鬼畜陵辱エロゲの世界に転生したけど男女比がバグってるせいで竿役が俺しかいない 作:乳と地位が比例する世界
「はーい、お掃除終わりましたよー。
特に壊されたものとかはなかったのでほとんど元通りです。まあ若干匂うですけど」
数時間後、清掃を終えたルルカの言葉を聞いて、俺たちは一安心する。
良かった。
なんとか元通りだ。
不幸中の幸いというやつか、鏡や装飾品の類いに傷はない。お母さんの部屋も同じだ。
……物を壊さなかったのはたぶん、音が鳴るのを恐れたんだろうな。
そんなことを考えつつ、俺はルルカに話しかける。
「ルルカ、このことは外には内緒にして。
たぶん、そっちの方がいいから」
セレスへの風評ももちろんあるが、犯人を見つけるにおいても、情報を拡散するのはあまり良くないだろう。こちらの動きは知られたくないし。
「はい、理解してますよ。
表向きは坊ちゃまが粗相をしたということにしときますから」
「それはやめてね?」
ひどい風評被害である。
まあ、さすがに冗談だと思うが。
……冗談だよね?
「何かしらの言い訳は必要ですから。
お嬢様がしたってことでもいいですよ」
「しないわ」
「しないらしいです」
うん、この話もうやめよう。
女の子の前でする話じゃないし。
俺は隣のセレスへ顔を合わせる。
若干呆れるように笑う彼女だが、その表情は悪くない。まあ、多少空気は和んだかもしれないな。
「それで、ほんとにここで大丈夫?
俺の部屋使って貰っても構わないけど」
そんな空気の中、俺はセレスに問いを投げかけた。
まだ若干泥の匂いが残る部屋。
寝れないことはないだろうが、あまり気分の良いものではないはずだ。
「駄目よ。
まだ、何があるかわからないもの。
アルスも同じ目に遭ったら、どうするのよ」
しかし、彼女としてはここを譲る気はないらしい。
……んー、さすがに俺の部屋が荒らされることはないと思うけども。
入ろうとした瞬間、ルルカたちメイドに絞め落とされそうだし。
ただ、そんなことを言ってもセレスは納得しないだろう。
かと言って、一人にはしたくないし……
あ、そうだ。
「一緒に寝る?」
「……だめにきまってるでしょ」
駄目だった。
そうか、そりゃそうか。
いや、べつに下心とかはなかったんだけどね。
ほんとです。
「そうですよ坊ちゃま。
襲われたらどうするんです」
「……べつに、襲わないわよ」
「ちょっと今一瞬、間がありましたよ。
はぁ、これだから宮廷の女というものは」
「ほら、警護はつけるので、安心して寝てください。私と坊ちゃまの愛の巣の邪魔はさせませんよ」
いつから愛の巣になったんだ。
……ま、警護がつくのはありがたい。
ここは彼女の言葉を受け入れるとしよう。
「じゃ、ルルカ、警護お願いね」
ということで言い出しっぺに頼むことにした。
「……へ? なんで私なんです?」
「だって、一番強いもん」
「やだやだやだですっ!
なんでぇ、私を引き剥がすつもりですか!
坊ちゃまっ!」
「一日くらい良いでしょ」
「そんなぁ!!」
わんわんと床に向かって鳴くルルカは無視して、俺はセレスの方へ向かう。
まったく、何歳なのだ。
「……良いの? あの子、大切な子なんでしょ?」
「ん、そうだけど。
でも、今はセレスの身の安全の方が大事だから」
ルルカのことは信頼している。
彼女が近くにいれば、セレスに危害が及ぶことはまずないだろう。
そう思って、俺は彼女に笑みを見せる。
「ね、セレス。
明日もここ来ていい?」
「……ふふ、言わなくても来るでしょう」
それはそうだけど、一応言っときたいじゃんアゼルバイジャン。
「……待ってるからね、アルス」
「ん、もちろん」
答えると同時、セレスの手が、俺の肩に触れる。……ちょっとは信頼してもらえるようなったかな。
――あ、そういや。
俺はポケットからある物を取り出す。
それは部屋に来る前、彼女に渡そうと思って準備していた物である。
「はいこれ、アロマ的なやつ。
プレゼントしようと思って、買ってきたんだ」
ゲームでのアイテム売り場、宮廷の隅っこにいた商人から買ってきたものだ。
なんとも、好きな人の匂いがする魔法のアロマらしい。確か、ゲームにも同じのがあったはずだ。
「……これ、私に?」
「うん、まだ匂いも残ってるし、今日はこれ焚いて寝たらどうかな。ほら、リラックス効果とかもあるらしいし」
……まあ、若干催淫効果もあるけどね!
とはいえ、大した効果はないだろう。
せいぜいえっちぃ夢を見るくらいだ。
というか、ゲームだとある程度好感度がないと効果がなかったはずだしな。
今の俺の好感度では効果なんてないに等しいだろうし、問題なしだ。
むしろ、問題があるとしたら。
「……」
素直に受け取ってくれるかどうか、かな。
彼女は、あまり借りを作りたがらない性格だ。
こういうアプローチが効果的かはわからない。
最悪無理やりにでも押し付けて帰ろう。
そう思っていたものの。
「……ありがとう、アルス」
案外サクッと受け取ってくれた。
……ま、ゲームでも、好きだったもんなアロマ。
「礼はいいよ、婚約者の勤めさ」
適当にカッコつけた俺は、そのまま勢いで部屋から去る。ふふん、これで多少は好感度も上がるに違いない。
……いや、どうかな、大して変わらん気もする。
まあいいだろう。
今日のところは彼女の笑顔が見れただけで満足だ。
そんなことを考えながら、俺は自室へと帰還するのだった。
「……アルスの、匂い。
すき、好き、すき」
次の日の朝。
俺はいつもより早く部屋を出て、行動を開始する。目的は一つ。
セレスの部屋を荒らした犯人探しである。
同じことは二度とやらせない。
彼女の悲しむ顔を見るのは、これで最後だ。
……第一候補はやはり、ダリウスだろう。
だが、奴の姿はまだ見たことがない。
女王様のように性格が変わっている可能性も考えられる。決めつけるのは早計だ。
「とりあえず、話を聞いてみるか」
ルルカの話からするに、犯人は宮廷の中の人物だ。それならば、目撃者がいてもおかしくない。
俺は廊下へと出て、聞き込みを開始する。
「――セレスって、あの無愛想な子?
知らないわ、話したこともないし」
「……そうですか、わかりました。
質問はそれだけです」
「ね、ねね、待ってってば、そんなことどうでもいいことよりさ。
アルスくん。今度、私とお茶でも……」
「遠慮しときま……あ、ちょ、服掴まないでって」
「――わ、わたしは何も知らないです。
セレスちゃんは、会ったこともないし」
「……じゃあ、なんでそんなに緊張してんの?」
「お、お、男の子と話すの、は、は、はじめて、だ、から」
「……そっか」
「か、か、帰りますっ、き、きんちょう、しちゃうから」
「気をつけて……あ、転んだ。
おーい、大丈夫?」
「――あら、アルスではないですか。
ふふっ、珍しいですね、部屋の外にいるなんて」
「……女王様。
一つ、ご相談があるんですけど、
今、時間いいですか?」
「あら、そうなのですかっ!?
ふむふむ、ならば仕方ないですね。今夜の仕事は全部キャンセルして、レストランにでも」
「やっぱいいですやめときます」
「なんでですっ!!」
「んー、ぜんぜん上手くいかない」
とりあえず片っ端から通りがかった人に聞いてみたけど……空振りばかりだ。
服は掴まれるわ、逃げられるわ、乳はデカいわ。まったく変な奴しかいないな、この宮廷。
……そろそろセレスの部屋に行く時間か。
あまり心配させるわけにもいかない。
仕方ないな、一旦切り上げよう。
続きは夜だ。
そう思って、廊下を後にしようとしたそのとき。
「――あら、そこにいるのは」
不意に背中の方から声が聞こえた。
思わず振り向いた俺は、そこで、嫌な人物と目が合う。
……うわ、先日尻揉んできたおばさんじゃん。
肉付きの良い丸い身体、ニマニマといやらしい視線を浮かべながら、彼女はこちらへ近づいてきた。
「アルス・オンリーロッド。
ちょうど良いわ、暇してたのよ」
「なんの用ですか。
しょうもないことなら帰りますよ」
「そんなこと言わないで欲しいわ。
せっかく、あの失礼なメイド抜きで話せるんだから」
腕を掴まれる。
力が強い。
無理やり抜け出すのは……できないか。
「ちょっと、困るんですけど。
やめてください」
ルルカは警護に行ってるからいない。
……こんなことになるなら他のメイドにボディガードを頼むべきだったな、しくった。
「宮廷の掟は知っているかしら?
上流貴族には中流貴族は逆らわない。
ここでは身分が全てよ」
「……そうは言われても、僕、これから用事があるんですが」
さっさとセレスの元に行きたい。
約束した時間はもう過ぎてしまっていた。
俺は少し語気を強めようと目の前の貴族へと視線を向ける。
そのとき。
「知ってるわよ、最近宮廷中の噂ですもの。
薄汚い女狐が、アルス・オンリーロッドを籠絡しているのは」
「……女狐?」
「なにをポカンとしてるのよ。
——セレス・ルーフォリア。
あの女の部屋に行くんでしょう?
まったく、貴方も見る目がないわ」
「……薄汚い女狐ってのは、セレスのことを言ったんですか?」
「あら、そうに決まってるでしょう?」
……そうか、そうだったか。
これは、随分と舐められたものだな。
――俺はともかく、セレスを馬鹿にするのは許さない。
「じゃあこっちからも言わせてもらいましょうか」
ここは一度、釘を刺させて貰う。
俺は目の前の女に対して、グイッと身体をぶつけた。
「――女王様のお触れはご存知ですか?
なんとも、自分より身分の低い男を部屋に連れ込むのは禁止だとか」
宮廷内の風紀のため、伴侶以外の男を連れ込むのは禁止されている。
特に自分より地位の低い者を脅すような行為は。
「それは……」
「あれれ? どうしちゃいました?
ここでは、身分が全て。
さっき、仰ってましたよね?
……あ、もしかして貴方は女王様よりも身分が上と、そう仰りたいのですか?」
虎の威を借る狐。
なんといい言葉だ。
正論でぶん殴るほどこの世で気持ちの良いことはない。
特に、惚れた女を貶してくるような奴に対しては。
「うるさい、うるさいわ!
雄猫の分際で偉そうに」
「はっ! そんな肌面積終わってる服着といて良く言いますね。でっかい乳ぶら下げやがって、こちとら一週間抜いてねえんだぞっ!!」
ほんと、おっぱいにばっかり栄養がいって品性が育ってないのは困るね。
……セレスを見習って欲しいよ、全く。
「――っ、もういいわ。
所詮、能面女を選ぶような馬鹿男ですものね」
「……あ? 能面女?」
おい、またセレスっちのこと馬鹿にしたか?? 処す? 処しちゃう感じ??
……いや、待て、流石に冷静になれ。
相手は上級貴族だ。
下手に争いを起こすのは良くない。
俺一人ならともかく、セレスを巻き込むのは駄目だ。ただでさえ、部屋の件があるし。
……仕方ない。
断腸の思いだが、ここは矛を収めてやるか。
「じゃ、用が終わったなら帰ります。
もう話しかけないでくださいね」
「……ほんと、生意気な子。
良いわ、好きにしなさい」
吐き捨てる彼女を背に、俺はその場を去ろうと歩きだす。
けれど、そのときだった。
「……それじゃあ今日も行くと良いわ。
あの泥まみれで汚らわしい女の部屋へ」
「――あ? お前今なんつった?」