ここは、虹ヶ先学園。自由な校風と豊富な専攻が特色で、全国から優秀な人材が集まる人気校。
そんな学校に通う僕は、
そんな僕は、生徒会室に居た。
「なぁ…菜々、本当にスクールアイドルはいいの?」
「…決めたんです…もうスクールアイドルはやらないって。次のライブで終わりにするって」
眼鏡を掛けた彼女は、中川菜々。
普通科に通う僕の幼馴染の女の子。
「…本当に…それでいいんだね?」
「だから、そう言ってるじゃないですか。スクールアイドル部は廃止にすると」
「…分かった…奈々がそう決めたのなら何も言わない」
「なので、ライブ終わった後は、以前のような幼馴染の関係でいきましょう」
彼女ははっきりとそう言い切った。
これ以上言っても無駄と判断した僕は、生徒会室から出た。
廊下を歩いていると、後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「あっ!翔太先輩~!」
「おーかすかすじゃん」
「だ・か・ら、かすみんって呼んでくださいって言ってるじゃないですか!」
頬を膨らませてそう言う彼女は、中須かすみ。
奈々と同じスクールアイドル同好会に所属する一年生の女の子。
通称『かすかす』 本人は嫌っているけど。
「聞いてください!せつ菜さんが厳しすぎます!翔太さんからも言ってください!」
「言うって何を?」
「可愛くないって!」
「なんじゃそりゃ…」
「いいんです!せつ菜先輩に言えるのは先輩だけなんですから!」
「いやぁ…」
この時、さっき奈々と話した事を思いだした。
「…僕からは何も言えないかな…」
「なんでですか!」
「同好会メンバーじゃないから」
「それでも、曲作りはしてくれてたじゃないですか!」
「それは、せつ菜からお願いされたからであって…」
「その時点で同好会メンバーに代わりはありません!」
「…会った時にでも言っておくよ」
「お願いしますよ」
これでこの話は終わりかと思って、僕は教室に向かって歩こうとしたら腕を掴まれた。
「待ってください!話はまだ終わってません」
「まだ、話があるの?」
「先輩ってこの後、暇ですか?」
「暇じゃないんだよね…ごめんだけど」
「そう…ですか。せっかくならかすみんに付き合って欲しかったんですけど…」
「ま、また気軽に声をかけてくれればいいから。じゃあ、僕はいくね」
「あ、はい。また部室で」
そう言って、元気よく去っていくかすみ。
その後、菜々が同好会メンバーに解散の話をしたと連絡が来た。
もちろん、同好会のメンバーから僕にも連絡が入っていた。
『せつ菜ちゃんを説得して欲しいって』
既にやってるんだよなぁ…
あのメッセージの後、会いたいと来た為、せつ菜を除いた同好会のメンバーと会う事にした。
同好会メンバーである三年生のエマ先輩。彼方先輩。そして、かすみに一年生のしずくちゃん。
「翔太君はせつ菜ちゃんと話してくれたんだよね?」
「本人と話しましたけど、もうアイドルをやる気はないみたいです。それとスクールアイドル同好会は廃部だとか…」
僕が彼女らにそう話すと、彼女は驚きの表情を浮かべていた。
菜々…廃部の話はしてなかったのか…?
「そっか…」
「これから翔太君はどうするの?」
「曲作りもすることもないので…どうしようかなって感じです」
今まであった物が急に無くなってしまい、心に大きな穴が開いたような感じ。
「私は先輩と会えなくなるのは悲しいです…」
「うん…きっかけがなくなっちゃうからね…」
しずくちゃんは、僕の事を慕ってくれてたからこうなるのも分かる。
「せ…」
「ん?」
「先輩が同好会に入って、私達5人で続けるっていうのはダメなんですか?」
「かすみちゃん…」
かすみの唐突な言葉にエマ先輩がそんな声を出した。
「ごめんね…」
かすみちゃんの言葉に、僕はそういうしかなかった。
「ごめんね…頼りが無い先輩達で…」
「そんな事ないです。事が事なので仕方ないです」
*******
あれからしばらくして、せつ菜として最後のライブがやってきた。
彼女が出てくると、見に来ていた観客達から歓声が沸き起こり、彼女はライブを披露した。
火が出たりとかね。僕が知らない演出してるし…
そして、これが最後のライブだと誰も知らずに_
彼女が最後のライブをやり終えると歓声と拍手が沸き起こった。
彼女は、こちらに向かって会釈をして去っていった。
「これで終わりかぁ…」
せつ菜がステージ上から去っていき、先程まで居た観客達もまばらになって、僕は誰にも聞こえないくらいの声でそう呟いた。
「そろそろ行くか」
このままここに居ても何もないので、この場所から去ろうとした時だった。
「凄かったよね!カッコ良かった!可愛かった!ヤバいよ!あんな子いるんだね!何だろう、この気持ち!すっごいトキメキ!」
ツインテールの女の子が隣に居た女の子の手を掴んでそう言っていた。
その後、彼女達は近くにあったポスターを見に行っていた。
もし、スクールアイドル同好会が復活するとしたら…あの子達がなんて思っていたのが現実になるとも知らずに_