どうも、初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はマジでお久しゅうございます。また見ていただいて恐悦至極。高所作業です。
元垢の特攻野郎Gチームで執筆していた物の、続編くらいに当たるものですが、もし、こんな駄文にも付き合ってやろうという銭湯の浴槽並みに心が広いお方は、是非このくっさい文章を笑いの種にしてやってください。
東京武偵高校。第三男子寮。
懐かしいような、そうでもないような、不思議な感覚が、目の前の扉からは伝わってきた。
俺は『次元英介』。東京武偵高の強襲科。今年度で二年生。
裏社会で最高の腕を持つとされた、次元大介という殺し屋の、二代目だ。
昨日まで、長期の海外派遣で寮の部屋を留守にしていたんだが……
結局、今日の始業式には間に合わずに、夕方に寮の自室に帰ることになってしまった。
鍵を開けて、ドアを潜る。
「――ただいま」
不意に、そんな言葉が出た。
たった数ヶ月離れていただけなのに、無駄に長い廊下も、ドアノブの感触も、そして、鼻腔を突くこのバニラのような女の匂いも、全てが新鮮かつ懐かしい、矛盾した状態で感じる。
リビングでは、俺が扉を開けたことに気づいていないのだろう、一人の少女が、ソファに寝転がって、イヤフォンで音楽を聴いていた。
俺は、無防備な奴だと思いながら、その片方を奪い取って、自分の耳につける。
「『シャイ・ガイ』かよ。ダイアナ・キングなんか聞いたか、お前」
彼女は俺を見つめてから目をまん丸にして、口を開く。
「――! ――!!」
「声、出てないぞ」
慌てて口元を引き締めて、唾を飲み込む彼女に、俺は苦笑いをしながら言う。
「ただいま、理子」
理子、峰理子。
伝説の大怪盗『アルセーヌ・リュパン』を先祖に持つ、金髪の美少女。
今日は東京武偵高の制服にフリルをこれでもかと付けた、改造制服を着ていた。
俺の――次元の家も二代前から友好関係にあり、言うなれば、まあ、俺のボスみたいな立ち位置に彼女はいる。
「英介……! 帰って、来たんだ……」
「随分留守にしたが、ずっとこの部屋に?」
「うん、どうせ誰も使ってないしね」
「それにしても、しばらくいない間に随分、その、物が増えたな。特に、服とか」
俺が見る先には、どうもコスプレに使われるようなファンシーでマニアックな洋服が所狭しと置かれていた。
「最近、コスプレとかにハマってんだよねぇ。どう、スケさんも一緒に」
スケさんって……
確か、俺が理子と一緒に日本に来た一年生の頃に、無理やり付けられたあだ名だ。
こいつは妙にこの名前気に入ってるらしいが、俺は実はあまり気に入っていない。だって、スケさんだなんてのは、時代劇の登場人物みたいだからな。時代劇、嫌いじゃないけど。
「いや、俺はちょっと……、そうだ、何か、変わったことは?」
「変わったこと? ううん、何もないけど」
「そうか? 道端で聞いた話じゃ、チャリに爆弾がどうの――」
「神崎・H・アリア」
俺の言葉を遮って理子が口にした名前は、俺にも聞き覚えがある。
というか、俺達がある理由で追っている、イギリスの凄腕武偵。
曽祖父にあの有名な『シャーロック・ホームズ』を持つ。
ミドルネームの『H』は、
「アリアが、この武偵高に転入してきたよ。今日ね」
「そうか……、それで、パートナーに選んだのは?」
神崎・H・アリアは――いや、ホームズ一族は、自身の言動を諌めたり、助言したりするパートナーがいなければ、
「まだ正式には決まってないけど、明日か、もう少ししたらパーティを組むと思う」
「だから、誰なんだ」
「『遠山金次』」
「……! 金次って、あのキンジか。顔がちょっと根暗っぽい、あの」
遠山キンジ。
東京武偵高の二年生で、俺が最も親しくしている友人の一人。
特異体質で、状況によって戦闘能力が変化する、面白い男だったが……
「だから、そう言ってんじゃん。武偵高に遠山キンジなんて名前、一人しかいないよ。――ねえ、スケさん。さっき、チャリに爆弾とか、言ってたよね」
「あ、ああ、それがどうした」
「言うなれば、キーくんってもう敵じゃん? だから、手始めに――」
理子は立ち上がり、手を大きく広げながら、高らかに言う。
「ドッカーン!! 吹き飛ばしちゃった、テヘペロ☆」
「なッ……! お前、ギャルゲーばっかやりすぎて、とうとう頭がイカれちまったのか。キンジを殺したら、元も子もないだろッ!」
俺が理子の胸倉を掴んで追求すると、理子は慌てたように頭を振った。
「ちょ、ちょっと、待ってよ。理子は別に、キーくん殺ちゃったわけじゃないよぉ」
「何、何だって? いいか理子、もう一度チャンスをやるぞ、神に誓って正確に答えろよ」
「ご、ごめんごめん。大変申し訳ないと思ってます、ハイ。えーっと、順を追って説明すると――」
驚きながら話し始める理子。
要約するとこうだ。
キンジは、普段は隠しているが、実際にはかなりの戦闘能力を戦闘能力を秘めている。
理子は神崎・H・アリアを追っているが、アリアには前述のような、優れたパートナーがいなければ、追う価値もないと、理子は思っている。
それで、二人を引き合わせるために、キンジのチャリに爆弾を仕掛けたり、それによって、彼の戦闘能力を引き出し、アリアに彼をパートナーにさせるように仕向けたりと……
因みに、吹っ飛ばしたとは言葉の綾で、「爆風で吹っ飛ばしたけど死んでない」が正解だ。
「お前、こんなに作戦立案下手だったか?」
「きゅ、急場だったんだよ! 理子にだってできることとできないことがあるの! もー、さっきから何さ、ちょっと冷たくない!? プンプンだよ! プンプンガオー!!」
理子は、頭に人差し指を二本立てたようなジェスチャーをする。
……恐らくは、怒りの表現だろう。多分。
「そうか? あー、悪かったよ。もう飯食ったか。まだなら奢ってやる」
「本当? じゃあ、銀座まで行こっか。いい店知ってるんだ」
「おいおい、勘弁してくれよ。そんなに金持ってないぞ」
「引き出せばあるんでしょ?」
「暫く会わないうちに、耳聡くなったな。毒婦め」
「あー、ひっどーい。こんな一途に帰りを待っていた女に言う台詞?」
「……悪い、寂しい思いをさせたか?」
「ぶっぶー、それは、愚問ってやつなのです!」
言わせるなってことか。
こんな会話をしてはいるが、俺と理子は実際、恋仲なのかと言われると、どうなんだろう、と、首を傾げてしまう。
体の関係ならあるし、キスも数えるくらいならしたことがある。愛情だって感じるが、どうも、彼女とは隔たりがあるように感じるな。
仲間以上恋人未満。不等号を付けるなら、これくらいが望ましい。
俺にとっても、あいつにとっても、互いの関係は部下と上司のようなものなのだから。
「まあ、そうだな。それにしても、シャイガイか。格好良い男よりも、シャイな男の方が好み、確か、そんな歌だったな。シャイガイ――それこそ、キンジだ」
「理子はどっちも好みだから。それに、シャイガイには消えてもらうしね。くふっ」
「ハァ、オーケー、そうと決まれば飯だ。日が暮れるまでには着きたい」
「ブ・ラジャー!」
「ブは余計だ!」
こうして、俺達の物語は、続編を綴っていく。
これは、ほんの『
文字数が少ないのは、ご愛嬌。