【第一章 死の刻印スタート!】異能者が普通にいる世界へ転生した2周目は海外の死亡フラグと戦う!~新たなヒロインたちの悲哀と救い~   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第5話 死者は語る

 朝日に照らされる、ウィットブレッド公爵邸。

 

 少しだけ見慣れた内廊下で、同乗した執事に続いて歩く。

 

 昨日のやり取りが周知されたのか、通りすがりの執事、メイドが会釈する。

 

「いらっしゃいませ!」

「おはようございます……」

 

 こちらも軽く頭を下げるが、立ち止まらない。

 

 今度は、ダンスパーティーができそうな広間へ……。

 

 一面がほぼガラス張りになっている、開放感がある広間では、ソファに座っている面々がヒートアップしていた。

 

 サイドテーブルには、朝食らしきサンドイッチ、紅茶のティーカップが人数分。

 

 館の主人である公爵、ルパート・ウィットブレッドは、苦虫を嚙み潰したような顔だ。

 

 とても、上機嫌には見えない。

 

 1人用のクラシックな椅子に座りつつ、手すりを指でトントンと叩く。

 

「諸君にやる気がないのであれば、私から連絡しても良いぞ?」

 

 深夜に俺たちを犯人と決めつけた円卓(ラウンズ)の3人が、ソファに座ったままで公爵と向き合っている。

 

「今に、わたくしどもの従騎士たちが帰ってきます!」

「ブリテン諸島の黒真珠ですら封印したとなれば、慎重に対応する必要が」

「ただラウンズを動かせば、公爵の家名に傷がつきかねません」

 

 相変わらず、口だけ達者!

 

 そう思っていたら、案内した執事が話しかけてくる。

 

「申し訳ありませんが、しばらく待っていただけますか? こちらへ……」

 

 彼らの声が聞こえるぐらいの場所に、小さなソファ。

 

 サイドテーブルの上に、皿に並べられたサンドイッチ。

 

 具材は、卵、ハム、チーズ、薄いカツレツと、冷えても食える物ばかり。

 

(これなら、時間が経っても大丈夫だな?)

 

 傍に立っているメイドが、会釈。

 

「おはようございます、室矢さま……。紅茶を淹れますが、ケーキはいかがなさいますか?」

 

 ワゴンの上には、切り分けたケーキが色々。

 

「おはようございます! チーズケーキで」

 

「ベイクド、レアの2つが、ございます」

 

 ああ、海外だと日本式のはないか……。

 

「レアで、お願いします」

「……畏まりました」

 

 慣れた手つきで、レアチーズケーキが取り分けられた。

 

 ラウンズの会話を聞きつつも、朝食をいただく。

 

 メイドは召使いであって、話し相手じゃない。

 気配を殺しつつ、俺の動きに合わせて給仕するだけ。

 

 超空間のネットワークで、室矢カレナに話しかける。

 

 そっちは、どうだ?

 

『思っていたよりも、マズい! ジェニファーの死の刻印が増えていて、アンの増殖と連動しているらしい……。そちらへ行く』

 

 

 ――10分後

 

 ズカズカと歩いてきた、室矢カレナ。

 

「ジェニファーは弱ってきたが、何とかする! そろそろアンを潰していかんと、マズい」

 

 挨拶すら省き、宣言した。

 

 ジッと見ていたウィットブレッド公爵が、重々しく、頷いた。

 

「聞いての通りだ! どうやら、諸君は私の娘を殺したいようだな?」

 

 老人ながらも、強いプレッシャー。

 

「ですから、従騎士が戻ってくれば」

「お気持ちは、分かります!」

「私たちも、はやる気持ちを抑えています」

 

 見るからに慌てる、馬鹿3人。

 

 すると、カレナが公爵のように椅子へ座った。

 

 サイドテーブルが用意されて、紅茶とケーキが置かれる。

 

『重遠! 私の背後に立て! そろそろ、動きがあるぞ?』

 

 いいけど、何がある?

 

『こいつらが待ち望んでいる従騎士3人の、ご帰還だ……』

 

 そりゃ、大変だ!

 

 頭の中で答えた俺は、立ち上がった。

 

 何も言わずに、カレナの後ろで立つ。

 

 ラウンズの正騎士3人が、座ったままで俺を見た。

 けれど、すぐ公爵へ向き直る。

 

 その時に、1人の執事が駆け込んできた。

 

「ご、ご報告いたします! たった今、従騎士の方々がお戻りになりました!」

 

 広間の空気が、一気に張り詰める。

 

 遠くから、ガシャガシャという金属音。

 

 薄汚れたローブを着て、頭にも一体化したフードをかぶっている面々が、入ってきた。

 

 フードによって、顔が見えない。

 

 正騎士3人の手前で立ち止まり、すれる金属音を響かせつつ、片膝をついた。

 

「おお! よくぞ、戻った!」

「どうして、連絡をしなかった? それと、誓約(オルコス)を外せ!」

「今は、報告を聞きましょう」

 

 パチスロで散々に呑まれて、上位RUSHになった直後みたいだ……。

 

 元気を取り戻した正騎士グループに、跪いた住騎士の1人が喋る。

 

『報告シマス……。我々は動く人形を発見、これを追跡して、ブルックウッド墓地へ向かいました。その途中で見失うも、邪教のグループに襲われて撃退。生き残りを追うことで、奴らのアジトを見つけました。動く人形と死霊術師がいて、邪教の団員もジュウ……』

 

 しわがれた声で話していた男は、そのまま震える。

 

 けれど、15人と言い直して、アジトの住所も報告した。

 

 やる気を出した正騎士3人が、立ち上がる。

 

「よくやった! 私たちも、行こう!」

 

 けれど、従騎士たちは跪いたまま。

 

「どうした――」

『そこへ乗り込んだ俺たちは、ヤツラと交戦……。1人残らず、全滅シマシタ』

 

 呟くように述べた男が、勢いよく立ち上がった。

 

 残り2人も、ほぼ同時に。

 

『『『死ねええええええ! カレナァアアアアアッ!!』』』

 

 フードを上へ飛ばしつつ、ショートソードが矢のように飛び、長柄のハンマーを両手で振りかぶった男が飛びかかってくる。

 

 最後の1人は、左腕につけた連射式のクロスボウを撃ち続ける。

 

 けれど、ティーカップを皿ごと持ち、優雅に座っているカレナの手前で、見えない壁があるかのように弾き返した。

 

 カレナの前に立っている俺は、両手にそれぞれ両刃の銀ダガーを握りつつ、従騎士たちと向き合う。

 

「朝から、元気なことだな?」




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