マブラヴ火葬戦記   作:ポンコツ資源採掘重機駆除業者

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予定では原作開始前にBETAをオーバーキルするアンリミテッド火葬戦記編。

そして跳躍航宙艦の事故で並行世界に跳んだ後、三周目武ちゃんと一緒にもう一度BETAをオーバーキルするオルタネイティブ火葬戦記編の二章構成にするつもりです。


第二話

 

 

 

 

 俺が転生した確率時空は基本的に原作のマブラヴアンリミテッド、マブラヴオルタネイティヴの世界と同じ歴史を辿っている。だが、俺が転生した影響か少しばかりの差異もあった。

 

 西暦1958年。日本で政威大将軍や武家が存続していたり、第二次世界大戦中に日本ではなくドイツに原爆が落とされていたりと前世の俺が暮らしていた世界とは異なる歴史を歩んだこの世界の地球人類は、冷戦の最中に火星で未知の生物を発見した。

 

 この事実は科学者たちを狂喜させると同時に世界各国の大衆に大きな夢と希望を与えることになる。以降この世界の人類は火星生命との接触――火星有人探査を望む大衆の熱気に後押しされるように西側、東側陣営双方が莫大な予算を宇宙開発に投じ、その第一歩として本格的な月面開発を行なった。

 

 この宇宙開発ブームに乗じることができたおかげで、我が暁グループは急成長を遂げることができた。特に、大型探査機の組み立てや宇宙ステーション建設に利用されるMMU(有人機動装置)産業では我が社が独走している。

 

 そして西暦1967年。人類史を揺るがす大事件――ザクロボスコ事件が発生。国際恒久月面基地『プラトー1』の地質探査チームが、ザクロボスコクレーターを調査中に火星の生命体と同種と思しき存在を発見した。

 

 だがこのファーストコンタクトは惨劇となる。

 

 接触した地質探査チームは、一人残らずその生命体に食い殺されてしまった。この事件をきっかけに地球人類は初の地球外生命体との戦争に突入。人類に敵対的な地球外起源種――国連呼称でBETAと命名されたその生命体相手に地球人類は月面で敗走を重ねた。

 

 国際条約による規制や補給コストの問題があり、軽火器のみで圧倒的物量を誇るBETAに対抗せざるをえなかったからだ。

 

 西暦1973年には中国新疆ウイグル自治区喀什(カシュガル)にBETAの着陸ユニットが落下した。BETAの地球侵攻を受け、国連航空宇宙総軍司令部も恒久月面基地プラトー1の放棄と月からの全面撤退を宣言。戦場は月面から地上へと移った。

 

 地上で開始された中国軍対BETAの戦闘は当初中国軍が優勢だった。月面では運用できなかった重火器、航空兵器による爆撃が有効に機能したことが大きな要因だろう。

 

 この戦果を目の当たりにした中国政府は、優勢な戦況を背景に国連軍の派遣を拒否し、BETAを殲滅したうえで異星起源種由来の技術の独占を目論んだ。

 

 ところが、新たに出現した光線級の登場によって戦況は一変した。

 

 大気や気象条件で威力の減衰が期待できない程の高出力レーザー照射を行う光線級によって航空戦力が完全に無効化されてしまったのだ。

 

 航空戦力を封じられて戦況が不利になった中国政府は慌てて同じ共産圏のソ連軍に救援を要請。

 

 この時、参戦したソ連軍は原作とは異なり東側陣営を代表する超大国としての意地を見せた。ソ連自慢の圧倒的火力と物量で飽和攻撃を行い、さらには戦術核まで容赦なく用いて一時的にBETAを圧倒してみせたのだ。

 

 だがいくらソ連軍といえど、中国軍が初動を誤ったせいで落着ユニット降下地点地下に張り巡らされた巨大なBETAの巣――ハイヴ攻略まではできなかった。

 

 巣であるハイヴが健在である限り、BETAは増殖し続ける。中ソ連合軍が手をこまねいている間にハイヴは急速に成長し続け、犠牲を出して一時的に間引いたBETAの個体数もあっという間に回復されてしまう。

 

 さらに追い打ちをかけるように、これまで物量頼みの正面突破ばかりを行っていたBETAが、突如母艦級を用いた大深度地下侵攻という中ソ連合軍が想定していなかった地下からの奇襲を実行。

 

 この想定外の奇襲により大損害を負ったことで、原作以上に頑張っていた中ソ連合軍もついにBETAの物量に抗しきれなくなり、やむを得ず戦術核による焦土作戦へと移行した。

 

 だがいくら戦術核を用いても、増えすぎたBETAにはあまり効果がなかった。

 

 原作以上の物量で、早期に戦術的な行動をとるようになったBETAによって、ユーラシア大陸中央部は瞬く間に制圧されてしまった。

 

 そして今年1974年七月。原作通りカナダ、サスカチュアン州アサバスカにも二つ目の着陸ユニットが降下した。このユニットに対しては、米軍が喀什の教訓を生かし着陸とほぼ同時に戦術核の集中運用を行いBETAを殲滅。引き換えにカナダの半分が汚染され人は住めなくなったが、BETAの脅威は未然に防がれた。

 

 同年、その米軍が新たに対BETA戦用の人型兵器を実戦配備した。

 

 その兵器の名はF-4ファントム。

 

 人類初の戦術歩行戦闘機――即ち戦術機である。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 マブラヴといえば戦術機。

 そう言っても過言ではない。

 

 帝国軍が用意した新兵器試験場。その広大な敷地では、現在二機の戦術機が相対している。

 

 片方は日本帝国が米国から購入し、一機だけ納入されたF-4ファントム。肩部が非常に大きく、腰部分に戦闘機をそのまま装着したような巨大な跳躍ユニットを持つやや角張った体型のロボットだ。

 

 原作では北米の防衛線や最前線に近い欧州への供給が優先され、肝心のF-4が納入されずに武装のCIWS-2(74式近接戦用長刀)のみが先んじて納入されるという珍事が起きていたが、この世界では長刀と一緒に一機だけではあるが確かにF-4が納入されていた。

 

 最前線の遥か後方に位置し、供給順序がかなり低いはずの帝国に何故一機だけとはいえF-4が納入されたのか。それはおそらく、我が社が発表した国産戦術機との性能比較のためだろう。

 

「有田よ。米国のF-4と其方の作った『鳳翔』……どちらが勝つと思う?」

 

 今回の戦術機性能試験を見に来ていた斑鳩家の当主が尋ねてきた。嫁の実家と斑鳩家は繋がりが深く、その縁もあって現斑鳩公とは大変仲良くさせてもらっている。

 

「『鳳翔』が勝ちます」

 

「ほう、断言するか」

 

「当然です。我が社が誇る技術の総力を結集し、機体衛士には斯衛から最も適正が高かった者を選抜いたしました。万に一つも負けるはずがありません」

 

 そう言って俺は、我が社がこの性能試験へと送り出した戦術機に視線を向ける。

 

 F-4に比べて全体的にスマートかつシャープな体型。

 加えて、F-4のものよりもさらに大型かつ洗練された跳躍ユニットを搭載しているこの機体の名前は『鳳翔』。

 

 てっきり原作の『F-15J陽炎』と似た見た目をしているから『陽炎』の名を与えられると思ったが、正式採用を決定した帝国軍はこの機体に『鳳翔』の名を与えた。

 

「そうかそうか。確かにやや無骨な印象を受けるF-4に比べ、其方の鳳翔の姿は流麗よな。だが、それゆえに装甲が薄く、人命を軽視しているようにも見えるが……」

 

「ご安心ください。鳳翔の装甲には我が社が開発した非常に高い硬度を誇る最新の炭素素材を使用しています。防御力も折り紙付きですよ」

 

 鳳翔の装甲には我が社が開発した最新の炭素素材――Eカーボンが用いられている。この新素材はカーボンナノチューブのおよそ二十倍の引っ張り強度を持っている。Eカーボンを装甲に採用したことで、鳳翔は装甲を削りつつも高い機動力と防御力の両立を実現させることができた。

 

 他にも鳳翔は電磁投射砲を運用可能な大出力ジェネレーター。

 

 原作では第三世代から搭載されるOBLシステム――人間の操縦を直接駆動系に伝えるのではなく、途中にコンピュータ処理を介在させることで機体制御を安定させ、この一連の機体内部の情報伝達に導線ではなく光ファイバーを使用することで操作系の反応速度を向上させるシステム。

 

 さらには、高性能CPUとのセットで再現できた原作の傑作OS――XM3も搭載している。

 

「断言します。この性能試験では火力、機動力、防御力……すべてにおいて鳳翔がF-4を圧倒するでしょう」

 

 今回のF-4対鳳翔の性能試験は、実質第一世代第機対第二……いや第三世代戦術機相当の機体の戦いだ。余程衛士がポンコツでもない限りまず負けることはないだろう。

 

 その後、俺の予想通りに斯衛軍から選抜した衛士――巌谷榮二が駆る鳳翔は、小型化に成功した電磁投射砲を装備し、あらゆる試験項目でF-4を圧倒してみせた。

 

 

 





なお、最前線にめちゃ強戦術機が届くのは大分先になりそう……

日帝「うおぉー鳳翔最強! 電磁投射砲最強ッ!! え、最前線で瀕死の東側の連中が今すぐにでも鳳翔と電磁投射砲欲しいと? スゥ……上げません……国防優先なので他国には上げませんッ!!」

米帝「そんなアホみたいな高性能量産機売られたらF-4売れなくなるだろうがッ! ……それはそれとして同盟国の日本くん、技術欲しいから明日にでも戦術機共同開発しようぜ(強制)!」

最前線の東側諸国「寄越せぇ! 今すぐその戦術機と電磁投射砲寄越せぇッ!!」

次回、ワルシャワ条約機構死す!
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