鬼畜陵辱エロゲの世界に転生したけど男女比がバグってるせいで竿役が俺しかいない   作:乳と地位が比例する世界

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2話 氷の令嬢

「――くくく、貴様。

 さあ、俺の女になるのだ」

 

 誰もいない部屋の中。

 俺は鏡に向かって言い放つ。

 

 そこにいるのは、俺こと主人公のアルス・オンリーロッドである。

 

 第一印象は中々の顔立ちの美青年。

 若干幼さを感じる瞳だが、これはこれで好きな人もいるだろう。

 

「……んー、なんか違うなぁ」

 

 で、今何をやっているかと言うと。

 練習である。

 

 ヒロインを攻略する。

 なんて、自信満々に言ってみたは良いけれど、よくよく考えればだいぶ無謀な気がしてならない。

 

 だって、俺DTだし。

 女の子と半年くらい話してないし。

 唯一の友達すら変態だし。

 

 ……間違いなくコミュニケーション能力に難があるに決まっている。

 嫌だよ俺、竿役とか関係なしに普通にコミュ力の問題で仲良くなれないの。そっちの方がメンタルに来るわ。

 

 確かにさ。

 ゲームの方ではヒロイン攻略したよ、俺。

 三人のメインヒロイン、全員キスまで行ったよ、次の日に寝取られたけど。

 

 ……けどさぁ。

 現実でアプローチするとなると話は別だよね。

 エロゲ知識で恋愛無双とかできるわけないだろっ!

 

 ……しかも、ただ仲良くなるのでは駄目なのが問題だ。

 

「妊娠、させないと駄目だよなぁ」

 

 魔族の襲撃。

 何年後かに訪れるその定めからヒロインたちを守りきるためには、彼女らの子どもの力を借りるしかない。

 

 妊娠。

 

 それはつまり、そういう行為をするということである。

 セから始まってスで終わる行為。

 しかも生殖目的でやるとなると……ハードル高すぎない?

 

 やっぱ、無理じゃね?

 俺、DTだし(2回目)。

 

 とはいえ、諦めるわけにはいかない。

 男が俺しかいないこの宮廷で、ヒロインたちを救うことができるのは俺しかいないのだ。

 

「――だから、相棒。

 頼んだぞ」

 

 そう言って、俺は自らの下半身へ手を伸ばす。

 

 もみもみ。

 

 ……ちっさ。

 

 フルパワーでこのサイズって、まじぃ?

 アルスくんさぁ、こんなんだから寝取られるんだよ。

 

 てか、なんでまだ勃ってんだよ、これ。

 あの爆乳女王様のおかげか?

 

 はぁ、しゃーない。

 一旦処理するしかないか。

 

「……なんか拭くものあるっけ。

 この世界」

 

 世界観的にはなさそう……だけどゴムとかはあったしな、ゲームの方に。

 使われてるのはみたことないけど。

 

 まぁ、謎の魔法パワーでティッシュ的なサムシングがあってもおかしくない。

 そう考えて、俺は辺りをふらふらとうろつきだす。

 

 そのとき。

 

 バダンッ。

 

「――お困りのようですね、坊ちゃま」

 

 大きな音と共に部屋のドアが開いた。

 

 見ると、そこにいたのは、一人の少女。

 メイド服に身を包んだ彼女は実に自信満々そうにこちらを見つめていた。

 

 ――俺はその少女の名前を知っている。

 

「ルルカ」

「はい。坊ちゃまの忠実な僕、ルルカです」

 

 長い黒髪を漂わせ、ニコニコとした表情を崩さない彼女はアルスの教育係であるルルカだ。

 

 教育係、といっても歳はそこまで離れていない。確か3歳差くらいか。

 よって距離感もかなり近い。

 今も隣に座ってきたし。

 

 ……人懐っこさを感じるその仕草は、俺にしか見せない特別なものだ。

 

 ――彼女もまた『汚濁の宮廷を生きるキミ』の登場人物なのである。

 

「何かお探しですか? 坊ちゃま。

 ふっふっふ。このルルカにお任せください。

 坊ちゃまのためとなれば、例えどんな難題でも解決してみせましょうとも」

 

「ん、大丈夫。

 ……それより、入るときはノックしてね?

 まあまあ危ないとこだったから」

 

 ルルカはいわゆるサブヒロイン的な存在だ。

 攻略することはできず、小さなイベントで若干のエロシーンがあるくらい。

 普通にゲームをプレイしてたら、「あー、こんなキャラいたね」程度の存在に過ぎない。

 

 でも。

 

 俺は彼女のことが大好きだ。

 メインヒロインたちに引けを取らないほどに。

 

 なぜなら。

 

 ——彼女はゲームで唯一、寝取られシーンが存在しないのだ。

 

 

 ルルカはどのルートでも主人公に忠実なメイドとして役目を終える。

 敵に捕まろうが、催眠を受けようが、彼女の強い意志は変わらない。

 

 だから、彼女は自らに敵の手が伸びると……舌を噛み切って自害する。

 全ては主人であるアルスに、迷惑をかけないためだ。

 

 俺は周回中、何度もその姿を見てきた。

 アルスを守り切ろうと、身を犠牲にする彼女の姿を。

 

 ……やば、思い出すとまじで泣きそう。

 

「坊ちゃま? どうなさいましたか?」

「……大丈夫、ちょっとうるっと来ただけだから」

 

 俺はルルカのことも救いたい。

 彼女だって、魔族の襲撃の犠牲者なのだ。

 

 ――だから、俺はやらないといけない。

 

「……ん、どうしました? 坊ちゃま」

 

 俺は確信している。

 彼女なら、俺がどんなことを言っても、受け入れてくれる。

 

 だから、勇気を出して、伝えるんだ。

 

「――ルルカ、お前は俺のことが好きか?」

 

「はい。

 好きですよ。坊ちゃま」

 

 返事が来るのは、早かった。

 

「……ありがとう、ルルカ」

 

「ふふっ、当然ですっ。

 私は坊ちゃまのために生きてきたんですから」

 

 誇らしげに笑う彼女の笑みに、思わず心臓が脈打つのを感じた。

 こういうことを、人に聞いたのは初めてだ。

 

 ……こんなにも、緊張するものなのか。

 

 

「好きですよ、坊ちゃま。

 好き好き好き、好き好き好きすきすき。

 ずっと、一緒ですからね」

「……なんか、変な方向に進んでない?」

「ん、そうですか?

 私としては思っていることを伝えてるだけなのですが」

 

 けどちょっと重いな、この子。

 ゲームではこんなんじゃなかった気がするんだけど。

 

 ……アレかな、男が減った影響でこの子もちょっとバグってたりするんだろうか。

 

 まぁ、とはいえ。

 こうも直球で好意を伝えられると、そのアレだ。

 

 ……照れる。

 すごい照れる。

 

 チョロ、俺。

 

 伊達に童貞やってねえなと、俺は思わずため息をつく。

 

 すると、そんな様子を見てか知らないが、ルルカが声を放った。

 

「ところで坊ちゃま。

 今朝からずっと聞きたいことがあったんですが」

「ん、なに?」

 

 

「頭でも打ちました?」

 

 ……へ、打ってないけど?

 

「昨日まで宮廷に行くってなって大泣きだったじゃないですか。『お、女の人がいっぱいなんて、無理だよぉ。たすけてルルカぁ』って」 

「……俺、そんな奴だったの?」

「はい。

 なので労いに来たつもりだったのですけども」

 

 どうやら、この世界のアルスくん。

 相変わらずヘタレだったようだ。

 一丁前に性欲はあるのにね。

 

 ……いやでも、これは男女比が変わった影響も大きいか。

 女王様から聞いた話とかから考えるに、この世界の男って、ほとんどヘタレっぽいし。

 

 それに従来の性格も合わさったとなると……まぁ仕方ないのか。

 

「……疲れてるようなら、横になってもいいですよ? 今なら、私しかいませんから」

 

 そう言うと、ルルカはトントンとベッドを叩く。

 叩くたび、腕の運動によって彼女の身体はぷるぷると揺れている。主に、上半身が。具体的には、おっぱいが。

 

 ……女王様もそうだが、発育が良いのが多いな。ゲームだと立ち絵がなかったから分からなかったけど。

 

 なんか、若干ヒロインたちが心配だ。

 どうしよう、貧乳令嬢ちゃんの胸が盛られたりしてたら。

 俺、白目剥いて気絶しちゃうかもしれない。

 

 おっと、そんなことより。

 今は質問に答えないといけないな。

 

「……あー、そうだね。

 ちょっと疲れてるかも、女の子と喋るの半年ぶりくらいだし」

「むぅ、私も女の子なんですけども」

「あ、いや、こっちの話でして……」

 

 あまり、前世のこととかでボロは出さない方が良いな。俺は彼女の言葉を聞き、訂正しようと手を横に振る。

 

 が、気づいた。

 

 いつのまにか彼女の顔が目の前にあることに。

 

 近い。

 鼻と鼻が触れ合うほどの、距離感。

 緊張からか、俺は思わず顔を下に向ける。

 

 が。

 ……逆効果のようだ。

 

 視線の先にあるのは、豊満に実った二つの球体。エロゲ特有の露出しかないメイド服、そのせいで肌はほとんど丸見えである。

 

 ……わーお。

 

 そのまま、数十秒硬直した。

 

 決して、目を奪われていたわけではない。

 ないったらない。

 

 

 ごめん、嘘です。ガン見してました。

 

 いや、仕方ないだろう。

 こんな光景が目の前にあったら、見ない方が失礼に当たる。

 

 ……ただまぁ、問題があったとすれば。

 

 ルルカの方も気づいていたということか。

 

「……触りたいんですか? 坊ちゃま?」

「えっ、あ、いやっ!?」

 

 次の瞬間、耳に入った言葉によって俺は意識を取り戻す。

 

 ……やばい、バレてた。

 いや、そりゃバレるんだけど、三十秒くらいガン見してたし。

 

 俺は咄嗟に言い訳をしようと彼女の顔へ視線を向ける。

 

 けれど、そのとき。

 

「――いいですよ、坊ちゃま」

 

 耳元で、ルルカが囁いた。

 

「昔みたいにくっついていいんです。

 こんな女だらけの宮廷、疲れちゃうでしょう」

 

 息の漏れた小さな声。

 歳はそう変わらないというのに、その声は随分と大人びて感じる。

 

「ふふん、昔から私にだけべったりでしたもんね。……ほら、好きなだけ甘えていいんですよ、坊ちゃま。私は、坊ちゃまの所有物ですから」

 

 そう言うと、彼女は。

 

 ――自らの胸を持ち上げ俺の元へ差し出した。

 

 

 え、マジで?

 

 瞳を見る。

 大真面目であった。

 この上ないくらい真剣な眼差しである。

 相変わらず服装はふざけているけど。

 

 ……え、てか、どうする?

 これ、触っていいやつなの?

 触れた瞬間、バッドエンド直行とかない?

 

 いや、ないか。

 ルルカはこういうことをする奴だ。

 ゲームのエロシーンでも、似たようなイベントがあったはずだし。

 

 ……じゃあ、いいんじゃないか?

 

 だってさ、あれよ。

 これからヒロインたちを攻略するのよ?

 

 となれば、こんな胸の一つや二つ、平常心で揉みしだける人間でないと駄目に違いないだろう。

 

 そうに違いないっ!!

 

 そして、俺は手を伸ばす。

 彼女の豊満な球体をこの上なく揉みしだこうと。

 が、その瞬間だった。

 

「もう、遠慮しなくてもいいんですよ、坊ちゃま」

「へっ!?」

 

 ずっと手間取っていた俺を見てか、ルルカが声を出す。

 

 次の瞬間、彼女の大きな身体が、包み込むように俺を抱擁した。頭が、胸にめり込んで、女の人の匂いが顔中に広がる。

 

 だ、抱きつかれてる。

 

「ふふっ、昔からこうするのが好きでしたよね、坊ちゃま。

 ……まったく、私がいないと駄目なんですから」

 

 力はこもっていない、けれど、それ以上に感じるのは彼女の強い眼差しだ。

 胸に顔を埋めているにも関わらず、その視線は感じられた。重くて、甘い視線。

 

 これは忠誠によるものじゃない。

 それよりも、もっと。

 ずっと強い感情によって、作られたものだ。

 

 ……あ、これ、やばいかも。

 

「ほら、いっぱい甘えてください。

 ここなら、誰にも見られませんから」

 

 なんか、身体が勝手に、彼女のことを求めてしまう。垂れた髪が、肌に触れて、甘い匂いが脳をひどく、刺激している。

 

 この、感触に身を委ねたい。

 俺の頭が強く、そう願うのを感じる。

 

 ……けど、駄目だ、これ。

 

 ぜったい、もどれなくなる。

 

 そう思いつつも、俺の身体は言うことを聞かない。

 そして、そのまま。

 

 俺は彼女の身体に、意識を預けようと、自ら目を、瞑ろうとする。

 

 けれど。

 

 そのときだった。

 

 

「――失礼するわ」

 

 不意に、開きっぱなしのドアの方から声が聞こえた。……その声は、何度も聞いたことのある、冷たい声。

 

 俺は、ぐちゃぐちゃな脳を無理矢理動かして、視線をドアへと向ける。

 

 ……すると、そこには。

 

 

 乳に顔を埋めた俺を、凄い目で見つめる少女がいた。

 

 ――瞬間、俺は正気を取り戻す。

 

 あ、どうも、こんにちは。

 ははは、今日はいい天気ですね。

 

「……失礼したわ」

「あ、ちょ、帰んないでっ!!」

 

 俺は埋めていた頭を慌てて持ち上げる。

 途端、冷や汗が垂れて、止まらない。

 

 完全に、頭が冷えてきた。

 

 まずいまずいまずい。

 誰かは知らんが百パー勘違いされている。

 このままじゃ俺が嬉々としてメイドの胸に顔を突っ込んだ変態だと思われてしまう。

 ……いや、そうだけど!

 

「あら、見られちゃいましたね、坊ちゃま」

「ルルカのせいなんだけどっ!?

 てか、位置的にドア見えてたよねっ??」

「さぁ、どうでしょう。

 んー、ヨクワカリマセンネ」

 

 とぼけるルルカはその場を動こうとしない。

 くそ、このサキュバスめが。

 

 仕方ない。

 俺は少女の方へと歩き出す。

 幸い、まだドアの前に立っていた。

 

「えっと、その、これは誤解で……」

 

 そうして、彼女の前に立ったとき。

 

 俺は気づいた。

 

「あっ」

 

 その少女が、誰であるかを。

 

「……セレス・ルーフォリア」

「あら、名前。覚えてたのね」

 

 知っている。

 そりゃ、そうだ。

 

「……宮廷入りを聞いたから挨拶に来たのだけど。邪魔したかしら」

 

 だって俺は、この子のことを救おうと、何回も、何十回も、やり直したんだから。

 

「――改めて、自己紹介。

 私はセレス・ルーフォリア。

 中級貴族ルーフォリア家の長女。そして」

 

 空気を切り裂くような凛とした顔立ち。

 感情を出さない落ち着いた表情。

 ついでに平らな胸元……間違いない、

 

「貴方の婚約者でもあるわ。

 アルス・オンリーロッド」

 

 彼女こそが、このゲームの一人目のヒロイン。

 そして、俺の第一の攻略対象となる存在。

 

 

 ――氷の令嬢、セレス・ルーファリアであった。

 

 

 ……第一印象最悪だなぁおい!?

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