鬼畜陵辱エロゲの世界に転生したけど男女比がバグってるせいで竿役が俺しかいない   作:乳と地位が比例する世界

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6話 魔法

「ふぅ、とりあえずはこれで大丈夫かな」

「……そうね、後はあのメイドの子が帰ってきてからかしら」 

 

 部屋中にばら撒かれたゴミを一通り片付け、俺たちは大きく息をつく。

 

 だいたい一時間くらいだろうか。

 協力したおかげもあって、なんとか昼までには終わった。

 

「……ただこれ、ゴミ捨て場まで持っていかないと駄目だよね。んー、だいぶ重労働だな」

 

 量を考えるに、最低でも五回は往復しないといけないだろう。この世界に来てからろくに運動もしてなかったし、腰をいわしそうだ。

 

 ……そうなったら大変だな。色んな意味で。

 

 そんなことを考えながら、俺はゴミ山へと足を進める。

 

 すると、そのとき。

 

「その必要はないわ」

 

 不意に、セレスが進路を手で塞ぐ。

 

 なんだ? 急に?

 戸惑う俺。そんなのは知らんと言わんばかりに手を投げ出したままの彼女。

 

 その直後だった。

 

「――アイスプリズム」

 

 声とともに、眩い光が部屋を包みこむ。

 同時、辺りの空気が、一瞬のうちにひんやりとした冷気へと変わりだす。

 

「へ?」

 

 困惑する俺をよそに、セレスは冷気へ手を伸ばす。

 そして、次の瞬間。

 

 ――集められたゴミが一瞬のうちに凍りついた。

 

 ……しかも、ただ凍結したのではない。

 外から加えられた冷気の圧。

 それによって、くしゃくしゃになるほどに潰されているのだ。

 

 そのまま、圧縮は続く。

 胸の辺りまであったゴミ山は、あっという間に両腕に収まるほどの大きさまで縮小されてしまった。

 

 ……わお。

 

「い、今の、なに?」

「氷魔術よ。

 昔から、これだけは得意だったから」

 

 魔術。

 その言葉を聞いて、俺はようやく理解する。

 彼女の使った力の正体を。

 

 ……けれど、それはそれとして。

 

 すごっ!!?

 初めて見たんだけどこんなのっ!?

 

「完全に凍ってる……

 溶けたりもしそうにないし」

「そこまで冷たくはしてないわ。

 持って運ぶくらいならできるはずよ」

 

 気持ちが昂るのも当然だろう。

 魔法……男なら誰しも夢に見るロマンであり、憧れだ。

 

 原作ではちんぽをデカくする魔法やら感度一万倍にする魔法とかのカスのフ〇ーレンみたい魔法しか出てこなかったから、気にしてなかったが……そうか、そうだよな!

 こういうシャレオツな奴があってもおかしくないよな!

 

 ……やばい、めちゃくちゃ興奮してるっ!

 今まで乳の大きさくらいしかファンタジー要素なかったのに、ここに来てこれか!

 

「ね、ね!

 もっと見せて! 魔法!!」

「……気に入ったの? アルス」

 

 はしゃぐ俺に対して、セレスは少し呆れたように笑みを見せる。

 

 思わず、心臓が脈打つのを感じた。

 

「ふふっ、意外と子どもっぽいとこもあるのね。

 ……いいわ、今度、もっと凄いのも見せてあげる。本気を出せば、氷像だって作れるのよ」

 

 氷の塊は空中で何度も形を変える。

 けれど、俺の視線を集めたのはそこじゃない。

 

 ――こんな顔もするんだな。

 

 朝からずっと落ち込んでいた彼女の表情が、緩んでいる。いつもの凛とした雰囲気とは、少し違う、柔らかな表情。

 でも、不思議と違和感は感じなかった。

 

 ……もしかすると、こっちが素の彼女なのかもな。

 

 ゲームでは見れなかった彼女の一面。

 それが垣間見れた気がして、胸を弾ませる。

 

「……アルス、どうしたの?」

「ん、なんでもないよ。

 ただ、可愛いとこが見れて嬉しいなってだけ」

 

 そう言って、俺は彼女に笑いかける。

 

「……ちょっと、揶揄わないで」

「本心だもん、揶揄ってなんかないよ。

 ほら、見てみて」

 

 俺は鏡代わりに、彼女が作った氷塊の一つを掴む。

 が、その瞬間。

 

 ……あ、溶けた。

 

「意外と溶けやすいんだ、これ?」

「……そんなことないわ。

 いつもは、もっと丈夫だもの」

 

 言葉を放つ彼女だが、その声は少し途切れ途切れしている。

 それに、なんか様子が変だな。

 

「顔、赤いけど大丈夫?」

「……だいじょうぶよ、きにしなくていいわ」

「ほんとに? 

 なんかどんどん溶けていってるけど」

 

 浮かんでいた氷は、まるで彼女の頬の赤みにリンクするように溶け出していく。

 平常を保つように、その様子を見守るセレスだが、真っ赤な顔のせいか、全然普通に見えない。

 

 ――やっぱり、可愛いな。

 

 そんな結論に陥りながら、俺はしばらく彼女の貴重なご尊顔を見守り続けた。

 

 氷はほとんど溶けちゃったけど。

 

 

 

「じゃ、これは俺が捨ててくるよ。

 セレスはここで待ってて」

 

 数分経って、若干息は荒いものの落ち着いてくれたセレスに対して言葉を放つ。

 

 幸い、ゴミの方の氷は溶けていない。

 これなら一気に持っていくことができるだろう。

 

 ゴミ捨て場は遠い。

 まぁ、正確には宮廷がでかいからだが、走っても五、六分はかかるはずだ。

 

 多少元気を取り戻してくれたとはいえ、今の弱っている彼女を外に見せたくない。

 となれば、俺一人で行くのが最適だろう。

 防犯は他のメイドたちにも頼んでるしな。

 

「なにかあったら外のメイドさん達に言ってね。

 じゃ、行ってく――」

 

 そう言って、俺は部屋の外へと足を踏み出そうとする。

 

 けれど。

 

「……待って」

 

 その足は、彼女の言葉によって動きを止められる。

 

「もうちょっと、一緒にいちゃ、駄目かしら」

 

 いや、ちがう。

 言葉だけじゃない。

 身体を止めているのは、もう一つ、あった。

 

「……せ、せれすさん?

 その、これは?」

 

 

 ――後ろから、抱きつかれている。

 

 背中を襲う、華奢な身体の感触は激しくその事実を主張していた。

 

「あ、あのー?

 なんか、言ってくれないと、その、勘違いしちゃうんですが」

 

 俺の言葉を聞いても、彼女は離れようとしない。むしろ、お腹に伝わる腕の力は、強くなるばかりだ。

 ……まるで、離さないとでも言わんばかりに。

 

 ――もしかして。

 

 都合の良い考えが嫌でも頭に浮かんでしまう。

 

 ……ちがう、そんなわけはないだろう。

 

 口では否定しても、馬鹿な考えは頭に湧いては止まらない。徐々に、身体が熱くなっていくのを感じる。

 

 そして、そのとき。

 

 彼女が、口を開く。

 

 

「――奥の部屋も、散らかってるから」

 

 

 ……あ、そうなんだ。

 へえ、そっちにも部屋あったんだね。

 

 

 ――やっぱり勘違いじゃねーかっ!!

 

 あーあ、これだからDTは。

 まったく、やんなっちゃうわね。

 ちょっとくっつかれたくらいで発情しちゃって。

 このまま立派な魔法使い一直進だね、うんうん夢が叶うね良かったね。

 

 良くねーよ、ぶち〇するぞ。

 

 ……おっと、失礼。

 つい汚い言葉がでてしまった。

 

「あー、じゃあそれも片付けてからにしよっか」

 

 まぁ、まだ合って数日だしな。

 こんな短期間で惚れられるわけない。

 そうだよな、当然だ。

 

 ……やだ、めちゃくちゃ恥ずかしい。

 

 羞恥心を誤魔化すため、俺は喉の奥から無理やり言葉を捻り出す。

 

「あー、えっと。あ、そうだ。

 あの部屋って何の部屋なの?

 寝室とかじゃないよね」

 

 ただ、捻り出したにしては、良い質問が出た気がする。

 実際、気になるしな。

 

 ベッドはこっちにあるし、お風呂は宮廷に別であるはずだ。

 となれば……んー、何の部屋だろう。

 

 俺はセレスの言葉を待つ。

 

 けれど、その返事はやけに遅い。

 ……もしかして、聞いちゃいけないことだったか?

 

 そう思っていると。

 彼女が、ゆっくりと言葉を吐き出す。

 

「……そこは、母の部屋よ」

 

 母。

 その言葉を聞いて、思わず、心臓が跳ねるのを感じた。

 鼓動の高鳴りは、さっきまでとは種類が違う。

 

「……お母さんは? どこにいるの?」

 

 これは、警鐘だ。

 

 ――監禁イベント。

 セレスがダリウスの元へ堕ちてしまうきっかけになるイベント。

 そのイベントは、彼女の母親が誘拐されることから始まる。

 

 ありえない。

 そう一蹴していた可能性が、頭に浮かぶ。

 

「もしかして、いなくなったり、とか?」

「そんなわけないでしょ。

 今は実家にいるわ。

 急に、用ができたみたいだから」

 

 ……良かった、まだイベントは起きていないようだ。彼女の言葉を聞いて、俺はほっと一息をつく。

 

 ま、そりゃそうか。

 まだ序盤も序盤だしな。ダリウスと出会ってすらないこの段階でイベントが起こるはずがない。

 

「じゃ、あっちの部屋に移動しよっか。

 大丈夫、二人で片付ければすぐ終わるよ」

 

 納得した俺は、そのままの勢いで彼女を連れて奥の部屋へ向かおうとする。

 

 

 ……そう、向かおうとしている。

 正確にはさっきからずっと。

 

「……あの、セレスさん。

 離れてもらわないと動きづらいんですが」

「……そう、ね」

 

 口では言うものの、彼女は身体を密着させたまま動こうとしない。

 ずっと、俺の背中に顔を埋めたままだ。

 

 ……やっぱり、ショックなんだろう。

 

 こうもあからさまな嫌がらせ、しかも母親の部屋まで汚されたとなると、当然だ。

 

 ――絶対、犯人を見つけてやる。

 

 俺は、心に強く誓う。

 

 そしてそのまま、彼女が満足するまでのしばらくの間、自らの背中を貸し与えるのだった。

 

 

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