯定。スライムが持ち得る感覚は触覚だけです〉
むー、見えていたら文句言おうかなって思ってたのに。
見えてないならしょうがないか。
こんなに綺麗な世界なんだから見えるようにしてあげたいけど……。
〈解答。可能です。魔力感知を習得すれば周囲の景色を感じれるようになります〉
《スライムさん、見えるようになりたい?》
《は、はい!見えるようになりたいです!!》
《ならね。魔力感知を獲得すると良いよ!すっごい見えるようになるから!》
《そうなんですか……はやっ!!》
……?何についての「はやっ!!」なんだろ。何か不思議なことでもあったのかな。
〈解答。自身のサポートスキルと話しているようです〉
〈肯定〉
なるほどね〜。便利だからついつい話しちゃうのは分かるな。
《スライムさん、どうかな?美しい景色は!》
《か、可愛い……》
《へ?可愛い?》
《いや……っ!悪い!いやごめんなさい!つい本音が!》
人と関わり合った記憶はない。だけど、これが私を褒めている言葉だっていうのは分かる。
無邪気な表情で保とうとするけど、頬に熱が集まって来て笑顔が作れない。
うぅ……本音ってことは本当に思っていたってことでしょ?そんなの照れないわけがないというか……
〈報告。心拍数が急上昇中です。鎮静を試みます。……失敗。一時的に成功してもまた心拍数が上がり始めます。マスター、落ち着いてください〉
落ち着けたらとっくの昔に落ち着いてるよ!!
《……魔力感知を獲得できたようで何より!私とはタメで良いから気にしないで》
《あの、もしかして照れたり……》
《してない!!してない、してないんだから…》
スライムさんを抱き上げ、顔を埋める。
困ってそうなスライムさんだけど、許してあげないんだから。
分かりきったことを態々聞くなんてデリカシーないよ!
《えっと、名前とかなんかあるの?》
《ないよ。生まれたばっかりだから》
《なら俺がつけるよ。お前の名前は……》
《客人とは珍しいな》
スライムさんが名前をつけてくれようとしたとき、大きな声が響く。
決して威圧するような声とか、魔素を込めたりなんかしてない。でも、自然と怯えを感じるような声。
恐る恐る念話が出る方向へと向けば、そこに居座っていたのは竜。
私やスライムさんなんかあっという間に殺せてしまいそうな圧倒的な個がそこにはいた。
《クアッハッハッハ!我に驚くのは仕方あるまい!何故なら我は、4体しかいない竜種のうちの1体!!暴風竜ヴェルドラだからだ!!》
《ヴェルドラ、さん?俺はスライムです!よろしくお願いします!》
《ほう、スライムか。我の魔素に当てられて変化したスライムだと思っていたが、ユニークか。それも、我の前で問題なく喋っていられるほどの》
スライムさんはヴェルドラさんに元気よく挨拶して、ヴェルドラさんもそれを上機嫌に受け取る。
そんな目の前の光景に、私は震えてスライムさんを抱きつけることしかできない。
話題に入ることも、スライムさんを連れて逃げることも叶わない。心にガチガチの鎖で結びつけられたような、そんな感じ。
〈報告。
〈
恐怖が薄れる。
恐怖に縛られていないことを再確認して、ヴェルドラさんの方向へと視線を向ける。
《ヴェルドラさん、強いね》
《……クァーハッハッハ!貴様こそ、なかなか存外強いではないか!聖なる魔物よ》
獲得妖怪
カルラ
からみぞん
セミ丸
パッカー
ドンヨリーヌ
伝説の武士猫
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解放まであと6妖怪