「アイツまじで何してんの?」
目の前に並ぶ魔人たちにため息を吐きつつ、遠出をしている相棒へと苦情を漏らす。
暇だからとどこかに出掛けたかと思えば配下を作ってきた。しかもその作った張本人は「鍛錬行ってくるね☆」で不在。
アホか?アホなのかアイツ。記憶喪失を抜きにしても大概イカれてるだろあの馬鹿。
妖怪ウォッチを知っていたから100%現代人だとは思うんだが……現代にあんな化け物がいることが信じられるんわ。
はぁ……防衛戦はカミアとやろうと思っていたんだがな。俺への負担が一気に増えたじゃないか。
恨み辛みが過去最高に募っているんだが。
「……先にこいつだな。妖魔受胎」
手のひらから
破片に新たに獲得した
「要塞の出来上がり」
自身の切り離した肉体部位に異物を作用させ、新たな妖魔を作り上げる新規創造型の
常に魔素を喰らうから常時発動はできないんだけどな。ゴブリンたちの防衛戦が終わるまでだったら維持できるだろうけど。
……ちなみに、この完全上位互換がカミア=テンペストってヤツなんだけどな。アイツ本当に小狡い。
「……さすが、マスターの相棒様でしょうか。類稀な魔素量、能力の使い方の幅、そのどれも一級品ですね」
「俺が?ないない、そんな強くないよ。俺はね。強い相手に怯んじゃう愚かなスライムさ」
さてさて。守りの準備はこれくらいで大丈夫かな?残りは攻撃の準備をするとしますか。
今の俺じゃあ全てを守れるとは言い難い。
それに、俺がいなくなった時の自衛手段も考えてもらいたいしな。
近接戦は勝てないだろうし、遠距離の弓かな?ある程度狩りをしていたゴブリンなら分かるでしょ。
……大賢者。
〈是。上空に反応を確認しました。思考の波長から敵対は免れないと考えられます〉
なるほど。カミアがどうして配下を作り、こっちに寄越したのかが分かった。
少しは言って欲しい気持ちはあるがな。
「少し不都合ができた。俺が戻れられないようなら、この村の防衛を頼んだ」
元
見えるオーラは弱い。だけど、制限されている説もあるし、慎重に行って損はないだろう。
「お前、何してるんだ」
「……っ!貴様はあの村の」
「リムル、リムル=テンペストだ」
「
神、か。どうやって転生させてるのかとか、色々と聞きたいことはあるが、今はそんなものに耳を傾けている暇はない。
こんな小っぽけな村を監視対象に入れるのはおかしい。
その観点から考えるに、ここを実験場所にしたいとか思ってるんだろうな。
助けると言った手前、見捨てることなんて出来なくてね。そんな器用なこと!
「
周囲に爆弾が設置され、爆発する。火力はなく、ただ煙っぽいだけ。
超進化再生が必要にならないぐらいの低威力で、戦っていて旨みがない。ふざけないで欲しい。
「安心したよ。その程度なら抜かなくても良い」
リンダを喰った際に得た体と鬼玉で創られた刀。それらを統合させて作り上げた
強力無比な武器に違いはないが、使用する際に大きなデメリットを抱える。
暴れ馬でもあるこの刀は、抜くときに多大な魔素を消費する。
あまり魔素の制御に長けていない俺ではその消費魔素で周囲が地獄に変わってしまう。
一番強いのは間違いなくアスラム解放状態。だけど、被害が看過できないからな。
「妖魔受胎」
要塞を作り上げたときと同じようにスライムの破片を空気中に散らし、起動の合図を送る。
「
今生み出した妖魔は必殺技が自身が抱えている魔素を全て使用し爆発するもの。
俺からしてみればカスの魔素量と攻撃力だけど、あの魔人からしてみれば大ダメージを受ける攻撃だ。
「それじゃあさ。吐いてくれるか?なんの企みを企てていたのかを」
「吐くか!神を信ぜば報われる!だが、裏切れば、最悪が待ち構えているのだ!吐いては、吐いてはならぬのだ!」
よく分からないが、必死に喚いている。最悪って言ってるし、口に出せば殺されるとか?
まったく、この世界のヤツらは総じて趣味が悪い。
どんな神経をしたらこんな悪趣味なことを思いつくんだか。
「私は、私は、私はァァ!」
あの魔人からは想像もできない量のオーラが検出される。
元の3倍、12倍、18倍、29倍……35倍か。
元のオーラ量が低かったのもあるが、ここまで来ると異常に近しい魔素量だな。
俺やカミアには負けるが、リンダと良い勝負をするほどの量だ。俺たちみたいに進化した、とは考えにくいな。
〈告。
厄介度や身体面への脅威を考えても明らかにリンダの方が強かった。
知恵面でのデメリットはあるが、それで強さが色褪せるほど薄い強さではなかった。
まあ、そんなわけでだ。この勝負、気楽に勝たせてもらうぞ。
「あぁ……久しぶりの外…甘美な光景…。申し訳ない、自己紹介が遅れました。黒の
「よろしく。俺はスライムのリムルだ」
自己強化を施し、接近戦を仕掛けてくる。操作能力が極めて高く、俺単体よりも魔素の操作度合いは上だ。
魔法が得意らしい悪魔の典型例だな。見当たる淀みが見当たらない。
とても素晴らしい。魔法能力だけなら一級品だ。
あぁ……魔法能力だけならな。
「流水拳・
「かっ!」
「お前は強いけど、
迫り来る単調な拳を受け流し、地面へと叩きつける。
操作ではあっちの方が上だが、魔素量ではこちらの方が上。圧倒的なパワーで捩じ伏せることが可能だ。
「……っ!
唯一拘束されていなかった右手から魔法が発動する。
他の魔法とは格が違う……膨大な熱量を放出する魔法だ。受けているだけで分かる。繊細な操作でようやく発動できる一種の到達点。
超進化再生を会得する前の俺だったら焼き焦がされて消滅しているところだったな。
もしかしたらアレを何発か撃たれていたら大ダメージを喰らっているかもな。
でも、遅い。それはもう、訪れることのない未来だ。
〈告。[魔法攻撃耐性]を獲得しました。[核撃魔法]を習得しました〉
「おい、悪魔。とんでもないくらいに面白いものを見せてやるよ」
左手には
右手には妖魔受胎を用いた妖魔の特性を持ち合わすスライムの破片を用意する。
右手と左手。妖魔と核撃魔法。本来混ざり合うのが難しいとされる二つが混ざり合う。
「
妖怪の力と膨大なエネルギーを誇る核撃魔法との融合技。
自分を強化する術で、加減を間違えれば周囲を崩壊させてしまう禁じ手の必殺技。
超進化再生、魔法攻撃耐性、熱変動耐性で耐えているけど、3分以上の行使は危ないかもな…。
「あぁ……なんて、なんて素晴らしい…。まさに核撃魔法が立って歩いている…!なんで美しく、甘美な光景だ…。感激、私は感激してしまいました。リムル殿、いや、リムル様!アナタ様の選択をすぐ側で見届けさせてはいただけませんか…!」
「ぇ、いや、まあ、いいけど」
なんか急に|上位悪魔が仲間になったんだけど……こわ。どういうこと?
どこか琴線に触れたんだろうけど、何が触れたんだろうか。俺そんな特殊なことをしたか?
しっかし……どうするべきか。カミアが勝手に作ってたし、俺も作って良いのか?
〈告。
なるほど……妖魔になったらある程度制御しやすいな。妖魔支配は本当の最終手段のときにしか使うつもりはないが、もしものための保険がつく。
「俺の配下になるなら、名前をつけてやろう」
「ぐっ、ぁっ、がっ!!」
「妖魔は本人の特性、元の種族の特性、妖魔種族の特性が組み合わさった結果進化する。リンダは本人の特性と妖魔種族の特性、リベルタは元の種族の特性が強く出ているんだ。お前は、どうなる?」
「あぁ、そうだ。名前をくれてやらなくてはな。お前は……フシマだ」
泥沼をつい思い浮かべてしまうようなドロドロとしたオーラが流れ出る。受けるだけで影響を受けてしまうような悍ましいオーラだ。
俺の超魔覇気やカミアの大妖魔覇気とも違う、全く別のジャンルからなるオーラだ…!
名付けをするときに「悪魔って怪魔っぽいなぁ」って思ってやったのが出たのか!そこまで深みがあるんだな名付け!
妖魔支配で関係は縛り付けられているが、相当な化け物が生まれそうだな。
格や魔素量で言ったらリンダと同等…!使える魔法も込みだったら明らかにフシマの方が上だ!
〈告。個体名フシマの種族が[
「んよし。じゃあ戻るか」
フシマ
固有能力
[魔将覇気]
[怨念再生]
[超怨念]
[伍大怨念]
特別能力
[怨念支配]
[感情掌握]
特殊能力
[