スーパーダンガンロンパ2:return   作:希望の語り部

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chapter3-2

 

俺たちは今一つの場所に集まっていた。ライブハウスだ。

九頭龍が俺たちに心を開いてくれた記念と言う事で澪田がライブを発案したんだ。

そこにいないのは左右田、終里、弍大の三人だけ。

左右田は相変わらずコテージに引きこもっている。

 

他の二人はどうしたのかというと、終里がモノクマにそろそろ戦いを挑む頃だということを思い出した俺は事前に弍大に頼み込んで今夜一晩、終里を見張るように言った。

弍大自身は見張るぐらいだったらついでにトレーニングの相手になると言っていたけどとにかく快く引き受けてくれて助かった。何も殺人だけを止めればいいってもんじゃないからな。

 

「あのさ、九頭龍。」

 

「あん?なんだ?」

 

九頭龍に声をかけたのは西園寺だった。正直、俺は九頭龍のこともあるから西園寺もこのライブを欠席すると思っていた。でも西園寺自身の意思でここに来てくれたのならばそれが意味するのは分かりきっている。

 

「.....ごめん。」

 

「ん?」

 

「わ、私があんたに酷いこと言っちゃったことだよ。だからごめん。」

 

「お、おう。俺は別にいいんだけどよ。お前はもう大丈夫なのか?学級裁判が終わった後、モノクマに色々言われてたじゃねーか。」

 

西園寺は一瞬暗い顔を覗かせたがすぐに言葉を続けた。

 

「最初は凄く悲しくて私のせいなのかって思ったよ。でも小泉おねえならそれでも頑張って生きていこうとするから。辛くても自分らしくしようとするから、私もそうしたいって思っただけ。それに写真でいつでも小泉おねえには会えるから。」

 

「そうか。てめえも案外つえーじゃねえか。俺の気にしすぎだったって訳か。」

 

「そうだよ、子供扱いやめてよ。私だっていつまでも落ち込んでなんかいないんだから。」

 

西園寺は九頭龍から目を逸らして口をむすっとしながらそんなことを言っているが明らかに怒っているようには見えずむしろ満更でもなさそうだった。

 

「またまたー!この日の為に日寄子ちゃんも踊りの練習頑張ってたっすから。」

 

「ちょ、ちょっと!余計なこと言わないでよー!」

 

「素晴らしいよ!超高校級の日本舞踊家である西園寺さんが更に才能を輝かせる為に自主的に稽古をするなんて。それを見ることができるなんて幸せ過ぎて死んでしまいようだよ。」

 

「あのぅ。狛枝さんの為というより九頭龍さんの為だと思うんですけど...。」

 

「もー!みんなやめてよー!」

 

西園寺は恥ずかしさで堪らなかったんだろうけど和気あいあいとした雰囲気のまま澪田のライブ、そして西園寺の踊りを楽しんだ。

 

澪田は音楽性の違いのようなもので以前グループから脱退したみたいだけど何回聞いても分かる気がする。

一方、西園寺はとても優雅で穏やかな踊りをみせライブハウスは安らぎに包まれた。

 

そして次の日、絶望は突然訪れる。

 

翌日の朝、前周回と同様、終里が泣き虫病、狛枝が嘘つき病、澪田が真面目病にかかった。

モノクマ曰く、今回の動機の絶望病と言ったところだ。

 

俺たちは病院に行き、三人をベッドに寝かせたが、このまま三人を放置しておくわけにもいかず誰が病院に残るのかという話になった。まず病院に罪木は残ることになったがこればっかりは致し方ない。

九頭龍が病院に残るよう申し出て、俺も残ろうとしたのだがそこで意外な声が上がった。

 

「ここはワシに残らせてくれんか?」

 

それは弍大猫丸だった。

 

「終里は出会ったときからずっと面倒を見てきた選手。罪木の医療行為も確かに大切じゃが、それに任せきりにしていてはマネージャー失格じゃからのう。ワシにも手伝わせてくれんか?」

 

「は、はい。弍大さんも手伝ってくれるのはとてもありがたいですぅ。」

 

他にも電気街にある携帯電話のテレビ電話を使って病院とライブハウス間の定期連絡を行うことに決まった。左右田がここにいないからモニターも作れない為、壊れかけの携帯を使うしかないがオンボロで画面も小さく通信も弱いから繋がるまで20秒ほども時間がかかる。

左右田の有り難みを身に染みて感じる。

 

そして病院に残るのは罪木、九頭龍、弍大

それ以外の俺、辺古山、西園寺、田中、七海はモーテルで待機する事となった。

 

時間は流れ、事件が起こるであろう日の夜。

ライブハウスで俺、九頭龍、辺古山は最後の打ち合わせをしていた。

 

「あれからモノクマと交渉してよう、罪木以外に一人までなら病院内に夜間も泊まることが許された。

病院の中には弍大に居てもらってるが本人にはあくまで、もしものときのためにすぐに罪木を手伝えるようにって具合に言ってある。

まあ俺よりかは弍大が残る方が罪木に対する牽制にはなるだろう。もし弍大の見てないところだったとしても犯人は一目瞭然だからな。殺人を起こす気にはなんねーだろ。」

 

「いや油断はするな。もし前周回と同じようにあいつも絶望病にかかっていたら今のあいつは超高校級の絶望だ。理屈は通用しない。」

 

「ともかく私は事前に決めていた通り行動し、イレギュラーには臨機応変に動く。お前たちも決して油断はするな。では武運を祈る。」

 

時は遡り日向創のコテージ。日向が九頭龍と辺古山に秘密を暴露した後、三人は早速、今回の殺人の対策を練ろうとしていた。

 

「罪木が殺人を犯して澪田と西園寺の二人を殺すだと?」

 

「俄かには信じがたい。記憶を奪われたとはいえあの三人は希望ヶ峰学園で仲良くしていたのだろう?」

 

「ああ俺も最初は信じられなかった。だけどあいつは次の動機の絶望病で記憶を取り戻して超高校級の絶望に戻る。そして江ノ島盾子への愛の為に二人を殺すんだ。」

 

「言ってることがまるで理解できねー。」

 

「それも超高校級の絶望故だと言うことか。それに記憶が戻ってそのようになるのであればなんとも皮肉な話だな。」

 

「そもそも犯人の可能性が高いやつが分かってんなら狛枝みてーに縛っちまえばいいんじゃねーか?」

 

「いや、そんなことをしても今の罪木は紛れもなく超高校級の絶望じゃない。それに他のやつらから見たら因縁つけて暴行してるだけだ。」

 

「確かにそうか。じゃあ堅実に止めるしかねーのか。日向、前周回のことを、もちっと詳しく教えてくれねーか。」

 

俺は前周回の罪木の殺人計画の内容についても漏れなく伝えた。それから二人は考え込んだ後、辺古山が口を開く。

 

「つまり事件に関わるのは病院、ライブハウスの二つの施設。モーテルも入れれば三つか。

では私たちが三つに分かれそれぞれの場所を見張れば良いのではないか?」

 

「確かにそれが良さそうだな。日向はモーテルから誰もライブハウスに行かないよう見張る。特に西園寺のヤローだな。

俺は病院の中にいる。俺が居れば罪木も犯行できねーだろ。」

 

「ちょっと待て、九頭龍。夜の病院内は必要最低限の人数しか泊まることはできないんだ。モノクマが言うには病院は宿泊施設じゃないとかで。」

 

「ならよ、必要があったらモノクマも反対しようがねーだろ。その辺りの交渉は俺がなんとかする。」

 

「では、ぼっちゃん。私はライブハウスで待機します。万が一ぼっちゃんの隙をついて罪木が来た場合やイレギュラーで別の犯人が来た場合、私が取り押さえます。」

 

「てめーの強さは分かってるけどよお、ペコ無茶だけはすんなよ。」

 

「大丈夫です。弍大や終里ならともかく他の面々に遅れをとるほど私はやわではありません。」

 

「じゃあそういうことでいいな。本当に頼りになるよ、ありがとう。」

 

「日向。こっちこそ前周回の記憶を持ってるてめーが鍵だ。頼りにしてるぜ。」

 

 

 

現在、俺は九頭龍、辺古山と別れ、モーテルの前で夜を過ごしていた。胸は相変わらず落ち着かないまま夜空を見上げる。この夜空に浮かぶ星々の様に俺たちは輝くことができるのか、そんな日は来るのだろうかと思う。

 

なんてこんなこと考えてちゃ、まるで狛枝だな。俺は軽く深呼吸をしてモーテルの方を見る。皆は鍵を閉めてモーテルで眠っている。俺はというとコロシアイに対する反抗心を絶やさないことで眠気を吹き飛ばしていた。

 

そうしているうちに夜は明けようとしている。午前6時と言ったところだ。そろそろ起床するやつもいることだろう。だが目覚めは目覚まし時計によるものではなく、モノクマによるアナウンスによるものとなった。

 

「死体が発見されました。一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます!」

 

ああ、くそ、またかよと思った。けどもそんなことは後から好きなだけ後悔できる。モノクマアナウンスが聞こえた瞬間、一瞬だけ動揺したがすぐにライブハウスへと走った。

 

ライブハウスは扉が開け放たれていた。しかしそこには何も目立つものはない。いや奇妙な所はある、辺古山がいないんだ。確証はなかったが俺は病院の方へと再び走り出す。

しかし絶望の音は止まらない。

 

「死体が発見されました。一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます!」

 

俺は死体発見アナウンスが流れている間も走り続けた。怒りを歯を食いしばることで抑えながら。

俺は病院に入り一番近くの、扉が開いていた病室に入る。

そこには予想だにしない光景が広がっていた。

 

弍大が床に組み伏せられ、それを必死に抑えつけるのは辺古山。その目の前の床には首にロープが巻きついた状態で罪木が倒れていた。

 

「いきなり何じゃ?辺古山。」

 

「それはこっちのセリフだ。どういうことだこれは。」

 

全く状況が掴めないが弍大が戸惑ったように辺古山に問いかけるが辺古山はそれに対して毅然と返す。

 

「ゲホッ!ゲホッ!」

 

俺は嗚咽のした方を見ると罪木が酷く咳込んでいた。とにかく生きていて良かった。俺は横たわっている罪木の背をさすりながら上半身を起こさせた。

 

「罪木、大丈夫か?話せるなら教えてくれ。誰にやられた?」

 

「後から、に、弍大さんに...。そんなことより終里さんが!終里さんがぁぁ!ふええええん!」

 

罪木は泣き出し俺は終里に近づく。全く気がつかなかった。まるで眠っているかのように終里は息を引きとっていた。

 

「そんな終里が殺されたじゃと?」

 

弍大は雷に撃たれたような衝撃を受けるが俺は嫌な予感がよぎり終里の病室を出て澪田の病室に入る。

 

俺が澪田の病室に入ると澪田も罪木同様、激しく咳き込んでいた。澪田も誰かにやられたのだろうと思ったが罪木とは違いすぐには話すことも出来なさそうだった。しかし、俺には澪田に寄りそい背中をさすることしかできない。

そのとき廊下に九頭龍の叫び声が響きわたる。

 

「おい、誰かこっちの病室に来てくれ!早く!」

 

九頭龍が切羽詰まったような声を張り上げながら真っ青になっている。

 

澪田も心配だが行かないわけにはいかない。俺は急いで九頭龍の声が聞こえた隣りの病室に駆け込む。

 

そこには信じられないという表情で立ち尽くす九頭龍と淀みのない色白な肌を照らす窓からの朝日とその肌の持ち主、狛枝凪斗が安らかに永遠の眠りについていた。

 

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