ブリーフィングルームを後にしたコドモたちの足音が、冷たい金属製の廊下に重く反響していた。
「なによあいつら! 連携がどうとかとか言って!」
ミクが怒りを爆発させる。それに同調するように、ゾロメも拳を振り回しながら憤慨していた。
「そうそう! バックアップなんて、完全に俺たちを足手まとい扱いしやがってよ。ちくしょう!」
「でも……」
その横で、ツグミが少し怯えたように肩をすくめていた。
「およそ250体だろ? しかも、さらに増えるかもしれないって……今までと桁が違う。本当に俺たちだけで、後方支援とはいえ、防衛ラインを維持なんてできるか……?」
「おいおい、ツグミ! 何弱気になってんだよ!」
歩みを緩めたツグミの背中を、ゾロメがバシッと力任せに叩いた。
「俺たちの強さ、あいつらに見せつけてやればいいんだろ? ビビってたら勝てるもんも勝てねえぜ!」
「……私は、向こうの意見に賛成だよ」
その場に、冷や水を浴びせるようなナオミの声が響いた。
ピタリと、全員の足音が止まる。
廊下に、気まずい静寂がじわじわと降り積もっていく。全員の視線が、歩みを止めたナオミへと集まった。
ナオミは俯き、自分の胸元をぎゅっと握りしめていた。その視線は、少し前を歩くヒロの背中に向けられている。
「ストレリチアをここに置くべきじゃない。味方の命を何とも思わないような人と、一緒に戦うなんておかしいよ。ヒロ、あなただって分かってるでしょ? 2年前のパートナーだって、彼女のせいで……」
「大丈夫だよ、ナオミ!」
ヒロがその言葉を遮るように振り返り、無理に作った明るい笑顔を浮かべた。
「そんなに心配しなくてもさ。俺たちの力、あいつらにも見せてやろう!俺だって、ちゃんとやれるから」
誤魔化すように、ヒロはあえてゾロメたちのテンションに合わせようとする。その必死な様子に、ゾロメがすかさず「そうだぜ!」と乗っかった。
「弱気になってんじゃねえよナオミ。俺たちなら楽勝だって!」
ナオミは、ヒロのその頑なな態度に奥歯を噛みしめた。もう、彼自身に何を言っても止めることはできない。
震える手で、ナオミはイチゴとゴローに向き直った。
「……イチゴ、ゴロー。二人からも言ってよ。リーダーでしょ? ヒロを、あの機体に乗せちゃダメ……!」
縋るような、ナオミの悲痛な懇願。
イチゴとゴローは一瞬、お互いに視線を交わした。
イチゴの瞳には、ナオミと同じ、いや、それ以上のものが渦巻いていた。けれど、ヒロの「飛びたい」という悲痛なまでの願いを誰よりも理解し、尊重したいと思っているのも、また彼女だった。そしてゴローもまた、部隊の現実的な戦力差とヒロの決意を無視して引き止めることはできないと分かっていた。
二人は一瞬だけ目を合わせた後、耐えかねたように、同時にナオミから目を背けてしまった。
「……っ」
誰も、自分の声を聞いてくれない。ナオミは力なく拳を握りしめ、ただその場に立ち尽くすしかなかった。
その緊迫したやり取りの後ろで、イクノはそっとクロの顔を覗き込んでいた。
クロは先ほどから、自分の胸に手を当てたまま、酷く困ったような表情を浮かべている。ゼロツーの「弱いやつは死ぬ」という言葉が、まだクロの心の中でトゲトゲしく暴れているのだ。
「クロ……大丈夫?」
イクノが努めて穏やかな声で話しかける。
クロは視線をイクノへと向け、少し眉を下げて困ったように笑った。
「うーん……なんかね、ここがずっとモヤモヤするの。こういう時、どうしたらいいか分かんなくて」
そう言って、クロは廊下の窓から見える、ミストルティンの青々とした森に目を向けた。
「ねえ、イクノ。ミストルティンのどこかで、少しだけお昼寝しない? 葉っぱの音がして、風が気持ちいいところで。そこだったら、このモヤモヤもスッキリするかも」
クロは無邪気な瞳でイクノを見つめた。
「イクノも、一緒に寝てくれたら嬉しいな」
少し、イクノは驚いたように目を見開いた。出撃前のこの緊迫した状況での昼寝。けれど、張り詰めすぎた心をほぐすには、それが一番必要なことなのかもしれない。何より、自分自身もこの空気から、少しだけ離れたかった。
「……そうね。気分転換も兼ねて、少しだけ付き合うわ」
「うん! ありがとう、イクノ」
クロの表情に、ようやく少しだけ明るさが戻る。
激しい嵐が近づく中、二人は静かに、短い休息を求めて歩き出すのだった。
─────
寄宿舎の入り口で、お昼寝に向かうクロとイクノと別れた後、残されたメンバーはそれぞれミストルティンの中へと戻り各々自由に行動していた。
「ほらフトシ、そっち行ったぞ! 受け止めな!」
「わ、わわっ! ゾロメ、いきなり強く投げすぎだよ~!」
「あはは! フトシ、足がもつれてるぞ!」
中庭の芝生の上で、ゾロメ、フトシ、ツグミの3人が大きなゴムボールを追いかけ、声を掛け合って遊んでいる。ブリーフィングルームで『250体以上の叫竜』という数を受けても無邪気に遊んでいた。
そんな彼らの姿を、中庭に面した壁際に一人で立ち、イチゴは静かに見つめていた。
(ヒロ……)
イチゴの胸の中にあるのは、ただ一つの願いだけだった。
──ストレリチアに、もう乗らないで欲しい。
けれど、それを本人に伝える術を、イチゴは持っていなかった。
イチゴの脳裏に、あの赤い角の少女の姿が浮かぶ。ヒロにとって、ゼロツーという存在は一体どのように映っているのだろう。
かつて、フランクスに乗れず、落ちこぼれとして一人で暗闇を彷徨っていたヒロ。幼馴染としてずっと隣にいたはずなのに、イチゴは彼を救い出すことができなかった。どれだけ手を伸ばしても、彼に飛ぶための翼を与えることも、フランクスを動かす喜びを取り戻しすこともできなかった。ヒロの一番の理解者でありたかったのに、何もしてあげられなかったことへの強い悔しさが胸を焦がす。
それなのに、あの子は突然現れて、いとも容易くヒロを暗闇から引っ張り上げ、その背に特別な翼を授けてしまった。
(私じゃ、ダメだったのに……)
自分には逆立ちしても出来なかったことを、あの子は簡単に成し遂げた。ヒロを自分たちの手の届かない高みへと連れていき、彼を誰よりも輝かせてみせた。
その存在に対する嫉妬。ヒロが命を削ってでもあの少女を望み、彼女だけを特別に見つめているという事実が、イチゴのプライドと心をかき乱していく。
死に近づいているヒロが、ゼロツーの隣にいる時だけは、どうしようもないほどに輝いている。
それを思い知らされるたびに、イチゴの胸は引き裂かれそうなほどの痛みに支配される。
「……イチゴ」
不意に横から声をかけられ、イチゴはハッと肩を揺らした。
いつの間にか中庭にやってきていたヒロが、何も言わずにイチゴの少し隣の壁へと、同じように背中を預けた。視線はゾロメたちに向けられたままだが、ヒロの顔にはいつもの優しい影があった。
「大丈夫?……なんだか、すごく難しい顔をしてたから」
ヒロは少しだけ顔を傾け、隣に立つ幼馴染を気遣うように覗き込んだ。
そのいつもと変わらない、どこまでも自分を心配してくれるヒロの優しさが、今のイチゴにはひどく残酷に思えた。イチゴは組んでいた腕をそっと解き、俯きながら、ずっと胸の奥に燻っていた問いを口にした。
「……ねえ、ヒロ。怖くないの?」
絞り出すような声だった。イチゴは顔を上げないまま、言葉を続ける。
「ストレリチアに乗るのが、怖くないの? ……だって、あの子と3回乗ったステイメンはみんな……ヒロも、次で3回目なんだよ?」
『パートナー殺し』
その噂と、先ほど090が叫んだ過去の悲劇が、イチゴの声を震わせる。
しかし、ヒロから返ってきたのは、怯えも動揺もない静かな沈黙だった。
イチゴがたまらずヒロの顔を見ると、そこにあったのは、迷いをすべて落としたような、深く覚悟を決めた表情だった。
ヒロは中庭の空を真っ直ぐに見つめながら、静かに、けれど揺るぎない声で言った。
「……怖くないわけじゃないよ。でも、俺にはこれしかないんだ」
「……っ」
イチゴはスカートの裾を巻き込むようにして、ギュッと強く握りこぶしを作った。
悔しさと、悲しさと、やり場のない感情が指先へ集まっていく。一瞬だけ、ヒロの横顔を強く睨みつけるように見つめたが、イチゴはすぐに視線を逸らし、中庭で笑い合っているゾロメたちへと目線を向けた。
これ以上、自分が何を言ってもヒロを止めることはできない。ならば、部隊のリーダーである自分がすべきことはただ一つだ。
「……私も、覚悟決めなきゃ」
ヒロには聞こえないほどの小さな声で、自分に言い聞かせるようにポツリと呟くと、イチゴはヒロの返事を待つことなく、静かにその場を立ち去っていった。
残されたヒロは、遠ざかっていくイチゴの背中を、ただ黙って見つめていることしかできなかった。
寄宿舎に戻ってからも、ナオミの胸のざわつきは一向に収まらなかった。
自室のベッドに横になって目を閉じてみても、冷たい水で顔を洗ってみても、温室の花々を眺めていても、どうしてもブリーフィングでのあの光景が頭から離れない。
『2年前の共同戦線』
『当時のパートナーを失った』
『弱いやつは死ぬ。それだけでしょ』
ゼロツーの言葉と、それを受け入れてストレリチアに乗ろうとするヒロの横顔。考えれば考えるほど頭の奥が重く脈打つ。もうこれ以上は耐えられなかった。
すがるような思いでミストルティンの森へと足を踏み入れ、あてもなく歩いていたナオミは、やがて木々の隙間に、小さく開けた日の差す場所を見つけた。
立派な大木の根元。そこに二人はいた。
イクノが静かに本を開いて座っており、その膝の上には、クロが横たわっている。
クロはイクノの膝を枕代わりにしながら、静かに目を閉じていた。その寝顔は眠りを楽しむようではないものの、穏やかに眠っていた。
イクノは視線を本に落としたまま、空いたもう片方の手で、クロの頭をゆっくりと、何度も撫でていた。クロの不安を少しでも吸い出そうとするかのような、優しい手つきだった。
カサリ、とナオミが小さく草を踏みしめる音が響く。
イクノは本から視線を上げると、ナオミの姿を認めても驚くことはなかった。ただ静かに人差し指を自分の唇に当て、小さく「しーっ」と合図を送る。
ナオミは慌てて口元を手で押さえ、小さく頷いた。
そして、二人の時間を邪魔しないように、少し離れた木の根元へと、疲れた体を引きずるようにしてそっと腰を下ろした。
森の冷たい空気が、熱を持っていたナオミの額を優しく撫でていく。
「……ナオミ。あなたも、少し疲れているみたいね」
クロを起こさないように細められた、ささやくようなイクノの声。
ナオミは弱々しく笑い、膝を抱え込んでそこに顎を乗せた。
「……うん。ちょっと、考えすぎちゃって。気分転換しに来たの……イクノは、こういう時でもいつも本を読んでるの?」
「そうね……」
イクノは手元に視線を落とし、ページの端を静かに指先でなぞった。
「何かを読んでいる時は、少しだけ『ここ』から離れられる気がするの……そうでもしないと、余計なことばかり考えてしまうから」
「そっか……イクノも、考えちゃうんだ」
「ええ。これでもね」
イクノは小さく自嘲気味に微笑むと、再びクロの柔らかな髪を指先で梳くように撫でた。
「でも、文字を追うだけで、頭の中が少し整理されるの……ナオミみたいに、自分の気持ちに真っ直ぐに向き合えるわけじゃないから、私はこうして逃げ道を作っているだけよ」
「逃げ道、か……私も見つけられるかな」
「……そう。なら、この本とか読んでみる?」
ナオミは小さく微笑み、木々の隙間から覗く青い空を見上げた。
先ほどまで自分の頭を支配していた焦燥感が、イクノの静かな語り口と、貸してくれた本を自分のペースで読む。それだけで、ほんの少しずつ和らいでいくのを感じていた。
─────
消灯前の女子部屋には、いつもとは違う、どこか張り詰めた空気が漂っていた。
パジャマに着替え、ベッドに入った後も、部屋に明るい会話が戻ることはない。ミクはどこか強がるような、けれど不安を隠しきれない表情でココロと小さく囁き交わし、ココロはそれを包み込むように優しく頷き返している。
ナオミは二人から背を向け、隠れるようにシーツを強く握りしめていた。
部屋の片隅では、イクノが手元の薄暗い読書灯だけを頼りに静かに本をめくっており、クロはすでにシーツにくるまって静かに目を閉じている。
やがてイチゴが静かに立ち上がり、部屋の明かりを消した。
部屋は一瞬にして深い闇と、月明かりの青い影に包まれた。
静まり返った女子部屋。
ナオミは天井を見つめたまま、何度も浅い呼吸を繰り返していた。どれだけ目を閉じても、昼間のヒロの覚悟を決めた顔が、ゼロツーの冷ややかな言葉が、暗闇の奥に浮かび上がってくる。
胸のざわつきに耐えかねたナオミは、これ以上ベッドの中にいることができず、静かに上半身を起こした。
カサ、とシーツがかすかな音を立てる。
周りのみんなを起こさないよう、慎重にベッドから足を下ろしたその時──
「……ナオミ?」
隣のベッドから、衣擦れの音と共に、寝ぼけた小さな声が聞こえた。
見ると、クロがもぞもぞと体を起こし、細められた瞳でこちらをぼんやりと見つめていた。まだ意識が半分夢の中に引っ張られているような、あどけない表情だった。
「ごめん、起こしちゃったよね」
ナオミは申し訳なさそうに、消え入るような声で謝った。
けれど、月の光が窓から差し込み、ナオミの顔をうっすらと照らした瞬間、クロの眠そうな瞳がわずかに見開かれた。
薄暗い光の中でもはっきりと分かるほど、ナオミの目元は涙の跡で赤く腫れていたのだ。それに気づいたクロは、驚きで一気に眠気が吹き飛んでいくのを感じた。
「ナオミ……泣いてるの?」
「え……」
ナオミは慌てて自分の両手で目元を覆い、無理に作った笑顔を浮かべて首を振った。
「ううん、なんでもないの。……ちょっとお水飲んでくるだけだから」
そう言って、ナオミは逃げるように立ち上がり、部屋の入り口へと歩き出す。
けれど、クロはそのまま布団に戻ることはできなかった。
今にも消えてしまいそうな震えた声と涙の跡。
それを見たら、どうしても放っておくことなんてできなかった。
「……待って」
クロはシーツをはねのけ、ベッドから静かに床へと降りた。ナオミの引き止めるような視線をそっと受け止めながら、真っ直ぐに彼女の前に歩み寄る。
「……私、話、聞くから」
いつもの抑揚のない声。けれど、その瞳には「力になりたい」というまっすぐな強い意志が宿っていた。
「……クロ」
「行こう。ここで話すと、みんな起きちゃう」
クロはナオミの手首をそっと優しく包み込むと、静かに部屋の扉へと促した。ナオミはこらえていた涙がまた溢れそうになるのを堪えながら、クロの静かな温もりに導かれるように、静まり返った部屋の外へとついていった。
──それから、およそ一時間が経過した頃。
シーツが擦れるかすかな音と共に、イチゴが静かに上半身を起こした。
その瞳に眠気は一切ない。最初から、眠るつもりなどなかったのだ。
昼間にナオミが放った悲痛な叫び。そして、ヒロの覚悟を決めたあの横顔。
イチゴは唇を強く噛みしめ、ベッドから足を下ろした。
他のメンバーを起こさないよう、慎重に部屋を見渡す。
しかし、月明かりに照らされた部屋の中で、イチゴの動きが止まった。
いつもなら静かに眠っているはずの、ナオミのベッド。
そして、クロのベッド。
二つのベッドのシーツは乱れ、もぬけの殻となった空白だけが、冷たい月光を浴びて白く浮かび上がっていた。
「こんな時間に……」
イチゴは困惑に眉をひそめたが、ここで立ち止まるわけにはいかない。引き返すことなく、そっと部屋の扉を開けて廊下へと消えていった。
同じ頃、常夜灯だけが細々と灯る、寄宿舎の静かな廊下の片隅。
ナオミは壁に背中を預け、抱え込んだ膝に顔を半分埋めるようにして、震える声で言葉を紡いでいた。昼間、誰にも届かなかった心の叫びが、暗闇の中でポロポロとこぼれ落ちていく。
「……怖いの。本当に、怖い。ヒロが明日、ストレリチアに乗ったら、本当に死んじゃったら……」
ナオミの指先が、パジャマの生地を強く握りしめる。
「どうして誰も、ヒロを止めないの? どうしてイチゴも、ゴローも、目を逸らしちゃうの? 幼馴染なのに……あんなに、ヒロのことを大事に思ってるはずなのに……」
その隣で、クロは同じように壁に寄りかかり、静かにナオミの言葉を聞いていた。
クロはナオミの言葉を否定することも、安易に慰めることもしなかった。ただ、暗闇の中でナオミの震える肩をじっと見つめ、その中に宿る痛みを、自分の胸の中にある消えない「モヤモヤ」と重ね合わせるように、静かに耳を傾けている。
「ねえ……私、どうしたらいいの……?」
ナオミの涙を含んだ問いかけに、クロはゆっくりと、自分の胸に手を当てた。
「分かんない…………でも」
クロは少しだけナオミの方へ体を寄せると、その細い肩に、自分の肩をそっと預けた。
「ここにいるよ。ナオミが落ち着くまで、ずっとね」
その体温は驚くほど静かで、けれど今のナオミにとっては、何よりも確かな救いだった。
「……ありがとう」
ナオミはゆっくりと息を吐き出し、目元を拭った。クロの温もりに触れて、張り詰めていた心が少しだけ落ち着きを取り戻していく。
「ありがとう、落ち着いた。……部屋に戻ろう」
「うん、わかった」
二人が体を離し、部屋へ戻ろうと歩き出した、その時だった。
廊下の大きな窓の向こう。月明かりに照らされた外の敷地、ガラス張りの温室へと歩く二人の人影がナオミの視界に入った。
ナオミは思わず足を止め、窓の外を凝視する。
先頭を歩くのはイチゴ。
そしてその少し後ろを、退屈そうについて行くピンク色の髪をした少女──ゼロツー。
「イチゴ……? それに、あの子……」
深夜の静寂の中、温室へと静かに消えていく二人の後ろ姿を、ナオミとクロは息を呑んで見つめた。