カラビーナちゃんはエーアデントの精鋭部隊の狙撃手にして、(自称)お嬢様でありそうであるために日々努力を重ねている戦術人形の一人である。
朝早くから狙撃の訓練、それが終えれば朝食、後片付けと言うかネゲブさんの手伝い、時間になれば街へとパトロール、ノブリス・オブリージュと言う言葉を心の底から信じている彼女は街で困っている人々が居れば率先して助けに行く少女でもある。
「って事でもしかしたら、この二人がエーアデントに来てるんじゃないかってペルシカから来てるのよ」
「ふむ、そのようなお話が」
今日もまたパトロールへと行こうとしたがベクターさんに呼び止められ、何かと思えば人探しの頼み。
渡された二枚の書類には名前と顔写真が載っており、とりあえずで電脳から今日まででこの顔、或いは名前を聞いたか見たかを検索を掛けてみるも
「駄目ですわね。私も今日までにエーアデントでこのお二方を見たことも聞いたこともありませをんわ」
「貴女がその反応だとここに居る可能性はかなり薄いわね……」
「私だってエーアデントの全てを知ってるわけでは。とりあえず、今日のパトロールでは色々聞いて回ってみますわ!」
「お願いするわ。私も手伝いたいけど、指揮官が居なくて変わりに書類仕事しなくちゃだから」
そう言えば朝から見てませんわねとベクターさんの言葉でカラビーナは思い出す。だが不在というのは今日が初めてというわけでもないので気にしてなかったが、何かあったのかと一応で聞いてみることに。
「特に何かってわけじゃなくていつもの本社への呼び出しよ。今頃、エーアデントについてまた上と話し合ってるんでしょうね」
「あ~、そう言えば此処をなんとか囲い込もうとしてるんでしたわね。無駄な努力だと思いますけど、では行ってまいりますわ」
「えぇ、行ってらっしゃい。人探しの方はあまり気にしなくてもいいわよ、この〝捜索〟が〝そうさく〟っと終わるとは思えないし、ふふっ」
キレそうになるのを堪えカラビーナは若干頬を膨らませながら手を振り基地から街へとパトロールと件の人探しへと向かう。
向かったのだが単刀直入に言えば街は相変わらず平和であり、件の人物も目撃証言などに至ってはまるで掠らないという状況にカラビーナは歩きながらため息を付くしかない。
「此処まで空振りですと本当に居ないのではありませんか?」
ですがペルシカさんが態々此処に聞いてきたということは少なからず確証があったということなのでしょうけどと考えてこそみるがやはり何も無いというのは流石の彼女でも引っ掛かる。
幾らエーアデントが来るもの拒まず去るもの追わずと言う精神だとしても見知らぬ、或いは有名な人物が来れば噂程度にはなるはずだと、しかもAR小隊の二人ともなれば絶対に。
(だと言うのに影も形も出てこない。ともなると考えられるのは……)
サクッとチュロスを一口食べて閃いた場所へと向かってみることに。そしてチュロスを食べ終えると同時に辿り着いたのはオルフィア診療所、カラビーナが閃いたのはもしかしたら秘密裏にこういう所を利用し口止めをしているのではという推理。
だとすれば聞いたとしても答えは返ってくることはない、しかし反応から来たかどうかは彼女には分かる。それくらいの観察眼は備わっていると自負しているカラビーナは扉を開ければ出迎えたのはコルフェンだった。
「こんにちはって、カラビーナちゃんじゃないですか。どうかしたのですか?」
「あぁいえ、診てもらいたいとかではなくて少々お聞きしたいことがありまして」
「聞きたいこと? まぁ良いけど、見ての通り暇だし、あっだったらお姉ちゃん呼んでくるから待ってて」
トントンで話が進み、院長のオルフィアも来た所で事情を話してみればカラビーナの予想とは反して三人は考え込み、それからゆっくりと首を横に振って答えた。
「ごめんなさい、コルフェンは覚えが……」
「私も同じ、お姉ちゃんは?」
「私もですね。記録にも無いのでこの診療所には来てないのは間違いないかと」
「そ、そうですか(これはちょっと想定外ですわ)」
まさかの空振りの返事にカラビーナもいよいよ手詰まり感が電脳に過ぎり出す。と言うよりもこれ本当にエーアデントには居ないんじゃなかろうかとすら思えてくる、それでもじゃあ居ませんでしたと此処で報告するのは早計でもあると彼女は考える。
まだ聞いてない所はあるにはある、診療所で駄目ならば工房はどうだろうと。素体や武装の修理となればあっちの方による可能性もあるのではと考えたカラビーナはオルフィア診療所の面々にお礼をしてから次の目的地、エーアデント工房へと足を運んでみれば……
「か、カラビーナちゃん!? あ、いや、なにもしてませんけど!?」
「珍しいですね、なにか壊れたんですか?」
「まぁ貴女達が居ることは私は何も言いませんわ、それにどうせすぐあとでバレるでしょうし」
「そんなことはない、今回の隠蔽は完璧。今のは秘密」
なお、後日しっかりと隠れて何かを作ってたのが判明しオルフェルーネと式自にまた説教された模様。余談はおいておき、工房の面々にも例の件を聞いてみる、先ず88式とステアーは空振り、それから親方経由で工房の職人やオルフェルーネとイグラにも話を通してみるも。
「ごめんなさい、工房の方でもその二人が来たという話は無いわね」
「うぅむ、ともすれば副官の言う通りエーアデントには居ないという事なのでしょうか?」
「かもしれねぇな、AR小隊なんて来てたらその日は間違いなく大騒ぎだからな」
「あの義手を弄れると考えただけでもテンション上がる」
「ですねですね!」
「止めて頂戴よ本当に……」
とりあえず必要な量の証言は得られたと言う事で一度カラビーナは基地に帰ることにしたが此処で彼女は見過ごした。或いはもう居ないという感情になってしまったが故に視界に入らなかったのかもしれない。
カフェテリアの一角に座っている二人の戦術人形の存在に気付けなかった。その姿は彼女が見た書類の写真と瓜二つであり、だが違いがあるとすれば片方の服装は真っ黒であり、もう一人の方は白髪であるという点だろう。
「なぁ、やっぱり此処ってなんか違うだろ」
「姉さんもそう思いますよね?」
「こんにちはお二人さん、ちょっと相席良いかしら?」
突如として声を掛けられ驚きながら二人が見ればそこに居たのはベクターさん、彼女は微笑みを浮かべながら椅子に座りそれから
「さて、と。何処から話しましょうか、【M4A1】さんと【M16A1】さん?」
ではこの世界について、少しばかり語ることしよう。
ネタが浮かばないで手癖で書き始めるドルフロ始まるよー