マブラヴ火葬戦記 作:ポンコツ資源採掘重機駆除業者
帝国軍の戦術機連隊が合流し、突入に必要な戦力が揃った。帝国軍も部隊の一部をG元素確保に向かわせていたが、それでも九十機超の疑似太陽炉搭載機が来てくれた。戦力としてはこれ以上なく心強い。
「S-11点火」
いよいよ反応炉がある大広間へ突入する瞬間が訪れる。
『床面の崩落を確認。いけます!』
設置しておいたS-11が起爆し、轟音と共に床の一部が崩落した。開口部が生まれ、下層の大広間に崩落した瓦礫が降り注ぐ。
「いくぞ、全機突入せよ!」
『了解!』
部下たちと共に大広間へと降下しながら、直下のBETAへ攻撃を行う。眼下の空間には突撃級、要撃級、戦車級、闘士級、僅かに混ざる兵士級が所狭しとひしめいている。
大広間四方の壁や、崩落させた開口部以外の天井部にも張り付いているBETAの反応が多数。
そして最奥には多数の要塞級に守られている青白い光を纏った破壊目標――反応炉、あるいは頭脳級と呼ばれる存在が鎮座している。
「反応炉へのS-11設置は我らが引き受けよう。帝国軍は援護を頼む」
『了解した』
まず優先すべきは反応炉の破壊だ。
ハイヴを統括する現場指揮官であり、オリジナルハイブの上位存在との通信機でもある反応炉を破壊すれば、このハイヴは死ぬ。すると残ったBETAたちは交戦を止め、無抵抗のまま一目散に他のハイヴやオリジナルハイブへと撤退するから殲滅作業が容易になる。
「……ん?」
その時だった。大広間を激しい振動が襲い、機体センサが地中から迫る新たな脅威の反応を捉えた。
『データ照合……この反応、母艦級です!』
大広間の壁面を突き破り、複数の母艦級が姿を現す。ここにきてさらなる増援。戦況がさらに絶望的なものになる。
普通ならな。
「だが、こんなこともあろうかと、こっちも切り札用意してあるんだよ」
切り札その一。
帝国軍が温存していた大型GNメガランチャーを一斉にぶっ放した。
数十もの極光が大広間を埋め尽くすBETAの群れを薙ぎ払い、大広間を埋め尽くしていたBETAの数が一気に激減する。
母艦級が口を開いてBETAを補充しようとしているが、もう遅い。
「トランザムを使うぞ! お前たちも我に続け!」
『了解』
切り札その二。
俺の機体が、眩い光に包まれた。
部下たちの機体も同時に輝く。
斯衛軍仕様の陽炎には、ハイヴ攻略の切り札としてとある特殊なシステムを予め組み込んである。
トランザムシステム。
機体に蓄積してある高濃度圧縮粒子を全面解放することで、一定時間その機体スペックの三倍まで出力を上げることができる奥の手だ。
発動中は残像が生まれるほどの高速機動が可能になり、攻撃装備の威力、各種センサ類の性能も向上する。ただしこのシステムは大量のGN粒子を使用するため、使用後は粒子の再チャージまで機体性能が大幅に低下するなど、諸刃の剣の力でもある。
それでも。
「反応炉さえ破壊出来れば、十分だ」
母艦級の口にGNメガランチャーがぶち込まれた瞬間、俺の機体と部下たちが駆る斯衛軍所属の機体四機が一直線に反応炉へ向けて加速する。
反応炉を守るように残存していた要撃級や天井に張り付いていた戦車級、そして反応炉を守る要塞級の群れから放たれた衝角が飛びかかってくるが、
「残念だったな。それは残像だ!」
それらを超高速で掻い潜り、S-11設置の邪魔になりそうな個体だけを予知して瞬時に無力化した。
「お前たち、S-11設置も三倍の早さでやるぞ」
『無茶言わないでください、大佐!』
反応炉へ到着した俺たちは、訓練時の三倍の早さでS-11の設置作業を完了させた。
「全機GNフィールド展開! 今すぐ大広間から退避しろ!」
S-11の時限信管を起動させ、大広間で戦闘中の全機に告げる。
そして、味方の退避が確認できた直後。
床を崩落させた時のような轟音が響き、衝撃がハイヴ全体を揺らした。
「反応炉の様子は?」
『綺麗に吹っ飛んでます、跡形も無いですよ』
確認すると、反応炉は跡形もなく吹っ飛んでいた。
『残存BETA移動を開始』
『復讐戦でも始めようってか?』
『いえ、攻撃しても反撃してきません』
『なるほど尻尾まいて逃げるつもりか』
反応炉を失った残存BETAたちが一斉に動き始めていた。こちらには目もくれない。まるで潮が引くように、他のハイヴへと撤退していく。
その時、
『ようやく追いついたぜ!』
通信が入り、俺たちの背後から複数の機影が姿を現した。
『あとは任せなジャパニーズサムライ! こっからはオレ達騎兵隊の出番だぜ!』
『人類初の反応炉破壊の栄誉は取られちまったからな。せめて撃破数ぐらいは稼がせてくれよ!』
国連軍、欧州連合軍、米軍の戦術機部隊だ。
ようやく追いついてきた彼らは一斉に電磁投射砲を構え、撤退するBETAたちに砲弾の雨を浴びせた。
俺たちと帝国軍が道中のBETAを蹴散らしながら進んできたおかげか、弾が有り余っているようだ。
トランザムで使用した粒子の再チャージにはもう暫く時間がかかる。
残敵の追撃は彼らと帝国軍に任せよう。
人類初のハイヴ攻略作戦――海王星作戦は無事完遂された。
反応炉破壊という歴史的偉業を成した俺たちハイヴ突入部隊は、一機も欠けることなく地上へと凱旋した。
この作戦の成功は人類がBETAに勝てることを証明し、BETA研究や国際情勢にも多大な影響を与えた。
もぬけの殻となったミンスクハイヴの調査が行われ、かつてモニュメントが聳えていた跡地には研究基地の建設が始まった。
BETAの脅威が後退したポーランドやウクライナ、ベラルーシ等の一部東側諸国はワルシャワ条約機構を離脱。欧州連合への加盟を申請し、西側諸国の力を借りて祖国の完全なる奪還と復興を目指すことを宣言した。
前線の押し上げと新たな加盟国を得た欧州連合は、民衆に向けて戦果を大々的にアピールしていた。その裏では他の東側諸国に対して支援と引き換えに民主化や東側陣営からの独立を促す外交戦を強かに展開しているようだ。
ステルス機によるG元素のネコババに失敗し、取り決め分のG元素しか確保できなかった米国では、研究が難航している抗重力機関をより単純な臨界超過反応兵器として応用する別計画を推進している派閥が台頭しつつある。
G元素の確保に成功した我が国日本帝国は、抗重力機関の研究開発を加速させると同時に、今回の作戦で圧倒的な力を示した擬似太陽炉の技術を交渉の切り札に、次期オルタネイティヴ計画の誘致活動を開始した。
そして今回の作戦に参加しなかったソ連は、海王星作戦から半年後、張り合うように東側主導のハイヴ攻略作戦を決行した。
だが、国家の威信を賭けたこのハイヴ攻略作戦は失敗。作戦に参加したソ連軍、中国軍、ワルシャワ条約機構軍はその七割超の戦力が文字通り消滅した。
後のソ連崩壊の一因となる歴史的な大敗だった。
☆☆☆
ソ連領アルハンゲリスク州ヴェリスク。
ヴェリスクハイヴのモニュメントが聳え立つこの地では、現在地獄絵図が広がっていた。
「なんだ……あのふざけた個体は……」
疑似太陽炉搭載戦術機こそ用意できなかったが、ソ連軍はハイヴ攻略のために劣化模倣品の小型電磁投射砲を多数用意。海王星作戦で有効性が証明された低軌道爆撃やハイヴへの軌道降下突入なども実行した。
だが、作戦は失敗した。
「ライブラリに該当ありません」
「まさか……新種の光線属種……だと!?」
レーザー照射パターンが変化し、執拗なまでに戦術機を狙うようになった光線級。照射インターバルが短縮された重光線級。そして、突如出現した新種のBETAの猛攻に晒された地上部隊、軌道降下部隊は、その殆どがなすすべもなく消滅。
「映像、出ます」
作戦司令部のスクリーンに映し出された新種の姿を見て、軍の高級将校、政治将校問わず皆絶句した。
光線属種の群れを率いるその新種は、九十メートル近い巨体を持つ異形の個体だった。
要塞級の装甲脚に支えられた胴体には、重光線級と同等と思しき照射膜が三基ずつ、計九基。
主体節上部両側面には一対六本の翼状の器官。下部には要塞級と同等の大型衝角触腕。
胴体下部の左右には、黄色い粒のように格納されている五十以上の小型衝角触腕を備えている。
「未確認種に高熱源反応ッ! 急速に増大中――」
映像に映し出されている九つの照射膜が一斉に光を帯びる。
そして――
放たれた極光が作戦司令部と、参加していた二万以上の残存兵力を一瞬で消滅させた。
照射時の放熱による上昇気流で厳冬のエヴェンスクに
後に超重光線級と呼称されるこの新種の登場によって、ハイヴ攻略の難易度は一気に跳ね上がった。
あ号くん「レーザー防ぐバリア持ちかつビーム撃てて、さらに通常の三倍の速さで襲ってくる災害からハイヴ守るために手持ちの資材で即席改造重機を今すぐ作れ(強制)」
現場監督の頭脳級「あの、超重光線級作ると他の重機作れなくなるから採掘ノルマが……」
あ号くん「ハイヴ守るの優先な。ノルマは超重光線級最低三体以上作った後に不眠不休で取り戻せよ」
頭脳級「そんなに作ったら年単位で採掘できねえよ……」
次回
転生チートオリ主「ラザフォート場とGNフィールド、さらにレーザー反射コーティング施して防御力底上げしたGN凄乃皇を開発、量産するぞー」
秘書「火力の方も申し分なさそうですね。150基のGNファングにGNメガランチャー並みの火力をグミ撃ちできるGNビームガン、衛星軌道上からモニュメントを貫通して地下の反応炉を破壊可能なGNブラスター…… 凄乃皇量産の暁にはBETAなぞあっという間に……」
あ号くん「チートやめろ」