忍の世界とか割と詰みである 作:こうすけ増田劇場版
「取りあえずはこんだけだ」
「うわぁ……」
簡易的な火影代理の執務室に並べられたのは書類の山、山、山。
五代目が書類の山と苦戦してる姿を色々と見ていたが、量が比較にならない。ホントに洒落にならんぐらいに量があるので俺は思わず声を上げる。
「シカクさん、多すぎない?」
「仕方ねえだろ。文字通り木ノ葉は壊滅状態なんだからよ」
人材的な意味でなく物理的にボコボコに破壊された木ノ葉の里。
それを復権しなければならないのが火影代理を務めているカカシ先生の仕事であり、五代目が戦っていた書類の数を遥かに上回る。
「これ、俺もしなきゃダメな感じすか?」
「いや、お前には少しの間は蒼い龍を使って瓦礫の撤去をしてもらう」
「マトリフをそれに使うとめっちゃ文句言うんすけど」
「お前がやらかした事よりはマシだろ」
「……なんのことすか?」
「木ノ葉がこんなだってのに、相談役とダンゾウが一向に出て来ねえ。特にダンゾウにとっては今が木ノ葉の政権を手に入れる絶好のチャンスだ。それなのに全くと言って姿を出さねえ。暁のリーダーに殺られたって線もあるが、こうしてカカシの奴が生き返ってるから同じ理屈で生き返ってる……暁のリーダーのどさくさ紛れに殺ったんだろ?」
「……随分と冷静ですね」
流石はシカクさんと言うべきか、木ノ葉が危機的な状況にも関わらず表に出て来ない相談役とダンゾウを疑問を抱いている。
本人なりに色々な状況なんかを突き詰めて、どさくさ紛れに俺が殺ったと一応は合っている答えを出した。里の重役を殺してるのにシカクさんは感情的にはなっていない。
「あの3人は嘗ては二代目様の直々の小隊だったが、色々と問題があった……実際に何処までかは知らねえが、敵を多く作っていたり里の為に里の為にと言っている割には里に暮らしている人の顔を全くと言って見てなかった」
「……」
「ナルトの奴がまさにその一例だろう。今のナルトは里を壊滅状態に追い込んだ暁を倒した英雄だと持ち上げられているが、ナルトをホントの意味で理解しようとしたり向き合ってたのはシカマル達同期達で後は掌返しだ。ナルトの性格上、そこを気にすることは無いだろうが心の何処かで思うところはあんだろ……」
「責めないんですね。俺を」
「お前を責めてる暇があるなら木ノ葉の為に働かせる、ただそれだけだ……今、木ノ葉での最大戦力はお前なんだぞ辰五郎」
そこは嘘でもナルトと言ってあげてくださいよ。
シカクさんは相談役及びダンゾウは敵を作りすぎた。その内の1人が偶然にも俺だった。忍の世界じゃよくある話だで割り切ろうとしていて、俺に責任追及をするのでなく、木ノ葉の里の復興の為にさっさと働けと言ってくる……この人、なんだかんだでエリートで覚悟も決まってる忍だなと改めて実感する。
「と言うわけで、お前の暫くの仕事はマトリフを使った瓦礫撤去だ」
「了解っす」
そんなこんなで瓦礫撤去をしてこいという肉体労働を頼まれた。
一応、火影代理の補佐を務めているのにこの手の肉体労働をしててええんかいと思ったが、カカシ先生自体頭が回るタイプでその上で木ノ葉随一の切れ者軍師であるシカクさんが補佐を務めている。ややこしい事務処理関係の仕事は2人に任せとけば良い仕事をしてくれるだろう
「っち……」
「文句を言うなよ。里がこんな状態になっちまったんだから復興しなきゃならねえだろ」
「そうそう……僕のところなんてこういう時は一族総出で一番酷使されるんだから」
そんなこんなで瓦礫の撤去に移り、マトリフを出す。
瓦礫を何処に動かすとかはシカマルが指示を出し、倍加の術でデカくなったチョウジと実体化をしたマトリフで瓦礫を撤去する。しかし当然と言えば当然か、マトリフは不機嫌そうにする。マトリフの仕事は戦闘であり、こういう細かな雑用は仕事じゃない。
「あ、蒼い龍!?」
「あぁん、なんだテメエ等?」
そんなこんなで瓦礫の撤去等をしていれば雲隠れの忍が現れて実体化しているマトリフを見て驚いていた。
木ノ葉の蒼い龍を実際に見るのは初めてであり、威圧感が半端じゃないと思わず後退するとサムイさんが雲隠れの忍、カルイの前に出た。多分そうなるだろうなと思っていたので俺は実体化を解除した。
「アレが噂の蒼い龍か」
「どうもお久しぶり……と言うほどの時間じゃないですね。木ノ葉の里はご覧の通りの有様ですが何用で?」
「雷の国、雲隠れの里の雷影様から書状を預かって参ったわ。木ノ葉の里になにかあったかについては気になるけど、火影に書状を」
「現在火影は倒れている状態でして、代理の者が居ます。書状の内容は大凡の見当はつきます……火影代理の方に書状を渡す、その方は火影代理ですが倒れている火影と同じ権限を持っていますのでそれでよろしいでしょうか?」
「ええ」
「じゃあ、俺についてきてください……シカマル、この現場を任せても大丈夫か?」
「ああ……それよか、話が大きくなってきてんな」
「木ノ葉がここまでボッコボコにされたんだから今更だろう」
雲隠れの里から参ったサムイ、カルイ、オモイ。
木ノ葉の里と言えば忍五大国の中でも立地条件等を含め一番良い所に土地があり、里のシステムを作った初代のおっさんを始めとするエリート忍者を輩出した場所である。その木ノ葉の里がここまでボロボロになるだなんてと色々と見ているが、俺には特になにかを言って来ない。
「前に里に来た時はあんな若いのが木ノ葉の蒼い龍って疑ってたけど、マジだったんだな」
「蒼い龍か……キラービー様とユギトさんが居なくなった現状ヤバいのは雲隠れで、木ノ葉には尾獣みたいなのが自由自在に扱える。下手したら国際問題になってそのまま第四次忍界大戦いや、それよりも」
「あんた達、不安なのは分かるけど落ち着きなよ……」
「でも、サムイさん。こんなの見せられたら俺達よそ者でも色々と考えますよ」
「そうだね。だからこそクールにしないといけないのよ」
カルイとオモイは里は違えども忍であることは変わりはない。
木っ端微塵に破壊されている木ノ葉の里を見て思うことは無いと言えば嘘になり、ヒソヒソと会話をしている。サムイさんは思うことは無いと言えば嘘になるけど、こんな時だから忍らしくクールにするとスゴく冷静だ。
「カカシ様、雷の国、雲隠れの里より使者が参りました」
「辰五郎、立場的にそういうことをしなきゃいけないのは分かるけど様は付けなくていいよ」
「申し訳ありません。一応はそういう立場なので……通してよろしいですか?」
「ああ……何処かからコンタクトがあるのは薄々分かっていたからな」
「では」
カカシ先生に様をつけているのでカカシ先生はやめてくれよと言うが、これでも俺なりの気遣いである。
雲隠れの3人に関してカカシ先生に謁見をさせていいかの許可を取ればカカシ先生は多分来ると思っていたとサラッと言いのけて許可をしたので俺は3人を通してシカクさんと共に執務室の前にスタンバイする。
「辰五郎、出張出来る準備はしとけよ」
「いきなりっすね」
シカクさんが出張出来る用意をしろといきなり言ってきた。
突拍子もないことを言い出す変な人じゃない。雲隠れの忍がなんでやってきたかぐらいはシカクさんにとっては読みやすい。
「暁が本格的に動き出して、最初に一尾を宿す風影が狙われてその次に二尾、んでもってお前が三尾を封印した任務で暁の目撃情報がある。暁は一尾から九尾まで順番に取ってきている。お前は裏で色々としてたから知らねえだろうが、暁のリーダーはお前よりナルトを執拗に探していた。そうなると考えれるのは」
「ナルト以外の人柱力の尾獣の力が暁に持ってかれた、すか?」
「そうだ……確か、雲隠れの里は二尾と八尾を持ってた筈だ。八尾の人柱力がぶっ倒され暁に持ってかれた……雲隠れは昔からかなり過激なタカ派だからな。尾獣を持ってかれてキレた雷影が本格的に暁を潰すと重い腰を上げたんだろ」
「となると、考えられるのは五影会談とか?」
「まぁ、その辺りが妥当だな」
カカシ先生が雲隠れの里からの使者の相手をしている。
その内容についてシカクさんは過去に起きたデータと照らし合わせていて、ナルトに宿る九尾以外の尾獣を持ってかれたもしくは尾獣チャクラを持ってかれて雲隠れが重い腰を上げたと予測する。
しかしと言うかシカクさんは相変わらずの頭のキレの良さで……その予想は当たっていた。
雲隠れの3人は五影会談を鉄の国で開きたいと言う意思を伝えに来た……カカシ先生はそれを承諾した。
「いいんすか、火影代理なのにそこまでして」
木ノ葉の里が本格的に復旧したりインフラ整えたり任務を調整したりを火影代理のカカシ先生が務める。
火影じゃなくて火影代理であり、流石に五影会談に代理とは言え出席するのはどうなんだと最もらしい意見をカカシ先生にぶつけた。
「綱手様の代わりに出席するのは色々な方面に申し訳無いと思っているけど、仕方がない。今まで尾獣を狩ってた暁が遂に本格的にナルトを狙ってきたんだ。今までの事から考えて尾獣の半分を暁に持ってかれてる。綱手様は今まで暁を共同で倒そうとお前を使者として動かして何度もお断りをくらってた。我愛羅もとい風影は実際に被害を受けたから綱手様の暁の共同討伐は賛成だったけど他がだんまりを決め込んでて今回重い腰を上げたんだ。何時も色々と言ってた木ノ葉が火影が寝込んでるから出席不可は無理だろう」
「……まぁ、その通りなんですけどね」
今まで何度も何度も五大国で暁討伐をしよう!を声をかけていて、それが実現に向かおうとしている。
それを言い出していてやっと他の里が重い腰を上げたのに今まで声をかけていた火影が寝込んで動けませんは洒落にならねえよな。
カカシ先生の意見に反論するつもりとかは特に無いし言っていることも一応は正論なので特に文句は言わない。
「一応は雲隠れからの使者だからな。丁寧に帰してやってくれ」
「了解っす」
五影会談を行うのを承諾するが、火影である五代目が寝込んでいるので代理で自分が出席します的な書類を雲隠れの使者に渡した。
五代目は回復には向かってはいるが、何時目を覚ますのかが分かったもんじゃないからとカカシ先生の代理を認めてくださいと……まぁ、その辺は上手いとこやるし、木ノ葉側が出席しない事には五影会談は始まらん。
「と言うわけで綱手様の代理であるカカシ様が出席するという事をお伝えください」
「ええ、わかったわ」
五影会談をするけど五代目じゃなくて自分が出席しますと言う内容の書状をサムイさんに渡す。
火影を出席させろや!と言う意見は流石に木ノ葉の里を見て言うに言えない。性格的に言うタイプじゃないけれども。
「おぉ!スゲえってばよ!」
書状を渡したので木ノ葉の里から送ろうとしているとナルトが騒いでいた。
なんか人集りが出来ているなと思っているとグ〜と腹の音が鳴った……サムイさんからだ。
「こっちは早急に動かないといけないから、気にしないで」
「そうは言いますけど、空腹じゃダメっすよ……あ、テウチのおっちゃんとアヤメさんか」
冷静に考えれば今がちょうど昼メシの時間帯だなと思い出す。
サムイさんは腹の音を鳴らしたが特に恥ずかしそうにすることはせず、飯を食うよりも仕事の方をしておかなきゃいけないとクールな対応を見せるが、こっから雷の国もとい雲隠れの里って結構距離あんぞと飯を食うことを勧めればナルトがなにに騒いでいるか気付いた。
ナルト達の憩いの場である一楽のラーメン屋も当然破壊されている。
最終的にはスゲえ形で復興されるが、今は店が無い素寒貧な状態であり……なにをしてるかと見れば、ラーメンを作っていた。テウチのおっちゃんはラーメン屋の店主だからラーメンを作るのは当たり前だろうと思うだろうが、生地を伸ばして折り畳んで伸ばしての所謂拉麺と言われるやり方で麺を作っていた。
「食ってきませんか?木ノ葉随一のラーメン屋のラーメン」
「……はぁ、仕方ないね」
腹が減っているという事実には変わりはないのでサムイさんはラーメンを食うかと決めた。
ナルト達が騒いでいる中で拉麺もといラーメンが作られていく。
「おぉ、辰五郎じゃねえか」
「テウチのおっちゃん、無事でなによりだ……つか、なにしてんだ?」
「見ての通りラーメンを作ってんだよ。俺はナルトやお前みたいに戦えねえ。里の復興をする事が出来る能力があるわけでも無いが……こうして美味いラーメンを作って里を復興させる為の元気を与えてんだ!」
「こういうしんみりとした時こそ美味しい物を食べて気持ちを前向きにしないとね!」
やだ、テウチのおっちゃんとアヤメさん、男前過ぎる……とは言え言っていることも一理ある。
災害で厄介なのは災害で起きる物理的被害よりも災害を受けた被害者の心的被害の方だって聞いたことがある。そういう時だからこそ美味いものを食って明日の為に頑張るんだって気力を作る……金を取ってない所から、多分木ノ葉の里側から復興の為にラーメン作ってくれって頼まれてんだな。
「テウチのおっちゃんのラーメンと俺の影分身があればあっという間に里を復興出来るってばよ!」
因みにだがナルトは影分身があるので思っきりこき使われてる……まぁ、下忍に成りたての頃から同じだな。影分身がいけないんだ、影分身が。マンパワー増やせんのはホントにチートだからな。
「ところでそっちのは……スゲえ別嬪さんだが見ねえ顔だな」
「なに、仕事で木ノ葉に来てて今から帰るってとこでランチタイムになった感じだよ……つーわけで、ラーメンくれ」
「あいよ!」
サムイさんの存在に気付いたテウチのおっちゃんは少し気にするが、外から来た人だと分かれば深く追求はしなかった。
テウチのおっちゃんがやるのは特別な事じゃない。何時も通りラーメンを作って、客に振る舞う……流石は木ノ葉随一の聖人である。この人が居ないと冗談抜きでナルトが詰んでたところあるからな。
「……美味いね」
「へへ、俺のラーメンは外国人にも通じるか」
テウチのおっちゃんが作ったラーメンは何時もの一楽のラーメンじゃなかった。
とは言えそこはプロのラーメン職人、雷の国からやってきたサムイさんはオーバーなリアクションはしないが、テウチのおっちゃんが作った木ノ葉復興支援ラーメンの味を満足そうに食べていた。