あー早く臨海合宿してぇよ!!
突如現れた水色髪の生徒、何処か狐を連想するような彼女は勝負を吹っ掛けてきた。
内容は彼女のSEを1でも減らしたら勝ちという超ハンディキャップ。
俺がIS学園に来たての新入りだとしても、初対面の人間にこれ程のハンデを与えるなど並大抵のことではない。
自分の経験値へと繋がる糧にしようと考えていた。
ただしそれは雑魚の思考だと思い知らされた。
「遅い!」
「ちぃ!」
「弾は早くても目線で大分かりよ!」
彼女は打鉄の近接ブレード【葵】で切り伏せたと同時にアサルトカノン【ガルム】による徹甲弾がクーゲルに着弾し、俺はやられっぱなしでいた。
「ハァッ!!」
「そうは行くかぁ!」
回転蹴りからのヴィダールの爆発すら彼女は即座に回避しやがった。
はっきり言って強い、昨日のデュノアや二日前の一夏とは比べ物にならないくらい、いや比べるのすら失礼なぐらい。
そうだ、比べるのすら失礼だと考えていた
「動きが鈍ってるわよ、もしかして私に見惚れちゃった? ああ別にいいのよ? 幾らでも見惚れてくれて」
「………っ!!」
腕を胸の下から上げる、形の良い胸部が僅かに形を変え、本人は妖艶に笑った。
「ば、馬鹿にするな!」
突然エッチなことを仕掛けられて狼狽えそうになった俺はヴィダールからオルトロスに持ち替えて彼女のニヤけ面にぶっぱなす、
だが避けられる。避けきった後に水髪の女子はクルっと回って見せた。完全に遊ばれている。
このままではマズい、俺のSEはもう二割を切り、完全にワンサイドゲーム。
いや、落ち着け、要するに相手のシールドエネルギーを1でも削れば良い。
彼女に正々堂々と戦おうとする考えは捨てろ!勝負に勝てばいい話だ!
対射撃戦の指導?そんなの知るかボケェ!!
「バーン!」
彼女がふざけたように徹甲弾を撃ち込んだが、俺はAICで受け止めた後、撃ち込まれた徹甲弾をマニピュレーターでぐしゃぐしゃにする
「まだだ!終わってねぇぞ!!」
俺は後3発残ったオルトロスのマガジンを思いっきり投擲した。
ヤケでも起こしたのかと彼女は首をかしげる。
すかさず俺は左目のヴォーダン・オージェを起動して超精密射撃し、マガジン目掛けて弾丸がぶち当たる。
「えっ」
オルトロスに使われる炸裂徹甲弾は他の爆発物(主にヴィダールの刀身)に当たると大爆発を引き起こすのをマチルダで実践した事があるので結構自信があった。その威力はマチルダのEOSのガラスがぶち壊れて割れてしまった程だ。ほんとごめんな。
だけど今の攻撃は自信がある……筈だった。
彼女は冷静に対処した。打鉄の肩部シールドを花火の方角に向け下方からカーブするようにこっちに近づいてきた。
炸裂徹甲弾入りのマガジンによる誘爆は彼女の肩部シールドで塞き止められ、その他を器用に身をよじりながら躱していく。
あれを避けるとか化け物かよ!!
眼前に展開されたホロスクリーンには彼女が被弾したというアナウンスはない。本当にあの爆発を凌いだというのか
俺は即座にリロードしてバックステップでオルトロスを射つも彼女はまたそれをひらりとよける。
「面白い発想だったけど、まだまだね!」
ある程度距離を取り、彼女と相見える
「でももう手数はないんじゃない? それに私と戦ってここまでやった人は初めてよ。」
「代表候補生ですからね…………それに……」
「それに?」
「まだ終わってねぇんだよ!!」
啖呵を切った俺はオルトロス一丁をリコールして一丁だけ構える
使いたくなかったけどここでやるしかない!
クーゲルの第三世代能力、それはAICもあるがそれじゃない
瞬時加速と同等のスピードで翻弄する高速戦闘。
銃口が青水色のエネルギー弾が生成され、それは青と
踵ブレードが地面に突き刺さり固定される
「ま……まさか!!」
「ヴォォォォォォォラァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
ク
ー
ゲ
ル
ズィーゼンエクスプロージョン
反動で俺は倒れてそのエネルギー弾は二つに分裂して青空色と曇天色の狼の頭部の型になり頭部が彼女を挟み込もうとするも、彼女は上空へ飛び挟み込まれる瞬間に瞬時加速して、エネルギー弾二つは上空でぶつかり合って爆発した。
撃ち放った俺は倒れており、彼女は俺を空から見下しているようだった。
するとアリーナに織斑先生がやって来た。
『なんだ今の爆発音は! アストラスと更織! 怪我はないか!!』
『織斑先生。私は問題ありませんがアストラス君が……』
「うっ……ぐぁぁっ……くそがぁぁ……!」
あの後俺はISを解除され保健室に診てもらったが、特に異常はなかった
持っていた右腕の捻挫だという。おかしいだろマジで。
「ったく!アストラスと言いボーデウィッヒといいドイツのISは物騒なものしか無いのか!!」
「すいません……つい熱くなってしまって」
「とにかくボーデウィッヒとの決闘は中止にはしないが今日含めて残り二日は休め! 以上!」
そう言い残して織斑先生は保健室から出ていった。
それと入れ替わりで打鉄の操縦者が入って来た
「大丈夫かしらアストラスくん。」
「すいません、ご迷惑をおかけいたしました。」
「いいのよ別に」
すると彼女は『心配無い』と書かれた扇子を広げた。何だこの人。
「しかし思っていたほど強くてびっくりしたわ。二丁拳銃なのにあんなもの隠していたらたまったもんじゃ無いわよ」
「そうですか………でも……俺は負けた!」
勝つのに焦って第三世代能力を使って負けてしまった。お陰に左目が結構重い。ゲーム長時間して疲れた気分
「何勝ちにこだわっているのよ。良かったらお姉さんのアドバイス聞く?」
「………お願いします。」
一応アドバイスを聞くことにした。他者からのアドバイスで自分の能力を知るのは繋がるからな
「まず射撃、格闘、戦術イメージは満点よ。ただね。」
「うん?」
「貴方……勝ちにこだわってないかしら。何が何でも勝つと言う貪欲、そして………何かに復讐するために感情に任せる事があるわね」
この人凄げぇ…今の俺の感情を理解してやがる
「でも何でそこまで強さにこだわるのよ。」
「それは………」
俺の過去を普通に話して良いのだろうか。またクラスメイトと同じ反応を取られちゃうんじゃ無いかと心に躊躇いが起きる
「俺……実は父さんをISに殺されたんです。」
「うん。」
彼女は俺の話に相槌を打ってくれた
「ドイツの空軍大隊の
「それ知ってるわ。前のオリンピックで演出もしてくれたわね」
「空の鮮血事件以降俺はISに関わらないで生きていた俺はISを起動してしまった。だから俺はこの力を使って父さんの仇を取ることにしたんです……なのに俺は負けてしまった!俺は……俺は……あのISを潰す為に強くならなくちゃいけないんだっ!!!」
俺はシーツを強く握りしめて吐露して涙が止まらなくなっていた。
しかし彼女は黙って聴いたのちに俺にこう言ってきた。
「貴方………ISが何なのか一切わかっていないわね。」
「ISは人を殺す道具なんだろ……?」
「君は裏を見過ぎでいるのよ。ISはアラスカ条約により軍事利用は禁止されていて現にISはモンド・クロッソによるバトルエンターテイメント要素が強いわ。但し自国を守る名目ならセーフのものよ。」
「は……はぁ……」
「それに貴方軍人さんでしょ? なのにISを個人的な目的で使用すると言うのなら同じドイツ代表候補生のラウラちゃんと同じよ。 その考えならISを捨てて裏の世界にダイブしとけば良いわ。」
容赦のない彼女の言い分は俺を言い当てておりこれが現実だと思い知らされた。
「でも父の仇を取るだなんて余程尊敬してるのは凄いと思うわ。 だけど今やるべき事を考えた方がいいかしら。」
「まだやるべき事……?」
「今強くなる必要なんて無いじゃない。ラウラちゃんと決闘をするんでしょ?だから復讐なんか忘れて今やるべきことに専念すべきよ。」
そう言いながら彼女は扇子で俺の額を小突いた。
今更気づいた。俺はここに来て復讐に囚われちゃっていたんだ。モルやクラリッサさんから言いつけられていたのに俺は何で馬鹿なんだろう。
『ライディ……あなたは自分の事のやりたい事をしなさい』
母さんは俺の事が何するか考えた上で言ってくれたんだ。なのに俺は母さんの言う事全部スルーしておじいちゃんに頼んだ結果が今だ。
俺は押さえ込んでいた涙が一気に出て泣いた。
だけど彼女は俺の背中をさすってくれた。初対面なのに何でこんなにしてくれるんだろう。
「とにかくお姉さんの特別講習しゅーりょー。私これから学園を空けなきゃいけないから試合は見れないけど頑張ってね。応援してるわ」
「あの!」
「なに?」
「お名前を……….教えていただきませんか」
部屋から出て行こうとする水色髪の彼女を俺は止めて名前を聞いた。
「
「更織楯無先輩…………ありがとうございました!!!」
俺は日本に来る前にクラリッサさんとモルに上級生には先輩って付けろと言われたので付けて感謝の意思を述べたのだった。
ーー♢ーー
「ただいまー」
「おかえりライディ……って右腕にギプスつけてどうしたんだよ!」
「あぁこれ?ちょっと右腕を捻挫しただけだから大丈夫」
部屋に帰って早々一夏に驚かれたが無理もない。
「そういえば俺たちが使ってるアリーナとは別のアリーナで爆発音が聞こえたって聞いたけどライディなんか知ってるか?」
「(絶対俺の事だーーーー!!)さ、さぁ。俺は何も知らないぞ!」
「そうか? ならいいや。」
あれが俺だと知ったら一夏は確実にドン引きするかもしれない
……お前を模擬戦で殺しそうになるから使わなかったって言い訳したら納得してくれるか。
あの後やっぱりバレたのはさておき
「………ちょっとお腹すいたなー」
「じゃあ俺何か作ろうか?俺料理できるし」
「本当か!? なら頼んでもいいか?」
「任せなって」
一夏はキッチンへと向かい料理を作り始めた。ニンジンやピーマンやキャベツを細く切り、肉も切ってフライパンに入れるとささっと炒めて調味料をかけたら完成した
「ほい、肉野菜炒めの完成」
「おぉー!これが日本の炒め物ってやつか!いただきます!」
口に入れると肉と野菜が濃いめの味付けと絡み合ってベストマッチしてやがる!美味い!美味すぎるぞ!!
「美味しい!!」
「そりゃよかった」
俺も料理は多少出来るが、一夏には負けるとここ最近思ってる。
ダメだご飯が止まらない。
「いやー料理が美味かったらお前女子にモテモテだぞマジで。」
「えー?俺はモテてないぞ?」
「何言ってんだよ学園に男子は俺達だけだし」
「そうか?」
なんか歯切れが悪いと思った俺は本題に入る
「一夏。」
「な、なんだよ急に改まって」
「俺、本気でボーデウィッヒ少佐に勝ちたい。だから明日からお前達の動きを見学させてくれ。」
「えっ!でも千冬姉に今日と明日は休めって言わてんだろ?そこんとこ大丈夫かよ」
「平気平気。なんならあの時の戦闘ログデータが残っていたらそれで勉強させてもらうぜ。」
すると一夏は突然変なこと言い出した
「ライディお前……なんかあった? 今まで闇というか何と言うか……爽やかになった?」
「何言ってんだよ……… でもなんか心が晴れた気がするんだ。」
復讐だけが取り柄なわけがない。俺はもっと頑張る! ただそれだけだ!
ーー♢ーー
翌日…
登校して教室に入った瞬間みんなから雰囲気変わったねとか話しやすくなったとか言われてちょっと嬉しかった。
でも右腕の捻挫の件は誤魔化していたけど昨日別のアリーナで爆発音が響き渡っていたらしくてバレましたてへっ(ノ≧ڡ≦)☆
まぁそんなこんなで授業を一通り終えて昼食を取り、とまぁAICの集中力強化やいろんなことさせられた。
座学みたいなこと何時間もさせられて結構しんどかった。
とまぁこんな感じで俺は一日を過ごし、明後日に備えてる事にした。
ーー♢ーー
ラウラ・ボーデウィッヒが決闘を申し込んだ当日。
それは大々的に行われそうだが、あまり目立ちたくない為授業の模擬戦でする事になった。
「アストラス。腕の調子はどうだ」
「バッチリです! 昔から俺怪我した時は食べて寝て全回復させてましたから」
「そ、そうか。じゃあいってこい!」
「はい!」
織斑先生に軽く会釈した後、俺はビットへ向かっていった
「アストラス君変わりましたねー」
「そうだな。」
「てか織斑先生ってアストラス君の事随分と見てるんですね」
「あいつを見てると昔のボーデヴィッヒみたいだ。まぁ奴の違うところはISを復讐遂行の為の兵器と考えていたところだな。」
「何故復讐を……?」
「それは………模擬戦が始まる。山田先生、続きはまた今度で」
「あぁはい!」
そう言い千冬は話を切り終え、真耶と一緒に監視室へ向かった。
かつての教え子とその部下の戦いを見届けるために………
おいっすおいっすらんすー!
ランクラニキだよー!連載遅れてごめんね。
ここで補足説明に入るんですけど、ライディ君のクーゲルの第三世代能力が瞬時加速並みのスピードによる高速戦闘と二丁拳銃による高圧縮追尾式エネルギー弾を放つものだと思ってください
危なすぎやろ
因みに仮面ライダーバルカンの必殺技の文字がガンガンガンガンって出てくるようなものだと想像してください!