【第二章 The Princess's Knightスタート!】異能者が普通にいる世界へ転生した2周目は海外の死亡フラグと戦う!~新たなヒロインたちの悲哀と救い~ 作:初雪空
俺たちは、円卓の騎士の本拠地へ向かう。
ウィットブレッド公爵の善意で、ロンドン滞在の費用を払ってもらった。
さらにお願いすることは、気が引ける。
室矢カレナから頼んでもらい、ウィットブレッド公爵に本拠地での費用を任せた。
だが、断られる。
笑顔のカレナは、俺の
翻訳すると、いい加減に、とっとと行け……。
そうこうしていたら、1週間の研修を受けたゼフィ・デ・メイソンが戻ってきた。
前とは違い、妙に姿勢がよく、気配を殺して歩くうえ、のんびり話すようになっている。
殺し屋になる教育でも、受けてきたのだろうか?
アドラステア・リーディ・シェラフィール王女からの親書も、預かってきたようだ。
ゼフィから受け取り、封を切る。
“キャメロットの円卓会議で「重遠を私の騎士にする」と言ったら、
“ゼフィは、私の侍女にしました。重遠につけるから、普段のお世話や私への連絡で使ってください。私の代理なので、もちろん手を出していいですよ?”
何言ってんだ、こいつ?
この手紙をユニオン王家に届けたら、1周目と同じ修道院に幽閉されないかなと思いつつ、超空間のネットワークへ。
ウィットブレッド公爵が、お金を出してくれない。
そう思ったら、アドラステアの声が俺の頭の中で響く。
『私の騎士だから、私が払いますよ? というか、ウィットブレッド公爵をあまり虐めないでください』
助かるが、払えるの?
『重遠、ユニオン王家を舐めてません? 政府から王室への公的な助成金と、公領からの収益という女王の私的な収入がありますよ? それから、クラウン・エステートの不動産企業では悪くても年間数百億円を超える収益があって、それを国庫に納めたうえで約20%を公的な助成金へ! 王室の必要性を分からせている、という話です』
詳しく。
『公的な助成金は国家予算で、テレビで放映されるような公的な行事にまつわる出費に使います。政府や監査機関のチェックが入るため、変な使い方をするとタブロイド紙に叩かれまーす!』
はい、次。
『公領は、重遠がイメージした領地で合っていますよ? 女王または国王の名義で運営して、収益の一部が私たちに分配されると! むろん、慈善団体への援助や公領内の産業の近代化、歴史的な建造物の計画的な補修も』
お小遣い?
『そんなところです! 重遠に1周目で渡した小切手も、その口座から……。あれは例外的な処理で、だいたいブラックカードです。小切手帳は、超高額の不動産などを買うか、公的な支払いで証拠を残しておく時ぐらい! 次に会った時に、カードを見せてあげますね? 格好いいですよ! ちなみに、私の口座も王室財務官が常にチェックしているから、変な使い方はできません』
窮屈なものだ。
『そうですね! 重遠も知っているでしょうけど、王位継承第一位の皇太子も公領を持っているんですよ』
将来のための練習?
『はい、そうです! 第二位、第三位まで、扱いを下げつつも、それぞれに見合った教育や公務をさせます。私は、第三位ですよ?』
わりと、上じゃん!
『だから、2周目は女王を狙います!』
えっ?
公爵家に訪れて、いきなり
『はい! 未来知識があるし、有価証券や投資で笑っちゃうぐらい増えてます。ハハハハ!』
あれ?
お前は公領がないし、お小遣いで、口座も管理されているって……。
『重遠? 私、ラウンズで正騎士をやっていますよ? 仮にもユニオンを守る最終兵器で、まさに象徴! 貴族は見栄が大事ですし、国の値段なので! 名誉職だろうが、その報酬は領地運営の収益と並びます。年間、数千万円から数億円です』
わーお!
『付き合いや、格に見合った出費も多いですから……。その気になれば、重遠もそれぐらい稼げると思いますけど? 2周目は、室矢家をトップにするのでしょう? 帝王学と人心掌握をしてください! 私も、そのために頑張っています』
あ、はい……。
何か、ごめん。
『私は、ラウンズの改革に手をつけました! こちらも男社会ですから、私財で高価な設備の更新に、建物の修繕! 待遇改善や貴族の女子を受け入れて教育したら、私の発言力が増えましたよ? 今から、女王気分です♪ 国への貢献であれば、文句を言う人はいません』
最悪、ラウンズで中心になれると?
『はい! 1周目は莫大な報酬をそのまま国庫に納めて、一部の受け取り。けれど、それではダメです。本当の敵と向き合えば、全員が成す術もなく殺されるでしょう。今度は、私が玉座、あるいは、円卓のトップになります! 女性陣をまとめたら、組織票をバックに男性陣と交渉します』
そうか……。
とりあえず、俺の従騎士になったローズマリーを先行させる。
『分かりました! 重遠は目立っているから、風当たりが強いどころじゃありません。ローズマリーさんに、くれぐれも注意するよう、言ってください』
了解。
円卓の騎士になったわけだし、俺も少しは真面目にやるよ!
それじゃ……。
◇ ◇ ◇
正面に立つ人物を眺めた室矢カレナは、満足そう。
「うむ! これで、お主は猫耳メイド騎士じゃ!」
頭痛が腹痛みたいな呼び方に、落ち着いた感じの清楚な少女が答える。
「ありがとうございます!」
大真面目に答えたローズマリーは、メイドっぽくフリルなどをつけた騎士服だ。
頭につけた猫耳をピコピコ、お尻の尻尾を動かしつつ、報告する。
「では、ラウンズの本拠地であるキャメロットに行ってきます」
「お主は、これから大変だろう……。しかし、私と重遠がついている!」
「はい!」
ここに、ツッコミ役はいない。
分かっているのは、室矢重遠の評判がまた下がることだけ……。