鬼畜陵辱エロゲの世界に転生したけど男女比がバグってるせいで竿役が俺しかいない   作:乳と地位が比例する世界

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4話 竿役

 この世界に来てから、数日が経った。

 

 わけわかんなかった宮廷での生活にも慣れ、今は立派な中級貴族として毎日精を出している。

 エッチな意味じゃないヨ。

 

 まぁとはいえ、やることなんてないんだけど。

 

 貴族というのは随分と暇なようだ。

 仕事なんてほとんどないし、廊下を歩いてみても、偉そうなオバサン達が談笑してるばかり。

 相変わらず、肌面積の終わってる服を着ながら。

 

 一回興味本意で近づいたけど、すげえ怖かった。普通に尻とか触ってくるんだもん。

 見守ってたルルカが助けてくれたけど、いなかったら危なかったかもしれない。

 

 やっぱアレか、男が少ないのが問題なのか。

 

 話によると、そういう目的で庶民の男を連れ込むとかも禁止らしいしな。風紀が乱れるとかで。

 

 ……ま、今はいいか。

 

 結局何が言いたいかと言うと、貴族というのは暇を持て余した変態集団ということだ。

 

 で、その有り余る時間。

 唯一の健全貴族の俺が何をしているのかと言うと。

 

 

「――ぐははははっ、セレスよ!

 貴様の婚約者がやってきてやったぞっ!」

 

 ふざけた喋り方をしながら婚約者を口説いてた。

 

 やべ、俺も同類かもしれない。

 

「……頭でも打ったのかしら、アルス?」

「いや、打ってないけど。

 なんか前も言われたなそんなこと」

 

 ほら、こういう感じの方が好きかなって。

 ゲームの方だとこんな喋り方の大臣に堕とされてたじゃん。

 

「いつもの貴方の方がいいわ。

 ……無理にとは言わないけど」 

「あ、大丈夫、全然こだわりとかないから」

 

 蔑むような彼女の瞳を受け、俺はいつもの調子に巻き戻る。

 

 うむ、これも失敗か。

 やはり、一筋縄ではいかないな。

 

 ――セレスの攻略は上手くいっていると言えない。

 

 こう毎日のように彼女の部屋に通い詰めてるにも関わらず、ツンとした態度にはまるで変化はなかった。

 

 てか、分かんない。

 もしかしたら、ちょっとくらいデレてるかもしないけど……感情豊かな子じゃないからなぁ。

 

 ゲームだと好感度メーターのおかげで分かったが。リアルとなると厳しい。

 特に恋愛経験皆無の奴にとってはね。

 

「今日も、一緒にいるの?」

「もちろん。

 ――好きな子と一緒にいたいのは、当然でしょ?」

 

 まったく、歯の浮いたようなセリフだ。

 エロゲ脳のせいか、俺の語彙だとこんなのしか出てこない。

 

「……なんで。

 私のどこを見て、そんなこと言うのよ」

「全部」

「なによ、それ」

 

 信じられない、とでも言いたげな冷たい声が彼女の口から放たれる。

 

 ……本当のことなんだけどなぁ。

 

 好意を伝えるということは難しい。

 人間、口ではなんとでも言えるのだ。

 特にこんな世界だと、男が女に言い寄るなんて滅多にないことらしいし。

 

 だから、大事なのは行動だ。

 そのためにも、俺は彼女の部屋に毎日通っている。朝から晩まで、ずっと。

 

「……いいわ。

 ご飯、まだ食べてないんでしょ」

「あ、バレてた?

 あはは、起きてすぐ直行だったからね」

「作ってあげるわ。

 あんまり、自信ないけど」

「いいのっ!?

 うへへ、夢の手料理だぁ」

 

 とはいえ、これはこれで、悪くない。

 彼女と一緒にいるのは楽しいし、幸せだ。

 

 ……正直な話をすると。

 

 俺は彼女の部屋にいるとき、攻略とか、救済とか、大層なこと考えちゃいない。

 

 ただ、率直に。

 

 ……大好きな彼女と仲良くなりたい。

 

「美味しくなかったら、残していいわ」

「そんなことするものですかっ!

 ――んっ、おいしいっ!!」

 

 どうやら俺は、そんなことを考えているようだ。

 

 

 

 夜が更けたこともあり、部屋に帰った。

 

 もうちょっと一緒に居たかったが、さすがに夜中に女の子の部屋にいるとなるとね。

 いくら婚約者とはいえね、アレよね。

 

 ……ほんと。

 やっぱ、攻略とか無理じゃねー。

 

 帰ったら作戦会議しよう。

 このままじゃ、一生進歩しなさそうだ。

 

 そんなことを考えながら部屋に戻ると。

 

 

 人影があった。

 ……それもなぜか、俺のベッドの上に。

 

「……坊ちゃま。

 またあの女のとこへ?」

「そんな言い方しないの。

 ルルカ」

 

 しくしくと泣き真似をしながらそんなことを言い放ったのは、おっぱいメイドルルカちゃんである。

 

「襲われたらどうするんです。

 ……いいですか、宮廷の貴族というのは男に飢えているんです。気をつけないと、取り返しのつかないことになりますよ」

「はあ」

 

 他の貴族は知らないが、セレスに限ってはそんなことするわけないだろう。

 まったく、心配性なものだ。

 

「……ねー、わたしも構ってくださいよぉ。

 ほら、この前みたいに、どうです?

 いっぱい甘えたりしませんか」

「今はそんな気分じゃないから。

 てか、別に俺メイドに手を出すような奴じゃないからね? 勘違いしないように」

 

 猫撫で声で駆け寄ってくるルルカをひらりと避けて、俺はベッドへと転がる。

 

 少なくとも、今はセレスに対して誠実でいたい。なので、この魔性のメイドにも抗わないといけないのだ。

 

「……うぅ、分かりました、分かりましたよ。

 仕方ないので、自分で慰めます。

 頭の中でぐちゃぐちゃにされても知りませんからね」

「どういう脅しだよ」

 

 そう言い放った後、彼女は部屋から出ていった。たぶん、メイド用の共用寝室に向かったのだろう。

 

 ……まぁ、彼女にも世話になっている。

 今度、何かしらの埋め合わせをしないとな。

 

 そんなことを考えながら、俺は先ほどまで彼女が座っていたベッドに顔を埋めた。

 

 

 ……なんか、女の子の匂いがする。

 ぜったい寝てただろ、これ。

 

「……しゃーないか」

 

 甘い匂いに耐えきれず、立ち上がる。

 

「よし、作戦会議でもするか」

 

 幸いまだ眠気は襲ってきていない。

 ここらで一旦、これからの立ち回りについて考えよう。

 

 ――そう、セレスを攻略するための立ち回りを。

 

「んー、どうしようかな」

 

 彼女のことを考えるには、ゲームでの出来事が参考になるだろう。

 幸い、俺には知識がある。

 何百回もプレイした、あのゲームの知識が。

 

 

 『汚濁の宮廷を生きるキミ』には三人のメインヒロインに対して、対応する三人の竿役が存在する。

 

 そして、セレスに対応する竿役。

 ——その名はダリウス・フットロッドという。

 宮廷で大きな派閥を持つ大臣である。

 

 見た目はザ・悪役と言った感じの太っちょ大臣。性格は狡猾で残忍。

 目的のためなら手段を選ばない極悪非道の外道である。

 

 さらに、かなりの女好きでもある。

 

 何人もの女を奴隷として飼い、気に入った女であれば、例え同盟国の令嬢であろうが手に入れる。それが、彼のやり方だ。

 

 ルートによっては主人公にその隙を突かれ、失脚することもある。

 が、持ち前の狡猾さによって、それすら回避することも少なくない。

 

 そして、奴の最も欲している少女。

 

 ――それが、セレス・ルーフォリアだ。

 

 ダリウスは、セレスに病的なほどの執着を持っている。

 ……原因は、彼の性格である。

 

 気高き令嬢を屈服させることに性的興奮を感じる極上のサディスト。

 

 そんな彼にとって、セレスは格好の獲物であった。だからこそ、ダリウスは自らの派閥を使って、セレスを追い詰める。

 

 全ては、彼女の身体を手に入れるために。

 

 

 ――物語中盤。

 

 あるイベントが、強制的に発生する。

 

「……アレだけは気をつけないとな」

 

 名は監禁イベント。

 

 セレスがダリウスに奪われる決定打になるイベントだ。

 

 主人公とセレスが最も親密度を深めた時期、そのイベントは発生する。

 内容はこうだ。

 

 ダリウスがセレスの母親を地下に監禁する。

 

 ……目的は一つ。

 セレスへの人質である。

 

 セレスにとって、幼い頃から自身に愛情を注いでくれた、たった一人の肉親。

 心優しき彼女にとって、そんな存在を見捨てるなんて選択肢はない。

 

 だから、彼女は行ってしまうのだ。

 主人公に迷惑をかけないため、一人で、ダリウスの元へ。

 

 ……後のことは言わなくていいだろう。

 くそっ、親子丼までしやがってあの野郎。

 

 

 ……しかし、これは大丈夫なはずだ。

 

 誘拐イベントはあくまでゲーム中盤のイベント。プロローグが終わったくらいの今の段階では起きようがない。

 そもそもセレスと出会うのさえ、もう少し後のはずだし。

 

 それに、だ。

 そもそも女王様による話だとこの世界のダリウスは女らしい。

 ならば、セレスに危害を加えようとしない可能性だって十分にある。

 実物を見ていないから断言できないが。

 

 ダリウスに関しては、しばらく様子見だ。

 

 今の奴がどういう存在なのか。

 まずはそれを確認しないといけない。

 

 ……んー、そうなれば。

 結局、今やるべきことは一つか。

 

「ん、よし。

 明日はもうちょっと違うアプローチでもしてみるか」

 

 やはり、彼女の好感度アップが重要である。

 そのためにも、色んな方法を試してみよう。

 

 そんなことを考えながら、俺は再度ベッドに転がるのであった。

 

 ……まだ匂い取れてないな、これ。

 

 

 

 ということで。

 

「やっほーっ!

 今日も来たよ、セレスっ!」

 

 次の日、俺は今日も今日とてセレスの元へ来ていた。

 

 途中、少し寄り道をする必要があったから早起きである。……ふぅ、店が閉まっていたときは焦ったな。

 

 今日は作戦がある。

 そんな大層なものではないが、アプローチとしては悪くないはずだ。

 

 俺は胸を躍らせながら、彼女の部屋のドアをノックする。

 

 しかし。

 

「……あれ?」

 

 いつもなら、数秒で開くドア。

 それが、やけに遅い。

 

 心配になった俺は思わずドアノブに手をかける。

 すると、気づいた。

 

 ドアに鍵がかかっていない。

 

「――セレスッ!!」

 

 躊躇なくドアを開く。

 彼女が鍵をかけ忘れるなんて、あるはずがない。なにかあったのだ。

 

 

 ……そして、中で俺が目にしたもの。

 

 それは。

 

「……アル、ス」

 

 ぐちゃぐちゃに荒らされて、見るも無惨な姿に変わり果てた部屋。

 その中で、一人。涙を堪える少女の姿だった。

 

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