【第一章 死の刻印スタート!】異能者が普通にいる世界へ転生した2周目は海外の死亡フラグと戦う!~新たなヒロインたちの悲哀と救い~ 作:初雪空
ウィットブレッド公爵家の広間で、関係者が集まった。
立派なソファに座っているウィットブレッド公爵は、難しい顔だ。
「何と言えば、いいやら……。まさか、アンを連れて帰るとは!」
「すぐに首を切ってもいいのですが、キリがないため」
「う、うむ……」
戸惑ったように、公爵の返答。
大事な話し合いとあって無理したジェニファーを含めて、微妙な表情だ。
主な被害者であるジェニファーが、問いかける。
「えっと……。アンさんは、どのようにお考えですか?」
俺の隣に座っているビスクドールの金髪少女は、頭を下げた。
「大変申し訳ございません……。死の刻印はすでに消しましたが、私の処置についてはお任せいたします」
「そうですか……」
封印を解くのに利用されたうえ、死の刻印で苦しめられたジェニファーは、息を吐く。
さすがに、許す気はないようだ。
「俺が滅ぼしますが、苦しめる必要はありますか?」
口元を引きつらせたジェニファーは、首を横に振る。
「い、いえ……」
居たたまれなくなったアンが、しくしくと、泣き出す。
そろそろ潮時だろうと考えた俺は、声をかけた。
「なるべく、苦しめないようにする」
「はい……」
どこで処分しよう――
「待て! 君は、アンと親しいのだろう?」
「はい! ですが、ジェニファー様を苦しめた元凶なので……。その清算をしなければなりません」
ため息をついた公爵は、独り言のように呟く。
「ああ、そうだ……。そうなのだが……」
しくしくと泣き続ける、アンの声。
いっぽう、我慢できずに吹き出した、室矢カレナ。
「重遠の言っていることは、間違っておらんぞ? ルパート、問題は単純だ! こやつは公爵家が継承してきた財産の1つ! 重遠に譲渡するかどうか」
疲れ切った雰囲気の公爵が、自分だけのソファに体を預ける。
「そうだな……。譲渡した場合は、どうなる?」
「宇宙にでも、放り出す! それは冗談だが、ユニオンから連れ出せばいいだろう?」
座り直した公爵が、もう1つの選択肢を尋ねる。
「再封印は?」
「可能だし、もっと厳重にするが……。末代まで破られない保証はできん」
カレナの返答に、公爵は何度もうなずく。
「だろうな! アン、君は……。室矢くんは、どうしたい?」
本人が俺を見つめていることから、途中で変わった。
「いただけるのであれば、アンを連れて行きます! 繰り返しますが、俺に恨みはありません」
恐る恐る、ジェニファーが声をかける。
「あの……。助けていただいたことには感謝申し上げますが、彼女の首を切るとか、何度も殺すとかは、やめてくださいね?」
「はい、大事にします」
人のことを、何だと思っている?
快楽殺人鬼じゃないんだぞ?
『若さまには、人の心がありませんからね……』
超空間のネットワークから、正室である
失礼な!
アンは、室矢家に譲渡された。
ロンドンに潜んでいた他の個体も、ゾロゾロと出てきて、集まる。
『各地のオカルトスポットから、同じ顔の少女が一斉に出てきたとの報告が――』
ニュースにもなったが、些細な事だ。
なし崩しで、被害者のジェニファーと同じ場所には置けず。
俺たちの海外留学は、まだ始まっていない。
一足早くにエルピス号へ放り込み、戦闘部隊を兼ねているドゥルキス人のバフ要員とした。
作業効率、戦闘力が30%増しで、好評だ……。
2周目の俺は、悪役も仲間にして旅立つ。
外宇宙に何がいても、おかしくない。
有能なやつは根こそぎ連れていく程度で、ちょうどいいだろう。
ドゥルキス人の美少女、美女たちが視聴している俺のアーカイブや生配信では、クズ、女の敵というコメントであふれた。
俺は、こいつらと永遠の旅に出る……。
「マスター! 手伝えることは、ありますか?」
「マスター! 今の
俺の後ろをついてくる日々。
カレナが
「交換したほうが早い! 新品をあげてもいいが、悪目立ちする……。元々、あやつは同僚によく思われていない」
「タイミングの問題だな? そもそも、ローズマリーにどこまでオープンするか……」
彼女をどうするのかは、ラウンズの本拠地へ行った後で考えよう!
場合によっては、その本拠地が消えるかもしれないし。
ローズマリーの扱いについて、俺も怒った。
彼女は、カレナと一緒にいることが多く、姉妹にも見える。
「ところで、お勧めの料理は?」
「……フレンチです」
悩みつつも答えたローズマリーに、カレナが補足する。
「そういう国じゃ! あまり、気にするな……」
「たまには、自炊でもするか」
俺の呟きに、ローズマリーが動き出す。
「買ってきます!」
「いや、全員で行こう」
「そうだな! 詩央里たちと、郊外の別荘でも貸切るか? そこまで高くないぞ? 周りに、何もないが……」
ようやく、まともなロンドン滞在。
公爵家の金で暮らす生活は、良いものだ……。