【第二章 The Princess's Knightスタート!】異能者が普通にいる世界へ転生した2周目は海外の死亡フラグと戦う!~新たなヒロインたちの悲哀と救い~ 作:初雪空
無視されるどころか、キャメロットまでVIP待遇。
そのまま案内されたのは、闘技場だった。
大勢の話し声が、一気にクリアに……。
暗い通路から明るくなったことで立ち止まれば、高いバルコニーに立っている老婆と目が合う。
彼女は、上質なトーク帽と首元の真珠のネックレス、見るからに気品あるスーツドレスを着ている。
微笑みと、会釈。
(あ、どうも……)
反射的に、頭を下げる。
室矢カレナと親交がある女王陛下だろう……。
その隣に立つ同年代の
たぶん、王配。
その息子についても、王配より地味だが、若者らしい乗馬系ツィードのジャケットスタイル。
2人とも、値踏みをするような視線をこちらへ向けた。
カクテルドレスに飾り帽子の若い女は、ニヤニヤしたまま。
どう見ても、ロイヤルファミリーだ!
キャメロットが非公開だからか、普段着に近いものの……。
視線を戻せば、昔の闘技場のような地面と、外周を丸く囲んでいる塀が目に入った。
高い塀の上には階段状の観戦席があって、今は円卓の騎士たちが座っている。
従騎士であろう女子たちが、後ろめたそうな、期待しているような表情で俺を見つめては、目をそらす。
(差別している感じではない……。それに――)
「マスタァアアアッ!」
女が集まっている観客席の最前列に、ローズマリーがいる。
それはいいのだが……。
(なぜ、白い猫耳2つと尻尾が!?)
まるで本物のネコのように動き、周りにいる女子もジーッと見つめる。
『ニャアアアッ!』
『ウゥウ゛ウ゛ッ!』
『ナア゛ア゛ア゛ァアッ!』
本物のネコが数匹、ローズマリーの傍で鳴いている。
仲間だと思っている?
いや、声の高さがネコの鳴き声と同じで、反応しているだけか!
ペンギンは、人間を見て、でかい仲間だな? と感じるらしいが……。
なぜ、こんな事態に――
『私が、ローズマリーに与えた! そうしたら、尻尾を穴に突っ込んでいると誤解されてな? マスターであるお主が、変態と思われた! 女子はどいつも連日エロい妄想に励んだことで、エロゲのイベントシーンを見ているような気分じゃ! ついでに、ジェニファーはお主とあらゆるプレイを体験したという結論になったぞ? その噂を聞いた第一王女は面白がって家族を誘い、現在に至る』
…………
…………
カレナァアアアアアアッ!
なぜ、猫耳と尻尾をつけた!?
ふざけるなあああああああっ!!
室矢カレナは、超空間であっさりと答える。
『安心しろ! あの尻尾は、挿しているわけではない』
そっちの意味で怒ったわけじゃねええええええ!
…………
ところで、
『……急に落ち着くな! ああ、大丈夫だ』
『神話伝承テオフィル』に登場した、剣と盾を持った騎士たち。
ホワイトナイトの装備を借りている。
でないと、俺は殴るか蹴るだけ。
アニメでは、やられ役だったが――
『お主のような
それにしても、本当に凝っている。
伊達に、女神カレストゥーナを自称しているわけではない。
『ああ、うん……。そうだな? シュヴァルツで殴るのは大人げないし、あやつらが殺しても奪いたがるだけ』
カレナは不満のようで、フーッと、息を吐いた。
気を取り直して、説明。
『ホワイトナイトの装備だが……。ギアの出来損ない、廃品が相手なら、十分すぎるだろう! 使い潰して構わんから、伸び伸びと戦え』
辛辣である。
ところで、お前はどこにいるの?
『プリシラのところだ……。さっき、お主も見ただろう?』
まさかとは思うけど、女王陛下と一緒?
『そうだぞ? さっき、「兄と仲が良いのですか?」と聞かれたから、「ここでは、とても言えん」と答えつつ、恥じらったまま、微笑んでおいた』
それ、お前にも手を出しているって返事だぞ?
さっきの噂と合わせたら、俺の評判、もう終わったじゃん。
『事実だろ? 日本でも、女子200人切りを達成したし』
いや、そうだが……。
『第一王女は、たいそう面白がってな? ある事ない事を言っておいた』
言うなよ?
『第二王女のアドラステアが、お主を「自分の騎士にする」と宣言してな? その関係で、
そういえば、アドが言っていた――
対戦相手が出てきたから、先手を打たれないよう、ホワイトナイトの装備を呼び出す。
各パーツごとに、要所だけ覆うアーマーが装着されていく。
(まさに白色で……。ロングソードは、西洋風か! ちょうどいい)
軽く動いてみれば、主人公が身に纏うシュヴァルツより体を覆う面積が小さく、デザイン性がないものの、悪くない。
徒歩の騎士といった感じ。
『私の瞬く星々(トゥインクル・スターズ)を参考にしたものの、簡素だから、男が使っても違和感はないぞ?』
ハイハイ。
女神カレストゥーナの専用装備である、瞬く星々(トゥインクル・スターズ)か……。
耐久性は?
『ギアより脆い! 同じ感覚で使うと、死ぬぞ? ある程度は受けられるが……』
2周目とはいえ、こんなところで死にたくない。
せいぜい、気をつけるさ!
ブーツと一体化した足を動かして、ステップ。
手にしたソードを振り回し、感覚を確かめた。
…………
いいね!
悪くない。
騎士の剣術は知らないが、やりながら慣れるだけ。