マブラヴ火葬戦記   作:ポンコツ資源採掘重機駆除業者

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第三話

 

 

 

 

 西暦1975年。進撃を続けるBETAによって喀什、イラン領マシュハドに続きソ連領カザフスタン州ウラリスクでもハイヴ建設が始まった。

 

 この報告を受けてソ連共産党政府はハバロフスクへの首都機能移設を決断。国内主要産業や軍需産業の疎開を開始した。

 

 そのソ連からは度々鳳翔や電磁投射砲の供給依頼が届いている。最近F-4の自国ライセンス生産機であるMiG-21バラライカの配備をようやく開始したソ連だが、やはりBETA相手には厳しい戦いを強いられているようだ。

 

 ……自国の国防最優先の帝国政府と西側陣営を仕切っている米国がなかなか首を縦に振らないから、現在進行形でBETAに蹂躙されている東側陣営の国々に鳳翔や電磁投射砲を輸出するのはまだ難しいだろうなあ。

 

 一方帝国軍への鳳翔の配備は順調に進み、米国でのライセンス生産も決定した。最前線で疲弊している東側諸国を尻目に、後背国である日米の戦力は着実に増強されつつある。

 

 

 

 西暦1976年。BETAがソ連領ヴェリスク・ミンスクの二ヶ所に新たなハイヴの建設を開始した。ワルシャワ条約機構軍もBETA相手に大敗し、東欧一帯もBETAに制圧されてしまった。

 

 日本では曙計画が始動。原作では帝国軍・民間企業合同の戦術機開発・運用技術研修プロジェクトだったが、この世界では事実上の日米共同の新型戦術機開発になっていた。

 

 日米の技術を結集して帝国軍、斯衛軍、米軍それぞれの要求に添って鳳翔をベースにした改修機を作るつもりらしい。

 

 この計画実現のために日本からは原作のスピンオフ作品『トータルイクリプス』のヒロイン篁唯依の父篁裕唯や巌谷榮二らが。米国からは戦術機開発の天才フランク・ハイネマンや『トータルイクリプス』の主人公ユウヤ・ブリッジスの母ミラ・ブリッジスらが参加予定である。

 

 たぶん原作通りに篁裕唯がやらかしてミラ・ブリッジスがユウヤ・ブリッジスを身籠ることになるだろう。

 

 しかし流石は世界最強の米国様だ。共同開発のためにと鳳翔の機体装甲に用いられているEカーボン、高性能CPUが必要不可欠なOS、さらには小型化に成功した電磁投射砲の詳細な情報開示まで要求してきやがった。

 

 米国側は今回のプロジェクトを利用して、なんとしてもうちの技術を吸収……いや、吸い尽くす気満々らしい。

 

 結局、帝国政府は同盟国である米国の圧力に屈し、鳳翔や電磁投射砲に関する詳細な情報を渋々米国へと提供。同盟国からほぼ接収に近い形で最新鋭機の機密情報を得た米国は、嬉々として共同開発計画と同時並行で独自の電磁投射砲を運用可能な次世代戦術機開発計画をスタートさせた。

 

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

「おのれ米国めッ!」

 

 新製品のプレゼンのために訪れた会合の場で、偉そうなおっさんが大声で米国のことを口汚く罵り始めた。まあこの偉そうなおっさん、実際に偉い人なんだが。

 

 余程米国の横暴に腹を据えかねていたらしい。日米共同戦術機開発の話題になった瞬間、この偉いおっさんは烈火のごとく怒りをあらわにした。

 

「よせ、殿下の御前であるぞ九條公」

 

 俺の隣に座っている斑鳩公が偉いおっさん――九條公を嗜めた。今この部屋には俺と五摂家のお偉方、そして上座におわす政威大将軍殿下が揃っている。

 

 この世界では歴史が史実と異なり、倒幕派大名と将軍家が大同団結して大政奉還が実現した。その影響で史実にはなかった煌武院・斑鳩・斉御司・九條・崇宰の五大武家――五摂家で構成される元枢府と呼ばれる摂政職を機関化した組織が存在している。

 

 米国で言うところの、大統領府のようなものであるが、この組織の長である政威大将軍は選挙で選ばれる訳ではなく、元枢府を構成する五摂家の当主衆から一人が皇帝によって任命されるのが慣例だ。

 

 一応、帝国にはこの組織と別に帝国議会も存在し、議会制民主主義の体を装っているが、事実上国事全権総代である政威大将軍を擁する元枢府の方を上位執政機関として位置づけていた。だが第二次大戦で米国に条件付き降伏した後、その本来の権限は大幅に抑制され、今では名誉職に等しい扱いとなっている。

 

「……申し訳ございません、殿下」

 

 諭されて冷静さを取り戻した九條公が殿下へと深く頭を下げた。

 

「よい。其方の怒り、私も良く理解できる」

 

 殿下は九條公を諫めつつも共感する様子を見せた。殿下も心の中では米国に対して思うことがあるのだろう。

 

「此度の件、其方には誠に申し訳のないことをした」

 

 殿下が俺の方へ視線を向けた。顔にどこかは申し訳なさそうな表情を浮かべている。我が社が開発したEカーボンや電磁投射砲の技術が、ろくな対価もなく米国の手に渡ってしまったことを気にしているのだろう。

 

「すべては私が不甲斐なかったせいだ……」

 

 殿下が詫びるように頭を下げた。

 

「お顔をお上げ下さい、殿下」

 

 正直に言えば、俺はそこまで気にしていない。まあ、米国の横暴には多少思うこともあるけど。

 

 それでもEカーボンや電磁投射砲程度の技術などさっさと世界中にばら撒いて、BETAを駆逐するのに役立ててほしいと思っている。

 

 でもそんなことを今この場で正直に口にすれば、斑鳩公はともかく他のお偉方が黙っていないだろう。やれ国家としての面子や威信だの、面倒な話を持ち出されるのは目に見えている。だから俺は慎重に言葉を選んだ。

 

「殿下のお言葉、痛み入ります。ですが此度の件、殿下の御責ではないと愚考いたします」

 

 一呼吸置いて続ける。

 

「すべては外交の場で技術供与の条件を十分に詰め切れなかった、外務省と現政権の不手際でございましょう。殿下が頭を下げられる必要はございません」

 

 殿下を悪者にせず、矛先を現政権の外交手腕の不味さに向ける。これなら殿下の面子も保たれるし、お偉方も「その通りだ」と納得しやすいはずだ。案の定、九條公をはじめお偉方が一斉に頷いた。

 

「有田殿の仰る通りかと」

 

「うむ、現政権の弱腰外交には常々……」

 

 よし、政権批判の流れで丸く収まった。そろそろ新製品のプレゼンするか。

 

 謝罪合戦が一段落したところで、俺は隣の斑鳩公に目配せする。すると斑鳩公が小さく頷き返し、すぐに動いてくれた。

 

「殿下、この場をお借りして一つ。暁グループ総裁、有田より新兵器についてご説明がございます」

 

 事前の打ち合わせ通りに、斑鳩公が手早く場を整えてくれた。俺は待ってましたとばかりに持参した資料を殿下とお偉方の前に並べる。

 

「本日ご説明申し上げますのは、我が社が開発している次世代戦術機……」

 

 資料に目を通した殿下の目が驚愕するように見開かれた。

 

「擬似太陽炉搭載戦術機についてです」

 

 俺は胸を張って、既存の戦術機とは隔絶した性能を持つ新たな兵器の説明を始めた。

 

 すまんな米国。たぶんそっちが我が社の技術を盗用して開発中の次世代戦術機、すぐに旧式化すると思う。

 

 

 

 





米国「えっ、こんなに機密情報貰っていいんですか!?」

転生チートオリ主「ああ、しっかり糧にしろ」

米国「うめ……うめ……(これで世界最強の次世代機作れるぜ!」

転生チートオリ主「(と思っていたお前の姿はお笑いだったぜ)これより我が社は擬似太陽炉搭載戦術機の量産を開始する!」

次回シュタージ、燃ゆ
全ハインツ・アクスマンファンのみなさんには先に謝罪しておきます……
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