【第二章 The Princess's Knightスタート!】異能者が普通にいる世界へ転生した2周目は海外の死亡フラグと戦う!~新たなヒロインたちの悲哀と救い~   作:初雪空

29 / 29
元凶の女子2人を調べるため、キャンパスライフ♪
https://hatuyuki-ku.com/?p=707


第29話 神話伝承テオフィルごっこ、再び

 無視されるどころか、キャメロットまでVIP待遇。

 

 そのまま案内されたのは、闘技場だった。

 

 大勢の話し声が、一気にクリアに……。

 

 暗い通路から明るくなったことで立ち止まれば、高いバルコニーに立っている老婆と目が合う。

 

 彼女は、上質なトーク帽と首元の真珠のネックレス、見るからに気品あるスーツドレスを着ている。

 

 微笑みと、会釈。

 

(あ、どうも……)

 

 反射的に、頭を下げる。

 

 室矢カレナと親交がある女王陛下だろう……。

 

 その隣に立つ同年代の老爺(ろうや)は、最高級のスリーピース・スーツの胸元にピンバッジが輝く。

 

 たぶん、王配。

 

 その息子についても、王配より地味だが、若者らしい乗馬系ツィードのジャケットスタイル。

 

 2人とも、値踏みをするような視線をこちらへ向けた。

 

 カクテルドレスに飾り帽子の若い女は、ニヤニヤしたまま。

 

 どう見ても、ロイヤルファミリーだ!

 

 キャメロットが非公開だからか、普段着に近いものの……。

 

 

 視線を戻せば、昔の闘技場のような地面と、外周を丸く囲んでいる塀が目に入った。

 

 高い塀の上には階段状の観戦席があって、今は円卓の騎士たちが座っている。

 

 従騎士であろう女子たちが、後ろめたそうな、期待しているような表情で俺を見つめては、目をそらす。

 

(差別している感じではない……。それに――)

 

「マスタァアアアッ!」

 

 女が集まっている観客席の最前列に、ローズマリーがいる。

 

 それはいいのだが……。

 

(なぜ、白い猫耳2つと尻尾が!?)

 

 まるで本物のネコのように動き、周りにいる女子もジーッと見つめる。

 

『ニャアアアッ!』

『ウゥウ゛ウ゛ッ!』

『ナア゛ア゛ア゛ァアッ!』

 

 本物のネコが数匹、ローズマリーの傍で鳴いている。

 

 仲間だと思っている?

 

 いや、声の高さがネコの鳴き声と同じで、反応しているだけか!

 

 ペンギンは、人間を見て、でかい仲間だな? と感じるらしいが……。

 

 なぜ、こんな事態に――

 

『私が、ローズマリーに与えた! そうしたら、尻尾を穴に突っ込んでいると誤解されてな? マスターであるお主が、変態と思われた! 女子はどいつも連日エロい妄想に励んだことで、エロゲのイベントシーンを見ているような気分じゃ! ついでに、ジェニファーはお主とあらゆるプレイを体験したという結論になったぞ? その噂を聞いた第一王女は面白がって家族を誘い、現在に至る』

 

 …………

 

 …………

 

 カレナァアアアアアアッ!

 

 なぜ、猫耳と尻尾をつけた!?

 

 ふざけるなあああああああっ!!

 

 室矢カレナは、超空間であっさりと答える。

 

『安心しろ! あの尻尾は、挿しているわけではない』

 

 そっちの意味で怒ったわけじゃねええええええ!

 

 …………

 

 ところで、白い騎士(ホワイトナイト)の装備は問題ないか?

 

『……急に落ち着くな! ああ、大丈夫だ』

 

 『神話伝承テオフィル』に登場した、剣と盾を持った騎士たち。

 

 ホワイトナイトの装備を借りている。

 

 でないと、俺は殴るか蹴るだけ。

 

 アニメでは、やられ役だったが――

 

『お主のような守護者(ガーディアン)と比べるな! 彼らは彼らで、精鋭だった……』

 

 それにしても、本当に凝っている。

 

 伊達に、女神カレストゥーナを自称しているわけではない。

 

『ああ、うん……。そうだな? シュヴァルツで殴るのは大人げないし、あやつらが殺しても奪いたがるだけ』

 

 カレナは不満のようで、フーッと、息を吐いた。

 

 気を取り直して、説明。

 

『ホワイトナイトの装備だが……。ギアの出来損ない、廃品が相手なら、十分すぎるだろう! 使い潰して構わんから、伸び伸びと戦え』

 

 辛辣である。

 

 ところで、お前はどこにいるの?

 

『プリシラのところだ……。さっき、お主も見ただろう?』

 

 まさかとは思うけど、女王陛下と一緒?

 

『そうだぞ? さっき、「兄と仲が良いのですか?」と聞かれたから、「ここでは、とても言えん」と答えつつ、恥じらったまま、微笑んでおいた』

 

 それ、お前にも手を出しているって返事だぞ?

 

 さっきの噂と合わせたら、俺の評判、もう終わったじゃん。

 

『事実だろ? 日本でも、女子200人切りを達成したし』

 

 いや、そうだが……。

 

『第一王女は、たいそう面白がってな? ある事ない事を言っておいた』

 

 言うなよ?

 

『第二王女のアドラステアが、お主を「自分の騎士にする」と宣言してな? その関係で、円卓(ラウンズ)のやつらも殺気立っておる』

 

 そういえば、アドが言っていた――

 

 対戦相手が出てきたから、先手を打たれないよう、ホワイトナイトの装備を呼び出す。

 

 各パーツごとに、要所だけ覆うアーマーが装着されていく。

 

(まさに白色で……。ロングソードは、西洋風か! ちょうどいい)

 

 軽く動いてみれば、主人公が身に纏うシュヴァルツより体を覆う面積が小さく、デザイン性がないものの、悪くない。

 

 徒歩の騎士といった感じ。

 

『私の瞬く星々(トゥインクル・スターズ)を参考にしたものの、簡素だから、男が使っても違和感はないぞ?』

 

 ハイハイ。

 

 女神カレストゥーナの専用装備である、瞬く星々(トゥインクル・スターズ)か……。

 

 耐久性は?

 

『ギアより脆い! 同じ感覚で使うと、死ぬぞ? ある程度は受けられるが……』

 

 2周目とはいえ、こんなところで死にたくない。

 

 せいぜい、気をつけるさ!

 

 ブーツと一体化した足を動かして、ステップ。

 

 手にしたソードを振り回し、感覚を確かめた。

 

 …………

 

 いいね!

 

 悪くない。

 

 騎士の剣術は知らないが、やりながら慣れるだけ。




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。