ベクターさんの華麗なる日々~甘口~   作:鮪薙

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中の人の影響で多趣味なベクターさん


〝趣味とベクターさん〟

 ベクターさんは通常のVectorとはかけ離れたいわばエラーロッドともバグ個体とも言える存在である。

 

 故に趣味という部分においてもそれは適応される、具体的に言えば多趣味なのだ。前話のバイク然り何時ぞやのカラビーナに出したような市販に見せかけたお菓子しかり。

 

 上記の2つ以外にも彼女は趣味を持っている。例えばそうある日、カラビーナがベクターさんの部屋に行ったときに彼女は見た。

 

「これはプラモデルですわよね」

 

 棚にズラッと並ぶプラモデル、しかもロボット系のそれにカラビーナは意外だと言う感じに呟く。見た感じではただ組み立てただけじゃなく、きちんと塗装や細かな処理もされているのも分かる。

 

 手先が器用なのはカラビーナも知っていたがまさかプラモデルも作ってるとは知らなかった。

 

「えぇ、ちょっとした手慰み程度だけど中々楽しくて気付いたらそんな数になっちゃったのよね」

 

「手慰み……?」

 

 これがですの? 先ほども書いたが手が込んでるとしか言えない出来だがベクターさん的にはそうらしい。

 

 偶にはこの方って自分が並以上だって事を自覚しませんわよねと口にしなかったのは呆れたのか、はたまたカラビーナなりの気遣いか……どう考えても呆れだとは思うが。

 

 また別の日、暇してたMDRがベクターさんに誘われ行ったのは何の変哲も無いトランプでのポーカー。だが数戦ほど行ってからMDRは唸りながら彼女に問う。

 

「それでイカサマしてないってマジ?」

 

「えぇ、勿論。それとも何か証拠があるのかしら?」

 

「ぐぬぬ、無いけどさぁ……」

 

 証拠はないが絶対にやってるだろ言う相手の手札に彼女はまた唸る。これでもし賭けてのものだったら割りと本気で怒るがあくまで遊びの範疇なのでMDRとしても唸るしか無い。

 

 そしてこれが彼女の趣味の一つ、賭けたりは決してしないがギャンブルである。こうして事あるごとに誰かと、或いは複数人とポーカーなどを興じる姿を基地内が問わず目撃される。

 

 曰く楽しいから、それに会話のキッカケにもなるでしょとのこと。因みにだがイカサマもやってる、今のところこの事に気付けたのは指揮官だけだが。

 

「さてどうする? 私はまだ時間があるから再戦してもいいわよ」

 

「そこまで煽られてさ、退けるわけないよねぇ!」

 

 数十分後、そこには完膚なきまでに敗北しテーブルに突っ伏して動かなくなったMDRが出来上がることになるが割愛としておこう。

 

 このように彼女の趣味は多岐に渡り人によっては意外だなという感想を持たせるものも少なくない。

 

 だが同時に一部の人物や人形からはあれは趣味と言うよりもやりたいことを片っ端から手を出しているだけでは? と思う部分もあるとか。

 

 しかし、中には困るものな趣味、言ってしまうと周りが若干の被害を被る物も混ざっている、例えばそう何時ぞやの料理なんかも彼女にとっては趣味なのである。

 

「……夜食でチャーハンだやったーとか喜んでた数分前の私を殴りたいんですけどステアーちゃん、タイムマシンの予定あります?」

 

「無い、あるなら私が使う、88式の方こそ」

 

「無理です、あれ作れるならもっと意味があることに使います」

 

「酷い言われようね」

 

 時間にして深夜、開発中に小腹が空いて食堂でカップラーメンでもとやってきた88式とステアーの二人を出迎えたのはこちらもまた珍しく小腹が空いたわねとやってきてたベクターさん。

 

 無論、ベクターさんが料理下手だというのは二人も知っていたがチャーハンなら大丈夫だろうというあまりにも慢心が過ぎる判断で席を付きそして今に至る。

 

「ベチャベチャなのは油が多すぎたとか分かるんです、なんかちょっと焦げてるのは醤油とかだというのも分かります、分かるから困るんです」

 

「単純に下手、でも点数は出る、成長してる」

 

「褒められるとは思ってなかったわ」

 

「皮肉です」

 

 褒めるわけないし褒められる料理でもない。バッサリとした評価だがベクターさんも理解しているのでそうよねぇと自作のチャーハンを一口。

 

 感想としては88式の言葉通りだとしか言えない。油が多くて米はベチャベチャ、味付けに入れた醤油も多くて焦げたり塩っぱすぎたり、胡椒も効きすぎている。

 

 仮にこれをネゲブさんが食べた場合、何も言わずに完食してからそれは大きいため息を吐き出してから、口直しに完璧なチャーハンを作って出してくるだろうと断言できる代物だ。

 

「難しいわね、料理って」

 

「逆になんでお菓子はプロレベルで作れるんですか……?」

 

「七不思議の一つ、はっきり言って分からない」

 

 お菓子作りの方が色々と難しいですよね? 88式の言葉にベクターさんもさてねと肩を竦めるしかない、実際問題として本人もなんでかは分かっていないのだから。

 

 なお、チャーハンは3人ともしっかりと完食はした。何だかんだでお腹が空いていたのは事実なのと作ってもらって残すのは悪いからとのことだが、これをカラビーナが聞いたらなんで我慢する必要がと言うだろう、彼女はそういう人形である。

 

 そして最後に実はもう一つ、彼女には困ったと言うべきか変わっていると言うべきかそんな趣味を持っている。

 

「あっ……」

 

「Vector、また買ったのか?」

 

「や、安かったのよ、セットで」

 

 ある日の昼下がり指揮官が目撃したのは大きな段ボールを抱え自室に入ろうとしているベクターさんの姿。指揮官の言うようにこれが今日初めてでもなく過去に何度も見ている光景、では中身は何なのかと言うと【暗器】に分類される武器の数々である。

 

 なんでそんなのがセットで、しかも安売りされてるんだとかいう疑問は皆様あるだろうが忘れてもらいたい、そういうものなのだと。

 

「また部屋に置ききれなくなるぞ、そうじゃなくてもカラビーナが危うく怪我しそうになったんだからな」

 

「その件については本当に申し訳ないと思ってるわ。カラビーナにもちゃんと謝罪したし置き場所も目のつかない場所に変えてから大丈夫だと思うけど」

 

 この件についてはカラビーナに聞くと二度とあの部屋で日常的なアイテムを触ったりしないですわと涙目で答えるくらいにはトラウマな事案が起こっている。

 

 そしてこの会話から分かるようにベクターさんの自室、実は割りと危険地帯だったりもするのだ。何気ないボールペンが実はなんてザラじゃない、それくらいには暗器が飾られている。

 

「昔を思い出してと言うか、なんとなく手元に揃えたくなるのよね、暗器とかって」

 

 なお、彼女的にはコレクションであり実用するつもりは勿論ないとのこと。だがそれはそれとして指揮官も受け入れているとは言え苦笑するしかないのであった。




因みにベクターさんの趣味については
『プラモデル』はビルドファイターズのアイラ
『お菓子作り』はナギサ様
『ギャンブル』は蛇喰さん
『暗器』はレイレイって感じになってたり。
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