忍の世界とか割と詰みである 作:こうすけ増田劇場版
磯撫の力を使いこなすことが今後の任務になった。
暁というテロ組織は勿論の事だが尾獣のコントロールは何処の里も長い間問題視していた事だから仕方ないで受け入れる。
「……!」
サスケを口寄せの術で呼び出す巻物に呪印が浮かんだ。
それはサスケがうちはイタチを殺すことに成功したという証だった。
「口寄せの術!」
俺は巻物を開いた。口寄せの術でサスケを呼び出した。
ボンッと煙が音を出して出てきたのはサスケ……ただのサスケでなく、万華鏡写輪眼を開眼しているサスケだった。
「辰五郎か……」
「なんだかんだでお前と出会うのは数年ぶりだな」
口寄せの術で呼び出せばサスケは特に驚かなかった。
サスケに渡した巻物はその為の巻物で呼び出されるのはサスケの計算の内だった。俺を見て直ぐに俺だと判断し、俺もサスケだと判断するが昔よりも大分チャクラの質が変わっている。チャクラの量は豊富だし強い……ただ、なんと言うか冷たい。
「それで、どうだった?」
「……お前や火影達の予想は当たっていた。うちは一族を殺したのはイタチだが、本当の意味で殺したのは木ノ葉の里の上層部だった」
サスケの言葉と共にサスケから感じるチャクラが冷たくなる。
憎悪に塗れているという証だろうが……サスケは派手に暴れない……
「意外だな。今、木ノ葉に呼び出してるのに暴れないなんて」
「お前が昔言っただろう。心の刃を置けと……イタチの思いは分かった。真実を知る者が現れたが事実の中に一部の嘘を交えて俺を惑わせようとしている……辰五郎、お前はこの忍の世をどう思っている?」
木ノ葉の里に口寄せの術で呼び出している。
今ならばダンゾウたちを殺すのに最高なチャンスだがサスケは心の闇に身を任せてダンゾウ達の首を取りに行かない。昔、俺が言った様に心の刃を一旦置いて……考える様になった。
「ギスギスした感じになってるよ……特に今は暁が各々の国の秘密兵器とも言える尾獣を狩ってるからな」
「……そうか……」
「……大蛇丸の所で色々と見まくったか?」
「……ああ」
今すぐに感情的になって暴れ回らない理由について考えた。
サスケが闇堕ちしてもなんらおかしくないがギリ留まっているのは昔の俺の言葉が効いてるからだ。だがそれ以外になにか心境が変化する事があったのかについて考えれば……やっぱり忍世界の闇である大蛇丸の所に長い間、居たのが原因だろうと考えた。
「大蛇丸のところには稀少な忍術を使える奴が沢山居た……俺の様に自らの意思で大蛇丸の元についていった者も居れば、その逆、拉致された者も居る。だが、それ以上に行き場を失って最終的には大蛇丸の元に辿り着いた者達で構成されていた」
「……稀少な忍術を使う大蛇丸がそういう風に仕向けたとかは?」
「確かにそれもある。だが、大蛇丸とは無関係で一族を差別し続けている政策を取っている国が多数あった」
「……世の中が分からなくなったんだな」
「……ああ」
長い間、大蛇丸のもとで修行をしていたサスケだったがサスケは分からなくなった。
うちは一族を孤立させようとしていた政策があっただけならともかく、他の里でも他の国でもそれがあった。忍の世が平和に見えるようで全然平和じゃない。特に大蛇丸の所に居る奴は大蛇丸が気に入ってと言うよりは大蛇丸のところしか行く宛が無いってのが大きい。
「イタチに関しては俺がケリをつけた……だが、まだ俺の復讐は終わってねえ」
「そう言うと思って、もう1回呼び出せる巻物を作っておいた」
「相変わらず準備万端だな」
今の世の中がよくわからない未来を迷っている状態にあるサスケだが、木ノ葉への復讐だけは頭に置いている。
今回口寄せの術でサスケを呼び出したのはサスケの意見を聞きたかったから……サスケの意見は今の忍世界がわからないと言う答えだった。
「お前はチャンスをちゃんと用意する……色々とあるが、お前は仕事をちゃんとする男だ」
「そりゃどうも」
「俺は今から仲間達と色々と歩いて回る……この忍の世の中がどんなものなのか、改めて俺は知りたいんだ」
「サスケ」
「なんだ?」
「無理はするなよ……俺はまぁ、そこまでかもしんねえけどナルトとサクラはお前の事を本当に思ってるからな」
「……分かっている。だが、早々に変える事が出来る部分と変えてはいけない部分はしっかりとあるんだ」
サスケはそう言うとボンッと煙を出して消えた。
口寄せの術で一時的に呼び出していただけだから、本来の場所に戻ったんだろう。
「忍世界がわからないか……そんなもん俺もわからん」
憎しみが憎しみを生み、更にその憎しみが憎しみを生む。
戦うことは分かり合うことで、他者が他者をリスペクトする友情パワーとは程遠いのがこの世界だ……仮に友情パワーを引き出すことが出来るのはナルトぐらいだろう。
「おぉ、辰五郎!どうだ、お前もこれから一杯!」
「五代目、仕事は?」
「別に少しぐらいいいだろう」
「誘ったのはワシだが、ノリノリじゃのう」
「私はデスクワークの日々なんだ!たまには飲まんとな!」
この世界の憎しみとかそういうのをどうにかこうにかする力を俺は持っていない。あるのは老害消えろという思いぐらいだ。
どうしたもんかと思いながらも木ノ葉の里を歩いていると今から飲みに行く自来也さんと五代目が居た。どうやら酒の席に誘ったのは自来也さんで、五代目はノリノリである。
「ところで急に飲み会ってなんかあったんすか?」
「暁のリーダーに関する情報をの。綱手の奴が色々と焦っておったからここは酒でも飲んで場を和ませようと思っての」
木ノ葉の里の居酒屋に立ち寄ったのでとりあえず注文をする。
急に飲み会になった理由について聞けば自来也さんが持ち前の情報収集能力を駆使して暁のリーダーに関する情報を掴んだ事を教えてくれる。暁のリーダーに関する情報を手に入れたのならば誰だって焦る。色々と作戦とか考えて動こう!と五代目がやろうとしてて自来也さんが酒でも飲んで先ずは気持ちを落ち着かせようという……う〜ん、想像は簡単に出来る。
「プハァ!……やはり仕事を抜け出しての酒は美味い!」
「ったく、お前は……変わらんの」
「……大蛇丸のことか?」
「……ああ」
五代目が豪快に酒を飲んで、空気が和んだ。
自来也さんが五代目は変わらない豪快さがあるなと少し呆れるがその言葉の裏に隠された意味、大蛇丸についてだ。大蛇丸はサスケの手で殺されているが、大蛇丸細胞が1つでもあれば蘇るとか言う結構トンチキな奴だ。
自来也さんは仲間であった大蛇丸が変わっていく姿を見ていた。
だからこそ同じ三忍の1人であり今でも変わらない五代目、いや、綱手様を見て微笑んでいた。
「自来也さん、暁のリーダーについて調べるんすよね?」
「ああ……暁にはトンチキな奴等が多いからの。どんな奴が出てくるか分からん。命懸けの情報収集になるだろう」
「……自来也……」
「なにを心配しておる!ワシは三忍と言われた自来也だぞ!」
今まで集めていた暁の構成員の情報がトンチキと言うかとんでもねえのばかりだった。
そんな暁を束ねているリーダーが居るとなれば恐ろしい存在でとんでもない能力が飛び出してくる。五代目は自来也さんまで遂に死んでしまうのかと心配しているが、自来也さんは心配する必要なんて何処にも無い!と言い切る。
「なんだったら賭けるか?ワシが生きて帰るか、それとも死ぬか」
「そうだな……ならばお前は死ぬに賭けよう」
「綱手、お前」
「自来也、私のギャンブルの弱さを知ってるだろう!私が死ぬって賭けたんだからきっと負ける!」
「五代目、金賭けたギャンブルじゃ最弱ですけど命賭けたギャンブルならば百戦錬磨でしょうに」
「む……」
自分が自来也さんは死んで帰ってくると言う。自分は賭け事に弱いからこの賭けは負ける、つまりは自来也さんは生きて帰ると言う。
確かに五代目は賭け事には弱いがそれは金とかを賭けた時にボコボコにされるのであって命を賭けたギャンブルならば負け無しのとんでもない人だからな。
その辺について指摘すれば五代目はちょっと渋い顔をした。
確かに言われてみれば金を賭けたギャンブルには尽く負けているが、命を賭けたギャンブルには1回も負けていないと思い出す。
「分かった!ならば自来也は生きて帰ってくるに賭けようじゃないか!」
「辰五郎の言葉を聞いて揺らいでおるのぅ……なに、安心しろ!ワシは必ず生きて帰ってくる!……綱手、そしたらお前と」
「ば、バカモノ!」
「ったく、50過ぎのジジババがするもんじゃねえだろ」
ワシは必ず生きて帰ってくる!そしてお前と結婚をなんて言う死亡フラグを見事に立てる自来也さん。
愛の告白を受けているのを五代目は理解して顔を真っ赤にしている。甘酸っぱい光景には違いないんだた50過ぎのジジババがする甘酸っぱい青春じゃねえんだよと呆れる。
「自来也さん、一応は蝦蟇仙人辺りに逆口寄せが出来る様にしといた方がいいですからね」
「なんだ、辰五郎。お前まで」
「……あんたが死んだら、ナルトが一番悲しむんだ。口ではなんだかんだ言ってるけどよ、あんたはナルトを弟子として信頼しているし、ナルトはあんたを師匠として誇りに思ってるんだから」
「……辰五郎、お前……」
「俺も大人になったらさっさとイチャイチャシリーズを読みたいし、自来也さんが死んだら続きを読めなくなるから頼みますよ」
「ったく、お前は締める時はキッチリと締めると思ったが……まぁ、その方がお前さんらしいがの」
自来也さんはそういう魂胆か!と呆れながらも、そっちの方が俺らしいと微笑んだ。
ここからは2人のジジババのアオハルなエピソードがあるからと焼き鳥を食べ終えれば邪魔者な俺は帰っていった。
「大丈夫なの?」
「なにが?」
「相手は僕達尾獣を倒せて当たり前の連中のボスだよ?」
帰っていく途中に磯撫が話しかけてきた。
自来也さんが暁のリーダーの情報を集める云々だが、磯撫からすれば尾獣を宿した人柱力や尾獣そのものを倒したり拘束したりする事が出来て当たり前の集団のリーダーの情報収集をすると言っている。
「まぁ、何とかするしかないだろう」
今の俺がペイン六道に挑んだら勝てるかって話になれば無理だろう。
チャクラ吸収と引力と斥力を操る輪廻眼の能力がチート過ぎる。ナルトですら勝てたのは奇跡な上に、木ノ葉の里を壊滅状態に追い詰められてしまうんだから勝てない。磯撫の力とマトリフを完璧に使いこなす事が出来たのならば案外いけるかもしれないが……それでも木ノ葉に生み出す甚大な被害は洒落にならない。
「っと、なんかド根性忍伝が読みたくなったな」
自来也さんの話をしていれば自来也さんの処女作、ド根性忍伝が不思議と読みたくなった。
もしかしたら今生の別れになる可能性もあるからなと空を見上げるが……いい感じの快晴だった。
久しぶりに読んだド根性忍伝は泥臭い作品だった……けど、面白かった。磯撫も面白いって言ってくれた。
興が乗ったので俺も新しい作品と言っても前世であった作品、キン肉マンの完璧超人始祖編を描いた。編集部の受けは良かったし、この世界の住人にも完璧超人始祖編は刺さる奴は刺さる……そういえば、クロス・ボンバーってこの世界じゃ一応は忍術として存在するんだよな。
「磯撫、チャクラを」
それはそうとして、少しずつ磯撫とのコミュニケーションが取れている。
四象封印からチャクラが漏れ出しているが、磯撫は俺を支配下に置くという真似をしてこない……少しずつ、少しずつ尾獣との関係性が良くなっていく。磯撫を四象封印から近い内に出しても問題は無さそうだな。
そして
「自来也ちゃんが戦死した……」
悲報が鳴り響いた