エーアデント工房。エーアデントの職人が一同に揃い日夜、開発や修理、改修のなどに勤しんでいる工房であり人知らずに新装備や新兵器の開発もしては主に式自辺りに多大なストレスダメージを与えているトラブルメーカーの集まりでもある。
今日も今日とて騒がしいのは変わりなく、また基地のトラブルメーカーことメカニックである88式とステアーも遊びに来てアレはどうかこれはどうかなどの会話に盛り上がっていた。
「……駄目だな、人形サイズってなるとどうやっても乗せられねぇ」
「ですよね~」
「人形の強度が足りない、でもこれ以上の改良も無理」
設計図を前に頭を悩ませる親方と88式とステアー。彼らが現在、挑んでいるのは元はメカニック二人がロマンですねで初めた人形に対する追加装備、随分と前からの計画ではあったのだが当時から問題点しか無かった。
なんたって彼女らが人形の搭載しようとしているのは我らがスーパーロボットにして某鉄の城の武装【ブレストファイヤー】【ロケットパンチ】【ジェットスクランダー】、更に某偉大な勇者の【グレートブースター】の4点、誰が聞いても無理だろそれはという代物である。
だが二人は挑んだ、だって装備できたほうが楽しいし役立つじゃないですかと、そしてその心意気を良しとしたエーアデント工房も立ち上がって進められたプロジェクトだったのだが遂に暗礁に乗り上げたようだ。
「武装の方の性能を下げれば装備も搭載も可能ですけど……」
「それじゃ既存の兵器でいいって話になる、後私たちが満足しない」
「つっても性能そのままだと人形と言うか素体が耐えられねぇんだよなぁ」
ロケットパンチは反動が、ブレストファイヤーは熱が、ジェットスクランダー及びグレートブースターは馬鹿みたいな推力と装備の際の衝撃が、どれも既存の人形には先ず耐えられない数値を叩き出してしまっている。
かと言って武装の方の性能を搭載及び装備可能まで下げてしまうと、それはもう例のアーマー一式【ベスカーアーマー】でいいじゃんとなる。
「新素材の断熱材でも駄目ってなるのは想定外ですよ」
「ベスカーアーマーの火炎放射器みたいなのだったら行けたんだが、熱を直接放射となると話が変わっちまうんだわ」
「でもブレストファイヤーはそういう武装、そこは妥協できない」
が、妥協しないからこそ現状の問題に直面しているとも言う。寧ろベスカーアーマーやブラスターと言った装備がちょっと傑作すぎるかもしれないと三人はうーむと頭を悩ませる要因だったりも。
因みに周りの職人達も関与しているしあれはどうですかこれはどうですかと意見を出したりもしたがそれでもこの結果である、それでも楽しんでいる辺り生粋の職人と言えるかもしれない。
だがそんな彼らの楽しみに本日は暗雲がかかることを誰も知らないし、暗雲もすぐそこにまで迫っていることに誰も気付いてなかった……
「大丈夫ですか、お嬢様」
「これが大丈夫に見えるかしら、イグラ?」
「そうですね、少なくても平常心ではないのは分かります」
伝わってくれて何よりよと金髪の団子を2つ作っている特徴的な髪型の女性がイグラと呼ばれた金髪オールバックの男装麗人な格好の人形に疲れた感じに呟く。
呟いてから彼女が視線を向けるのはエーアデント工房、何を隠そう彼女はこの工房の社長であり彼女自身も開発者の一人として活躍している有能さを所持しているのだが同時に苦労人でもあり、今こうして工房に戻ってきたのも事情があってことである。
「行くわよ、あの馬鹿どもがこれ以上何かしでかす前に止めなくちゃ」
「手遅れな気もしますけどね」
「言わないで」
決めた覚悟が揺らぎそうになるのをなんとか堪えつつ、工房に足を動かし入口に向かえば初めに気付いたのは入口近くで作業していた職員数名、彼らは女性とイグラの姿を見るとすぐに立ち上がり
「戻ってたのですか社長!?」
「あ、あぁっと、親方は今その基地からのいつもの二人と話をしてます」
「ありがとう、直ぐに向かうわ」
ちっ、やっぱり手遅れだったかと言わんばかりに彼らにお礼を告げてから足早に教えられた場所へと進む、道中では先ほどと同じように職員達が挨拶をしてくるのを律儀に返しつつ目的の部屋の前まで着いてからふぅ吐息を整える。
それからそっと耳を澄ませば聴こえてきた内容に頭痛を抑えられなくなった。
「もうこうなったらいっそ、それ専用の人形の素体作ってみません?」
「メンタルモデルは移せるのが人形の強み、火力と機動力を求める人形は何時だって需要あるから行けるはず」
「ありだな、問題があるとすりゃ素体の設計図を新たに引く必要があることだな……第三世代のやつってどうにか手に入らないか?」
「お嬢様、気を確かに」
どうしようとても泣きたいしとても怒りたい、人が営業で外回りをしてる最中に何やってるんだコイツラと本気で色々と限界な感情が社長を襲い倒れそうになる。
これにはイグラも平静を保っているが内心では焦りつつ支え、その御蔭で倒れずに立て直せた彼女はお礼を言ってからそっとドアノブに手をかけて即座に開け放った。
無論、音を立て開かれた部屋の扉に誰だとなる三人ではあったが入ってきた人物を見て先ず88式が顔を青くした。
「あ、あれ、戻ってたんですか? じゃ、じゃなくて、その、お久しぶりです、【オルフェルーネ】さん」
「よぉ嬢ちゃん、何だ戻ってくるんだったら連絡の一つでもくれれば良かったじゃねぇか」
親方は何事もなかったかのように声を掛けているが実情としては滅茶苦茶焦ってる。まさか連絡もなしに帰ってくるとは思ってもなかったし戻ってきた理由も察ししか無いからだ。
そして最後にステアーはと言うと彼女の顔を見てその隣りにいるイグラの存在を認識して、ふむと頷き二人を見据えて
「オルフェーネ、意見が聞きたい」
「先ずこっちからの話でいいかしら」
「うん、構わない、怒られるのはもう既に覚悟を決めてるから」
何やらカッコいいことを言っているステアーだが言ってしまえば、社長に黙ってエルモ号の大改修やらベスカーアーマーの製造及び量産をしていることなどをやりましたが何かと開き直ってるだけである。
「覚悟はできてる、フゥン、そう、そうなのね」
「ステアーちゃん、どうして煽ったの……?」
「まぁなんだ、街と基地の役には立てたんだ、悪いことじゃねぇだろ、な?」
「親方!!??」
「ふっ、ふふっ、ふふふっ、座りなさい」
やっぱりこうなるんですねと部屋に備え付けられたコーヒーメーカーで人数分淹れておくイグラ、それから自身のも用意してから社長であり己の主でもある彼女【オルフェルーネ・ジラード】の説教を眺めるのであった。
なお、説教をされたからと言って憧れは止められねぇんだされる模様。
【オルフェルーネさん】
本来の世界だとあれやこれやがあっての植物学の天才だったのにこの世界だと何故か初期から開発方面にも才能を伸ばすことに成功した才女。
だと言うのに父親がまるで認めないのでブチギレてエーアデントに家出、親方を初めとした職人を纏め上げエーアデント工房を設立し社長として日夜勤しんでいる。
【イグラ】
原作と同じようにオルフェルーネの付き人として活動している第三世代人形。
この世界では生き生きしてるお嬢様を眺めるのが趣味