「はあ、はあ、はあ!」
鬱蒼と乱立した大木が周囲を囲み、不気味で甲高い鳥の声が鳴り響く暗く深い森の中、俺こと兵藤一誠は必死に走っていた。
「待ちやがれ!」
後ろからバサバサという音と共に男の怒声が響く、後ろを見るとまるで悪魔の様な姿の男が追ってきていた。
(何だよあれ!?)
俺はその男から逃げながらどうしてこうなったと考えていた。
今日は両親とのキャンプを楽しんでいたはずだった。一緒に川で釣りをしたり、夕飯にバーベキューをしたり、夜中は一緒に星空を見ていた。
そんな時、草の茂みからあいつが現れ、一瞬で両親を殺して貪り食った。それを見た俺は怖くて逃げだし、今もあいつに追い駆けられている。
「くそ!くそ!何でなんだ!?」
俺は男から逃れる為にさらに走る速度を上げて、自然が作り出した障害物を速度をを維持しながら回避し、人の手が加えられていない道なき道を縦横無尽に駆け回る。
途中にある鋭い枝や小石によって体に細かい傷が着くがそれを気にする余裕もなく後ろから追ってくる男達から逃げ続けるが、途中に僅かに盛り上がっていた木の根に引っかかって転んでしまう。
急いで起き上がるがそれよりも前に悪魔が追い付いた。
「やっと、追い付いたぜぇ」
「あ……あぁ……」
悪魔は両親の血が含んだ涎を垂らしながらじりじりと近づく。
もう駄目だ。そう思った時。
「ダイナミック!!エントリーーー!!」
突然横から。全身緑タイツのおかっぱ頭の男が大声を上げながら飛び蹴りで悪魔の頭を粉砕した。
「……え?」
突然の事で困惑する俺に男は振り向き。
「大丈夫かい、少年?」
爽やかな笑顔でサムズアップをしていた。
―――
小鳥が囀る朝、俺は目を覚ました。
「……随分と懐かしい夢を見たなぁ」
あの後、両親を失った俺は助けてくれた男性、舞闘我意に引き取られ、彼から自衛の為に自身が培った技を俺に教えてくれた。
(とりあえず、起きるか)
俺は学校に行く為に起き上がろうとするが体の上に妙な重さを感じた。
(何だ?)
視線を向けると布団が異様に膨らんでいた。俺はまさかと思って布団をめくる。
中には白黒の猫耳姉妹が全裸のまま俺に抱き着きながら眠っていた。
「また、潜り込んでいたのか……」
俺はいつもの光景に苦笑いを浮かべながら、二人を起こす。
「黒歌、白音、朝だぞ。起きろ」
「うぅん……おはよう……イッセー」
「……おはよう……ございます……一誠先輩……」
俺の呼びかけに二人はノロノロと起き上がるとその綺麗で豊満な肢体が露わになって大変眼福な光景だが、沸き上がる衝動を抑えて俺も起き上がる。
実はこの姉妹は以前、我意師匠との修行中に悪魔達に追われていたのを助けた後、なんやかんやあって一緒に住むことになった同居人だ。
その際、俺が二人を身を挺して守ったからなのか妙に懐かれて毎日寝る時は俺の布団に潜り込んでくる。
「二人共、部屋に戻って着替えてこい。朝飯は俺が作るから」
「大丈夫にゃ~、着替えはここに入れてるから」
「私もです」
「ここ、俺の部屋なんだけど?」
何故、彼女達の私物が俺の部屋にあるのか突っ込みたいが、のらりくらりと躱されるのは目に見えているのでここはぐっとこらえて、手早く駒王学園の制服に着替えて朝食の準備をする。
『よう、相棒』
フライパンで目玉焼きとベーコンを焼いている時、脳内に声が響く。
(ドライグか。おはよう)
俺は脳内の声の主に挨拶を交わす。声の正体は俺の右手に宿る神器【赤龍帝の籠手】に宿る。二天龍の片割れ、ドライグだ。
神器というのは簡単に言えば神が作った特殊な武器の総称でこの【赤龍帝の籠手】以外にも様々な神器があるらしい。
『我意から伝言を預かっている。今日は遅くなるそうだ』
(そうか、分かった)
俺は良い感じに焼けたおかずを皿に移して着替えを終えた二人に出す。そして三人で朝食を済ませると学園に行く前に仏壇に飾ってある両親の写真に手を合わせる。
「……行ってきます。父さん、母さん」
両親に挨拶を済ませた俺達は直ぐに家を出て学園に向かった。
因みに白音こと子猫の外見は姉の黒歌と同等のスタイルです。
何故そうした理由は「男キャラのTSも存在してるんだからロリキャラを巨乳キャラにしても良いんじゃね?」という浅い理由です。