鉄血、正しくは鉄血工造。蝶事件と呼ばれる事件後、人類に反旗を翻し暴れ回っている戦闘人形の集まり。本来であればロ連が存在する時代には解体されているがこの作品の世界線では無駄に元気らしくヴァリャーグ、生骸、グリフィン、ロ連などなどという勢力と多方面喧嘩外交をしている。
ならば人類側にさっさと殲滅されてしまいそうではとなりそうなのだが、この鉄血の襲撃が基本的にエルモ号の指揮官に集約されているという一点だけで迎撃程度で良いのではという扱いになってる、相変わらずこの世界の人類は逞しい。
「どうやら、今日は珍しく鉄血がエーアデントに来るらしいわ」
「そりゃ本当に珍しいな」
ではエーアデントでの鉄血の扱いはどうかとなると襲ってこないならまぁ放置ないし情報を渡さないけど売買くらいなら良いんじゃないという割りとかなり利敵行為じゃねという問題な扱いをしている。
最も売買するのも彼女たちの修理に必要な部品だとか、持ち込んでくる兵器の修理だとか程度であり新兵器を流したりはしないし改造もしてないし、向こうも積極的に利用するつもりはないらしく本当に極稀にやってくる程度なのだが。
どうやら今日はその極稀が発生した日らしい。指揮官も心底驚いたと表情を晒す辺り本当に稀なのだろうと言うことが分かる。
「って言っても本家じゃないわ、逸れハイエンドの方だけど」
「尚更珍しいな、偶々近くに来たって感じか?」
「そこまでは会ってみないと分からないけど、大凡そうかも知れないわね」
逸れハイエンド、端的に言えば鉄血から離反ないし独立して生きてるハイエンド組、数は多くないが基本的に人類勢力とうまく渡って生きている。
なのでエリザ組よりはエーアデントに来る頻度は高いには高い、それでも珍しいには変わりないのだが。ただ少なくともエーアデントと敵対するつもりはないのは確かなので話してみるかと向かったのが少し前。
話によると既にエーアデントには到着しており、スチェッキンと式自が相手をしているとのことで向かった先で見たのは明らかに魔改造されている軍用の大型輸送トラック、そしてその知覚でスチェッキンと交渉のような会話をしている一人のサイドテールが特徴なハイエンドとその光景を式自ともう一人の長い白髪が特徴的なハイエンド。
「なんだ、あの二人だったか」
「ん? お、レイくんにベクちゃんじゃん!」
「おい、お偉方をなんて呼び方してるんだ貴様は……すまん」
「いやまぁ、気にしないわよあの二人なら」
実際気にしないので指揮官とベクターさんは四人の場所へと移動してから顔見知りという事で二人に簡単に挨拶を返しておくことに。
「久し振りだな、【アーキテクト】に【ゲーガー】」
「だねぇ、中々エーアデントの近くには寄らないから」
「そもそも寄る用事もあまり無いからな、今回だってコイツが偶々近くだから寄ろうと駄々捏ねたからに過ぎん」
この二人は元鉄血所属の現在はフリーの自営業を営んでいるアーキテクトとゲーガー、割りと早期に鉄血からは独立したハイエンドモデルでありこうしてエーアデントやグリフィン、偶にロ連や各地の集落など様々な相手と商売や物資の輸送及び配給を行っている。
またアーキテクト自身が開発者気質ということで鉄血の技術を応用した兵器なども取り扱ったりはしている、最も物資が豊富ではないし施設があるわけではないので設計図だけというのもザラではあるが。
「その割にはこっちとやり取りできそうな物資とかたんまりだけどね~」
「ふん、いつでも商売は出来るようにしているだけだ。大口取引を逃したなどと笑えんからな、こちらも常に余裕があるわけでもない」
「この間もちょっと大きな取り引きが出来そうだったんだけど、ヴァリャーグと鉄血に乱入されてご破産しちゃってさぁ。実を言うと今かなり余裕がないんだよねぇ」
「アーキテクト……!」
だって素直に話せば良くしてくれるかもしれないじゃんとアーキテクトが言うが指揮官としてはヴァリャーグと鉄血の乱入という部分が気になった、あの2勢力は敵対してるはずじゃと。
真相はかなり単純にアーキテクトは手を組んでの乱入だと思ったが実際は小競り合いの勢いそのままに突っ込んできたと言うだけなのだが、アーキテクトと言う少女は割と適当なことを言うハイエンドモデルなのだ。
「あ、そうだったんだ、ゲーちゃんよく気付けたね」
「普通に気付くだろお前……そもそも鉄血はまだエルダーブレインの為にエルモ号の指揮官を追ってるしな、ヴァリャーグと手を組む理由がないだろう」
「まだ諦めてなかっただ、噂だとかれこれ数十回もエルモ号に挑んでは返り討ちに遭ってるって話だよ?」
「そうそう、エルモ号、あれどうしたの!?」
先々週辺りにエルモ号を見たのだがなんか全く見慣れない造形になってたんだけどと興奮気味にアーキテクトが聞いてくるので二人は隠す必要もないかと工房とウチのメカニック二人が魔改造したと伝えれば
「あ、やっぱ!? うわぁ、いいなぁ、あんな改造私もしたかったなぁ!」
「お陰で私は頭痛が続いてるんだけど……」
「苦労するな、お前も」
「うーん、とりあえず困ってるって言うならこんな感じでどうかな? 後は指揮官、副官、何かある?」
コレでもお得意様の一人だしとアーキテクト達が提示した物資と技術、情報に対しての支払いを提示してから二人に聞けば、ベクターさんは特にという感じで指揮官はふむと考えてから。
「鉄血の動向をもう少し詳しく聞けたりするか? 無論、情報に応じて追加報酬は出す」
「もう少し詳しくと言うと、どんなん?」
「エーアデントに対して何かしら動きを見せているだとか、エルモ号以外を目標にしている動きだとか」
「うーん、最近は私たちにも情報が回り難くてね。その辺の鉄血の量産人形とかダイナゲートから集めたりはしてるけどって感じ」
「エルダーブレインからも完璧にリンクが切れたからな、その辺りは探りようがないというのが現状だ、すまんな、あまり役に立てそうにない」
あるんだったら教えたんだけどねぇと言うようにこの二人、割と普通に鉄血の情報を流していたりするし集落に寄った際にはこの辺りに鉄血来てるから気をつけてねとか忠告をしたりもする。
勿論、そんな事を続けていたので二人は鉄血からのリンクは完全に切れたし、エルダーブレインはキレて二人を鉄血所属じゃなくしたので普通に襲撃されるようになったとか、最もこれは随分と前からの話ではあるのだが。
「ま、もう慣れたもんだけどね。寧ろ適当な部品をくれるから助かったりもするし」
「エージェントやエクスキューショナーとかが来るならまだしも、奴らも暇じゃないからな」
何だかんだで二人はこの状況すらも楽しんでいるということに指揮官は逞しいなと思いつつ、その後は一日泊まっていくと良いと話しアーキテクトとゲーガーはお言葉に甘えることにした。
この世界、鉄血も割りと元気なのである、割りを食うのは市民とかだがそこは元の世界と変わらないので気にしないのが大事であり、それが日常なのである。
アーキテクトとゲーガーがなんかこう味方ってわけでもないけど敵でもないっていう立ち位置なのは私の手癖なので気にしないで下さい。