マブラヴ火葬戦記 作:ポンコツ資源採掘重機駆除業者
※ちなみにこの世界では原作より全盛期ソ連軍が頑張ったので、対ソ連軍に適応したBETAの物量増加やハイヴの成長速度向上などのバタフライエフェクトが起こっています。母艦級も積極的に使って来ます。ただし、東側にも高性能OSXM3関連技術だけは輸出されているので、光線級は毎回アクロバティック光線級吶喊で狩られています……
海王星作戦開始と同時に、集結した艦隊による砲撃とミサイルの雨が上陸を阻むように押し寄せる沿岸部のBETA群へと降り注いだ。砲撃は途切れることなく続き、重金属雲と遠目にも分かるほどの爆炎と土煙が沿岸を覆い尽くす。
この砲撃に乗じて橋頭堡確保のために米軍の水陸両用型強襲歩行攻撃機A-6、米海兵隊戦術機部隊が続々と浜辺へと降り立った。
「凄い……」
戦術機揚陸艦で待機していたウルスラは思わず息を飲んだ。観測されていたBETAの反応を示す赤い光点が異常な勢いで消失していったからだ。
沿岸部では、上陸した米海兵隊の機体が構えた小型電磁投射砲から、光線のような極超音速の砲弾が絶え間なく射出されていた。突撃級の正面装甲すら正面から粉砕するその砲撃が、津波のように押し寄せてくる最前列の突撃級を次々と吹き飛ばしていく。
さらに沿岸部のBETAを殲滅し、橋頭堡の確保が宣言されると、空母や戦術機母艦から発進した日米の最新鋭機が続々と戦場に降り立つ。鳳翔、翔鶴、F-14、F-15といった、いずれも手に小型電磁投射砲を携えた高性能戦術機たちが、押し寄せるBETA群を非常識な早さで駆逐していく。
本来重金属雲濃度が高まれば不安定になるデータリンクも、今回の作戦に投入された戦術機たちの間ではまったく乱れていない。連携して小型電磁投射砲をぶっ放す高性能戦術機たちの活躍で作戦の第一段階――旧グダンスク基地等の奪還に成功した。
その一方的な蹂躙劇は、ウルスラたちの日常である過酷な戦場の光景とはあまりにもかけ離れていた。
奪還された旧基地跡にまず運び込まれたのは、米軍の大型コンテナ群だった。戦術機の整備施設を丸ごと一式輸送し、あっという間に機能する整備拠点が出来上がっていく。
続いて目を引いたのが、日本帝国が持ち込んだ暁重工製兵器製造システムだった。ミキサー車のミキサー部分に似た奇妙な外見の機械は、設置されるとすぐに稼動を開始した。
この機械は3Dプリンタ方式の高速生成機らしく、戦術機の部品や作戦支援に活用されるドローン兵器、電磁投射砲を装備した多脚無人自律稼動兵器等を次々と吐き出し始めた。
「……まだ半日も経っていないぞ」
ウルスラと一緒に基地の様子を見て回った上官のアイリスディーナが、思わずそんな驚愕の声を漏らしていた。
他の東側の兵士たちも、口々に言葉を失っている様子だった。
たった半日程度で復旧させた急造の基地でありながら、この場所には東側諸国の本国基地を超える生産、整備能力が備えられていた。滑走路も舗装され、基地の外にはズラリと生産されたばかりの無人自律兵器たちが並んで待機している。
西側の、特に日米の技術力と戦力は、自分たちとはあまりにもかけ離れた次元にある。その事実をはっきりと見せつけられた。
海王星作戦は第二段階に移行した。
内陸部に侵攻し、前線を押し上げてミンスクハイヴ内のBETAを釣り出し数を減らす突入準備が作戦第二段階の内容だ。
突入準備が完了次第、衛星軌道上で待機している今作戦の切り札――擬似太陽炉搭載機を主力とする軌道降下部隊がハイヴへと突入する手筈になっている。
『なんなの、これ……』
『この規模の包囲殲滅作戦を成立させるなんて……』
凄まじい勢いでBETA梯団の反応が消滅していく。
通信越しに、仲間たちの唖然とした声が聞こえてきた。
近接戦闘に不慣れな西側の軍を主力としている連合軍は可能な限り安全な方法で内陸部のBETAを殲滅するため、あくまで面制圧にこだわった。
そこであらかじめ布陣した部隊が遅滞戦術でBETAを誘引し、その間に電磁投射砲を多数配備している日米軍を中心に包囲網を完成させ、敵を包囲殲滅する作戦が実行された。
『これが我々と西側との差か……』
BETA群が文字通り溶けていく。
BETAに国土を蹂躙されて疲弊している東側の軍には到底不可能な、大艦隊による潤沢な火力支援と電磁投射砲による面制圧攻撃が侵略者たちをあっという間に肉片へと変えてしまった。
本当に自分たちの力は必要なのか?
東側の軍人たちがそんな情けない感想をつい抱いてしまうほど、作戦に参加している西側(主に日米軍)の力は圧倒的だった。
だが……
『国連軍司令部より緊急入電。ポーランド内陸部より、新たなBETA梯団が出現』
作戦完遂目前にして、突如新たなBETA群が出現したことで状況が一変した。
『前線部隊の一部が壊走中! 前線にいた欧州連合軍の二個戦術機大隊にも被害発生! 至急阻止攻撃を……』
光線級が多数含まれていたその梯団の出現地点は包囲網の外だった。CP(コマンドポスト)から悲鳴のような損害報告が次々ともたらされる。
最悪の事態にウルスラは思わず背筋を冷やした。
『……ようやく、我々の出番だな』
それでも部隊長のアイリスディーナだけは報告を聞いても冷静だった。まるで、最初から包囲殲滅による面制圧作戦が失敗するのを予想していたかのように。
『貴隊の任務はBETA梯団に含まれている光線級の殲滅だ。
『了解した。シュヴァルツ全機、我に続けぇっ!』
包囲網の外に出現したBETA群に対処するため、アイリスディーナは司令部に対して光線級吶喊を行うことを進言した。
司令部はこれを了承。
アイリスディーナに率いられたウルスラたち東ドイツ第666戦術機中隊は、BETAに有効なフェニックスミサイルと小型電磁投射砲を装備している米海軍第103戦術歩行戦闘隊と共にBETA群へと突入する。
『各機、速度を緩めるな! 幸い、光線級は一箇所に固まっていたようだ。進行方向のBETAの動きに集中しろ!』
光線級吶喊はBETA群を盾にしつつ高速で光線級に接近し、掃討するという困難極まりない戦術だ。
だがウルスラたち第666戦術機中隊は、そんな困難極まりない戦術を何度も成功させてきたプロ中のプロである。
『なんだ、あいつら!?』
『奴ら、クレイジーだ!』
666中隊のバラライカたちが、手慣れた様子でBETA群の中をすり抜けていく。その際に、手際よく必要最低限のBETAだけを撃破して、米軍機の進行ルートをしっかりと確保していた。
おかげで、米軍は消耗を抑えた状態で光線級のいるBETA群の最奥へと辿り着くことができた。
自分たちが乗るF14より性能が劣る第一世代戦術機のバラライカでこれほどの成果を上げた666中隊の衛士たちの練度に、米軍衛士たちは称賛の声を浴びせまくった。
『あとは俺たちに任せてくれ! 全機、電磁投射砲で最後の道を切り開け!』
最奥では要塞級の群れが光線級を守る壁のように待ち構えていた。
だが、米軍には要塞級でさえ正面から粉砕できる小型電磁投射砲がある。
極超音速で射出された弾丸が要塞級を次々と蜂の巣にし、壁となっていた巨体が崩れ落ちていく。
そして、
『翔べ、フェニックス! オールジョリー・ロジャース、フォックス1ッ!』
放たれたフェニックスミサイルが光線級を焼き払った。
だが喜びも束の間……
「やった……やりました! これで――」
光線級吶喊の成功を見届けたウルスラの口から歓喜の声が上がりかけた、その瞬間だった。
突如地面が激しく鳴動した。
直後、地中から土を押し割るように複数の巨大な影が這い出してくる。
それらは巨大なワームのような姿をしていた。
『おいおい、このタイミングで新手かよ!?』
全長1600mを超える巨大BETA母艦級。
地中を掘り進んで移動し、目標地点の近くに現れて大量の埋めつくさんばかりのBETAを吐き出す超弩級戦艦の主砲ですら目立った損傷を与えることができない堅牢な外殻を持つ個体。
その母艦級が計三体。
現れた母艦級の口から、要塞級と光線級が再び戦場に溢れ出す。
「そんな……」
光線級のつぶらな瞳が満身創痍の戦術機たちに向けて照準を合わせる。
ウルスラ機の操縦席でも、けたたましい光線照射警報が鳴り響いた。
今際の際。
瞼の裏に、父や戦場で知り合った仲間たちの顔が浮かんだ。
ウルスラ・シュトラハヴィッツが死を覚悟したその瞬間……
光線を遮るように、橙色の光を纏った天使が戦場へと舞い降りた。
あ号くん「最近うちの高価な重機ばかりやられる災害多発してるから、対処しとくか」
次回ハイヴ、燃ゆ……
テロドール「次の爆破テロの標的はこいつか(母艦級を見ながら)」
あ号くん「え、ちょっ!?」
擬似太陽炉搭載機で武装した帝国軍「日本帝国軍や! 反応炉への道開けんかいゴラァッ!」
あ号くん「やめやめろ」