忍の世界とか割と詰みである 作:こうすけ増田劇場版
「……やっぱ広えな」
色々とあったけれども新居が無事に建ってガスも水道も通った。
引っ越したのは良いけれどもサザエさんの家とまる子の家を合わせた感じの二階建ての住宅だからか無駄に広く感じており、綱手様はこの事に関して危惧していたんだろ。
「まぁ、広いことに越したことはねえか」
広いと感じる家に家具を大量に、とはならず家具の量は普通、いや、それ以下だ。
冷蔵庫なんかの必要最低限の家具は揃えているが、なんともまぁ虚しいと言うべきか……取りあえず昼メシの蕎麦を食べ終えれば食器を流し台に片付けて直ぐに洗い物をする、その時だった
「クワー!」
コンコンコンと家の窓をつつく音が聞こえる。
いったい誰なんだと思えばそこにはカラス、俺が口寄せの契約をしている通常サイズのカラスであるムクロだった。口寄せの術をした覚えはないのだが、なんの用事だと窓を開ければムクロが中に入った。
「辰五郎、最近活躍しているな!我等をあんまり呼び出さないのはどうかと思うが」
「いやだって、使う機会が早々にねえんだから」
口寄せの術で呼び出さない事に対して少し苦情を入れるムクロ。
使う機会が早々にねえんだから仕方ないだろうで流す。ホントに使う機会が早々にねえし、あったとしてもブルードラゴンで大体は解決する事が出来ちまうんだから仕方がねえ。
「第一、お前等、鳥扱いが酷いって愚痴ってただろ」
「それはそれ!これはこれ!……っと、今回はお前に説教しに来たわけじゃない」
「じゃあ、なにをしに来たんだ?」
「仙術を教える準備が出来た」
「!」
今まで覚えたいと思っていても覚えることが出来なかった仙術。
仙術を教えてくれる高天原側が教える為の準備が出来ていないから覚える事が出来ていなかったが……教える準備が出来た。
「そうか……」
「どうした?あんなに望んでいた仙術だぞ」
「確かにそうだがな……上にちょっと報告してくるわ」
洗い物をパパっと済ませた後にムクロと一緒に綱手様のもとに向かう。
理由は至ってシンプルだ、仙術を会得する為には高天原で修業をしなければならない……高天原に居るって事は木ノ葉の里に居ないってことで、何かあった際に任務を受けさせたい!ってのが出来ねえ。
「つーわけで、休みの日とかには高天原に行っているんで緊急招集とかには出れないです」
「そうか……ふむ」
「やっぱダメすか?」
「いや、休みの日になにをしていようが勝手だ。しかし、仙術の会得は困難を極めるぞ」
高天原で修業をすることで色々と緊急事態には呼び出せない事なんかについて言っておけば、綱手様は仙術が難しいと言う。
初代のおっさんが仙術を使えるけど、綱手様は仙術を使えない。天才忍者の四代目火影も仙術を使えるには使えるが実戦では使えないレベルで、木ノ葉の里で仙術を使える忍と言えば自来也さんで、その自来也さんも完璧に仙術を使えなかった。
「高天原が協力してくれるんでミスして死ぬとかはありえないっすよ……仙術を会得したらやっと覚えたい術とか覚えれる様になりますし」
「覚えたい術?」
「綱手様を探してた際に遭遇したうちはイタチや鬼鮫が所属している組織、暁……そいつらはなんだナルトの中の九尾以外も狙っていて色々とやろうと企んでるみたいだからそいつ等に対して強い忍術を覚えようと思ったんすよ」
「なるほど……高天原での修業は構わないが、出来れば明日からにしてもらえないか?」
「なんでです?」
「なに、ナルトの奴が旅立つんだ……同期で同じチームだったのだろう。見送りぐらいはしてやれ」
ナルトが自来也さんのもとでみっちりと修業をしていく。
アニオリっぽい話を幾つか消費していたが、もうそんな時期なのかと思い出して綱手様は見送りはするんだと言ってくるので見送りはするかとなった。
「辰五郎、すまんの。名目上はお前も弟子だと言うのに大した事はしてやれんくて」
「いや、いいっすよ……それよりもナルトをしっかりと鍛えてやってくださいよ。今のレベルじゃ、ちょっと強い下忍レベルなんですから」
「見とけよ、辰五郎……この2年で滅茶苦茶強くなってやる。サスケを連れ戻す為にも、暁の連中に負けない為にも!」
そんなこんなで見送りの日がやって来た。
自来也さんは名目上は俺を弟子にしているものの、師匠としてなにか特別な事を教えたりしていない事を申し訳なさそうにしているが今更だし、綱手様に依怙贔屓されることでダンゾウの魔の手から抜け出すことが出来ている。
それだけでも充分でそれ以上は望まない。
俺よりもナルトの方をしっかりと鍛えておけよと言えばナルトは絶対に強くなってやると決心をして拳を強く握った。
「しかし辰五郎よ、お前さんも仙術を会得するのだな」
「えぇ、まぁ……自来也さんみたいに上手く行くかどうかは分からないですけど」
「ならば仙術を会得した先任者としてアドバイスを……普通の飯の材料とか持っとけ」
「……それ将来的にナルトにも言ってやらないんすか?」
「ナルトに仙術なぞ、100年早いわ!……この2年の間で何処まで鍛えれるかはワシには分からん。相手の底も見えんからの。なによりもナルト1人に全てを背負わせるつもりはない。お前もしっかりと精進しろ」
「ええ」
妙木山で出される数々の蝦蟇用の食事を知っているからか高天原で出される食事も最悪なんだろうと自来也さんは飯には気を配れと言ってくる。ナルトにもそこは言ってやったらいいのにと呟けば、自来也さんはナルトには仙術はまだまだ早い!と断言しつつ俺にも頑張れよと後押しをして……木ノ葉の里の出入り口である門が開いた。
「ナルトの奴は強くなんだろうな……」
「今でも螺旋丸なんて下忍には不相応な高等忍術を覚えてんだから、強くなんだろ」
ナルトを見送り終えたのでシカマルとナルトについて話す。
自来也さんに連れて行かれたのでコレからは強くなる事について話し合いをしており、俺等は空を見上げる。
「なぁ、辰五郎。俺って忍に向いてると思うか?」
「ホントにいきなりだな……中忍になって最初の任務であるサスケ奪還を失敗したのを気にしてんのか?」
「ああ……下忍だけでメンバー全員を死にかける目に合わせたりしてよ。正直、心が折れそうになったけどコレが忍なんだなって痛感させられちまった」
「でもまだここに立ってるって事はまだ折れてねえんだろう。それどころか、より強固に固まっただろ」
忍に向いている向いていないかの話になるので、サスケ奪還の事を気にしているのかと聞けばシカマルは正直に頷いた。
それでもまだシカマルはここに立ってる。木ノ葉の忍としてやっていくんだと中忍の証であるジャケットを普段から着ている。
「ああ……適当に生きてけりゃそれでいいって思ってたけど、世の中そうも上手くはいかねえみてえだ。俺なんかが中忍になるわ、サスケは抜け出すわ、サクラは綱手様に弟子入りをするわ……お前も仙術を覚えようとしてるのはお前なりの危機感だろ」
「まぁ、な……」
「はぁ、やっぱめんどくせえ……けど、俺だけだってのもカッコがつかねえわな」
各々が未熟さを痛感したりしていて強くなろうと必死になっている。
同期の中で真っ先に中忍に上がったシカマルは自分だけ適当な理由を集めて上に上がる事を放棄する事はめんどくさいけども出来ないのだと珍しくやる気を出していた。他の面々も着実に強くなろうと必死なんだなというのが分かった。
「おひさ」
「ああ、久しぶりだな」
俺も強くならないといけないなと感じ、逆口寄せで高天原に久しぶりに足を運ぶ。
口寄せしてくれたのはコラボ忍術を使う時に呼び出すサイズのカラス、ゲイルであり久しぶりだと言えばフギンが飛んできた。
「仙術の修業をする……と言っても、コレはお前が想像する修業とは異なるものであり更に言えば難易度も遥かに高い!」
「ああ、それは分かっている……それでもしなきゃならねえんだ」
「じゃ、行く」
ゲイルは俺を乗せて羽ばたいた。
何処に連れて行って貰えるのかと思えば無数の天狗の像が置かれている場所で、一緒になってついてきたフギンが仙術について改めて説明をする
「仙術とは忍術よりも上なもの!忍術は身体エネルギーと精神エネルギーを組み合わせる事で生み出すチャクラを使ったものだが、仙術は身体エネルギーと精神エネルギーだけでなく自然エネルギーを組み合わせた仙術チャクラを使う!この自然エネルギーを体内に蓄えた状態こそが仙人モードであり、仙人モードとなれば全ての能力が段違いに向上する!」
全ての能力が段違いに向上する、覚えておいて損は無い仙術だ。
ラスボス相手には仙術か体術じゃないとダメージを与える事が出来ねえから……特にあの術を作るには仙術を覚えておかなきゃならねえ。フギンの説明が終われば無数の羽根を取り出した
「この羽根には仙術に必要な自然エネルギーが込められている。突き刺す事で自然エネルギーを強制的に入れることが可能で、お前はその自然エネルギーをコントロールするんだ!必要なだけの自然エネルギーを取り込み不要なのは追い出す……と、先ずはやらなければならない事を教える」
自然のエネルギーを手に入れるには自分も自然と一体化しなければならない。
だから内容は至ってシンプル、シンプルが故に難しい。全くと言って動かない、動かない事で自然と一体化して自然エネルギーを蓄える。動物にとって動かないという事は最も苦痛であり最も難しいことであり、とにかく動かない事を集中する。
予想通りと言うべきか失敗はする。一発で仙人化に成功する人間なんて早々に居ないのだと分かっている。
棒で叩かれ不要な自然エネルギーを叩き出されて、もう1回自然エネルギーを取り込んでを繰り返す……1日で終わる修業じゃない。今まで如何にして高速で動けるのか等を追求していたがその逆は全くと言って追求していない。
ナルトは仙術を会得する為に修業する時間を貰ったが俺はそうはいかない。
1日修業すれば数日任務となりそこからまた1日とどうにも上手くはいかない。だが少しずつ、少しずつ、少しずつだ。仙人モードの修業を積み重ねていき、1年と3ヶ月を費やして仙人モードを会得した。
歌舞伎役者?と言いたい黒色の痣が出来て、フギンが言うには完璧な仙人モードだと褒めてくれた。
ここでやらなければならないもう1つのこと、仙人モードにより変化する肉体を弄くる方法を模索してなんとか見つけ出して烏天狗に仙人化するが、体の一部がデンキウナギの様に肉体が電気を生み出す発電装置になった。
「後はコレだけか」
仙人モードを会得して、体をデンキウナギの様に発電する様に改造した。
後はもう1つ、規格外のチャクラを持っている敵を相手にする為の忍術の開発だ……具体的に何をどうするのかは最初から決めている。その術に必要なのは忍術のチャクラでなく仙術のチャクラで、先ずは最初の一歩だと四象封印を覚える。
仙人モードを会得したことで基礎的な能力が全て向上したが、まだまだチャクラは足りない。
1回だけでいい、1回だけその術が使えればいい。仙術チャクラを練り上げて印を結んだ……そして四象封印でその術を封じ込める。暇な日が生まれた。仙人モードを使って四象封印で封じていた術に変換させたチャクラを解放し、数珠繋ぎの様に仙術チャクラで印を再び結ぶ。そして四象封印で術を封印
仙人化して術の印を結ぶ→チャクラが切れそうになればその術を四象封印をする→仙人化をして四象封印を解除する→四象封印で封印していた術の続きを行う→チャクラが切れれば四象封印で封印する。
のループを何度も何度も繰り返した。
実戦で仙術を使わなきゃいけない相手に遭遇しなかったし、この為に仙術を覚えたのだと何度も何度も編み物を編むかの様に繰り返しておき……半年以上の時間を費やして、1つの術を完成させた。
複雑な術であり、術そのものを作るのに半年以上の時間がかかる。
一発しか使うことが出来ないものの、使うことが出来ればうちはマダラや大筒木カグヤを相手にする事が出来る術になる……あっという間だ。本当にあっという間に2年が経過した。