緋弾のアリア〜リュパンの懐刀~※新規執筆版   作:高所作業

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ああ~やっと投稿できたんじゃ~←パソコン不調だった奴
やったぜ。投稿者、変態クソ作家。
今回も、かなり短いですが、どうかお付き合いください。


第五話『パートナー・スワップ』

 

「……理子、どういうつもりだ」

 次の土曜日、俺は、自宅で理子を問い詰めていた。

 彼女の目的は、キンジとアリアをより結束させることだった。なら、他にやり方があったんじゃないかってな。

「えー? どういうつもりかって、言われても――」

 俺は、ズボンからマグナムを取り出して、理子の顎に密着させる。

 あくまで、剽軽な態度を取り続ける理子の奴に、無性に腹が立ったからだ。

「英介、本気?」

「本気、本気かって? じゃあ逆に聞くがな、お前正気か? 頭のネジ緩んでんじゃねーのかっつってんだよ!」

「そ、そもそもさぁ、あたし達に倫理観なんて似合わないよ」

「そういう問題じゃない。お前が焦ってるのが、気に食わないんだよ。キンジとアリアをくっつけるはずが、逆に距離を離したり、あまつさえ殺すようなことをするくらいなら、もっと確実な方法だってあっただろ! オルメスを超えたと証明するだけなら、殺す必要もないはずだ。俺にとっちゃな、キンジだって仲間なんだ」

 そもそも、リュパンらしくない。

 あんな、下手したら大勢の犠牲を払うような作戦は、リュパンのやるべきところじゃない。

 それは、俺の理想を押し付けているだけなのか?

 それに、あんな作戦を本気で実行する奴を、仲間とは思いたくないね。

「……何だよ」

「あ?」

「仲間はあたしだろ!? それとも、キンジなんてちょっと付き合いがある奴の方が優先されるのかよ!! ふざけんな! サノバビッチ!!」

 理子は、マグナムを跳ね除けて、俺に大きな手振りで怒号を放つ。

「言いやがったな、クソ女! ああいいさ! お前みたいな奴とは、絶交だよ。金輪際そのチビと馬鹿面見せてみろ! 額に尻の穴増設してやるからな!!」

 そう言って、何故か――ああ、何でだろうな、俺の方が、部屋から出て行ってしまった。

 少しでも早く、この場から離れたかったからだ。

 この、彼女の私物と、彼女との思い出が詰まった、部屋からな。

 

 †

 

 男子寮を飛び出した後、俺は頭を冷やすために、休日の強襲科演習場のキャットウォークで、コーヒーを飲みながらのんびりと下の様子を眺めていた。

 強襲科は常日頃から危険に晒されているので、休日でも訓練を欠かさないマメな奴は多い。

 それを見ていると――いや、海を見ているような効果は期待できないが、何となく落ち着くんだ。

 自棄酒を呷るという手も考えた。実際、次元大介ならそうしただろう。

 ただ、これは、理子にも伏せていることだが、俺は、次元大介の弟子ではあるが、血は繋がっていない。

 だから、次元はどれだけ飲んでもある程度の見当識は付いたが、俺はどうなるかわからない。遺伝関係が全く無いわけだからな。

 もし、酔っ払って、理子にこれ以上あたってしまったら、どうしようなどと、冷めた頭で考えてしまう。

 そんなの、俺らしくないじゃないか。

 いや、さっきのだって、かなり格好悪いよ。自分でも何言ってんだって思ったくらいだ。

 でも、あいつが外道に堕ちたりとか、時間に焦ってらしくないやり方で仕事にあたっている姿は、見ちゃいられなかった。

 どうしようもなく、居た堪れない気分になったんだ。

 だが、彼女の焦る気持ちも、よくわかる。

 理子には、できるだけ早くアリアとキンジを打倒しなければいけない、理由があるのだから。

 ただ、今のあいつとは死んでも組みたくないね。それだけは、自分の中ではっきりさせておこう。

 

 †

 

「あら、どうしたの?」

 俺は、ふと、負傷したアリアが入院している、武偵病院に足を運んだ。

 アリアの傷は、意外と軽傷だったらしい。頭部裂傷なんて、ままある話さ。

 ただ、それまで大っぴらに出していたデコが、隠れたくらいだな。

 彼女は、もうベッドから立ち上がり、制服に袖を通している。

 まあ、強襲科の回復力なんてこんなもんだ。

「いや、見舞いに来たつもりだったんだが――蛇足だったみたいで、安心したよ」

「……あんた、今酷い顔してるわよ。少なくとも、怪我人に見せに来る顔じゃないわ。――何かあったの? あたしでよければ、相談に乗るわよ」

「相談、そういうのもあるのか。あー、いや、別に相談できることじゃないんだがな……」

「そう。なら、少し顔を洗いなさい。汚いわけじゃないけど、気持ちが引き締まるでしょう」

「ああ、そうさせてもらおう」

 俺は、備え付けの洗面台でバシャバシャと冷たい水で顔を洗い、持っていたハンカチで荒っぽくそれを拭く。

「どうだい、いつものハンサムに、戻ってるかい」

「……顔はどうかしらないわ。それと、前から気になってたんだけど、あたしと話すときはあんまり米語は使わないで。慣れてないから」

「毛嫌いしてるんじゃなくてか。神崎・H・アリア卿」

「Huh? あんたまで、あたしのこと調べてたの」

「いや、神崎・H・アリアといえば、この界隈では割と有名どころさ」

「ふーん、遠く海軍の船まで、あたしの噂は流れていたわけね」

 まあ、実際に軍艦に乗るんじゃなくて、統合作戦指令部的な所属だったんだがな。

「あたしは、あんた達が思ってるよな貴族とは違うわ。米語も英語も、異なる文化圏で発達したものよ。ただ、ちょっと聞き取りづらいってだけ。特に、日本語に混ぜてるとね」

「なるほど、オーケー、お互い少し溝が埋まったんじゃないか? そういえば、キンジはどうした。聞いたが、パーティ組んでたんだろう」

「あいつは――あいつとは、契約解消したわ。あたしのパートナーに相応しいのは、あいつじゃなかった」

「…………」

 本当に、そうなのかね。

 少なくとも、理子の見立てでは、アリアとキンジはかなりの相性だった。

 そのデコボコな正確含めてな。

「……そうだ、あんた、あたしのパートナーになってみない? 溝は埋まったんでしょ」

 アリアが若干自棄気味に言う。

 アリアの、パートナー、か。

 それも、ありかもしれない。

 今の俺は、理子とは離れているわけだし、それに、これ以上あいつが無茶な作戦を展開するようなら、それは確実にアリアを狙うものだろう。

 その被害を最小限に留めることができれば、それが俺にとっても、理子にとっても、最善のように思える。

 差し出がましいだろうか? だとしても、俺やれるのはそれくらいだ。

「――いいぜ、ただし、パートナーってのは抜きだ。俺を雇ってくれ。その方が、後腐れがなくて済む」

 アリアは、絶対に断られると思っていたのだろう。

 カメリアの瞳を大きく見開いて、俺を凝視してきた。

 それはまるで、値踏みするような視線だ。訝しみ、それでいて、そこに安心を求めているような。

 その視線だけで伝わってくる。彼女は、俺という人間に、昨日までキンジに求めていたものを期待している。そうあって欲しいと、願っているんだ。

「……わかった。次元英介、あんたを、金で雇うわ。でも、あたし達の関係が金銭のみだとしても、相応の信頼を期待するから、そのつもりで」

「よし、交渉成立だ。神崎・H・アリアから金が支払われ続ける限り、俺は擬似的なパートナーとして、最善を尽くすよ。契約内容は、書面で提出するからな」

「あんあたねぇ……、まあ、いいわ。これくらいビジネスライクな方が、あたし達にはいいんでしょ。契約の履行義務は、そうね、明日からでいいわ」

「サー、イエス、サー。……ああ、デイムか。間違えたよ。デイム、イエス、デイムか? 語呂が悪いな」

 実際には、イエス、マムなんだけどな。

「ふふ、そうね。あんた、キンジよりジョークはできるみたいね」

「キンジは、何かジョークを言ったのか?」

「ええ、あたしがアリアなのにかけて『俺と組んでデュエットにでもなるのか』ですって。あれだけは冴えてたわ」

 アリアは少し遠い目をして語る。

 やはり、キンジに未練があるように感じるな。

 ただ、それがどうしてなのか自分でもわからないし、認めたくもない。そういった思いが、あるのだろう。

「明日、ちょっと行きたいところがあるの。まだ本調子じゃないし、護衛しなさい」

「仰せのままに」

 結局、どれだけアリアとつるんだって、どれだけ理子と離れたって、俺は、リュパン側の人間だ。

 理子が危ない時には、アリアより先に理子を助けなければいけない。

 だが、書面だけの関係とはいえ、明日から、アリアも仲間の枠に入るのだ。

 ――俺は、何がしたいんだろう。

 

 †

 

 次の日、アリアは目的を告げずに、俺を連れ出した。

 俺は普段着のダークスーツと帽子。時代錯誤と言う奴もいるだろうが、知るか、好きなんだからいいだろう。

 アリアは、いつもの制服から、薄手の普段着に着替え、美容院で髪を直している。

 俺はというと、少し離れたところで雑誌を読んでいるのだ。

 アリアは、誰かと会うのだろう。

 誰だろうか。思わず邪推したくなる。

 恋人? 政府高官? それとも、もっと危ない人間か。

 どちらにしろ、ボディーガードくらいは、やってみせるさ。

 それより、どこかで見ているんだろう、理子。

 お前は、俺とアリアが共に行動しているのを見て、どう思っているんだろうか。

 もし、悔しさや虚しさ、怒りを覚えてくれてなら、それは――不謹慎ながらも――とても嬉しいことだ。

 俺だって、お前が他のパートナーを見つけたりしたら、そのパートナーを潰してでもお前を奪い返そうとするからな。

 すると、窓の外で、キンジが見えた。

 どうやら、俺とアリアに気づいているらしい。気配隠すのが下手な奴だよ。

 俺は、携帯電話を取り出して、キンジにメールを打つ。

『アリアが恋しいか?』

 すると、窓の外のキンジからすぐに返信が帰ってくる。

『誰があいつなんか。というか、何でお前がアリアと一緒に?』

『雇われた』

 俺は淡白に返す。

 きっと、今、キンジはこう思っていることだろう。

 アリアの奴は、俺をパートナーにしようとして、実力がないと見るや次元に乗り換えたいけ好かない女だと。

 だが、それはそう考えるのは早計だ。

 アリアにだって、事情ってのがあるんだからな。

「英介? 何してるの、行くわよ」

 そこに、髪を整え終わったアリアが来た。

「ああ、悪い。――アリア」

「何?」

「親が危篤だから任を離れたい」

「……あんた、親いないはずだけど」

 ちっ、調べやがったな。

「あー、じゃあ、兄が危篤だ。とにかく、引継ぎはそこの遠山キンジ武偵に任せるからな」

「え、キンジ……?」

 アリアが驚いて、外を見る。

 キンジは咄嗟に身を隠すが、もう遅い。

 お互いがお互いを凝視して、バツが悪そうに目を背けた。

「じゃあ、俺行くから。あとはキンジにエスコートしてもらいな」

 俺はそう言って、駆け足でその場を去った。

 

 †

 

 そもそも、俺は、理子の目標に対しては肯定的だ。

 打倒キンジ&アリア、大いに結構。

 俺だって、少しのお膳立てはしてやるさ。

 だけど、何度も言うが、今の理子とはマジで組みたくない。

 それに、キンジは、アリアをもっとよく知る必要がある。

 アリアの母、『神崎かなえ』は、所謂、武偵殺しと呼ばれる事件の犯人として逮捕されされ、さらに諸々の『イ・ウー』という組織の諸々の罪を被った結果、懲役八六四年――終身刑と大差無いな――という重い刑を課せられるところだ。

 そして、俺もイ・ウーの一員であるのだから、笑えた話ではない。

 武偵殺しは、ほぼ全てが理子による犯行だ。

 つまり、武偵殺し(理子)を追うアリア、アリアを狙う理子(武偵殺し)

 二人が激突するのは、片方が仕組んだこととはいえ、最早宿命のようになってしまっている。

 少なくとも、そろそろ今回どちらに付くかを、決めておかなければいけない。

 アリアの側に付けば、俺は理子を撃つだろう。躊躇い無く。

 俺は既に宣言したからな。次会ったら眉間に風穴と。

 理子の側に付く、ということは、彼女と組むことではなく、彼女の邪魔をしないことだ。

 それはつまり、今回の件に関して以降の不干渉を貫くことにある。

 二者択一なんてのは人生の中でいくつも経験している。それに、俺の定める『最大目標』には、関係のない選択肢だ。

 ……理子のゲーム脳が伝染ったかもしれない。

 まあ、だから、今回もスパッと決めてしまおう。

 俺が付くべきは――

 …………アリアだ。残念だがな。

 俺は今現在も、彼女との契約を履行しなければいけない立場にある。

 それが打ち切られるまで、俺はアリアのパートナーなんだからな。

 ――そして、その日の夜。

 アリアから、電話があった。

『明日、羽田発十九時の便でロンドンへ帰るわ』

 携帯電話から聞こえてきたアリアの声は、

『ロンドン到着を以て、契約を満了とする』

 枯れた、悲愴感を湛えた、声だった。

 

 




やっぱり一次創作も難しいですけど、二次創作にも独特の難しさってありますよね。
世界観を共有するだけならいいんですけど、人の考えたストーリーを自分風にしたりとか、そういう、何と言いますか、発想力とは似て非なる力が試されそうな気がします。
まあ、作者の力では何れも及ばないということですね。ハイ。
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