ベクターさんの華麗なる日々~甘口~   作:鮪薙

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ロマンと書いて魔改造と読む

因みに原作指揮官は男性です。


ロマン(魔改造)とベクターさん〟

 今日も今日とて賑やかなエーアデント、だが本日は少し珍しい来客の登場でいつもとは違う忙しさが生まれていた。

 

「オーライ! オーライ!」

 

「はえ~」

 

 整備員達の掛け声とともにそれはリフトに固定され所定の位置へと移動を開始。その光景をカラビーナが圧倒されていますという表情を晒し見つめる。

 

 一体全長はどの程度あるのだろうか、こうして見るだけでは判別することすら出来ないほどの巨体、話には聞いていたが実物を見てみると言葉が出ないではないか。

 

「これが……【エルモ号】」

 

「確かカラビーナは見るのは初めてだったわね」

 

「えぇ話だけは聞いていましたが、まさかこれほどとは思いませんでしたわ」

 

 エルモ号、グリフィンが保有している中で最大級とも言われている陸上移動ユニットであり現在は一人の指揮官に譲渡され運用されている。

 

 その大きさは上記に書いたように巨大としか言いようがなくこれが走っている姿を遠目から見たら壁が動いているとしか言えないだろう。

 

「けれどエーアデントに寄港してくるなんて、余程のことがあったみたいだけど……」

 

「その通りよ、ちょっと私たちじゃ手の施しようがないくらいのことがね」

 

「えっと……」

 

 知らない声にカラビーナが向けば、エルモ号から降りてきたと思われる戦術人形の姿。自身の記憶が正しければ確か【OTs-14】、こうして現れたということは副官相当だろうかと考えている側でベクターさんから彼女に挨拶を交わす。

 

「久し振りね、グローザ。それと紹介するわ、最近って言ってもそれなりに経ってるけど新入りのカラビーナよ」

 

「Kar98kですわ!」

 

「ふふっ、とても元気な子ね。私はグローザ、エルモ号のまぁ副官って立ち位置をやらせてもらってるわ」

 

 どうやら複雑な何かがあるらしいと今の会話から察しつつカラビーナは一礼、互いに自己紹介を終えてからエルモ号の話になり、とりあえずどうしたのかと聞いてみることに。

 

 曰く機関部が怪しい、曰く足回りも怪しい、曰く外装も結構ガタ来てるんじゃないかと言う報告が上がった。つまり

 

「ボロボロってことね」

 

「聞いてる限りですとそうなりますわよね」

 

「単刀直入に言えばそうなるわね」

 

 それでも今日まで修理しながらやってきたが数日前にヴァリャーグを含む敵対勢力との小競り合いでエルモ号が被弾、いよいよとなったタイミングでエーアデントが近くだということで寄港してきたらしい。

 

 運が良かったとグローザが笑ったタイミングで一通りの検査を終えたらしい街工房のおやっさんが頭を掻きつつレイモンドとエルモ号の指揮官の二人に報告を始めたが聞いた刹那、二人して苦笑するしか無かった内容だった。

 

「ありゃヒデェな、無事なところが一つもないどころか、よくまぁ今日まで動いたもんだと感心するしかねぇって感じだわ」

 

「怪しいとは思ってたがそこまでの状態だったか」

 

「修理はできそうか?」

 

「出来なくはねぇが、修理でどうにかするよりもいっそオーバーホールに近いことをしてパーツを総とっかえしちまったほうが早いだろうな」

 

 詳細が纏められた報告書を読んで見れば彼の言う事を嫌でも理解してしまいエルモ号の指揮官の表情もなんとも言えないものに変わる。

 

 その後ろからグローザも読むが彼女もはぁとため息を漏らしてしまった、確かにこれは修理だとかいう段階をすっ飛ばしてしまっていると。

 

 これならば丸々交換してもらった方が良いと彼らから言葉を貰えば、待ってましたとばかりにおやっさんはそこでだと新たな資料を二人に渡す。

 

「これは?」

 

「折角だ、この機会にエルモ号を大規模改修してみねぇか?」

 

「改修……ふむ、なるほど」

 

「前々から思っちゃいたんだ、これだけデケェってのに自衛手段が人形かドローンによる迎撃しかないってのは心許ないんじゃないかってな」

 

 言われると心当たりしかなかったのだろう指揮官がそうだなと苦笑しながら頷き、隣ではグローザも悔しいけどその通りなのよねと呟く。

 

 実際、その2つを潜り抜けてや奇襲によってエルモ号が危機に瀕したことは少なくない、ともすればこの改造でエルモ号自体に自衛手段を所持させるのも悪い案ではないだろう。

 

「俺としては頷きたいんだが、グリフィンが何言ってくるかだな……ちょっと待っててくれ、カリンに聞いてみる」

 

「許可が下りれば良いんだけど……」

 

 降りるかどうかで言えば可能性は低いとしか言えない。幾ら実績がある指揮官と言えど、流石にグリフィン所有のエルモ号を丸々改修しますなどというのを向こうが許すはずないだろう。

 

 誰もがそう考えていた、いたのだが二分後と言う通信にしても早いと言える時間で指揮官が戻ってきた一言目がこれだった。

 

「なんか普通に許可降りたと言うか、カリンがどうにかするらしい」

 

「費用は?」

 

「グリフィンに出させるって」

 

 それは本当に大丈夫なのか? ふと脳裏をそんな疑問が過ぎるも藪をつついて蛇を出す必要もないかと結論付け、そういうことだからとおやっさんに伝えれば

 

「よっし、んじゃ今日から早速作業に取り掛からせてもらうぜ! 野郎ども、準備を始めろ!!」

 

『おぉ!!』

 

「ところで改修にはどのくらい掛かる?」

 

「一ヶ月だ、一ヶ月もありゃコイツを完璧に生まれ変わらせてやるよ」

 

 早いなと言うのが素直な感想、だが周りが何も言わないということはそれが出来るだけの技術力があるということなのだろうとグローザと指揮官は納得し作業を頼むことに。

 

 レイモンドとベクターさんもそれじゃあとは頼むわねとエルモ号の人員の宿泊施設の準備に向かい、最後にカラビーナが作業を張り切って開始し始めた職人たちを見て

 

「なんだか、嫌な予感がしますわ」

 

 と一言呟いてからその場を去る。そう、言ってしまえば彼女のカンは当たっていた、彼女が去ったのを確認したおやっさんは改めて作業員たちを見据え、それから物陰に隠れていた問題児メカニックこと88式とステアーに視線を向け

 

「ガハハ、まさか前々から温めてたエルモ号改修計画に取り掛かれる日が来るたぁな。おう、嬢ちゃん達も頼むぜ!」

 

「了解です! 行きますよ、ステアーちゃん!」

 

「うん、張り切る」

 

 互いに悪い顔をしつつ開始された改修作業、そして1ヶ月後、改修が完了したという連絡を受けドックに向かったのだがそこに鎮座していた新生エルモ号を見てカラビーナが一言。

 

「なん、ですのこれ」

 

「あっはっは、これは凄い変わりようだなぁ」

 

「でも今後は火力には悩まされることはなさそうね」

 

 あったのは最早陸上移動ユニットではなく陸上大戦艦としか形容できないエルモ号、今から戦争でもおっ始めるつもりかお前はという感想しか出てこないそれを見てネゲブは言う。

 

「エーアデント工房とそこのバカ二人に任せりゃこうなるだろうよ、えぇ?」

 

「魔『改造』は規模がで『かいぞう』ってね、ふふっ」

 

 後日、エルモ号改修の請求書を見たグリフィン社長ことクルーガーの胃薬の量が増えたし一部難癖をつけた上層部の人員が翌日に突如失踪を遂げ、上層部の一部が入れ替わったとかなんとか。




『指揮官』
ドルフロ原作の指揮官さん。この作品では本編のあれこれはなかったのだが何故か全ての人形に(あらゆる意味で)好かれ迫られるのでエルモ号と共に放逐された。なお、放逐したらしたで大騒ぎを起こすので本社の苦労は何も変わらない。

『カリーナさん』
 指揮官のためならば無理難題でもクルーガーたちに首を縦に振らせる女傑、グリフィンの影の支配者とも言われてる。

『陸上戦艦超エルモ号』
エーアデントの職人達とメカニックのバカ二人によって魔改造された新生エルモ号。
ガタが来ていた内部機関や装甲、履帯など全てを新調及び最新型に換装し、弱点であった火力面を大補強されたが結果として一回り以上に巨体になってしまった。
 改装内容は以下の通り。
【対地対空CIWS】両側面に20基、前後に10基、天辺に6基配備

【マルチロール型戦術ドローン〝ハヤブサ〟】 6機

【45口径46cm3連装砲塔】エルモ号天辺に一基、なおこれをエルモ号に装備させたいがために現代に復活させたとのこと。

メイリンさん
「エンジンとか全部最新型になったんですか!? もう徹夜して整備しなくても故障しないんですかやったー!!」

(陸上戦艦超エルモ号を見て)「余計なものが沢山付属してるじゃないですかやだー!!!」
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