ときめきを追いかけて   作:桜紅月音

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1話 始まりと終わり

 

ここは、虹ヶ先学園。自由な校風と豊富な専攻が特色で、全国から優秀な人材が集まる人気校。

そんな学校に通う僕は、佐藤翔太(さとうしょうた)。音楽科に通う二年生。

そんな僕は、生徒会室に居た。

 

「なぁ…菜々、本当にスクールアイドルはいいの?」

 

「…決めたんです…もうスクールアイドルはやらないって。次のライブで終わりにするって」

 

眼鏡を掛けた彼女は、中川菜々。

普通科に通う僕の幼馴染の女の子。

 

「…本当に…それでいいんだね?」

 

「だから、そう言ってるじゃないですか。スクールアイドル部は廃止にすると」

 

「…分かった…奈々がそう決めたのなら何も言わない」

 

「なので、ライブ終わった後は、以前のような幼馴染の関係でいきましょう」

 

彼女ははっきりとそう言い切った。

これ以上言っても無駄と判断した僕は、生徒会室から出た。

 

 

廊下を歩いていると、後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「あっ!翔太先輩~!」

 

「おーかすかすじゃん」

 

「だ・か・ら、かすみんって呼んでくださいって言ってるじゃないですか!」

 

頬を膨らませてそう言う彼女は、中須かすみ。

奈々と同じスクールアイドル同好会に所属する一年生の女の子。

通称『かすかす』 本人は嫌っているけど。

 

「聞いてください!せつ菜さんが厳しすぎます!翔太さんからも言ってください!」

 

「言うって何を?」

 

「可愛くないって!」

 

「なんじゃそりゃ…」

 

「いいんです!せつ菜先輩に言えるのは先輩だけなんですから!」

 

「いやぁ…」

 

この時、さっき奈々と話した事を思いだした。

 

「…僕からは何も言えないかな…」

 

「なんでですか!」

 

「同好会メンバーじゃないから」

 

「それでも、曲作りはしてくれてたじゃないですか!」

 

「それは、せつ菜からお願いされたからであって…」

 

「その時点で同好会メンバーに代わりはありません!」

 

「…会った時にでも言っておくよ」

 

「お願いしますよ」

 

これでこの話は終わりかと思って、僕は教室に向かって歩こうとしたら腕を掴まれた。

 

「待ってください!話はまだ終わってません」

 

「まだ、話があるの?」

 

「先輩ってこの後、暇ですか?」

 

「暇じゃないんだよね…ごめんだけど」

 

「そう…ですか。せっかくならかすみんに付き合って欲しかったんですけど…」

 

「ま、また気軽に声をかけてくれればいいから。じゃあ、僕はいくね」

 

「あ、はい。また部室で」

 

そう言って、元気よく去っていくかすみ。

 

その後、菜々が同好会メンバーに解散の話をしたと連絡が来た。

もちろん、同好会のメンバーから僕にも連絡が入っていた。

 

『せつ菜ちゃんを説得して欲しいって』

 

既にやってるんだよなぁ…

 

 

あのメッセージの後、会いたいと来た為、せつ菜を除いた同好会のメンバーと会う事にした。

同好会メンバーである三年生のエマ先輩。彼方先輩。そして、かすみに一年生のしずくちゃん。

 

 

「翔太君はせつ菜ちゃんと話してくれたんだよね?」

 

「本人と話しましたけど、もうアイドルをやる気はないみたいです。それとスクールアイドル同好会は廃部だとか…」

 

僕が彼女らにそう話すと、彼女は驚きの表情を浮かべていた。

菜々…廃部の話はしてなかったのか…?

 

「そっか…」

 

「これから翔太君はどうするの?」

 

「曲作りもすることもないので…どうしようかなって感じです」

 

今まであった物が急に無くなってしまい、心に大きな穴が開いたような感じ。

 

「私は先輩と会えなくなるのは悲しいです…」

 

「うん…きっかけがなくなっちゃうからね…」

 

しずくちゃんは、僕の事を慕ってくれてたからこうなるのも分かる。

 

「せ…」

 

「ん?」

 

「先輩が同好会に入って、私達5人で続けるっていうのはダメなんですか?」

 

「かすみちゃん…」

 

かすみの唐突な言葉にエマ先輩がそんな声を出した。

 

「ごめんね…」

 

かすみちゃんの言葉に、僕はそういうしかなかった。

 

「ごめんね…頼りが無い先輩達で…」

 

「そんな事ないです。事が事なので仕方ないです」

 

 

 

*******

 

あれからしばらくして、せつ菜として最後のライブがやってきた。

彼女が出てくると、見に来ていた観客達から歓声が沸き起こり、彼女はライブを披露した。

火が出たりとかね。僕が知らない演出してるし…

 

 

そして、これが最後のライブだと誰も知らずに_

 

 

彼女が最後のライブをやり終えると歓声と拍手が沸き起こった。

彼女は、こちらに向かって会釈をして去っていった。

 

「これで終わりかぁ…」

 

せつ菜がステージ上から去っていき、先程まで居た観客達もまばらになって、僕は誰にも聞こえないくらいの声でそう呟いた。

 

「そろそろ行くか」

 

このままここに居ても何もないので、この場所から去ろうとした時だった。

 

「凄かったよね!カッコ良かった!可愛かった!ヤバいよ!あんな子いるんだね!何だろう、この気持ち!すっごいトキメキ!」

 

ツインテールの女の子が隣に居た女の子の手を掴んでそう言っていた。

その後、彼女達は近くにあったポスターを見に行っていた。

 

もし、スクールアイドル同好会が復活するとしたら…あの子達がなんて思っていたのが現実になるとも知らずに_

 

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