転生したら妖怪だった件   作:鋼色

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10と妖怪前王と妖魔界

目が覚めたら元の世界なんて話じゃなくて、目を開いたら全くの別の場所。

 

万能執事(ワタシノシツジ)の話では戻れるはずだったけど、事情が変わったって感じかな?

 

見慣れないものが多くて分からないことばっかり。でも、唯一分かるのは、ここが妖怪たちの世界だということ。

 

ケータと出会った世界や私が目覚めた世界と比べても妖力に満ち溢れている。

 

記憶の中にある()()()かな、ここは。

 

「正解だぜ、カミア=テンペスト」

「……キミは?」

 

黒いツンツンとした髪にヘッドホン。茶色の瞳に黒のTシャツ。

 

見た目だけで言うなら完全に子供。でも、なんだろう。この感じは。

 

魔力感知も全然反応していないのに反応が臨戦体制を取っている。高すぎる妖力も感じとっていないのに、どうして。

 

「オレは……そうだな、煌炎とでも名乗っておこう」

「煌炎……」

「あぁ、そうだ。ちょっとアンタに用事があってな。……その様子じゃ、覚えていないみたいだな」

「何が?」

「まあ、問題ないだろ。どうせ月日が経ったら思い出す」

 

この煌炎という少年の頭の中で話が進んでいく。

 

この妙に懐かしい感じも、思い出したくても思い出せない歯痒い感じも言語化されないまま。

 

「アンタを元の世界に戻す前にちょっと話をしようか」

「私の失った記憶の話?」

「別だなそれは。そいつはオレが話すべき内容じゃねえ。新王もいるし、機会があるならアイツから話してもらえるだろう。オレが話すべきはアンタの力だ」

 

私の力。それを指すのは妖怪としての力、だと思う。

 

生まれから身についていた不思議な能力。何百年も生きてきたドラちゃんに「聞いたことがない力」と言わせた力。

 

もしかして誰かに貸し与えられた力なのかな。もう期間は過ぎたからそれを返せとか!?

 

「それは、誰かの理想になるための力だ」

「へ?」

「配下の理想を背負い、前を突っ走る覚悟の証明のようなものだ。自己利益のために力を振るおうとすれば毒となる……が、その心配はなさそうだな。随分と他者のために力を使っている」

「そんな、……そんなことないよ。私は自分のために力を払ってる。いつも、いっつも」

 

暴風之混沌霊(カオスヴェルート)のときだってそうだった。

 

本当に他人のことを思うなら。本当にリムルのことを思うなら。私は自分が生きて、リムルも助ける方法を選ぶべきだった。

 

運が良かったから生き残れただけのギリギリの勝負。運が悪かったら、きっと私は今ここにはいない。

 

私はいっつも自分のことしか考えていない自己中心的な妖怪だよ。

 

「…いや、仲間思いだよ。本当の自己中心的ってのは、自分が常に正しいと思って生きている。アンタは仲間に申し訳ないと思いながら選択をしたんだ。正真正銘の仲間思いだ」

「そうだと、いいなぁ」

 

記憶も何もない私だけど、仲間には恵まれてる。

 

それを大事にできているのなら、とても嬉しい。

 

「爺ちゃんの言う通り、まったく変わってないな。いいぜ、オレの力、お前に託すとするよ」

「煌炎の力?」

「アンタが見ている景色、オレも見たくなった」

 

〈報告。煌炎の一部因子を獲得しました。各種身体能力が向上します。また、煌炎が保有している固有能力(スキル)を一部獲得・統合します〉

 

〈大妖魔覇気が[閻魔覇気]へと進化しました。妖魔統合、妖魔復活、妖魔進化、妖魔支配が[妖魔伝記(アヤカシ)]へと統合進化しました。[閻魔武装]を獲得しました〉

 

えっ……………えんま!?!?!?

 

ちょ、ま、は?!?どういうことなの万能執事(ワタシノシツジ)

 

なんで煌炎の因子を獲得したからって「閻魔」の名がつく能力を獲得するの!?

 

〈解答。煌炎が妖怪たちを統べる王、閻魔大王の前代だったからです〉

 

「こっ、煌炎!ちょっと説明して…!」

「それは無理な話だな。時間制限っていうもんさ。元の世界に戻ったときにでも会おう」

 

 

 

 

 

 

いや、カミアが去った後に残るのはオレと

 

「大変だな、暗雲も」

「キミほどではないですよ、煌炎」

 

初代閻魔大王、閻魔星王・暗雲だ。

 

カミアが転生をする前、常にそばにいたのがこの人だったらしい。

 

オレがカミアに会ったのは凄く幼い頃だったし、すぐに転生しちまったからあんまり覚えてないんだけど…。

 

でも、泣くまで鍛えられたのは記憶にある。まあ、当の本人は完全に忘れちまったみたいだけどな。

 

「お疲れ様でした。現段階では全て予想通りですね」

「…本当にか?」

「あのスライム……カミア様の相棒であるリムル=テンペストは誤算でした。本来なら何百年もの年月を重ねて成長させる手筈でしたが、あのスライムが関わったことで一気に早まりました。アレは、完全なるイレギュラーです」

 

だろうな。オレも遠いところ観察していたが、あのスライムは間違いなくイレギュラーだ。

 

異界からの転生者、そう片付けるにしてはあまりにもオカシイ。

 

カミアの成長すらも促進させる異次元の可能性だ。

 

「……暗雲、お前は排除しようと思わなかったのか?カミアの隣に居座る不穏分子は排除するのかと思っていたが」

「煌炎、キミは私のことを分かっていないようだ。不穏分子を消して泣くのはカミア様だ。あの人は、誰よりも仲間を思っているからね。カミア様が泣くのなら、私は別の手を打つさ」

「…さっすが、優秀な執事だな」

「キミには言われたくないね。見守りたがりの白猫くん」

 

ははっ……さすがにバレるか。初代閻魔大王様は伊達じゃねえな、まだまだ勝てねえ。

 

つっても、色々と不安がってるのはオレだけじゃないけどな。

 

散らばっている先代たちと再会するのはいつ頃になるか…。




閻魔武装
歴代閻魔大王によって異なる形態、武器、鎧。
煌炎ならば覚醒閻魔の額についてある第三の瞳と衣。
マタタビならば赤いお釈と周囲に浮いている橙色の魂魄。
ミズチは三叉槍と水色の竜鱗(ほんのちょびっとだけ色が変わり、硬度や性能が圧倒的に増す)。

閻魔覇気
閻魔の血を引く中でも資格がある者しか使用できない威圧能力。
大王となる者はそれぞれ固有の能力に進化しており、煌炎などは覚醒覇気。オリキャラ兼初代閻魔大王の暗雲は星影覇気になっている。
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