忍の世界とか割と詰みである 作:こうすけ増田劇場版
真実の滝に向かったナルトだが予想通りの結果になった。
自分の心の何処かにある心の闇と向き合うことになった。最初は殴り合いで決着をつけようとしていたが、ナルトの心の闇はナルトの一部であり、ナルトと全くと言って同じ強さで絶対に勝つことが出来ない。
「俺達尾獣は人柱力に宿っている心の闇から体を乗っ取る。心の闇をどうにかしなきゃ俺達の力のコントロールをする事は絶対に不可能だ」
八尾がナルトに真実の滝に迎えと言ったのはビーさんがナルトの中にある心の闇を見抜いたから。
心の闇を見て、心の闇がなんなのか理解をしてそれとどういう風に向き合うのかがナルトの最初の課題だ。それは九尾を封印している八卦封印を解除するのに必要な鍵を妙木山で貰った時に説明を受けている。
「答えは教えられないの?」
「サムイ、テメエも曲がりなりにも雲隠れの忍だろう。今でこそビーは雲隠れで英雄視されてるが、俺が中に入って間もない頃にビーの奴がどういう目に遭っていたのか知らねえとは言わせねえぞ」
「……」
ナルトはナルトの中に宿っている心の闇と戦わなきゃいけない。そうじゃなきゃ尾獣のコントロールがまず出来ない。
サムイさんが同じ人柱力として答えに至っているビーさんがアドバイスを送った方がいいんじゃないのかと最もな意見を述べるが、八尾は自身がビーさんに封印されていた時にどんな事が起こっていたのかを聞けば黙る。
「こればかりは俺達がアドバイスをして解決する事は出来ねえよ、ナルトの憎しみはナルトの一部だ。ナルトはそれを倒そうってそもそも根本的な間違いをしてる」
「……自分の中の憎悪とこれからどの様に歩んでいくか、か」
今までは誰かがアドバイスをしていたし、それさえ終わればビーさんも真面目に尾獣のコントロールを教えてくれる。
ただしそれだけはナルトが自分の中で色々と答えを考えなきゃいけない。過去のデータとかそういうのを参考にするんじゃなくてナルトの人間性で導き出さなきゃいけない。人間性は割としっかりとしているナルトの心の闇だからこそ常人にはアドバイスが難しい。我愛羅も何かしらのアドバイスをした方がいいが、嘗て自分を説得してくれた最初の友達に自分が今まで苦しみを味わう原因になった存在とも向き合わなきゃならねえから言葉が出ない。俺とマトリフが上手くやれているから、自分も守鶴と仲良くなろうと思えば出来るんじゃないのかという答えに至った……が、憎しみの感情に関してはなんとも言えない。ナルトが自力で解決しなきゃならねえ問題で、その問題は我愛羅にもやってきている。我愛羅は今までの過去を掘り起こさず新しく一歩を踏み出している。
「皆様、クッキーを焼いたのですが如何ですか?」
「お、こいつはいいね」
ナルトが自力で解決しなきゃいけねえ問題だから俺達がなにかを言っても意味が無い。
じゃあ、人柱力として修行を先にするかと思ったがビーさんは修行を見てくれるわけではない。ナルトの問題が解決する前に俺達が出来ることは無い……が、それでいい。
名目上は生き残っている人柱力同士で交流して人柱力の完成形であるキラービーと同じレベルを目指すだが、本当の目的は我愛羅以外の監禁だ。今もこうしている内に着実と第四次忍界大戦が始まろうとしているが、その辺のゴタゴタはカカシ先生やシカクさんの様な百戦錬磨のエリートに任せとけば大体はどうにでもなる。
「美味いな」
それはそうとシズカが何時の間にかクッキーを焼いていた。
一応は居住スペースに色々とあるからクッキーを焼くことは可能だ。元々この任務に加わる予定では無く、急遽加わっただけあってか自分なりのフォローの道に関して探そうとしている。パクリとクッキーを食べれば手作り感があって美味しかった。
「辰五郎、修行はしなくてもよろしいのですか?」
「ナルトの問題が解決してから……と言うか、俺の場合は尾獣玉と実戦経験だけなんだよ。我愛羅はリンクしたし尾獣化だけでもやってみれば?」
「そいつはいい。リンクしても尾獣化を維持できるかどうかは話は別だからな……だが、尾獣玉は撃つんじゃねえぞ」
「んなもん言われなくてもわかってんだよ」
ナルトの問題はナルトが解決しなきゃいけないので俺達は置いておく。
じゃあ、俺達は修行をしなくていいのか?とシズカが最もな意見を言うのだが俺は尾獣化での実戦経験が足りないのと尾獣玉の修行だけが出来ていない。尾獣玉は一発で山を消し飛ばす威力を秘めているから真実の滝の裏にあるおそらくは六道仙人辺りが作ったであろう人柱力の修行場のよく分からない特殊な空間じゃなきゃ普通に周りに被害を与える。
尾獣の姿になることは既に簡単に出来るからここは俺じゃなくて我愛羅が尾獣のコントロールをした方がいいとなり、部屋を出る。
周りが密林だらけのおかげで尾獣サイズになったとしても大して被害を与えない。
「俺達のチャクラは手足の様に自由自在に扱える……つっても守鶴の人柱力だとその辺はもう完璧か」
「ふむ……砂を操るのと大して変わらんな」
八尾が自分達のチャクラは手足の様に自由自在に操ることが出来ると言ったのだが、守鶴の人柱力だとその辺の修行をしなくていい。
守鶴が中に入っている影響か我愛羅は砂を手足の様に自由自在に操ることが出来るから守鶴から守鶴の砂でなく守鶴のチャクラを受け取っても何時も通りのチャクラコントロールでどうにかなった。
「なら後は簡単だ。尾獣チャクラで尾獣の姿をイメージして変化する」
「ふむ……辰五郎」
「いや、ここはなにもしねえ……それが守鶴の信頼の証になる」
八尾は尾獣化のコツについて教えれば我愛羅は俺を見た。
守鶴が万が一暴走したら殴ってでも止めてくれないか?と言う意味合いで声をかけてきたが、俺はそれを断る。何もしないことこそ守鶴への最大への礼儀だ。我愛羅は少し不安になっている。今まで過去に何度か守鶴でやらかしている。その度に周りから、それこそ血の繋がった家族からも怯えられている。何かあった時に殴って止めてくれる奴等はここに居る。それに頼るのは決して悪いことじゃねえが、それに頼るって事は守鶴の事を信頼してねえって話だ。
「はぁあああ!!」
「……っ!?」
「尻尾の数が多いほどチャクラが多いって聞いてるけど、一尾でこのレベル!?」
我愛羅は守鶴を肩に乗せた後に守鶴チャクラを使って尾獣化を果たす。
感知タイプ程に高精度な感知能力を持っているわけじゃないシズカは顔を青ざめてサムイはチャクラの量がイカれていると慌てている。
「辰五郎……貴方もこれを?」
「出来るには出来る」
中忍試験の時に表に出た守鶴、暁に拉致された際に表に出た守鶴、その2回と違って我愛羅と一応は心を通わせて尾獣化した。
中忍試験の時は守鶴を無理矢理に表に出した狸寝入りの術で、暁の時は守鶴チャクラを殆ど抜き取られていて守鶴の核となる部分だけが残っていた。今回は今までの2回と違う。チャクラ量も質も圧倒的に桁が違う。
シズカは出来るのか?と聞いてくるので俺は磯撫のチャクラを一部貰って磯撫の尻尾を出す。
まだ1本しか見せていないがそれでも膨大なチャクラを感じ取っている……結婚を賭けた戦いの時に磯撫に変化してビビらせてやろうかと考えていたが出来なかった。この膨大なチャクラを見ればビビっているな……。
「尾獣は尻尾の数が多ければチャクラが多いのは事実だけど、それ=強さじゃねえんだよ」
「それぞれ個性があるからね」
守鶴を宿せば磁遁とか砂を操る力を手に入れる。磯撫を宿せば水中戦と陽遁と水遁と土遁に適性が生まれる。
尻尾の数が多ければチャクラ量が増えるが、それ=強さじゃねえよと八尾は言っている。磯撫もそれぞれのメリットがあるという……ただ、それでも九尾のコントロールに成功をしたら悪意探知とか一瞬で仙人モードとか割と反則的な能力を持っているからな。
「ふむ……なんだ……変わった感覚だな。今までは主導権を守鶴に渡していたが、実際に守鶴の姿になってしっかりと動かすのは」
尾獣化に成功した我愛羅の感想は違和感を感じること。
完全な尾獣化に成功して肉体の主導権を持っているが守鶴の体で自由自在に動き回ると言う事は初だ。
「ぬぅおあ!?い、一尾!?」
「アオバさん、大丈夫っすよ」
守鶴の膨大なチャクラを感じ取ったのはその場にいる俺達だけでなく、休んでいたアオバさんもだ。
八尾の頭部にそっくりな住居スペースから出てきて臨戦態勢に入っていたが流石に守鶴がまんま出ていたので驚いている。
「アオバ、辰五郎、スゴいチャクラをって一尾!?」
「ヤマト隊長、我愛羅が尾獣の力の制御を……取りあえずは尾獣化しただけなので問題はありません」
同じく膨大なチャクラを感じ取ったヤマト隊長がやってきて驚くのでアオバさんと同じ説明をする。
ヤマト隊長はチャクラを一応は練っているものの守鶴が暴走らしい暴走はしていない。ホントに大丈夫か?と言う心配そうな目で見られていれば守鶴の姿から我愛羅の姿に戻って、左肩には守鶴が乗っていた。
「まぁ、はじめての尾獣化だからな。3分ぐらいが限界か」
守鶴はこんなもんかと軽く流す。
元の姿に戻っているのでヤマト隊長は大丈夫なんだなとホッとしている。
「あの、ナルトはどうしました?」
「ああ……八尾に言われた通り真実の滝とやらに向かったよ。モトイさんの話が確かならばそこにナルトの心の闇、真実が映し出されている……目を閉じているだけだっだのにチャクラの動きがあった事からナルトは暴力で自分の心の闇を倒そうとしたみたいだけど互角で」
ヤマト隊長がやって来たのでナルトはどうした?とシズカは聞いた。
八尾の言った様に真実の滝には向かって、自分の中にある真実と対話をした。そしてナルトらしいと言えばナルトらしいが、真っ先に殴り合いで終わらせようとしたが出来なかった。
「真実の滝でどんな心の闇が出てきたかは知らないけど、それをどうにかしないと尾獣の力のコントロールのスタートラインにすら立てない……本人の精神の持ち方が影響を及ぼす以上は私達が横からああだこうだ言っても仕方ないわね」
「感情で動くタイプが心の闇みたいなのと向き合うのは一番厄介だからしゃあないっすよ」
真実の滝で何と向き合ったかは知らねえが、真実の滝に出てきた心の闇は本物でそれとの向き合い方を考えなきゃいけない。
本人の気持ちや考え方次第だから下手な事は言えねえ。自分のことが分かるのは自分が一番で、サムイさんはアドバイスを求められれば答えるが、それが求められないのなら横からの口出しを一切しない。
「そうは言うが……辰五郎、君からアドバイスは無いのかい?」
「いやまぁ、言えることは幾らでもあるにはあるけども……そもそもで俺は心の闇とか乗り越えてはいないっすからね」
「どういうことだい?」
「いや、だからそのままの意味っすよ……同期の奴等とか五代目とか一部の人達にはそれなりに愛着とかは湧いてるけど、それ以外は特にコレといった感情は持ち合わせてない。つーかむしろ、三代目とダンゾウの木ノ葉の里の政策が色々と酷かったのを生で見てるんすよ」
まぁ、そもそもでこれからは若い世代!って感じで四代目の旦那に引き継いだ筈の三代目が返り咲いてしまった。
アレばっかりはうちはマダラが諸悪の根源だから仕方ないとしても限度が過ぎている。ナルトはそれを許すって形だけど、俺の場合はそうじゃねえから。
「俺が持ってる感情は嫌いとか憎しみとかじゃなくて、無関心っすからね」
自分の中にある心の闇を無理矢理光堕ちさせたって意味はねえ。光が強くなったら影が濃くなる。闇を無理矢理消そうとするのはただの潔癖症だ。俺自身も心の中に闇はあるし磯撫から貰うチャクラに磯撫の憎悪とかが一部流れ込んでるけどそれはそれで割り切ってる。
その根底にあるのは好き嫌いの中で一番最悪と言えば最悪と言える無関心だ。
「とは言え、進んだって認識にしたら良いっすよ……ナルトは自覚していないだけで心の中に闇があった。そしてその闇と対話をする事が出来るようになった。考えようによっちゃ既に九尾の力のコントロールの修行の第一段階、ナルトが一番苦手であろう精神面での修行が始まった」
「同じ人柱力同士でアドバイス、と言いたいところだが力の扱い方でなく精神面となれば俺達は力になれん」
スタートラインに立つことが出来ていないと認識しているが既に刻みながらも第一段階にナルトは足を踏み入れている。
我愛羅もアドバイスを考えたが、俺と違ってナルトと同じく迫害を受けていた。その迫害をどういう風に清算するのかはナルトの考えで決めなきゃいけない。
「っと、いけねえ。ビーの野郎が俺の力を使おうとしてる。ちょいと消えるわ」
ミニサイズの八尾はそう言うとポンッと消えた。
多分、原作通りモトイさんがビーさんとの過去について話していてイカに絡まれているのをビーさんが尾獣の姿になって助けてんだろうな。
「ねぇ、辰五郎……ホントはどうすればいいのか分かってるんじゃないの?」
「わかってるといえばわかってる……今までを無かったことにする事は出来ねえ。けど、これから新しく一歩を歩むことは出来る。その一歩を選ぶことは出来る……憎しみじゃなくて分かり合い、許す。ただ、それは言葉じゃなくて行動で示さなきゃいけねえ」
八尾のチャクラを強く感じ取れる。近くにナルトのチャクラも感じ取れる。
原作通りの展開になったんだなと思っていれば磯撫は本当は答えを知ってるんじゃねえかと聞いてくるが言葉にして説明したってナルトには分からない。行動でキッチリと示さなきゃ無理だろう。