忍の世界とか割と詰みである 作:こうすけ増田劇場版
「おぅ、シカマルが世話になってんな」
「……」
「お前が答え教えてくれたお礼にって言ったんだろう?」
「いや、言ったけども」
「シカマルはなんだかんだで義理堅いからね……」
シカマルとチョウジに読書感想文の答えを教えてなんかお礼とかいる?と聞かれたから修行をしたいと言った。
修行なら何時でも出来るだろうと言われたけど、ちゃんとした指導者のもとで修行を受けたいと言えばシカマルの親父さんのシカクさんが紹介された。割と忘れがちだが、シカマルは奈良一族の筆頭と言うか当主の息子、チョウジは秋道一族の当主の息子、いのは山中一族の当主の娘という普通に上澄みである。
「そう身構えんな……流石に秘伝忍術は教えられねえが基本的なのは教えてやるよ」
「んじゃ、後は頑張ってくれ」
「なに言ってんだ、おめえもだよシカマル、ついでにチョウジも」
「……ったく、めんどくせえな」
「やるしかないんじゃないの?……でも、流石におじさんと戦ったら僕達絶対に負けちゃうよ」
「ホントに基礎も基礎だ」
親父は紹介したしコレで俺に対する借りはチャラになったとこの場を去ろうとするシカマルだったが、シカクさんはお前等も修行だと言う。シカマルは一瞬だけ間が開いたがめんどくせえと言いながらもシカクさんの指導を受ける。チョウジも流れ的に普通に受ける感じだがシカクさんとまともにやりあったら絶対に勝てないことぐらいは理解しているからその点だけ気にしている。
流石のシカクさんも子供相手に本気でやらないし俺が居るからそういうことはしないと基礎を教えると木に登る。
正確に言えば足にチャクラを纏ってくっついて歩いている……それを見てシカマルもチョウジも特に反応はしない。見慣れてんだろうな。
「足にチャクラを一定量纏わせて木にくっつける……下忍が覚える基礎的も基礎な技術だ。コイツについての有用性は分かるか?」
「純粋な身体能力とは別にチャクラを纏わせて一瞬だけど物凄い力とかを出せる」
「……一応はそれで正しいな。足にチャクラを纏わせて移動すりゃ高速移動が出来る……四代目火影が木ノ葉の黄色い閃光と言われていたのはこの技術が段違いだったから」
飛雷神の術とかでは?と思ったが、一応は卑劣様に自分以上に速い男で三代目も相変わらず速いなと言っていたからそれが要因なのも事実。しかしシカクさん、口が上手いな……四代目火影の異名の要となったと言えば大抵はテンションが上がりやる気が出る。
「ふ〜ん」
「四代目ってそんな異名を持ってたんだね」
「……はぁ、まぁ、お前等はそうだよな」
四代目火影の異名について出してみたがシカマルは大して興味を抱かずチョウジは四代目火影がそんな異名を持ってたのはじめて聞いたと結構薄めのリアクションだった。シカクさんは上手いことを言ってシカマルとチョウジにやる気を出させようとは考えてるが……無理だった。
「下忍になる前にとっとと覚えとけ。下忍になってからでも別に遅くはねえが、任務からの修行でかったるいぞ」
「うわ、そいつはめんどくせえ……やるぞチョウジ」
「この修行、楽でいいよね。お菓子を食べながら出来るよ」
シカクさんはアドバイスとかでなく具体的な修行内容を言えば詰め将棋の本を取り出した。
シカマルとチョウジはやるしかないよなの空気だからやるかと手と手を合わせてチャクラを練る……原作知識的にこの修行が最初のステップでぶっちゃけその内に勝手にやるつもりだった。それ以外をシカクさんにと思っていたが基礎を覚える。この内容なら知ってるからもっと高度な物を教えてくれって文句を言うのは違うからな。
足にチャクラが纏っているのかが分からない……一応は変化の術と分身の術の基礎的な忍術は既に使えるからチャクラそのものは使える。チャクラは多ければハッキリと質量を持ったエネルギーにもなるものでどういう性質なのかを感知する事が出来るが今回必要なのは少量でいいが適量を保たないといけない。
「ぬぅお!?」
「あっ」
俺とチョウジは木に足を踏み入れたがメキッと音を立てた。
このパターンは知っている。木登りに必要な足に纏わせる一定量のチャクラが多すぎた……コレはいい傾向だ。
「いって……」
そしてシカマルは一歩目でコケた。俺とチョウジとは真逆、チャクラを全くと言って足に纏わせていないからツルッと滑った。
シカマルは……スゴくざっくりとやってるな。頭からゴンとコケて痛みで若干の涙を流しているが直ぐに涙を拭った。
「もう1回やんぞ」
「親父、なんかコツとかねえわけ?」
「アホか。それは基礎も基礎だからコツもへったくれもあるか。チョウジみたいにポテチ食いながらでも出来るようにならなきゃならねえんだよ」
シカマルがシカクさんにアドバイスを貰おうとするが、忍になったら全員が当たり前に使える技術でコツとかそういうのは無いと言い切った。まぁ、これから先の展開を考えたらそうなるわなと割り切り、もう1回……いや、違うな。
「コレは文字通り体で覚えるしかないタイプの技術だが、なんか抜け道がある筈だ」
「筈って……なんかあんの?」
「そもそもで逆じゃね?」
「逆ってなにがだよ?」
「チャクラを1箇所に集中する技術があるなら逆を言えば体全部からチャクラを放出する技術もある筈だ……1箇所に纏めるのに技術が要るって言うのならばその逆、体全部にチャクラを纏わせればいい」
溢れ出るエネルギーを1箇所に留める技術と全身から放出する技術じゃ全身から放出する技術の方がエネルギー消費は早いが難易度的には難しくない。確かにそう言われればそうだなとシカマルはあっさりと納得した。
「けどよ、それ普通にチャクラの無駄使いだろ?」
ただしコスパ的な意味では普通に無駄という事は指摘する。
「少しずつ放出する部位を減らしていけばいいし、最終的に足だけ纏える様になればいいからセーフ……1から適量に調整するんじゃなくて100から適量に調整するんだ」
実戦では普通に無駄な行為だろうがここでは修行、練習だ。だったら色々な事を模索しておかないといけない。
ボルト世代では親が忍だったらこの技術を下忍になる前から標準装備してるしなぁ……
「あ、なんかいけたわ」
「流石だねシカマル」
「俺の場合だと100から落としての調整がやりやすいな……つっても、体全体だからアウトだけどな」
1からチャクラコントロールでなく100からのチャクラコントロール、特別にチャクラが多いわけじゃないシカマルはそっちの方がしっくりと来ていたからか3回目の挑戦で木登りに成功した。ただし足以外にもチャクラは纏っているので自分でもコレは正しい答えじゃないとハッキリと認めた。こりゃこっちも頑張らなきゃならないなと頑張り体全体でのチャクラ放出での木登りは8回目で成功し、チョウジは15回目で成功する。
「ったく、お前等もうちょいコツコツ頑張ろうって気にはならねえのか?」
「いや、多分こっちの技術を会得してた方がいいと思いますよ」
正規の手段でなく裏技に近い形で木登りをしている。求めていた答えには着実に近付いているが裏技で時短してるからシカクさんは呆れる。ただ俺からすればこっちの技術の方を会得していた方がいいと言えばシカクさんの目が息子に対して呆れている目から別の目に変わる。
「なんでそう言える?」
「えっと……チャクラを全体に纏う技術、チャクラの通り道である経絡系の点穴を意識して閉じてチャクラを抑え込む技術、チャクラの通り道である経絡系の点穴とかをチャクラで広げて一度に出せるチャクラ量とかの上昇の3つの技術を基礎にして自分とは全くと言って無関係の物質にチャクラを纏わせる技術、チャクラを一点に集中させて強化する技術、チャクラを薄く広げて何があるのか探知する技術、文字通りそこにのみチャクラを纏う技術とかありますよね?」
言っていることはHUNTER×HUNTERの念能力そのものだがぶっちゃければ質量を持っているなんにでもなる万能なエネルギーってHUNTER×HUNTERの念の技術必須なんだよな。
体全体からのチャクラ放出は普通に効率悪いし雷影の雷遁の鎧みたいな使い道しかないから特に意味が無い技術だが……シカクさんは黙った。
「なるほどな……」
HUNTER×HUNTERの技術を言えばシカクさんは納得してくれた。
「だがそいつはチャクラそのもののコントロールで形態変化でも性質変化でも何でもない、物凄く基礎も基礎を極めた技術だ」
「まぁ、発……動する忍術とかに応用出来ないですからね」
あくまでも純粋なエネルギーの塊を器用に動かしているだけであり、何か特別な能力の発動とかは関係無い。
面白い考えだとは思っているが何かしらの忍術、HUNTER×HUNTERで言うところの発の要素が無い。
「なにか面白い術でも考えてるのか?」
「……術かぁ……考えてないんですよね……」
「影真似は一族秘伝だから流石に教えられねえがアドバイスは出来る……と言っても何をしたいかだな。知ってるかどうかは知らねえから言っとくが奈良一族、秋道一族、山中一族は木ノ葉の里設立前からずっと協力関係にあった。馬が合うから協力関係にあったんじゃなくて、そうしなきゃ生き残れなかったからだ」
シカクさんに術に関して言われれば今はチャクラコントロールとかそういうのに時間を割かなきゃいけないと考える。
ナルトと仲良くなることに成功したら一応は影分身の術を教えてもらうつもりだが、影分身の術はチャクラを等分割するから実戦で使えるかって話になれば怪しい。ナルトにはチャクラ量では絶対に勝てない。生命力がエグいうずまき一族+陽遁のチャクラの九尾のおかげでナルトはバカみたいな生命力とチャクラを持っている。ナルトの息子のボルトも一応はうずまき一族で熊を退治するとかの低レベルな任務でも4人までなら戦闘で普通に使える……何十人にも分身して螺旋丸を作りまくるナルトがどんだけチャクラ量がぶっ壊れなのか。
「山中一族が撹乱、奈良一族が完全な足止め、秋道一族がぶん殴る……いのいち、俺、チョウザは猪鹿蝶って言われててな、そりゃもう有名も有名よ」
「出たよ、親父の自慢話」
「父ちゃんも酔ってる時にするよ……僕達の家ってなんだかんだで生き残ってて秘伝忍術とかあるけど地味な家系とかそんな感じだよね」
「お前等な……」
猪鹿蝶の自慢話をすれば出たよとシカマルとチョウジが呆れる。
原作のことを考慮すれば今は逆を言えば平和な時代であり、猪鹿蝶が大活躍!的な感じの展開は無い……とは言え木ノ葉の猪鹿蝶は有名なのは事実。シカクさんは自慢話じゃなくて事実だぞと2人に若干説教に近い形で怒った。
「親父、俺等怒るんじゃなくて自分がどういうタイプになりたいかって聞かねえと」
「話ズラしやがって……まぁ、いい。とにかくだ、一口に忍って言っても色々なタイプが居る。チャクラによる身体能力向上だけで戦う極端に体術に偏ってるタイプ、センスがねえ奴は一生使えねえ幻術タイプ、覚えんのに苦労する敵に回すと厄介である意味一番数が少ない医療忍術が使える奴、他にもチャクラを識別する感知タイプ……お前さんの両親は極々普通の忍術を駆使して戦うタイプだ」
「……親の事を知ってるんですか?」
「あの事件で逝っちまった奴等は皆なんだかんだで気にしてんだよ」
九尾が里で暴れた事件の事を気にしている……世代的に言えば波風ミナトの世代だ。
戦争が終わってるこれから頑張ろう!四代目火影は君だ!となっている中での九尾の事件で……気にしている奴は気にしている。三代目はその時に死んだ忍や里の奴等、ダンゾウは使えそうな忍の家系の孤児なのでクソ……シカクさんは多分だが四代目の事を気になっててナルトの事とか色々と察してるんだろうな。
「っと、すまんな。とにかく自分がどういう感じの忍としてやっていくのかを考えんのが大事だ……お前がやっているのは純粋なチャクラコントロールだけで術そのものじゃねえからな」
「……術か……」
何かしらの術を教えてくれるとかそういうのは教えてくれないが自分はどういうタイプの忍になるのかとかそういうのを教えてくれる。ぶっちゃけ転生特典として押し付けられた物を使えばそれなりに暴れられるが、アレは五月蝿いし暴れ回るからあんま使いたくない。純粋に忍としての技術を覚えないといけない……こう、主人公にしか使えない武器がある日突然に使えなくなったら主人公使い物にならないとか割と普通にあるからな。殺せんせーも言っていたが第二の刃は必要だ。
とりあえずは体の内側にチャクラを流す。
まだ完全に足にだけ纏うチャクラコントロールは出来ない……シカマルが言っていた様にコレはホントにチャクラの無駄遣いである事は確かで雷影の様な戦闘スタイルじゃなきゃ全身からチャクラ放出しても大して役立たない。うずまき一族でも五影クラスでもないからチャクラは割とあっさり切れる。
ただし……何かしらの技術に繋げれる。
ちゃんとした性質変化の修行をしていないしどの属性を持っているか分からない……印を結ぶタイプの術は難しい。
強力な忍術を使う以上はチャクラを放出する経絡系を鍛えないといけない。
ナルトやボルトが高密度なチャクラを要求する螺旋丸を会得する過程で掌の経絡系を痛めていた。強力な忍術を使うには基本的には膨大なチャクラが必須……ただ単純に体からチャクラを放出し続けるだけでも修行にはなる。
「一応はコレだけでも修行になるんですがね……」
「経絡系は鍛えれるが出来ればそのチャクラを何かに変換……ってのは下忍前の奴には無理か」
あんたの孫はあっさりと下忍になる前に基礎は会得してるよ。
全身の経絡系からチャクラを放出しつつも体に纏っている……シカクさんは何かに変換と言うアドバイスをくれるが無理だし無茶だと言っている。俺が何属性の性質変化なのか分からんし仮に分かってても修行してないから無理……いや、違う。
チャクラは身体エネルギーと精神エネルギーを合わせて生まれるエネルギー。
身体エネルギーが陽遁、精神エネルギーが陰遁……秋道一族の倍加の術は陽遁の術、奈良一族の影真似の術は陰遁の術……分身の術や変化の術は使えるから陰遁と陽遁は使えている。陰遁と陽遁もちゃんとした性質変化で十尾の人柱力じゃないと使えないとかじゃない。
コレを応用した医療忍術?陽遁で生命力を与える…………あ!アレがあった
生命力を与える陽遁、陽遁と言う名前……陽遁つまりは太陽、体の中に生命エネルギーを迸る技術がある。
全身の経絡系からチャクラを放出しても体の内側にチャクラを纏っている……
「コォオオオオ」
チャクラを纏うことで高まっている心肺機能で呼吸をする。すると身体に力が漲る。
あ〜うん……
「チャクラを陽遁に性質変化して体中に流して深い呼吸をして運動能力じゃなくて心肺機能を高める……いや、この場合だと体に宿っている根本的な生命力の増加か?」
シカクさん、多分ジョジョの奇妙な冒険の波紋です。
正確には波紋に近い別の物だ。
波紋は血液の中にある微量な生命エネルギーを特殊な呼吸で増幅させて太陽光に似たエネルギーを生み出す。生命エネルギーが増幅しているから単純な運動能力が向上するだけじゃなくて他の機能、例えば酒に酔った際にアルコールを分解する肝臓の肝機能の上昇も出来る。
俺がやっているのはチャクラを経絡系全部から放出し陽遁に性質変化させて外に飛ばすんじゃなくて内側に纏う。
コレだけだったら普通にチャクラで運動能力を上げる忍の基礎だが呼吸を入れることで血液を循環させて色々な機能を高める事になってはいるが……波紋の様に太陽光のエネルギーは無いし血液とかを操る技術じゃない。
この波紋擬きは世に言う大食いだけど太りにくい体質や筋トレとかを特にしなくても筋肉が付きやすいとか食事を意識しなくても血液サラサラとか年齢による老眼とかがないとかそういう感じに身体を作り変える技術……あ、ヤッベ。きつい。
「あ、おい!……ったく、本来のチャクラコントロールとか色々とすっ飛ばすからだぞ」
「す、すんません……」
シカマルが最初に指摘した通りチャクラを全身から出しているので普通にチャクラの無駄遣いだ。
ナルトみたいに物凄いチャクラを持っているわけじゃないから作れるチャクラに限度があり、体内を巡らせるチャクラが消えて疲労感が襲ってきて倒れた。
シカクさんが本来のチャクラコントロールの修行とは別の事をしているからこうなるんだと呆れている。
「木登りのチャクラコントロールに関してはコツコツと磨くとして、お前はそいつを24時間ぶっ通しで出来るようになっとけ……練り込んで放出する陽遁のチャクラはほんの少しでいい。そうすりゃ心肺機能とかが上がって筋肉とかも付きやすくなるし普通は鍛えられねえ臓器なんかも鍛えれる……おそらくそいつは医療忍術のスペシャリストのあの方が使っている年齢詐称の技術の応用だ」
「コレ、呼吸も必要なんでキツい……まぁ、あざいます……」
「……シカマルよ、辰五郎の奴、俺の指導要らなかったんじゃねえか?」
「んなの知らねえよ」
因みに俺の名前は寺田辰五郎である。