死体を発見していないのに死体発見アナウンスが鳴ったということは別の場所に死体があって、それを別の誰かが発見したということか。
でも気になるのはやはり最後の文言の特例という言葉。一体モノクマはどういった意図であんなことを言ったのか。
そんなことを考えている内に続々と人が集まり始めた。豪華な客室には爆音は聞こえなかったようだけど流石に室内の死体発見アナウンスで目が覚めたようだった。
やってきたのは弐大、田中、そして左右田も。女子たちは一向にやってこない。
「おい、モノクマ!いるんだろ!さっきのアナウンスといいこれはどういう事だ!」
「ああ特例っていうのはね、死体が奈落の底に落ちちゃったからだよ。ほら、ドッキリハウスの外壁ごと外に落っこちちゃったんだよ。死体はもう下にあるんだからオマエラが見つけることはできないでしょ?だから奈落のそこを覗き込んだ時点で死体発見とみなしたの。
いや〜、それにしても今回のクロはなかなかエキセントリックなことをするよね。」
「それとなんで辺古山や西園寺たちはやって来ないんだ!」
「それは向こう側にも事情があるんじゃないかな?あ、これ今回のモノクマファイルね。今回殺しは二つあるからね。せいぜい絶望しなよ、うぷぷぷぷ〜。」
モノクマはそんな捨て台詞を残して俺たちの前から去った。俺はモノクマファイルにいつも通り目を通したがすぐにその目は止まった。
『死亡したのは"超高校級のゲーマー"七海千秋。死亡時刻は午前1時。頭部への打撃痕、胸への刺し傷が存在し、また体中に火傷の痕が見られる。』
嘘だ嘘だ嘘だ、こんな事あるはずがない。今度こそ必ず共に生き延びようと思っていたのに。今度こそ守り抜こうと思っていたのに。こんなにも唐突で残酷な別れがあって言いわけがない。
そうだ!モノミなら七海と連絡をとっていたはず。こんなのが嘘だと証明してくれるかもしれない。
「モノミ!いるならすぐに来てくれ!」
しかし俺の叫びがこだまするだけで何も起こらない。
「頼む!頼むから俺に七海と合わせてくれよ!何でもするから!俺はどうなってもいいから!」
もはやそれは声になってはいるがほとんど声にならない懇願だった。
「おい、日向。残酷なのは分かるが後悔なら後にしろ。今俺たちがやるべきことは嘆くことじゃねえ。こんなことをやりやがったクロを見つけ出すことだ。そうしねーと救えるもんも救えなくなっちまう。」
表情に出ていたのだろうか俺の心情を慮って九頭龍が諭してくれた。
そうだ、絶望にのまれるな。心を落ち着かせろ、惑わされるな。俺は七海の代わりにモノクマや江ノ島盾子の事を頭に浮かべ怒りを使って無理矢理、そして必死に悲しみを抑えようとする。
このコロシアイに特別などない。全ての人間に平等に生きる権利と死ぬ権利が与えられる。そんなことは今までで充分に分かっていたはずだ。このモノクマファイルが告げることは一つ。七海はもういない。歯を食いしばってでも今俺がすべきことはこの事件の捜査をすることただそれだけだ。
「ああ、悪い九頭龍。」
そのとき俺たちの個室の方から微かに音が聞こえてくる。前にも聞いたことがあるジリリリリという音。
俺たちはその音の方へ向かって行った。ラウンジの電話はけたたましい程にその音を鳴らしていた。
この電話はマスカットハウスのラウンジと繋がっている。つまりこれは女子の誰かがこちら側と連絡を試みているということか。
俺はすぐさま受話器をとった。
「日向か!私だ、辺古山だ!死体発見アナウンスを私たちも聞いた。こちらには私と西園寺と罪木がいる。」
ああやはり七海はいないのか。微かに七海の存在を心のどこかで期待してしまった自分に目を瞑り電話に集中する。
「俺たちも全員ここにいる。モノクマファイルも受け取ったからこれから捜査をしようとしていたところだったんだ。」
「モノクマファイルは私たちも受け取った。ではお前たちも七海が亡くなってしまったことを知っているのだな。日向よ、心情的に厳しいのであれば私たちに捜査を任せるということも...。」
「大丈夫だ。今は捜査に集中する。それより一度辺古山たちも事件現場のこっち側に来た方がいいんじゃないのか?連絡エレベーターは破壊されてるからマスカットタワーを使ってこっちに来てくれ。誰かにボタンを押させて床を上昇させるから。」
「それができぬのだ。マスカットタワーに入るためのボタンが破壊されていて扉が開かない。」
「犯人が俺たちの分断を計ったってことか。」
ハウス間を行き来する方法は3つ。連絡エレベーターとタワー、そしてオクタゴンの隠し通路。オクタゴンの隠し通路はファイナルデッドルームをクリアしたやつじゃないと使えない。だから残りの二つさえ破壊してしまえば俺たちが合流することはできないってことか。
「左右田に頼めばどうだ?」
「あいつが応じるかどうか...。」
そこで受話器から漏れた音声を聞き取った左右田が口を挟んだ。
「俺はあくまで復讐なら自分の手でケリをつけるから学級裁判で心中なんてことはしねーよ。
で、修理のことだけどはっきり言って無理だな。連絡エレベーターそのものが粉々に破壊されちまってる以上どうすることもできねえ。しかもタワーに入るためのボタンも向こう側に行けねえからそいつの修理もできねえ。お手上げだな。」
用意周到にそこまで計算して犯人は工作したっていうのか。しかも完全に左右田のメカニックの技術を封じるためのもの。
それに死体を調べることも許さないなんてかなり計算高い犯人だな。
「では別れて捜査をするしかないな。日向たちはストロベリーハウス、私たちはマスカットハウスで捜査を行う。そして見つけたものを裁判場で持ち寄ればいい。まあ現場がそちらである以上手がかりはそっちにありそうだが。」
「ああ任せてくれ。」
俺はそう言って電話を切りすぐに捜査を始めた。
「まずお前たちから話を聞かせてくれ。」
俺はまず現場を調べる前に一通り他のやつらから話を聞くことにした。
「ワシは死体発見アナウンスが鳴るまでずっと部屋で寝ておったのう。豪華な客室の防音設備では爆音も聞こえんかったわい。」
「俺様も同じくな。アリバイが証明できたら良かったのだがそう上手くはいかぬか。」
「俺はボロい客室だったから爆発音で飛び起きたな。で、部屋を出たところで日向と合流して現場へ向かったってわけだ。そうだよな?」
「確かにちょうど部屋を出たところで九頭龍も同じ様に部屋から出てきたな。」
「ちっと待てや。おいコラ左右田。てめーも俺と同じボロい客室に泊まってたのにどうしてあんなに駆けつけるのが遅かったんだ?結局駆けつけたのは弐大や田中と一緒ぐらいだったじゃねえか。」
「うるせーな。気づいたけどそんなもん俺にとってはどうでもいいしな、また寝てただけだ。そうしたらすぐに死体発見アナウンスも鳴ったんだ。捜査もあるだろうし流石に無視する訳にいかねーだろ。
それにあんまりあそこにはもう近づきたくねえんだ。」
「あそこ?それって現場のことか?」
「現場っていうかファイナルデッドルームのことだよ。昨日の夜、俺はファイナルデッドルームに行ったんだ。」
「ファイナルデッドルームということは貴様はロシアンルーレットなるものをやろうとしたというのか。オクタゴンに眠る極上の凶器を手に入れるために。」
「そのためじゃねーよ。そもそも俺は前周回で極上の凶器の正体を知ってんだ。自殺だよ。俺は死ぬためにあそこに行ったんだ。」
「自殺じゃと!?」
「ああ、あそこにはロシアンルーレット用の拳銃もあるしな。ソニアさんを守れず復讐だって満足にできねえんならこれしか方法はなかったんだよ。
でもできなかった。俺は直前になって怖くなったんだ。こんなこと思っちゃなんねえのに!俺はまだ生きたいって思っちまった。」
「当たり前だ。貴様も例外なく生物の端くれなのだからな。」
「そういう御託はいいんだよ!一刻も早く罪を償わないと俺はソニアさんに合わせる顔がねえ。」
「この軟弱者めが!」
珍しく田中の怒号が響きわたった。いつもの様に難しい言い回しをこねくり回そうという姿もどこにも見受けられなかった。
「俺様もソニアが死に、心にくるものは確かにあった。貴様と同じくな。だがソニアは俺様たちに必ずこの島から脱出するようにと言った。だから俺様は今、ここにいる。」
「それはお前らのことだ。俺にはそんな資格はねえ。」
「むしろ貴様にこそ、この島から脱出する義務があるのだ。ソニアは確かに言っていたぞ。処刑の直前に貴様に直接語りかけていたではないか。」
「俺...。」
「やはりあの時の貴様はソニアが処刑される悲しみにくれてその言葉もまともに耳に入っていなかったか。」
左右田が新しい一歩を踏み出そうとしてる。俺も助け舟を出すことにした。
「左右田、恐らくソニアは死ぬときまで前周回の記憶がないまま死んだ。もし何か思い出していたんだったら俺たちに何か言ってるはずだからだ。
それでもソニアはお前にあんなことを言った。それはなんでだと思う?」
「なんでって言われてもよ...。」
「それは記憶の有無に関わらずお前もソニアにとっては大事な仲間だったからだよ。だから記憶なんて関係ない。また、お前が今まで会ったソニアにまた会える日々がやってくる可能性だってあるってことだ。」
「日向...すまねえ...本当にすまなかった。謝っても許してもらえねえかもしれねえけどそれでも俺は生きてソニアさんに会いてえんだ。」
「謝罪なら後で聞くから今は捜査だ。まだお前の話が途中だったよな?」
「ああ、ファイナルデッドルームから部屋に帰った後、気づいたんだけどよ、俺の工具箱からドライバーがなくなってたんだ。」
そう言うやいなや左右田は自分の個室から工具箱を持ってきてその中身を俺たちに見せた。
「確かに一本だけ抜けてやがるな。そのドライバーは日向を襲ったときに使ったやつか?」
「そのドライバーだ。ファイナルデッドルームに行った時は死ぬつもりだったから部屋に鍵もかけずに出て行ったんだ。だからその時になくなったんだろうな。」
鍵をかけずにか。でも実際、左右田が部屋を出てくる瞬間を見てない限り鍵をかけてないなんて分からないはずだし自殺をしなかった以上すぐに戻ってきたはずだ。誰かが盗んだとしてもかなり細かいタイムスケジュールだな。
「ああ、それと電子生徒手帳もどこかで落としたみたいなんだ。誰か見つけたら俺に知らせてくれねえかな?」
「物を失くしすぎじゃぞ。きちんと整理しておらんからそうなるんじゃ。」
「電子生徒手帳はともかくドライバーは俺のせいじゃねえぞ。とにかくあれがないと困るから。」
「分かったよ。捜査で見つかったら届けに行くな。」
一通り全員の話を聞いた俺は現場やその周辺の様子を探ることにした。七海が奈落に落っこちてしまったから遺体を調べることができない。よって、それ以外の捜査がいつも以上に重要となってくる。
まず目立つのは今はもうないエレベーターの跡だな。
明らかに爆破された形跡だ。死体発見アナウンスの直前に爆音も聞いたから間違いないだろう。
そしてさっきは死体発見アナウンスやらモノクマファイルやらでごたついてたから触れなかったけど目に着くのはこれだな。
俺は爆破現場前の床に落ちている代物を手に取った。それは血がべっとりとついた小型のナイフだ。モノクマファイルには刺し傷があると書いてあったからこれが凶器の可能性は高いわけか。
この爆破現場で発見した物はこの程度だったから俺は次にオクタゴンへと向かった。なんせここは世界で最も凶器と偽装工作の道具が集まる場所と言っても過言じゃないからな。
そして、そのオクタゴンへ向かう途中のファイナルデッドルームでも二つほど気づいたことがあった。
まずロシアンルーレットの拳銃のシリンダーには六発の弾丸が装填できるようになっていてその内五発が実際に装填されていた。まあロシアンルーレットなんだから一発だけ装填されてなくて当たり前だ。しかし、それにしても前周回でここに入ったのは狛枝と田中だけだったから俺も実際に拳銃をこの目で見るのは初めてだった。
もう一つの気づいたことというのはファイナルデッドルームからオクタゴンへと続く扉のことだ。ファイナルデッドルームへ入るための扉が爆破されていたからてっきりこれもそうだと思っていたけどそうではなくただ開いているだけだった。
オクタゴンの中は刀、槍、斧などまるで戦乱の時代の武器庫であるかのような佇まいとなっていた。そしてオクタゴンの中は水浸し、その中央には何故かカーペットが被せられていた。とくにカーペットの下に目立った物があるようには見られないから余計になんでこんなことになっているのかと思い、俺はカーペットをめくった。
そのカーペットの下にあった物を見て俺はなんとも言えない気持ちになったのは否めない。
なんせそこにあったのは大量の血痕とそのすぐ側に落ちている左右田の電子生徒手帳、そして先程のナイフの様に血がべっとりとついたドライバーだったからだ。
それにしても謎はますます深くなる一方だ。なぜ左右田の電子生徒手帳がここにあるのか。なぜ血痕やドライバーや電子生徒手帳を守るかのようにカーペットがかけられていたのか。水が存在しないこのドッキリハウスで誰がオクタゴンを水浸しにしたのか。
さらに俺は見覚えのある物を見つけた。それはオクタゴンの隠し通路その入り口付近に散乱していた。前周回の5回目の事件で大きく関わったモノクマ特製のあの毒薬だ。狛枝が七海を自身をクロにするために消火弾の中に紛れ込ませていたのは今でもよく覚えている。まあ毒薬自体はもうそこにはなく、粉々に割れた瓶が散乱しているだけだけど。
待てよ。分かったかもしれない。このオクタゴンの状況と毒薬の特性から導き出される答えは一つだ。
そういえば部屋の反対側は見ていなかったな。そこで俺は反対側に向かったのだが予想だにしない物を発見した。
それはピンク色のリボンだった。こんなものをつけているやつはアイツしかいない。でもどうしてこんなところに...。
しかしそれ以上、分かったことも新しく見つかった物もなかった。左右田から、紛失した物を見つけたら返してくれとは言われてるけど流石にこれを返すわけにはいかないよな。
一通りこの辺りを調べ尽くした俺はストロベリータワーへと向かってみることにした。向こう側のボタンを壊されていてもこっち側のボタンが壊されていなければ少なくともタワー内を調べることはできるかもしれない。
良かった!こちら側のボタンは壊されていない。俺は早速ボタンを押してみた。
でも死体を調べることすら許さないような犯人がわざわざこちら側のボタンを破壊しなかったということはタワー内には調べられて困るような物なんてないんだろうな。
そんなことを考えながらボタンを押してから10秒程経った後タワーへの扉が開いた。
見た感じやはり壁にも床にも不審な点は見当たらない。ただただ真っ赤なスペースが広がるだけだ。
ピンポンパンポーン
「そろそろいいよね、オマエラ。もうボク待ちくたびれちゃったよ。ということで!至急学級裁判を始めます!
タワーの扉はボクが開いてあげるからみんな集まってね。」
そこでふと気がついた。俺が入ってきたタワーへの扉付近に茶色のガラスの破片がいくつか転がっていることに。しかも落ちているのは今俺がいるタワー内部だから、誰かがタワー内でこれを落としたということか。
そうしている内に続々と集まってくる面々。タワーの床は下降を始め女子たちもやって来た。それぞれのハウスでの捜査は学級裁判を進めながら情報を共有すればいいということになり俺にとっては10回目の学級裁判に望むことになった。
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ストロベリーハウスで日向が捜査を始めたころマスカットハウスの私もまた捜査を始めようとしていた。
自分と共にいるのは罪木と西園寺のみだ。西園寺は先日の襲撃事件もあるため捜査を主導させるのはいたたまれる。また罪木の方は協力してくれるとも思えん。ここは私が今までの日向に倣って捜査をしなければな。
しかしこの二人を放置して捜査をするのも不安だ。ならば取るべき行動は一つだ。
「私はこれから学級裁判に向けて捜査を始める。しかし、なにぶん私も捜査に手慣れているとはとてもいえない。だからお前たちも私についてきて何か気づいたことがあれば教えて欲しい。」
「うん、いいよ。七海おねぇの為だもんね。」
「私も構いませんよお。」
二人はあっさり協力してくれると言ってくれた為、私たちはもう一度タワーのところへ行ってみることにした。
「相変わらずボタンは壊れたままですねぇ。左右田さんがいればなんとかなったんでしょうけど。」
「犯人が壊したのだろうな。左右田の技術を恐れて。」
「ねえ、ちょっと待って。犯人がボタンを壊したんだったら犯人はこっち側で降りたってことになるよね?だったら犯人は私たちの中にいるってことになるじゃん!」
「そうとは限らないのではないか?このタワーを使ってストロベリーハウスからこちら側にやってきてボタンを壊し連絡エレベーターを使ってまたストロベリーハウスへと戻る。これなら男子にも犯行は可能だぞ。
それにエレベーターは向こう側で爆破されていたようだからな。」
「それにしてもおかしいですよねえ。犯人がこのタワーで移動するにはもう一人ボタンを押して床を昇降させる人物いわゆる共犯者が必要なんですよね。」
「あんたが共犯者じゃないの?澪田おねぇの時だってそうだったじゃん。」
「あの時は真面目病っていう特例中の特例みたいなものですから当てにはなりませんよぉ。普通は共犯者になるメリットなんて無いんですからねぇ。」
「本当に違うんだな?」
「ええ誓ってもいいですよ。今回は犯人に何一つ協力なんてしていませんし、偽装工作、ましてや殺人なんてやってません。」
「本当なの?」
「証拠がない以上、現時点では信じるほかないだろうな。」
しかしながら共犯者など存在するのだろうか。今となっては日向、私、ぼっちゃん、田中、弍大、西園寺、左右田がコロシアイの真実を知っている。そして罪木もあの左右田と日向の問答を聞いている以上、このコロシアイが繰り返されたものであることは勘づいているはずだ。それでも殺人犯に協力するなど考えられない。
そもそもそんな状況で殺人など簡単に起きるだろうか?
確かに衝動殺人あるいは元々殺人鬼だったようなコロシアイとは全く別の理由を原因とした計画殺人ならば起きてもおかしくはない。しかし多くの人間が日向に協力を申し出ている中で、とてもではないが信じられない。リスクがあまりにも高すぎるからだ。
クロ以外が完全に連帯している中で学級裁判を乗り切る必要があって、そこを上手く乗り切れたとして人数不足で強制シャットダウンができるはずもない。
「ああ、そういえばお前たちの個人的なアリバイなどを聞いてはいなかったな。ちなみに先に言っておくが私は夜はずっと部屋にいたからアリバイはない。」
「私もないかな。夜に出歩く理由もないし。」
西園寺もアリバイはなしということか。
「たしか12時40分ぐらいのことなんですけど七海さんが部屋から出て行くのを私見たんですよね。」
「あんた、七海おねぇが殺される直前に目撃してんの!?」
「はい、そうなんですよぉ。で、どうしたんでしょうか?と思って私も追いかけてみたんですけど七海さんファイナルデッドルームに入って行っちゃったんです。私もその後どうしようかと思ったんですけど、結局入っちゃいました。」
「ではお前は殺人の瞬間を見たのか?」
「いや私はオクタゴンには入れなかったんですよね。後でモノクマちゃんに聞いてみたらどうもロシアンルーレットっていうのをしなくちゃダメみたいで。
オクタゴンへは入らなくて覗くだけと言ったら、オクタゴンへの扉自体はモノクマちゃんが開けてくれたんですけどね。」
「そうなんですよね!ボクが罪木さんのお願いを聞いてあげたんですよね。」
「ビックリしたじゃん!いきなり出てこないでよ!」
「ハァハァ...女子高生三人組を驚かせるのは心地良いね!あ、でも西園寺さんは小学生みたいだからどうでもいいや。ボク、ロリっ子には興味ないんで。」
「ムカつくこいつーー!」
「それでロシアンルーレットを罪木がしていないにも関わらずオクタゴンへの扉を開けたのは何故だ?むしろお前なら殺人を阻止されぬ様に扉は閉め切っておきそうなものだが?」
「確かにロシアンルーレットをしていないのにオクタゴンに入るのはいけないけど、覗くことは別に禁じてないからね。罪木さんがオクタゴンに入ってないことはボクが保証するよ。
そもそもいくらボクが絶望や殺人を望んでるからってそんな殺人犯贔屓するわけないでしょ。後々、オマエラからブーブー言われても面倒だし。」
「つまり私に犯行はできないってことですね!」
それだけ言い残すとモノクマはどこかへ消え、すぐにチャイムが鳴った。
ピンポンパンポーン
「そろそろいいよね、オマエラ。もうボク待ちくたびれちゃったよ。ということで!至急学級裁判を始めます!
タワーの扉はボクが開いてあげるからみんな集まってね。」
「いよいよ始まるんですねぇ。」
「また誰かが処刑されるのを見なくちゃいけないんだね...。」
「では行こうか、裁判場へ。」
こうして私たちはタワーへと乗り込んだ。